Linus's Blanket

子どもの頃、お気に入りの毛布が手放せなかったという経験はありませんか。ふわふわの毛布。持っているとなんだか安心。持っていないと不安。そんな「安心毛布」のことを、英語では “Linus’s (security) blanket” と表現します。

 “Linus’s blanket” は毛布やブランケットだけではなく、子どもによっては、ぬいぐるみだったり、人形だったり、ミニカーだったり、時には石ころだったりします。恥ずかしながら、ぼくの “Linus’s blanket” は、白いクマさんのぬいぐるみでした。幼稚園の頃から小学生の頃まで、いつもその白いクマさんのぬいぐるみを抱いて寝ていたような記憶があります。でも、ある日、その白いクマさんの鼻の黒い大きなボタンが取れてしまいました。とても悲しくなりました。落ち込んだぼくを見かねて、母が取れたボタンを糸で縫いつけてくれましたが、その位置が微妙にずれていて、それが気に入らず、今思えば母には申し訳ないのですが、それ以来その鼻の位置のずれたクマさんとはお別れすることにしました。

 “Linus’s blanket” は人間だけでなく、犬にもあるようです。破壊王の凛は、鳥のぬいぐるみが好きなのですが、鳥のぬいぐるみはすぐに引き千切り、中身の綿をほじくり出して遊ぶのが趣味のようです。しかし、写真のボールはずっと大切にしています。これは、凛がまだ子犬の頃に、横浜のランドマークタワーにあるペット用品専門店 Labrador Retriever で買ったボールです。もう5年になりますが、今でも寝るときにはいつも必ず二階のベッドに咥えて運び、朝起きるとそのボールを咥えて一階に降りていきます。その様子がとても愛らしく、ボールを咥えてベッドに飛び乗り、自分の寝場所を確保して安心した凛を撫でていると、自分も安心した気分になります。だから、凛は今の自分にとっての “Linus’s blanket” なのかなと思います。