チョウ類調査

kheperer2005-06-06



梅雨入り前の雲一つない晴天のもとチョウ類のラインセンサスをした。ラインセンサスとは、特定のルート上を移動しながら行う調査。調査ルートは熊谷-V15-R15-S-C*1。調査内容は、チョウの種類・行動・個体数の記録。


成虫は9種確認できた:キチョウ・ヒメキマダラセセリ・コミスジ・ルリシジミ・モンシロチョウ・ベニシジミ・ヒメジャノメ・ウラギンシジミゴマダラチョウ(出現順)。林内にはほとんど飛んでおらず、林縁の明るい環境に多かった。この森にはササが少ないためか、ヒカゲチョウ類は見かけなかった。


先日の夕刻に林冠を舞うアカシジミを見たが、今日の午前中は飛んでいなかった。黄昏時だけ飛ぶのかもしれない。このアカシジミは卵越冬して、春先に孵化した幼虫はコナラなどの新芽を食べる。これと似た生態をもつシジミチョウ科の一群をゼフィルス*2と呼ぶ。実はこの森でゼフィルスの正式な記録がないのだ。しかしいることは確実なので、証拠標本が必要だ。


サルトリイバラにルリタテハの幼虫がいた。春先に生まれた幼虫は、かなり大きくなっていた。しかしなんとも毒々しい。一方、成虫の羽は黒色の地色に瑠璃色の帯があり、秘めた美しさがある。成虫で越冬し、春先の寒空のもとでよく日光浴している。サルトリイバラでは、オオトモエという大型ガ類の幼虫も見かける。
[2005.6.6: S300]

*1:地図はこちらhttp://satoyama-orc.ryukoku.ac.jp/image/forestmap_large.jpg

*2:ゼフィルスという名前は、ギリシャ神話に出てくるゼフィロスという「春を呼ぶ西風の精」に由来する。彼はボッティチェリの名画 [ビーナス誕生] にも描かれている:左端でふーふーと風を起こしている