筆で所感を記す事も「筆まめ」な性質なので暇さえあれば何か書いてみたくなる。 明治三十六年十二月頃、大阪新報(時事新報と姉妹関係の新聞)で翌三十七年の辰年に因んだ御伽話の懸賞募集があった。早速応募した所当選して一月末の新聞紙上で発表された。 題名は「龍の天上」という題で一匹の龍次郎という龍の子供が乙姫様に天上したいから暇を下さいと頼んだが年が若いからと許されなかったので友達の鰐と相談して東京へ出て一軒の紙凧屋へ行き主人に頼み込み自分は秘術を使い紙凧に貼りついた。そして元旦に太郎君に買い取られた。それを知らない太郎君は喜んでそれを揚げた所他の物より高く揚がって行くので大喜びだった。一方龍の龍次郎君…