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2007-08-17 「一人当たり所得」統計的日米比較検証

[]「一人当たり所得」統計的日米比較検証〜おそらく相対としてアメリカよりも「地域(所得)格差」は「拡大」している可能性が高い 20:28



●はじめに

 資本主義経済は競争原理を土台としており、必然的に格差を生むシステムであります。

 したがって、経済発展を遂げても格差はなくならず、また新たな格差が生じるという問題があるのは必然です。

 格差問題はその国の経済的成熟度にもより、多様多面多層な様相を示し、地政学的な要素が関わる地域間格差だけでなく、地域内における社会階層の固定化や資産・所得の格差拡大など、ある閉じた地域内の所得格差も地理的ポイントに深化した格差問題なのであります。

 つまり「一人当たり県民所得」にこだわった前々回の私のエントリーで扱ったのは、多様多面多層な様相を示す格差問題の中で、「地域(所得)間格差」だけにスポットを当てたものであり、例えば東京都在住でもその閉じた空間にさらに、地域内格差や社会階層格差がある点にはふれていません。 

 しかしその「地域(所得)間格差」においてすら一部「シンクタンク」やメディアの論説ではそのような「地域間格差」の「拡大」傾向は日本では顕在化していないという意見があります。

 私はそのような主張に違和感を感じ、前々回のエントリーでこの国で「格差」が「拡大」している統計的事実を示して反論を試みたのでした。

 いたずらに格差拡大を煽る必要はまったく意味がありませんが、しかしながら、正しい統計的事実を示し議論することは大切なことであります。

 格差の存在しない国はありません。しかし、もしそれが拡大傾向にあるならば、経済発展、貧困、援助、人間の幸福など、あらゆる角度から取り組むべきイデオロギーとは関係のない価値のあるテーマとなりましょう。

 さて。

 前々回の当ブログのエントリー。

■[社会]地域格差拡大否定論を統計的に批判検証してみる

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070813

 ここで私はあるシンクタンクのレポートについて統計的な反論を試みました。

「地域格差」は拡大しているか

統計的実態と格差意識の乖離が示唆するもの〜

2006年9月27日

株式会社日本総合研究所

調査部 マクロ経済研究センター

http://www.jri.co.jp/press/2006/jri_060927.pdf

 当該レポートが採用している「1人当たり雇用者報酬」という指標の持つ限界性を指摘し、「1人当たり県民所得」を用いて地域経済を統計的に比較することを試み、東京一極集中、少なくとも「地方(所得)格差」がここ9年で「拡大」していることを、統計実態として示してみました。

 このエントリーはネット上少し話題になり、ブクマやリンク、あるいはコメント欄にて賛否両論、有意義なご意見をいただきました。

 徹底して根拠あるデータを元に統計学的に得られた値だけを扱って、「地域格差拡大否定論を統計的に批判検証してみる」試みでしたが、国際的に見ても日本がそんなに格差拡大しているのかは疑問であるという貴重なご意見もいただきました。

 そこで今回はやはり、徹底して根拠あるデータを元に統計学的に得られた値だけを扱って、科学的アプローチで日米の国際比較を試みてみたいと思います。

 アメリカを選んだのは言うまでもなく同じ先進国であり所得水準も近いからです。

 始めに結論ありきではなく、科学的にアプローチした結果をそのままここにお示しし、この問題に関する読者のみな様の考察の一助になればと思っております。

 なお、私は工学系技術者として統計処理は商売道具ではありますが、経済学者でもましてや統計の専門家でもありません。

 また、アメリカ側の資料提供や情報アドバイスとして私のアメリカ人の友人であるスティーブ氏にいろいろなアメリカの情報提供や助言をいただきました。



●アメリカ合衆国の「1人当たり州民所得」を徹底検証する

 ご存知のとおりアメリカ合衆国は50の州より構成され、幸いなことに各種州別経済動向が日本以上に細かく分析されかつ公開されています。

 ここに商務省経済分析局(BEA)のサイトがあります。

U.S. Department of Commerce

Bureau of Economic Analysis

http://www.bea.gov/index.htm

 このサイト内の以下の表には興味深い最近の州別の「1人当たり州民所得」が掲載されています。

Table 1. Per Capita Personal Income, Personal Income, and Population, by State and Region, 2005–2006

http://www.bea.gov/newsreleases/regional/spi/spi_newsrelease.htm

 この表に基づき50州の最新(2006年)の「1人当たり州民所得」を作成してみました。

 なお、表では、後で偏差値の計算等に使用するために、州名略号、全米平均を100としての相対値、平均との差異、差異の2乗を併記しました。また全米平均は最下行となります。

