「統帥の元締め」という字面からも分かるように、(通常は)軍隊の最高位の階級。元帥をおかない場合は(通常は)大将が最高位となる。
なお、日本語では海軍も陸軍も「元帥」だが、(他の階級と同様に)外国語の場合は陸軍と海軍では名称が違っていることが多いし、他の階級と字面が近接していることが多い。つまり、偉い陸軍大将=陸軍元帥、偉い海軍大将=海軍元帥、的な単語関係になってる*1。
なお、本当は近代以前から「元帥」と訳される言葉はあるが、長くなりすぎるのでとりあえず省略する。
階級の象徴として元帥杖を与えられることがある。
古くはおそらく17世紀のブランデンブルク=プロイセン公国時代のフリードリヒ大選帝侯の頃に誕生したと考えられている.少なくともフリードリヒ大王時代にはその存在が確認されている.(当時はGeneralfeldmarschallではなくFeldmarschall.WWIでもこれが用いられていた*2).
[WWI後]
1919年3月創設のヴァイマール共和国軍(ライヒスヴェーア:Reichswehr)においては、元帥の階級は存在しなかった.ただしヴァイマール共和国大統領のヒンデンブルクが,この時代でも陸軍元帥を名乗っていたのはWWI時にプロイセン=ドイツ帝国から授けられたものをドイツの「元帥は終身現役」という伝統によるものと思われる.
1935年5月のヴェーアマハト(Wehrmacht)創設時にもまだ元帥の階級は制定されていなかったがヒトラーは1936年4月20日これを復活された.
この時,軍務大臣(Reichskriegsminister,国軍大臣より改称)であったブロムベルクが元帥に昇進して全軍中で最初の元帥となる.
(後にブロンベルクは元売春婦との結婚によるスキャンダルで1938年1月26日に罷免.以降約2年近くは元帥不在であった).
[WWII時]
1940年フランス侵攻の功績により9名の陸軍将官が元帥に昇進.
1945年5月8日の終戦までに9名が元帥に昇進して陸軍における元帥の総数は19名であった(その後,多くはヒトラーにより罷免).一方,空軍,海軍の元帥の人数はそれぞれ2名、6名.当時アメリカでは全軍で5名であった.
諸外国の場合と異なり、軍の階級としての元帥は存在しなかった。日本の場合は一種の称号として、特に勲功大な陸海軍大将に与えられた。元帥になると元帥府*5に列せられた。
したがって東郷平八郎や山本五十六といった「元帥」も、階級は「海軍大将」である。