青い花 第6巻
- 作者: 志村貴子
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2011/05/12
- メディア: コミック
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二人の女の子が恋を育み始める第6巻。
万城目ふみの告白、その想いに対する答えを抱えたままの奥平あきら。
宙づりになったままの二人の関係は、再会してから二度目の夏を経て、新しい展開を迎えます。
物語の始まりは、あきらの後輩「大野春花」の祖父が経営する箱根の老舗旅館から。
そこへ二人は、大野姉妹や姉の友人であり、あきらの担任でもある山科日向子、松岡三人娘とともに夏の旅路へと向かいます。
温泉を満喫する彼女たち。あきらへの想いを巡らせすぎたふみは、温泉でのぼせてしまい、日向子に介抱されます。そこでふみは、恰も注がれた水がコップから溢れ出るように、自分の恋情を吐露してしまうのでした。
花城千津。杉本恭己。ふみを通り過ぎていった彼女たち。近づいて、離れていった関係。そして今、近くなりたいと願うあきらとの関係。ふみは不安になります。自分の強すぎる想いが、あきらとの関係を台無しにしてしまうのではないか、また離れていってしまうのではないか、と。
しかしこの夏の旅行は、あきら自身についても、ふみへの想いを振り返る契機となっていました。
かくして旅行が終わったのも束の間、あきらがふみの家へと泊まる機会が急遽おとずれます。
懐かしいお泊まり。ただ一つだけ違うのは、あのころよりもさらに強くなった、あきらへの気持ち。
深く寝静まった深夜。ふみは、押さえきれない自分の願いに締め付けられ、横で寝ているあきらへの想いを口にしてしまいます。<わたし やっぱりあーちゃんが好き>。しかし、あきらはそれを聞いていました。彼女は呟きます。<うん 知ってる>と。
杉本恭己との恋の終局。その顛末を知るあきらは、ふみが内包する切実な気持ち、そういったものを知っているために、自分を想う(それと同じ)気持ちを真剣に受け止めていました。大切な友達の、大切な想い。自分が彼女のためにできること。精一杯の答え。自分にもふみにも嘘偽りのないそれを出すために、一睡もせずに考え巡らせて……。
翌朝、あきらは自分の心境を打ち明けます。
好意、戸惑い、今自分がどうすればいいか正直分からないこと……。
それを聞いたふみは、あきらをこんなにも当惑させてしまったことに涙し、昨夜の告白を撤回します。忘れてほしい。完全なる自己満足だと。
しかし次の瞬間、あきらが出した答えは、ふみが予想だにしないものだったのです。
*1
友達と恋人の境界線上で揺れ動く二つの感情。「大切にしたい」という気持ちと「好き」という気持ち。どこまでが友情で、どこからが恋情なのか。でも、それらは決して背反するものではなく、どちらも、相手と、相手に写る自分を認めたい、そうした気持ちから生まれた感情なのです。
いままでと変わらないなんてなんてことはない でも
変わりないものもあると思う
ふみちゃんといるとたのしい *2