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2007-08-13 地域格差拡大否定論を統計的に批判検証してみる

[]地域格差拡大否定論を統計的に批判検証してみる 00:39



●東京都区部で新築マンション暴騰前年同月比14.0%上昇〜日本経済新聞記事より

 13日日経電子速報記事から。

7月の首都圏マンション、15年ぶり高値・都区部で3億ション

 不動産経済研究所が13日発表した7月のマンション市場動向調査によると、首都圏の新築マンションの平均分譲価格が前年同月比12.6%上昇の5305万円、東京都区部では同14.0%上昇の7109万円だった。それぞれ5000万円、7000万円を上回るのは、バブル経済の余韻が残る1992年11月以来、約15年ぶりという。東京都区部で3億円を上回る「3億ション」が出るなど高額物件の供給が増え、平均価格を押し上げた。

 7月の新築マンション発売戸数は前年同月比10.0%減の6409戸と、7カ月連続で前年実績を下回った。地価上昇が見込まれる中で都心部の物件供給を後にずらす動きがあるほか、郊外では在庫を減らすために新規物件の発売を絞る傾向が続いている。〔NQN〕(17:31)

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070813AT3L1303S13082007.html

 7月のマンション市場動向調査によると、東京都区部で新築マンション価格が暴騰、前年同月比14.0%の上昇、3億円を上回る「3億ション」が出るなど高額物件の供給が増えているそうであります。

 首都東京で最近過熱気味のマンション販売でありますが、まさかバブルの再燃を狙っているわけでもないでしょうが「地価上昇が見込まれる中で都心部の物件供給を後にずらす動きがある」などバブル期を彷彿とさせるような一部業者の値上がり期待の売り惜しみの動きすらあるそうです。

 ・・・

 この全国平均を突出した、東京都区部での新築マンション価格の暴騰ぶりなのでありますが、「いざなぎ越え」と戦後最長の好景気だと報道では伝えられているわけですが、日本経済の好調さの一端を示す事象なのではありましょう。

 しかし、東京で「3億ション」が売りに出されるなど、全国の多くの国民にとり他人事であり、その「好景気」の実感が伴っていないのは、正社員と非正社員における所得格差、東京一極集中の中で広がる都市部と地方の所得格差、富の分配がかつて無いほど偏在し始めているという、いわゆる日本において深刻な「格差拡大」、中でも特に地域格差が拡大している証(あかし)なのかも知れません。

 ・・・

 今回の参議院選における民主党圧勝・自民党惨敗においても、年金問題・政治とカネの問題とともに、地域格差に対する「一人区の反乱」「地方の反発」が評論されているところであります。

 今回はこの『日本の「地域(所得)格差」は拡大している』という多くの国民の格差意識は正しいのか、統計的実態を徹底的に検証してみましょう。



●「地域格差」は拡大しているか 統計的実態と格差意識の乖離が示唆するもの〜内閣府記者クラブにて昨年配布された民間シンクタンクの小レポート

 まずは「地域格差」拡大はいまだ顕在化してはいないという、代表的な意見を検証しておきましょう。

 ここに昨年9月ある民間シンクタンク(株式会社日本総合研究所)による日本の地域格差に関する全8ページよりなる小レポートがあります。

 このレポートは実は資料として内閣府記者クラブにて配布されたものであり、私はあるメディア関係者から昨年末頃コピーを入手いたしました。

 ネット上では以下に公開されています。

「地域格差」は拡大しているか

統計的実態と格差意識の乖離が示唆するもの〜

2006年9月27日

株式会社日本総合研究所

調査部 マクロ経済研究センター

http://www.jri.co.jp/press/2006/jri_060927.pdf

 大変興味深いこの小レポートですが、副題『統計的実態と格差意識の乖離が示唆するもの』が示すとおり、レポート自体はその要旨として国民の格差意識と統計的実態には乖離があり、国民が思っている程度には「地域格差拡大」は生じていない、という結論なのであります。

 全文は是非あちらにて確認いただくとして、その要旨をレポート2ページ目より抜粋引用いたします。

 【レポートの要旨】

1. いわゆる格差問題についての議論が盛り上がるなか、とりわけ「地域格差」が焦点の一つとして浮上している。日本経済全体は息の長い景気拡大を続けているものの、「大都市圏好調・地方圏不振」の声は根強く、地域格差が「悪い方向に向かっている」という意識を持つ人が急増している。

2. 雇用・所得面での「地域間格差」について検討すると、有効求人倍率の動きでみれば、ここ数年格差が広がる傾向が窺われる。しかしながら、長期的にみれば、直近のバラツキは歴史的にはなお小さく、むしろ求人倍率の底上げ傾向がみられる。失業率の地域区分別の格差をみても、一方的な拡大傾向は認められない。

 所得面について、名目賃金の過去10年の動きを都道府県別にみる限り、格差が拡大する傾向ははっきりとは確認できない。また、近年、生活保護世帯をはじめとする貧困世帯が増加しているが、この面でも地域間格差の拡大は歴史的にはなお限定的にとどまっている。つまり、所得・雇用面での統計から見る限り、地域間格差はここ数年拡大の兆しがみえるものの、やや長い目で見れば格差拡大を必ずしも断定できない。

3. このように、人々が感じているほど、統計的には地域間格差の拡大傾向を明確には認められない理由としては、所得水準の格差自体は拡大していなくとも、「所得が増えている地域」と「所得が減っている地域」へと二極化することで、格差拡大が強く意識されているという事情が指摘できる。

 もう一点、格差拡大が強く感じられる背景として、「地域内格差」の問題が指摘できる。すなわち、同じ都道府県内でも、中核都市部と周辺都市・町村との格差が拡大している可能性であり、「地域内格差」が「地域間格差」としてすりかえられて論じられているとの構図が想定される。

4. 雇用・所得面に比べ、2000年代に入ってから生産面(企業活動面)での地域間格差は拡大の方性がより明確に認められる。こうした所得面・生産面での違いの背景には、労働分配率の引き下げに向けて人件費抑制スタンスが維持されてきたことの影響を指摘できる。今後、生産面での地域格差拡大が続けば、徐々に生産好調地域での賃金の上昇傾向が強まり、所得面でも地域間格差の拡大が明確化していく可能性がある。

