Hatena Blog Tags

経口避妊薬

(サイエンス)
けいこうひにんやく

1960年代から女性に使われるようになりピルとも呼ばれる。

ピルを服用できない場合

一般的にピルはこのような症状がある人には使用できない。
・片頭痛の患者
・高血圧の人
・糖尿病の人
・乳がん・子宮体がん・子宮頸がん・子宮筋腫の患者及び疑いのある人
・血栓症を起したことのある人
・原因不明の出血がある人
・肺塞栓症・冠動脈疾患・血栓症静脈炎・脳血管障害の患者及びこれらの病気にこれまでにかかったことがある、その疑いのある人
・35歳以上で1日15本以上のタバコを吸う人
・肺高血圧症又は心房細動を合併する心臓弁膜症の患者、亜急性細菌性心内膜炎になったことのある心臓弁膜症の患者
・コレステロール値や中性脂肪の高い人
・腎障害、急性腎不全など腎臓に病気のある人
・肝障害や肝腫瘍など肝臓に病気がある人
・脂質代謝異常のある人
・以前妊娠した時に持続的なかゆみまたは黄疸や妊娠ヘルペスの症状が出たことのある人

それ以外にも耳硬化症や抗リン脂質抗体症候群の患者は使用できない。手術前4週間・術後2週間以内、産後4週間以内の患者及び長期安静状態の人は心疾患関連の副作用の可能性が高くなるため使用しないこと。

また子宮筋腫のある患者、耐糖能異常の人、年齢が40歳以上の人、心疾患の患者および乳癌になったことのある人および乳癌の家族歴又は乳房に結節のある人、血栓症の家族歴を持つ人、喫煙者、肥満、心臓弁膜症やてんかんの患者などは使用時には慎重な投与をすることが求められている。

副作用

副作用がありうるので、医師の指導のもとに服用することが望ましい。副作用としては、体重の増加(肥満)、偏頭痛、吐き気、嘔吐、イライラ、性欲減退、むくみ、膣炎などがあげられる。このほか稀な例ではあるが、肝機能障害、長期服用による発癌性などの可能性が指摘されている。子宮筋腫、糖尿病を悪化させる可能性があるとも言われている。

ピルの主要な副作用としては血栓症が挙げられる。ピルは血栓が起こるリスクを3〜5倍引き上げるとされ、英国で10年間に104人が血栓症で死亡したと公表されてされており、スウェーデンやニュージーランドでも集団訴訟が起されている。

日本ではバイエル薬品の超低用量ピル「ヤーズ」により、2013年6月に服用した20歳代の女性が頭蓋内静脈洞血栓症で死亡した。その女性は、婦人科で月経困難症の診断で超低用量ピル「ヤーズ」を毎日1錠内服するように処方された。2日目に頭痛が起こり、6日目には頭痛、吐き気、 動悸など体調不良がひどくなったため内科受診し、吐き気止めと胃腸薬を処方された。9日目に頭痛・嘔気・ 食欲不振が続くため、内科受診し精神安定剤を処方された。当初の婦人科も受診した所、ヤーズ内服中止( 総内服量7錠で中止)と脳外科受診を勧められた。嘔吐、歩行困難もあったが検査予約して帰宅。10日目体動困難となる 。11日目の朝ベッドの上で失禁状態で発見され、病院へ搬送された。意識レベル低下し痙攣もあり、 CT所見より脳静脈洞血栓と診断された。抗凝固剤のヘパリン治療開始。12日目に呼吸不全となり気管挿管施行。 13日目に死亡した。その後2人目の死亡者が発生した。10代後半の女性であり、投与開始から526日目に肺動脈塞栓症で死亡したと推定されている。 ヤーズは月経困難症と子宮内膜症の治療のために、ロキソプロフェンとレバミピドとともに処方された。 初回投与から526日後に、患者が外出して下宿に帰宅した後に連絡が途絶え、 その3日後に下宿内で死亡しているのが発見された。解剖の結果、肺動脈の本幹に血栓があり、 肺動脈塞栓症が死因と確定。初回投与の499日後に2シート(56錠)を最終処方しており、36錠残っていた。医薬品医療機器総合機構(PMDA)は処方時には患者に血栓塞栓症のリスクについて説明するとともに、新たに作成した「患者携帯カード」 を渡すよう求める文書を掲載した。2013年10月には、日本産婦人科医会が女性ホルモン剤使用中患者の血栓症に対する注意喚起を行った。また、1例目の死者が出た時点で、87人が副作用で血栓塞栓症になったと報告された。その後、12月に肺と足の血栓症により40代女性が死亡した。

医薬品の安全を管理する独立行政法人の集計などによると、2008年〜13年上半期に、日本で使用されたピルに関して、血の固まりが血管をふさぐ血栓の重症例が延べ361件副作用として報告されていた。副作用の報告は08年の33件から12年の105件に増え続けていた。死亡は11件あり、10代1人、20代2人、30代4人、40代1人、50代2人、不明1人だった。

発癌性に関しては、国際がん研究機関によるIARC発がん性リスク一覧で、「Group1 ヒトに対する発癌性が認められる」と評価されている。

また、喫煙を伴うと心臓・循環器系への副作用が高まるため、ピルを服用するなら喫煙をしないことが望ましい。

このタグの解説についてこの解説文は、すでに終了したサービス「はてなキーワード」内で有志のユーザーが作成・編集した内容に基づいています。その正確性や網羅性をはてなが保証するものではありません。問題のある記述を発見した場合には、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

関連ブログ