紀元前210年7月〜同年12月 中国の秦の時代に起こった反乱のこと。 900名の農民が大沢郷という地で反旗を翻し、それは半年間で鎮圧されたものの、これに触発されて各地で反乱が起き、それが秦の滅亡につながった。 陳勝はこの反乱の主導者、呉広はその助力者のことである。またこの乱が世界初の農民戦争である。
西の大国「秦」は紀元前221年、戦国の七雄を全て倒し、中華統一を果たした。秦が中華を統一する過程はここに書ききることができないのでまたの機会に解説したいと思います。秦が中華を統一することができたのは諸子百家の一人であり、法家に分類される商鞅による改革の成功によるものでしょう。今回は商鞅の改革から始皇帝の統治手腕までを解説していきます。 →紀元前4世紀に活躍した商鞅は秦の孝公につかえた。什伍の制と呼ばれる戸籍制度や法治主義の考えを導入し秦の国力アップに寄与した。(なんの偶然かローマで十二表法が制定されたのもこの頃で、積極的に法律が運用され始めた時期が東西で被っている) →国力をつけた秦は東方への…
怒涛の項羽と劉邦でした。 とにかく勢いが物凄い。 私は横山『項羽と劉邦』を読んでいたので内容はわかるのですがいきなり本作を読んで理解できるものなのでしょうかと心配にはなりました。 ネタバレしますのでご注意を。 一番気になるのは虞美人の変化よりも「陳勝・呉広の乱」の描写ではないでしょうか。 「革命」というものがないこの日本では「陳勝・呉広の乱」はこうした表現になりがちなのかと暗澹たる思いもしました。 少年誌においてこの乱をどう表現するのかは重要なことに思えるのですが。 「陳勝・呉広の乱」は史上初の農民反乱であり、この楚漢戦争の引き金になった重要な事柄です。 それは力及ばずわずか半年で内部分裂しリ…
突然の本宮ひろ志。と言ってももちろん『項羽と劉邦』だからである。しかも張良がかなり気になるキャラデザだったので読まずにはおれなかった。 私は横山光輝マンガはまったく読んでこなかったのですが本宮ひろ志は幾つかは読んでいて大好きだったりします。(大好きだけど読んではいなかったという) さて調べてみると本作は1986年から1987年まで週刊少年ジャンプで掲載、のち追加執筆、という形で創作されている。確かに少年ジャンプでこの内容はムリすじな気がする。 対して横山『項羽と劉邦』は1987年から、と入れ替わるように執筆され1992年で完了と横山光輝氏の堅実さが表れている、とここで横山氏を持ち上げるのもなん…
1 性善説と性悪説 この言葉についてみだりに論じようとする人は、概ね知識が浅いというのが、私の経験上の印象だ。 性善説とは、「人間の本性は善である。」という考え方で、孔子の儒教路線を汲む、孟子が唱えた説。孟子以後は儒教の中心的思想となった。 これに対し、韓非子の師匠である思想家荀子が唱えた「人の性は悪なり、その善なるものは偽なり」という主張。なお、ここで言う悪とは、「弱い存在」という程度の意味であり、「悪=罪」という意味では無い。 さらに重要な事は、韓非子は師匠のこの思想をさらに発展させ、「善」などというものは、時代や環境によって変わるもので、その時代・環境に合った規則、すなわち「法」を定める…
秦の始皇帝は政治に儒家ではなく法家の思想を取り入れました。法家は何が何でも法が絶対という考えです。このようにして中央集権化を図りましたが、急激な改革だったせいで反発を買い、陳勝呉広の乱や項羽、劉邦らによって滅ぼされました。
当然のことながらネタバレを含むので、未視聴の場合は閲覧に注意されたい。 1990年に放映された単発テレビアニメ。とはいえ話数は1話で、上映時間は80分。まぁ映画として扱ってもいいんでないかというやつ。 雲のように風のように 佐野量子 Amazon ざっくりとしたストーリー。中国の架空の王朝「素乾国(そかんこく)」が舞台。新しい皇帝が即位することになり、それに伴って全国から正妃(国王の后)を選ぶために、中国全土から候補となる女性が後宮に集められることになる。 主人公となる少女「銀河」は、「三食昼寝付き」という生活を夢見て正妃候補として後宮を訪れる。 銀河の人となりは国の正妃としては幼く素朴であっ…
史記より一番有名なエピソードが登場 どうも現在はNHKの歴史番組はすべて「とにかく無理矢理に大河と結びつけて宣伝しろ」との命が下っているようで、無理くりに家康との関連をつけているが、当然ながら家康が劉邦に直接師事したわけはなく(時代が1000年以上違う)、当時の武将は中国の歴史を学ぶのは基本的な常識であったことを考えると、何も劉邦を参考にしたのは家康だけではない。と言うわけでいきなり無理くりすぎるタイトルに少々苦言だが、今回のテーマは中国の歴史書の史記の中でもほぼメインエピソードと言っても良い劉邦の漢建国に纏わるエピソードである。劉邦の建国物語が盛上がるのは、劉邦が一介の農民から成り上がったと…
農民や奴隷の反乱は、東洋では紀元前209年の陳勝呉広の乱、西洋では紀元前135年のシチリアでの奴隷戦争である。人類には4000年以上の歴史があるが、この2つの反乱以前に農民や奴隷の反乱はなかったのである。 歴史時代の初めの頃は、国家は都市や農村、あるいは小さな部族単位で形成されていた。 この小さな国家では、善悪が問われることはなかった。神話は世界が不条理であることを教えるものであり、不条理である代わりに完成された人間、仏教でいうところの悟りを開く人間が存在することを教えた。人間が悟りを開けることについて、神話は嘘は言わなかった。 その国家がアッシリアに始まる世界帝国によって統合され、やがてアケ…