 加えて、既に顕在化し始めている「地域内格差」は、人口増減率の違いにより発生している面が大きいと考えられるだけに、今後、人口減少の本格化に伴って一段と大きな問題になっていく可能性が指摘される。また、貧困世帯が雇用悪化の見込まれる地方で顕著に増加していくリスクもある。

 

5.以上みてきたように、雇用・所得面での中央と地方の格差拡大は、これまでところなお限定的といえ、この面からみる限りは、小泉政権下で推進された「公共事業削減」や「三位一体改革」を“地方を切捨て”と断定し、「構造改革路線」を否定する論拠にすることには慎重であるべきであろう。

 その一方で、人口減少の進展やグローバルな産業再編の影響から、先行き、様々なレベルで地域格差の問題が明確化していく可能性があり、この問題が本格化するのはむしろ今後であるといえる。

 中央と地方の役割分担の議論はこれからが本番であるが、議論の前提として、これまでの構造改革路線に対する冷静な評価がまずは欠かせない。加えて、将来的な地域格差拡大の可能性を踏まえつつ、印象論を退け、地方主権とナショナルミニマムの関係等、基本的な考え方についての議論を深めたうえで、適切な対応策を講じるというスタンスが求められている。

 このレポートは小論ながら丁寧に根拠となる統計指標(数値)を示している点で、またそれをわかりやすくグラフで明示しているのも親切で、たいへんわかりやすいレポートであると評価できます。

 さてここで【レポートの要旨】の中で統計実態を述べている第二項目に注目してみましょう。

2. 雇用・所得面での「地域間格差」について検討すると、有効求人倍率の動きでみれば、ここ数年格差が広がる傾向が窺われる。しかしながら、長期的にみれば、直近のバラツキは歴史的にはなお小さく、むしろ求人倍率の底上げ傾向がみられる。失業率の地域区分別の格差をみても、一方的な拡大傾向は認められない。

 所得面について、名目賃金の過去10年の動きを都道府県別にみる限り、格差が拡大する傾向ははっきりとは確認できない。

 また、近年、生活保護世帯をはじめとする貧困世帯が増加しているが、この面でも地域間格差の拡大は歴史的にはなお限定的にとどまっている。

 つまり、所得・雇用面での統計から見る限り、地域間格差はここ数年拡大の兆しがみえるものの、やや長い目で見れば格差拡大を必ずしも断定できない。

 有効求人倍率、失業率、名目賃金、生活保護世帯の各指標に基づき「地域間格差はここ数年拡大の兆しがみえるものの、やや長い目で見れば格差拡大を必ずしも断定できない」と結論付けているわけであります。

 ・・・

 このレポートは正しいのでしょうか?

 私は統計の専門家ではありませんが工学系技術者として統計理論はよく利用しています。

 特に個人的に違和感を覚えたのは、ズバリ核心的指標である名目賃金つまり所得に関してであります。

 名目賃金(現金給与総額)に関してはレポートの4ページ目に以下のように説明されています。 

雇用・所得面での「地域間格差」拡大は断定できず

ロ)次に、所得面について、名目賃金(現金給与総額)の最高値(2005年時点)である東京都と最小値(同)である沖縄県の格差の過去10年の動きをみても、年々の変動は大きいものの、格差が拡大する傾向は明確には確認できない。東京都と賃金水準下位5県(2005年時点)の平均との格差をみても、近年拡大の兆しはみられるものの、10年単位でみれば必ずしも拡大傾向は明確ではない。

 そして『(図表4)現金給与総額の県別格差の推移』で、厚生労働省「毎月勤労統計調査」にもとづき、たとえば東京/沖縄の賃金格差が1995年の1.61倍ほどから2005年の1.70倍ほどまでジグザグはありながら10年スパンで考えればあまり変化がみてとれないことが折れ線グラフで示されています。

 これによれば確かにこの10年、東京の現金給与総額と沖縄の現金給与総額の比率は1.6〜1.7倍と格差は確認できますがそれが「拡大」しているとは読み取れません。

 しかし、私が調べた限り、この結論は間違いとは言いませんが、かなり恣意的な統計数値の用い方をしている点で賛同はできかねるのであります。

 

●統計で「地域格差」を「もみ消す」のは簡単である〜現金給与総額「1人当たり雇用者報酬」は「地域間格差」をただしく示す指標ではない

 内閣府により政府公式統計資料『平成16年度県民経済計算について』がネット上で公開されています。

1.統計資料

平成16年度県民経済計算について

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kenmin/h16/main.html

 いくつかの統計資料がありますが、上記レポートの現金給与総額ですが、該当する資料としては下記の都道府県別1人当たり雇用者報酬が相当いたします。

8.1人当たり雇用者報酬(42KB)

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kenmin/h16/8_skenmin.xls

 原表には平成8年から16年まで9年分の推移が示されていますが、ここでは、平成8年と平成16年の値、およびその間の数値の伸び率を併記してみました。

【表1:1人当たり雇用者報酬】(単位:千円)

