フランスの近代芸術史家による本格的なジョルジュ・ブラック論。日本語版ではページの上部四分の一が図版掲載スペースになっていて、論じている対象や該当の時代を象徴する作品をたくさん取り上げている。図版数全227点。モノクロームでしかも限られたスペースにあわせて縮小された図版であるものの、総じて鮮明で細部までわりとしっかりと把握できて、何より日本の画集ではあまり見かけない作品の図版が含まれているところがうれしい。本家のほうはカラー図版ということで、さぞかし贅沢で行き届いた刊行物となっていることだろう。うらやましい。セザンヌの影響を受けて絵画空間の自律性の探究を推し進めていったブラックの画業の全行程が、…