『清貧に生きる』上司小剣(昭和15年、千倉書房) 風流人と自認するとある分限者(大金持ちですな)、大枚はたいて年月かけて、三種の神器とも申すべき珍品をついに入手。いわく、釈迦が用いた鉄鉢、孔子が艱難の旅に携えた杖、太公望が渭水北岸に釣糸を垂れたさい尻に敷いていた蓆。全財産を蕩尽した御仁、その蓆を被って鉄鉢携え、杖を手に乞食して歩いたという。 「有名な作り話」だそうですが、私は知りませんでした。上司小剣(かみつかさしょうけん)『清貧に生きる』に見えます。侘ぶることと、侘ぶるがごとく見せることの違いを、嗤ったものでしょう。茶道のかたがたが道具を鑑定して、「寂びたるはよし、寂ばしたるはあし」とおっし…