都道府県平成8年度平成16年度増減率
01北海道4,6104,533 -1.67%
02青森県4,0473,934 -2.79%
03岩手県4,0893,995 -2.30%
04宮城県4,7674,456 -6.52%
05秋田県4,0363,753 -7.01%
06山形県4,2473,952 -6.95%
07福島県4,3784,213 -3.77%
08茨城県4,7774,552 -4.71%
09栃木県4,9245,019 +1.93%
10群馬県5,0004,746 -5.08%
11埼玉県5,6765,150 -9.27%
12千葉県5,1835,059 -2.39%
13東京都6,6466,581 -0.98%
14神奈川5,5615,387 -3.13%
15新潟県4,3134,226 -2.02%
16富山県5,1374,932 -3.99%
17石川県4,2754,111 -3.84%
18福井県4,2544,162 -2.16%
19山梨県4,8984,825 -1.49%
20長野県4,8614,435 -8.76%
21岐阜県4,6494,245 -8.69%
22静岡県4,9074,546 -7.36%
23愛知県5,1244,987 -2.67%
24三重県4,7244,701 -0.49%
25滋賀県4,6924,443 -5.31%
26京都府5,1884,757 -8.31%
27大阪府5,8855,804 -1.38%
28兵庫県5,2324,895 -6.44%
29奈良県5,2655,432 +3.17%
30和歌山5,0284,551 -9.49%
31鳥取県4,3124,118 -4.50%
32島根県4,3684,249 -2.72%
33岡山県4,8554,540 -6.49%
34広島県5,0404,871 -3.35%
35山口県4,6194,415 -4.42%
36徳島県4,7724,487 -5.97%
37香川県5,3145,310 -0.08%
38愛媛県4,2744,162 -2.62%
39高知県5,0474,572 -9.41%
40福岡県4,7474,600 -3.10%
41佐賀県4,5224,332 -4.20%
42長崎県4,1753,920 -6.11%
43熊本県4,4554,233 -4.98%
44大分県4,4454,147 -6.70%
45宮崎県4,6604,357 -6.50%
46鹿児島4,4594,092 -8.23%
47沖縄県4,0843,732 -8.62%
*全県計5,1474,941 -4.00%
*ブロック別
01北海道・東北4,4174,262 -3.51%
02関東5,6895,476-3.74%
03中部4,8964,685-4.31%
04近畿5,4695,229-4.39%
05中国4,7884,582-4.30%
06四国4,7634,587-3.70%
07九州4,5224,278-5.40%
*政令指定都市
01札幌市5,0184,391-12.50%
02仙台市5,0884,887 -3.95%
03千葉市5,5765,533 -0.77%
04横浜市5,6015,388 -3.80%
05川崎市5,8575,547 -5.29%
06名古屋5,4525,042 -7.52%
07京都市4,9965,273 +5.54%
08大阪市6,5266,414 -1.72%
09神戸市5,5555,096 -8.26%
10北九州5,3524,783-10.63%
11福岡市5,0894,502-11.53%
*都市計5,5395,236 -5.47%

 この表に基づけば、平成8年時では東京都6,646千円に対し沖縄県4,084千円で1.63倍、平成16年においては東京6,581千円に対し3,732で沖縄県1.76倍であります。

 13ポイント増と微増傾向にはあるかもしれませんが、その比率が「拡大」しているとは、確かに読み取ることはできません。

 しかし、実はこの指標『1人当たり雇用者報酬:現金給与総額』でもって地域比較する限界を私達は気付くべきであります。

 いうまでもなくこの指標は分母は「現在雇用されている人」総数による平均給与であるということです。

 失業中の人や所得のない人は分母に入っていません。

 これでは地域経済そのものを比較する指標としては十分とは言えません。

 たとえば、極端な例で考えて見ましょう。

 A県では失業率が極めて高く100人の就労可能者のうち99%が失業中で残るたった一人の雇用者報酬が「500万円」であったとして、一方B県の地域が失業率が1%で99人の雇用者報酬が「750万円」だったとした場合、それぞれの平均1人当たり雇用者報酬でもってその差は750万/500万=1.5倍に過ぎないとしているようなものです。

 失業者も加味して、就労可能者一人当たり報酬というより公正な物差しで考えれば、

     500万 / 100人 : 750万 * 99人分 / 100人

     = 1 : 148.5

 実際上記A県では就業可能者平均年収はわずが5万円、B県では同742.5万円、つまり地域総所得という概念で考えれば、148.5倍もの格差になるわけです。

 これを単純に1.5倍と表現できてしまう『1人当たり雇用者報酬:現金給与総額』がいかに地域経済を比較する指標としては限界があるかご理解できますでしょうか。

 このような不適当な指標で比較すれば、統計で「地域格差」を「もみ消す」(目立たなくする)のは簡単なのであります。

 ・・・



●同じ時期の統計で地域格差を正しく「目立たせて」みる

 ここで言葉の定義をきちんとしておきます。

 そもそも地域の経済の比較を『1人当たり雇用者報酬』という、地域経済を比較するには分母に問題のある指標を使用したから上記のような歪んだ問題が発生してしまうのです。

 そもそもある県の総所得は次の単純な式で示せます。

 県民総所得(A) = 一人当たり県民所得(B) * 県の人口総数(C)

 式の意味は単純です、ある県の総所得(A)を増やすためには、一人当たりの所得(B)を増やすかその県の人口(C)を増加させればよいわけです。

7.1人当たり県民所得(42KB)

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kenmin/h16/7_skenmin.xls

 もちろん1人当たり県民所得では、失業者どころかそれこそ乳幼児から介護老人までが分母に加わりますから、少なくとも『1人当たり雇用者報酬』よりも地域比較には適している指標といえましょう。(県民総体としての所得が読み取れるという意味でです)

【表2:1人当たり県民所得】(単位:千円)

