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花崗岩

(サイエンス)
かこうがん

【granite】深成岩に属する火成岩の一種で、石英や長石を主成分とし、10%程度の有色鉱物しか含まないために白っぽく見え、かつナトリウムやカリウム等のアルカリ分の含量が少ないもの。


・大陸地殻を構成している岩石である。肉眼では、白〜薄桃色の下地に茶色〜黒色のまだら模様が均等に散らばったような、組織に見える。花崗岩に含まれる鉱物は、石英、斜長石、アルカリ長石、輝石、角閃石、雲母、燐灰石、磁鉄鉱、ジルコン、柘榴石などである。岩石に占めるシリカ(SiO2)成分の重量比が65wt%以上の、深成岩が花崗岩に分類される。金属顕微鏡による岩石薄片観察では、自形・他形の鉱物が接着しあった、モザイク状の組織が観察される。鉱物粒子の粒界に虫食い状や楔状の組織が見られることがある。


・岩石中に含まれる石英、斜長石、アルカリ長石の体積比の計測によって、花崗岩はさらに細かく分類される。花崗岩の帯磁率を調べることで、火山性花崗岩と堆積性花崗岩に分類される。また、横軸に岩石中のシリカ成分の重量比、縦軸にソディウム+ポタシウム成分の重量の比をとって、ソレアイト系列、カルクアルカリ系列、アルカリ系列などに分類される。


・花崗岩は、断裂帯に沿って地表に貫入する、貫入岩である。花崗岩が含水鉱物の角閃石や雲母、揮発性元素を含む鉱物を含むため、周囲の乾いた岩石よりも融点が下がり、部分溶融する。そして、溶融に伴う流動と、斑レイ岩・橄欖岩(3.3g/cm3)よりも密度が小さい(2.7g/cm3)ため、きのこ雲形で地表に向かって上昇する。上昇過程で、ボーエンの結晶分化作用により輝石−斜長石→角閃石−石英の順に結晶が晶出する。しかし、結晶分化では説明がつかない鉱物の組み合わせになる場合が多い。これは、上昇過程で周囲の岩石鉱物との交代反応、汚染・同化・混合が起こるためである。


・地下から供給される熱、あるいは地殻変動に伴う摩擦熱によって溶融した花崗岩マグマが地下から上昇し、地表に定置する過程で、花崗岩マグマの組成は変化する。花崗岩マグマは周囲から冷えて固結する。その過程で、各鉱物の固結温度に差があるため、花崗岩マグマの外側と内側では、花崗岩のシリカ成分の重量比や花崗岩に含まれる鉱物は異なる。また、花崗岩マグマが上昇する過程で、先に地表に存在する岩石を取り込むことで、花崗岩マグマの組成が変化する。花崗岩を露頭で観察すると、シュリーレンレイヤリングや暗色包有物など、有色鉱物の濃集層(級化層)が見られ、花崗岩マグマが地下で流動した跡が観察される。花崗岩は揮発性成分が濃集したアプライトによって貫入され、一部は一つの鉱物が硬貨大に成長したペグマタイトとして観察される。また、硬質頁岩に、花崗岩マグマよりもマグネシウムや鉄に富んだマグマが貫入し、その境界に沿って金が濃集することがある。


・花崗岩は、地殻変動と連動した動きを見せる。地表に出現した花崗岩が、過去どのような環境に置かれたかを知るには、マグマに入りやすい元素と入りにくい元素の傾向を調べることが有用である。その傾向を調べる上で規準となるものに、地球形成当時の状態を保存していると考えられる隕石を使用する。隕石と花崗岩の元素を比較することで、分化に伴う花崗岩マグマの元素パターンの変化が観察される。隕石と比較して、変化が顕著に現れる元素は、カルシウム・アルミニウム・ケイ素・酸素などの主要元素ではなく、ランタノイドすなわち希土類元素である。希土類元素は、花崗岩に濃集する傾向がある。


・花崗岩の揮発性元素が濃集したペグマタイトは、有効である。また花崗岩には、ランタノイドが濃集するため、精密機械の原料として欠かせない。また、花崗岩が風化して砂になり、川でふるいにかけられて、金などの重金属は、砂金として砂州に濃集する。金は半導体の基盤に欠かせない。花崗岩は、建築材料に留まらず、先端技術の原料として有用なのである。

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