阪急「桂」駅。初めての下車。桂離宮があるところ、ただそれだけの拠り所で来てみた。 無論、桂離宮は撮れないし、撮りたいとも思わない。 過去に、石元泰博の写真集『桂離宮』はたぶんどこかで見ていると思う。僕が桂で写真を撮る拠り所の中心には、それがある。何一つ、かすってもいないけど。石元泰博の写真は好きである。 桂川の西岸に、桂離宮はあった。その森を横目に桂川沿いの土手を歩く。 明るくなるにつれ、土手の草に降りた霜がキラキラ光って見える。 いつも阪急電車の車窓から見ていた土手に、今日、僕は立っている。こういう感覚は好きだ。 そして、どの街にも家が建ち並び、そこに人の暮らしがある。 自分もその一人で当た…