都道府県平成8年度平成16年度増減率
01北海道2,7942,535 -9.27%
02青森県2,4762,152-13.09%
03岩手県2,5722,363 -8.13%
04宮城県2,8122,530-10.03%
05秋田県2,4912,297 -7.79%
06山形県2,6042,411 -7.41%
07福島県2,8972,712 -6.39%
08茨城県3,1482,929 -6.96%
09栃木県3,3143,062 -7.60%
10群馬県3,0342,828 -6.79%
11埼玉県3,3242,956-11.07%
12千葉県3,1162,976 -4.49%
13東京都4,2824,559 +6.47%
14神奈川3,5763,174-11.24%
15新潟県2,8982,688 -7.25%
16富山県3,3163,027 -8.72%
17石川県2,9792,790 -6.34%
18福井県2,9302,832 -3.34%
19山梨県2,8962,548-12.01%
20長野県2,9802,733 -8.29%
21岐阜県2,9992,701 -9.94%
22静岡県3,3573,247 -3.28%
23愛知県3,7233,440 -7.60%
24三重県3,0152,988 -0.90%
25滋賀県3,5293,235 -8.33%
26京都府3,0342,849 -6.10%
27大阪府3,5343,039-14.01%
28兵庫県3,3012,651-19.69%
29奈良県2,9682,599-12.43%
30和歌山2,6012,525 -2.92%
31鳥取県2,6212,371 -9.54%
32島根県2,5492,425 -4.86%
33岡山県2,8442,578 -9.35%
34広島県3,1842,943 -7.57%
35山口県2,8992,817 -2.83%
36徳島県2,7842,808 +0.86%
37香川県2,8442,630 -7.52%
38愛媛県2,6372,309-12.44%
39高知県2,4372,171-10,92%
40福岡県2,7922,570 -7.95%
41佐賀県2,5972,453 -5.54%
42長崎県2,3802,190 -7.98%
43熊本県2,4602,366 -3.82%
44大分県2,6902,653 -1.38%
45宮崎県2,4152,340 -3.11%
46鹿児島2,2762,207 -3.03%
47沖縄県2,0501,987 -3.07%
*全県計3,1882,978 -6.59%
*ブロック別
01北海道・東北2,7462,508 -8.67%
02関東3,5563,427 -3.63%
03中部3,3743,171 -6.02%
04近畿3,3212,868-13.64%
05中国2,9352,730 -6.98%
06四国2,6782,460 -8.14%
07九州2,5292,391 -5.46%
*政令指定都市
01札幌市3,0252,700-10.74%
02仙台市3,3002,935-11.06%
03千葉市3,4723,348 -3.57%
04横浜市3,5793,110-13.10%
05川崎市3,6433,281 -9.94%
06名古屋3,9403,241-17.74%
07京都市3,1482,911 -7.53%
08大阪市4,1063,311-19.36%
09神戸市3,1362,773-11.58%
10北九州3,0482,510-17.65%
11福岡市3,3383,109 -6.86%
*都市計3,5103,052-13.05%

 過去9年の『1人当たり県民所得』とその成長率ですがどうでしょう。

 この指標で過去9年の統計をまとめてみると、『1人当たり雇用者報酬』では見落としてしまっていたいくつか興味深い結果が示されています。

都道府県平成8年度平成16年度増減率
*全県計3,1882,978 -6.59%
都道府県平成8年度平成16年度増減率
13東京都4,2824,559 +6.47%

 まず平成8年から16年までの9年間で全国平均では3,188千円から2,978千円と-6.59%も平均所得が下がっている中で東京だけが突出して増加傾向にあることがわかります。

*ブロック別
ブロック平成8年度平成16年度増減率
01北海道・東北2,7462,508 -8.67%
02関東3,5563,427 -3.63%
03中部3,3743,171 -6.02%
04近畿3,3212,868-13.64%
05中国2,9352,730 -6.98%
06四国2,6782,460 -8.14%
07九州2,5292,391 -5.46%

 またブロック別の統計では、近畿ブロックの所得減少が激しく地域経済の地盤沈下が他地域よりもより悪化してきていることが読み取れます。

 さて、上記シンクタンクのレポートでは、1.6〜1.7倍で格差「拡大」は認められないとした東京/沖縄所得格差はどうなっていましょう。

都道府県平成8年度平成16年度増減率
13東京都4,2824,559 +6.47%
47沖縄県2,0501,987 -3.07%

 そもそも平均報酬では1.6〜1.7倍とされたその差は「1人当たり県民所得」で比較すると、平成8年の2.09倍から平成16年の2.29倍と、2倍以上の差が開いてしまいます。

 しかも平均報酬では13ポイント増なのが20ポイント増と、各年の比較から格差が「拡大しつつある」傾向がより顕著に示されているのであります。

 各都道府県の人口の大小に影響されない『1人当たり県民所得』で過去9年の統計資料を検証してみましたが、上記のとおり所得の上でも「東京一極集中」がはっきり数値で表されているのです。

 ・・・



●「県の人口総数(C)」の動向を押さえておく

 一人当たり県民所得(B)でも顕著に「東京一極集中」傾向が出ましたが、言葉の定義に戻りたいと思います。

 県民総所得(A) = 一人当たり県民所得(B) * 県の人口総数(C)

 人口の増減も影響する県民総所得(A)について検証していきましょう。

9.総人口

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kenmin/h16/9_skenmin.xls

 それがためには参考までに「県の人口総数(C)」の動向を押さえておきましょう。

【表3:県別総人口】(単位:人)