【表1:1人当たり州民所得】(単位:$)

州名略号一人当たり所得相対値平均からの差差の2乗
Connecticut CT49,852137+371369
Maine ME32,348 89-11 121
Massachusetts MA45,877126+26 676
New Hampshire NH39,311108+ 8 64
Rhode Island RI37,388103+ 3 9
Vermont VT34,264 94- 6 36
Delaware DE39,022108+ 8 64
Maryland MD44,077122+22 484
New Jersey NJ46,344128+28 784
New York NY42,392117+17 289
Pennsylvania PA36,680101+ 1 1
Illinois IL38,215105+ 5 25
Indiana IN32,526 90-10 100
Michigan MI33,847 93- 7 49
Ohio OH33,338 92- 8 64
Wisconsin WI34,701 96- 4 16
Iowa IA33,236 92- 8 64
Kansas KS34,743 96- 4 16
Minnesota MN38,712107+ 7 49
Missouri MO32,705 90-10 100
Nebraska NE34,397 95- 5 25
North Dakota ND32,552 90-10 100
South Dakota SD33,929 94- 6 36
Alabama AL31,295 86-14 196
Arkansas AR27,935 77-23 529
Florida FL35,798 99- 1 1
Georgia GA31,891 88-12 144
Kentucky KY29,352 81-19 361
Louisiana LA30,952 85-15 225
Mississippi MS26,535 73-27 729
North CarolinaNC32,234 89-11 121
South CarolinaSC29,515 81-19 361
Tennessee TN32,304 89-11 121
Virginia VA39,173108+ 8 64
West Virginia WV27,897 77-23 529
Arizona AZ31,458 87-13 169
New Mexico NM29,673 82-18 324
Oklahoma OK32,210 89-11 121
Texas TX34,257 94- 6 36
Colorado CO39,186108+ 8 64
Idaho ID29,952 83-17 289
Montana MT30,688 85-15 225
Utah UT29,108 80-20 400
Wyoming WY40,676112+12 144
Alaska AK37,271103+ 3 9
California CA38,956107+ 7 49
Hawaii HI36,299100 0 0
Nevada NV37,089102+ 2 4
Oregon OR33,666 93- 7 49
Washington WA37,423103+ 3 9
United States **36,276100 09814

 全米平均が36,276ドル(約417万円(ドル=114円換算))の2006年の「1人当たり州民所得」なのでありますが、最高所得がコネチカット州(Connecticut:CT)で49,852ドル、全米平均を100とした場合の相対値が137、最低所得がミシシッピー州(Mississippi:MS)で26,535ドル、相対値が 73であることがわかります。

 さて、少し統計的用語を整理しておきます、了承くださいませ。

 これから、上記アメリカの「1人当たり州民所得」の散らばり具合、すなわち地域格差の度合いを統計的に調べるために、Standard Deviationすなわち標準偏差(ひょうじゅんへんさ)を求めます。

 つまり標準偏差(ひょうじゅんへんさ、Standard Deviation)は、統計値や確率変数の散らばり具合を表す数値のひとつで σ(しぐま)で表します。

 で、標準偏差 σを求めるためには平方偏差(σの2乗)をまず求めます。

 上記表によれば*差の2乗欄の平均が平方偏差(σの2乗)になります。

 よって、

平方偏差(σの2乗)= 9814 / 50 = 196.28

標準偏差(σ)= √196.28 = ±14.01

 2006年におけるアメリカ50州の「1人当たり州民所得」の散らばり具合、標準偏差(σ)は14.01と求まりました。

 標準偏差14.01という散らばり具合ですが、所得分布としては相当高い数字であります。一般には学力などの評価に利用される偏差値(へんさち、Standard score)が「平均値が50、標準偏差が10となるように標本変数を規格化したもの」であります。