都道府県平成8年度平成16年度増減率
01北海道05,697,38605,644,356 -0.93%
02青森県01,483,08101,452,200 -2.08%
03岩手県01,420,38101,394,821 -1.80%
04宮城県02,338,26302,371,338 +1.41%
05秋田県01,209,58001,159,022 -4.18%
06山形県01,254,94001,223,485 -2.51%
07福島県02,134,47302,105,657 -1.35%
08茨城県02,966,29502,988,961 +0.76%
09栃木県01,990,50202,012,570 +1.11%
10群馬県02,008,59902,033,093 +1.22%
11埼玉県06,803,67007,046,838 +3.57%
12千葉県05,817,20406,039,208 +3.82%
13東京都11,808,42312,378,384 +4.83%
14神奈川08,278,80208,732,485 +5.48%
15新潟県02,490,31402,451,649 -1.55%
16富山県01,124,65801,116,505 -0.72%
17石川県01,180,97301,178,583 -0.20%
18福井県00,828,25800,824,628 -0.44%
19山梨県00,884,59700,885,602 +0.11%
20長野県02,203,15202,211,355 +0.37%
21岐阜県02,104,18402,109,688 +0.26%
22静岡県03,745,38303,794,768 +1.32%
23愛知県06,897,12007,192,464 +4.28%
24三重県01,846,47801,863,820 +0.94%
25滋賀県01,298,23101,371,607 +5.65%
26京都府02,634,48302,638,471 +0.15%
27大阪府08,806,77708,813,801 +0.08%
28兵庫県05,421,33105,586,970 +3.06%
29奈良県01,437,40501,430,735 -0.46%
30和歌山01,079,49101,050,002 -2.73%
31鳥取県00,614,51100,609,135 -0.87%
32島根県00,769,71300,748,620 -2.74%
33岡山県01,950,95601,952,404 +0.07%
34広島県02,881,39602,877,579 -0.13%
35山口県01,550,08401,504,176 -2.96%
36徳島県00,831,25900,813,451 -2.14%
37香川県01,026,65901,017,974 -0.85%
38愛媛県01,504,97901,477,348 -1.84%
39高知県00,816,19700,803,316 -1.58%
40福岡県04,952,44105,058,319 +2.14%
41佐賀県00,884,30300,869,571 -1.67%
42長崎県01,540,28401,495,219 -2.93%
43熊本県01,860,93601,851,639 -0.50&
44大分県01,229,79001,215,044 -1.20%
45宮崎県01,176,60001,161,651 -1.27%
46鹿児島01,793,17501,769,129 -1.34%
47沖縄県01,281,72201,358,967 +6.03%
*全県計125,859,439127,686,608 +1.45%
*ブロック別
01北海道・東北18,028,41817,802,528 -1.25%
02関東42,761,24444,328,496 +3.67%
03中部17,727,05418,080,456 +1.99%
04近畿20,677,71820,891,586 +1.03%
05中国07,766,66007,691,914 -0.96%
06四国04,179,09404,112,089 -1.60%
07九州14,719,25114,779,539 +0.41%
*政令指定都市
01札幌市01,774,54001,872,703 +5.53%
02仙台市00,980,95201,025,714 +4.56%
03千葉市00,859,52000,918,364 +6.85%
04横浜市03,320,08703,555,473 +7.09%
05川崎市01,209,21201,306,021 +8.01%
06名古屋02,151,08402,202,111 +2.37%
07京都市01,465,56001,468,401 +0.19%
08大阪市02,600,05802,624,775 +0.95%
09神戸市01,434,57201,519,878 +5.94%
10北九州01,017,73301,003,267 -1.42%
11福岡市01,296,30801,390,480 +7.26%
*都市計18,109,62618,887,187 +4.29%

予想通り東京中心に関東圏の人口集中が顕著なのでありますが、増加率ベスト10。

都道府県平成8年度平成16年度増減率
47沖縄県01,281,72201,358,967 +6.03%
25滋賀県01,298,23101,371,607 +5.65%
14神奈川08,278,80208,732,485 +5.48%
13東京都11,808,42312,378,384 +4.83%
23愛知県06,897,12007,192,464 +4.28%
12千葉県05,817,20406,039,208 +3.82%
11埼玉県06,803,67007,046,838 +3.57%
28兵庫県05,421,33105,586,970 +3.06%
40福岡県04,952,44105,058,319 +2.14%
04宮城県02,338,26302,371,338 +1.41%

 ここでもトリッキーな話なのでありますが、過去9年における人口増加率トップは沖縄県なのであります。

 とすれば、

 県民総所得(A) = 一人当たり県民所得(B) * 県の人口総数(C)

 公式のCの値が伸びているのでありますから、実は一人当たり県民所得(B)が伸び悩んでいても、結果として人口減少県が多数の他県に比べて沖縄県の県民総所得(A)は健闘していてもおかしくはありません。

 実はこの後示しますが過去9年間における県民総所得の伸び率は、事実として沖縄県は東京都に次ぐ第二位なのであります。

 ・・・



●県民総所得(A)の絶対額と成長率を比較とすれば格差は「拡大」していると表現できる。

 最後に県民総所得を検証いたしましょう。

4.県民 所得

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kenmin/h16/4_skenmin.xls

 例によって過去9年間の成長率も添えておきます。

【表4:県民総所得】(単位:百万円)/span>

都道府県平成8年度平成16年度増減率
01北海道15,917,64114,307,836-10.11%
02青森県03,672,17503,124,967-14.90%
03岩手県03,653,46403,296,373 -9.77%
04宮城県06,575,37305,999,655 -8.76%
05秋田県03,012,98802,662,414-11.64%
06山形県03,267,85402,949,941 -9.73%
07福島県06,184,02305,711,396 -7.64%
08茨城県09,339,23308,755,614 -6.25%
09栃木県06,596,75606,162,016 -6.59%
10群馬県06,093,12105,749,033 -5.65%
11埼玉県22,616,98220,833,208 -7.89%
12千葉県18,129,29017,972,057 -0.88%
13東京都50,566,02956,432,950+11.60%
14神奈川29,605,01427,719,739 -6.37%
15新潟県07,218,04206,589,115 -8.71%
16富山県03,729,62003,379,491 -9.39%
17石川県03,517,79103,287,848 -6.54%
18福井県02,426,76202,335,684 -3.75%
19山梨県02,561,62902,256,419-11.91%
20長野県06,564,91606,042,616 -7.96%
21岐阜県06,311,31005,698,464 -9.71%
22静岡県12,574,42412,320,452 -2.02%
23愛知県25,676,69124,741,048 -3.64%
24三重県05,567,73505,568,527 +0.01%
25滋賀県04,581,32004,437,170 -3.15%
26京都府07,992,68307,516,999 -5.95%
27大阪府31,125,10026,789,134-13.93%
28兵庫県17,895,65914,811,872-17.23%
29奈良県04,265,84203,717,869-12.85%
30和歌山02,807,41902,651,025 -5.57%
31鳥取県01,610,92901,444,215-10.35%
32島根県01,962,37401,815,230 -7.50%
33岡山県05,549,11805,032,478 -9.31%
34広島県09,175,30008,469,831 -7.69%
35山口県04,493,69004,237,106 -5.71%
36徳島県02,314,49702,283,882 -1.32%
37香川県02,919,89102,677,454 -8.30%
38愛媛県03,968,92003,411,798-14.04%
39高知県01,988,97601,743,856-12.32%
40福岡県13,827,52412,998,472 -6.00%
41佐賀県02,296,83202,132,954 -7.13%
42長崎県03,665,27103,274,427-10.66%
43熊本県04,578,43304,380,958 -4.31%
44大分県03,308,39003,223,697 -2.56%
45宮崎県02,841,27002,717,745 -4.34%
46鹿児島04,082,04403,904,582 -4.35%
47沖縄県02,627,40502,699,838 +2.76%
*全県計401,257,750380,269,455 -5.23%
*ブロック別
01北海道・東北 49,501,560 44,641,697 -9.82%
02関東152,072,970151,923,652 -0.10%
03中部059,804,333057,331,514 -4.13%
04近畿068,668,023059,924,069-12.73%
05中国022,791,411020,998,860 -7.87%
06四国011,192,284010,116,990 -9.61%
07九州037,227,169035,332,673 -5.09%
*政令指定都市
01札幌市05,368,67405,056,513 -5.81%
02仙台市03,236,80603,010,880 -6.98%
03千葉市02,983,82703,074,424 +3.04%
04横浜市11,881,21911,057,801 -6.93%
05川崎市04,405,48404,285,454 -2.72%
06名古屋08,475,47707,136,938-15.79%
07京都市04,613,20404,274,009 -7.35%
08大阪市10,675,82108,691,350-18.59%
09神戸市04,499,38904,215,242 -6.32%
10北九州03,101,97802,517,860-18.83%
11福岡市04,327,14704,322,638 -0.10%
*都市計63,569,02657,643,109 -9.32%

 ため息しか出ない苦しい数値が全国自治体を覆っていることが良く理解できます。

都道府県平成8年度平成16年度増減率
*全県計401,257,750380,269,455 -5.23%

 平成8年から平成16年までの9年間で、全国所得は-5.23%も減少していたわけです。

 ここで日本のGNP(国民総生産)やGDP(国内総生産)がこの期間そこまで減少していなかった事実と比較してみると興味深いです。

 国民総生産(こくみんそうせいさん、GNP:Gross National Product)とは、ある一定期間にある国民によって新しく生産された財(商品)やサービスの付加価値の総計でありまして、企業の生産を中心に計数化されていきますが、今回検証してきたのはあくまでも国民一人当たりの「所得」の動きであります。

 平成8年から平成16年までの9年間、いかに個人所得が厳しい減少傾向にあったかが、数字で裏付けられたというだけのことであります。

 さて総所得が9年間で成長率で伸びているのはわずか3県だけであります。成長率ベスト3。

都道府県平成8年度平成16年度増減率
13東京都50,566,02956,432,950+11.60%
47沖縄県02,627,40502,699,838 +2.76%
24三重県05,567,73505,568,527 +0.01%

 東京の突出振りはいかがでしょう。

 次に10%以上の減少、つまりこの9年で総所得が一割以上減少したワースト11。

都道府県平成8年度平成16年度増減率
28兵庫県17,895,65914,811,872-17.23%
02青森県03,672,17503,124,967-14.90%
38愛媛県03,968,92003,411,798-14.04%
27大阪府31,125,10026,789,134-13.93%
29奈良県04,265,84203,717,869-12.85%
39高知県01,988,97601,743,856-12.32%
19山梨県02,561,62902,256,419-11.91%
05秋田県03,012,98802,662,414-11.64%
42長崎県03,665,27103,274,427-10.66%
31鳥取県01,610,92901,444,215-10.35%
01北海道15,917,64114,307,836-10.11%

 兵庫・大阪・奈良などの関西圏の凋落振り、北海道・東北や中国・四国・九州といった首都圏から距離のあるブロックでも所得縮小が著しいことがわかります。

 ・・・

 ここで検証したのは、県別総所得の絶対額の単純比較により「地域格差」を証明しようとしたのではありません。

 上記表で私達が最も注目しなければならない事実は、平成8年度においてすでに絶対額でダントツであった東京都(50,566,029)がその後の9年で47都道府県の中で唯一+11.60%という高い成長率を示している事実であります。

 つまりマラソンで言えば、独走していたトップランナーがさらにスピードを加速して失速している他の集団を横目にリードを広げているという単純な事実です。

 つまり、県民総所得(A)の絶対額とその成長率、あるいは一人当たり県民所得(B)の絶対額とその成長率、いずれの指標を比較しても、東京一極集中、地域格差の「拡大」以外の表現はないのであります。

 ・・・



●結論:統計実態として地域格差拡大が起きていることは自明


 そもそもある県の総所得は次の単純な式で示せます。

 県民総所得(A) = 一人当たり県民所得(B) * 県の人口総数(C)

 そして今検証したとおり、一人当たり県民所得(B)も県民総所得(A)も、平成8年から16年の9年間で全国平均で減少を余儀なくされわずかに、全県の人口総数(C)だけが微増したのであります。

【一人当たり県民所得(B)】(単位:千円)

都道府県平成8年度平成16年度増減率
*全県計3,1882,978 -6.59%
13東京都4,2824,559 +6.47%

【県の人口総数(C)】(単位:人)

都道府県平成8年度平成16年度増減率
*全県計125,859,439127,686,608 +1.45%
13東京都011,808,423012,378,384 +4.83%

【県民総所得(A)】(単位:百万円)

都道府県平成8年度平成16年度増減率
*全県計401,257,750380,269,455 -5.23%
13東京都050,566,029056,432,950+11.60%

 そしてまさに同時期に東京都だけは、上述のとおり突出して一人当たり県民所得(B)も県民総所得(A)も増やしてきたのであります。

 個々で重要なのは、一人当たり、県総額の所得の絶対額だけでなくその伸び率まで、東京都が突出していることです。

 つまり繰り返しの表現になりますが、マラソンで言えば、独走していたトップランナーがさらにスピードを加速して失速している他の集団を横目にリードを広げているという単純な事実です。

 以上のことから、結論として、平成8年から16年までの過去9年間でこの国に「地方(所得)格差」が「拡大」してきたこと、統計実態として東京一極集中が起きていることは自明だと思われます。

 ・・・

 最初のシンクタンクレポートのこの結論。

東京都と賃金水準下位5県(2005年時点)の平均との格差をみても、近年拡大の兆しはみられるものの、10年単位でみれば必ずしも拡大傾向は明確ではない。

 『1人当たり雇用者報酬:現金給与総額』を用いて地域経済を比較することは、本当に統計処理として最適なただしいやり方なのでしょうか。

 これによれば確かにこの10年、東京の現金給与総額と沖縄の現金給与総額の比率は1.6〜1.7倍と格差は確認できますがそれが「拡大」しているとは読み取れません。

 しかし、私が調べた限り、この結論は間違いとは言いませんが、かなり恣意的な統計数値の用い方をしている点で賛同はできかねるのであります。

 私は経済学の専門家でも統計学の専門家でもありません。

 しかしながら、すべてとは言いませんが、地域格差拡大否定論者の統計処理には疑問が多いのです。



(木走まさみず)



<関連サイト>

■1.統計資料

平成16年度県民経済計算について

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kenmin/h16/main.html

■(原データ)

都道府県別年平均失業率(%)

http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/7360.html

■「地域格差」は拡大しているか

統計的実態と格差意識の乖離が示唆するもの〜

http://www.jri.co.jp/press/2006/jri_060927.pdf

■統計でみる都道府県のすがた 2007

http://www.stat.go.jp/data/ssds/zuhyou/5-31.xls



<関連テキスト>

■[社会]「一人当たり所得」統計的日米比較検証〜おそらく相対としてアメリカよりも「地域(所得)格差」は「拡大」している可能性が高い

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070817

biaslookbiaslook 2007/08/14 01:57 大石英司さんが以前(先月だったかな)ブログで指摘していましたが、都市部においても地方出身者と都市部出身者の格差があると言っていました。特に、扶養主体となる夫が地方出身者の場合、夫の給料が低いことが多く、妻が都市部出身者であっても、生活レベルを夫の給料レベルに合わすことになるそうです。

そして、親から子へも格差が相続されます。
確かに、同じ県内であっても、私が居住する都市部は親の住む家を遺産としていくらかもらえますが、町村部に住む知り合いは親の遺産の土地が田舎すぎて値段をつけれず、売れないそうです。

ただ、この現状は昔からあったと思うんです。これまでは、都市部で稼いだお金を地方にばらまいていても経済はなんとか回っていたんです。それが今、うまくいかなくなっただけ。これまでが異常だっただけではないでしょうか?

そして、将来の人口減少社会を考慮すると、日本が発展していくためには、都市部に人を集めて効率よく経済発展させるしかないんですよね。
木走さんのおっしゃることは正しいと思いますし、誤った流布を正すのはすばらしいことだとは思うんですが、その先をどうするかというのが私の中では見えてきません。これから10年位の中期的目標としては、どうしたらいいんでしょうか?

昔、IT産業はSOHOができるから田舎における経済発展の希望の星となる、という意見がありましたけど、どうなったんでしょう? ITのような知の集積を必要とする産業は、逆に都市部じゃないと無理ですよねぇ。

sakimisakimi 2007/08/14 02:17 http://www.sponichi.co.jp/osaka/soci/200708/12/soci209041.html
>一方、圧勝した民主党の菅直人代表代行も避暑地で読書。鳩山由紀夫幹事長は軽井沢で静養する。社民党の福島瑞穂党首は家族と欧州でバカンスと、野党はそれぞれ豪華に過ごすようだ。

格差問題を参院選で叫んでいた人たちは優雅な休みを取っているようです
参院は人口比ではなく、各県から2or4人選出で地方の意見を聞く為の議会とした方が地域格差の解消に繋がると思うのだけども…

BUNTENBUNTEN 2007/08/14 07:55 すばらしきかな隣町北九州市の数字orz

biaslookbiaslook 2007/08/14 12:38 追記
つまり、フローとしての収入はストックに依存し、フローの長年の蓄積がさらにストックを大きく変化させるのではないでしょうか。
ここでいうストックとは、金銭的・教育的・人脈的・情報的な親からの、そして、子供への遺産をさします。

iireiiirei 2007/08/14 13:59 私も理科系出身ですが、kibashiriさんの鋭い分析には脱帽いたしました。これからもユニークな日記をお書きください。

TiakiTiaki 2007/08/14 14:00 是非、「木走り先生」に、歪んだ政治屋や官僚どもを正すべく、国政の場へ出ていただかなければ・・(笑

kaioukaiou 2007/08/14 14:25 金は天下の回り物。地方において雇用創出の為に補助金をせしめていたというなら今のように
地域格差は生まれなかった筈です。昔から若者は仕事を得る為稼ぐ為に都会へ逃げてたことからも
分かるように、これまでの補助金及び利益誘導型行政によって地方へ行ったお金は、労働層へ
再分配されずに減価償却を計算に入れないハコモノを作られることに回されてきたツケでしょう。

今も昔も東京が儲かってるのは一言で言えば「仕事があったから」なんであって、地方は地域格差を
恨む前にまともな雇用創出を行おうとしてこなったことを先に恥じるべきでしょうなぁ。

また、この問題は都市部vs地方部の関係のみならず「資産を持つ老人層」vs「資産を持たない若年層」という
年代間闘争の問題もあるでしょう。それこそ、郵便局などに預けられている資産が300兆円以上も
あるのを考えたら、解約して年金にあてたらええやんなぁとしか思えない訳です。

若年層は時間という味方があるにせよ、その頭を老人層が必死で押さえつけていってたら
いつの間にか少子高齢化など産業構造に対して致命的な現象が発現してしまっている、そんな時代だと
思います。

追記:なんかどうも引っ掛かるんですが、
「県民総所得(A) = 一人当たり県民所得(B) * 県の人口総数(C)」
って前提として県民総所得は年次ごとに変化はあるとは言え、基本は不変で扱う、つまり、
一人当たり県民所得と県の人口総数は年次単位で見る限りにおいては反比例する数字なのでは?
つまり、なんらかの形で人口が増えるとはいっても、必ずしもお金(仕事)をもって移動してきたとは
言えない訳ですから、分配される県民所得はその時点では減らないとおかしい。
逆に、人口が減っている地方は所得が数字上は増えないとおかしいとも言えます。
つまり、これは統計のトリックなのであって、厳密には労働生産人口と県民総所得の割合で
統計を取らないと格差社会としての姿とは映らないと思います。ましてや、年金に代表される様に
税金や保険金などの公的負担もデーターに入ってない模様。

自分としては、こっちの式で考えてみた方がいいのではないかと。
県の経済指数(A)=県の総所得(B)*(県の地元労働人口(C)/県人口(D))
ここでは出稼ぎは計算に入れてません。要は雇用創出能力という視点で見た場合の指数です。
この式を使うと、おそらく補助金を多く貰ってきた地方ほど指数が著しく低くなるでしょうね。

トリルトリル 2007/08/14 14:28 「地域格差拡大否定論」ってどういう層の利益を代弁してるんだろう???
「だからまだまだいける」って言いたいならグローバリズム推進派?
地球規模での相互依存は更に高まるし余波は避けられないけど、各種ゲートや安全策も大事だよね。
・・・あと木走さんのこの労力の源泉は何処にあるのだろう?不思議。

みきおみきお 2007/08/14 16:18  初めまして。鋭い着眼及び手間のかけた丁寧な検証、労作であります。この分析の卓越したところは原表からその増減率を導き我々読者に手に取るように東京一極集中および格差拡大の現実を数値で明かしてくれたことですね。それにしても過去9年に渡り列島津々浦々までここまで個人所得が縮小していたとは・・・ これでは一般人がなかなか好景気を実感できないはずです。このテキストはもっとネットで話題にすべき、いやなっていい秀逸な示唆に富む分析だと思いました。

chengguangchengguang 2007/08/14 17:25 表を見て言えることは、(1)北海道では札幌、東北では仙台、中部では名古屋、関西では大阪と神戸、北九州では福岡に人口移動が行われている、(2)これらの人口増の都市では、給与、或は賃金は増えた人口分ほど増加していない。(3)東京都は元々給与・賃金取得者の割合が多く、人口増加に応じてそれなりの伸びを示している、の三点ではないでしょうか。
また、農村部を多く抱えている県や、基地を抱える沖縄県は、余禄があり、所得の多寡でサラリーマンやパートタイマーの多い都市部と単純に比較することは出来ません。
格差が本当に広がっているなら、お盆だ、夏休みだと言って、これだけ多くの人々が帰省したり、国内外に旅行したりはしないものです。それも飛行機や安くも無い新幹線や自家用車で。
途上国で貧富の差を見ている目には、日本の格差社会論は異常としか映りません。

大根侍大根侍 2007/08/14 18:12 これって、以前からいろんな所で囁かれていることですよね。最も現実はローンを持っている人がほとんどでしょうから、実質の所得もさてどうかな?
それと、後数年すると団塊の世代が一斉に退職の季節を迎えることになります。
と、ぺっぺっぺんぺん。 
次の世代の負担が1人で二人背負わなくてはなりません。
どうする、どうする〜。次期民主党首相?

MANABUMANABU 2007/08/14 18:40 >chengguang

日本の格差拡大を途上国と比較する意味は何でしょう?途上国レベルまでは容認しろということですか?
地方の余禄に関しても、それ自体が激増することは考えられず、結局賃金格差拡大が生活水準の格差拡大に大きく影響するのは自明ですね。
ほっとけば、さらに拡大するんじゃないですかねぇ。

富は低いほうから高いほうに流れる…これも自明ですよね。

chengguangchengguang 2007/08/15 00:29 >MANABUさま
議論する気がないのでこれきりにしますが、目くじらを立てるほどの格差が実際に日本で際立って出ているのか、と言う事です。若し在ったとしても、貴方の理論で言うならば、今ある『自明の格差』はそのうちに平準化するのではありませんか。では何が問題なのですか。尤も『自明』なので問題は何も無いでしょうが。

krilo-petekrilo-pete 2007/08/15 09:49 こんにちは。いつも楽しく拝見させていただいております。

”地域格差論”については、どの視点から格差を論ずるのかによって、使われるべき指標は違ってくると思います。ミクロ的な、「労働者一人当たりの賃金格差」を論ずるのであれば、名目賃金を一つの指標とするのは妥当ではないでしょうか。
一方で、「地域経済の格差」であれば、県内総生産、失業率、有効求人倍率などを指標とするべきと思います。
ちなみに、県内総生産の増減を計算してみても、東京の躍進、関西の地盤沈下が際立っております。ミクロ的には格差は大きくないかも知れませんが、マクロ的には、地域間経済格差は明らかに大きくなっていると思います。

matumatu 2007/08/15 10:09 あとは、デフレの影響がどれくらい出ているのかもみたいですね。
今回話題に上っていた時期は、物価が下がっていた時期ですから、
単純に給与が下がっているから、使えるお金が減っているとはいえないでしょう?
自分は”格差感”を煽られているだけだとしか思えませんが、
実際どうなんでしょうね。

日本人日本人 2007/08/15 10:32 良いレポートですね。次に各県別の消費者価格・不動産価格などの生活コストの分析が必要ですね。

antonianantonian 2007/08/16 14:30 デフレ体感がない離島。安売り店ってナニそれ?
給与も安いし、物価は高いし。水道料金は都市部の2倍だ等々、生活コスト高い。昨今の電化生品は殿脳搭載なので塩害ですぐいかれる。(防水加工しろよ)
家賃だけがかろうじて安い。しかし仕事がないんで若い労働力は年々激減。年寄ばかりで自治体の税収も激減。
特殊環境にいると地域格差って、なんだか色々体感的ですね。横浜、あるいは東京と過疎の島での比較では後者の方があきらかに出る金が多く入る金が少ない。両極端な土地に住んでみての実感。

沖縄もそいや賃金安いですね。基地恩恵がある人以外は大変なようです。