 この14.01というアメリカの数値は後で日米比較で利用しますので是非覚えておいてください。

 さて、標準偏差が求まれば各値のStandard score:偏差値が導かれます。

 経済指標に偏差値を用いるのは一般の経済学者はまずトライしないでしょうが、こちらは素人ですし、所得の分散具合が視覚的に読者のみなさまにご理解されやすいと思います。

 以下の表は標準偏差より各州の偏差値を求め高い順に並び替えたものです。

【表2:1人当たり州民所得偏差値ランキング】

州名略号一人当たり所得相対値平均からの差差の2乗偏差値
Connecticut CT49,852137+37136976.4
New Jersey NJ46,344128+28 78470.0
Massachusetts MA45,877126+26 67668.6
Maryland MD44,077122+22 48465.7
New York NY42,392117+17 28962.1
Wyoming WY40,676112+12 14458.6
Virginia VA39,173108+ 8 6455.7
New Hampshire NH39,311108+ 8 6455.7
Delaware DE39,022108+ 8 6455.7
Colorado CO39,186108+ 8 6455.7
Minnesota MN38,712107+ 7 4955.0
California CA38,956107+ 7 4955.0
Illinois IL38,215105+ 5 2553.6
Alaska AK37,271103+ 3 952.1
Rhode Island RI37,388103+ 3 952.1
Washington WA37,423103+ 3 952.1
Nevada NV37,089102+ 2 451.4
Pennsylvania PA36,680101+ 1 150.7
Hawaii HI36,299100 0 050.0
Florida FL35,798 99- 1 149.3
Wisconsin WI34,701 96- 4 1647.1
Kansas KS34,743 96- 4 1647.1
Nebraska NE34,397 95- 5 2546.4
Texas TX34,257 94- 6 3645.7
South Dakota SD33,929 94- 6 3645.7
Vermont VT34,264 94- 6 3645.7
Oregon OR33,666 93- 7 4945.0
Michigan MI33,847 93- 7 4945.0
Ohio OH33,338 92- 8 6444.3
Iowa IA33,236 92- 8 6444.3
Indiana IN32,526 90-10 10042.9
Missouri MO32,705 90-10 10042.9
North Dakota ND32,552 90-10 10042.9
North CarolinaNC32,234 89-11 12142.1
Maine ME32,348 89-11 12142.1
Oklahoma OK32,210 89-11 12142.1
Tennessee TN32,304 89-11 12142.1
Georgia GA31,891 88-12 14441.4
Arizona AZ31,458 87-13 16940.7
Alabama AL31,295 86-14 19640.0
Louisiana LA30,952 85-15 22539.3
Montana MT30,688 85-15 22539.3
Idaho ID29,952 83-17 28937.9
New Mexico NM29,673 82-18 32437.2
Kentucky KY29,352 81-19 36136.4
South CarolinaSC29,515 81-19 36136.4
Utah UT29,108 80-20 40035.7
West Virginia WV27,897 77-23 52933.6
Arkansas AR27,935 77-23 52933.6
Mississippi MS26,535 73-27 72930.8

 いかがでしょうか。

 簡単に解説をいたしますと、まずコネチカット(Connecticut:CT)、ニュージャージー(New Jersey :NJ)、マサチューセッツ(Massachusetts :MA)、メリーランド(Maryland:MD)、ニューヨーク(New York:NY)の偏差値60を越えている所得上位5州ですが、すべて地理的にはニューイングランド(New England)地区、ミッドイースト(Mideast)地区といわれるアメリカ東部中でも北東部に集中しています。

 北東部出身のスティーブ氏によればこの上位の顔ぶれは実は常連であり、アメリカでは歴史的に所得水準の地域間格差が大きく、入植時代からの歴史的背景があり、ニューヨークやボストンを抱えてアメリカのエスタブリッシュメントの多くが住む北東部はアメリカの中でも最も所得の高い地域なのであります。

 それに対し、南部、特にディープサウスと言われる地域の所得は最も低いです。

 上記偏差値ランキングでも最下位はディープサウスのミシシッピー州(Mississippi:MS)であり、偏差値はわずか30.8であります。

 あと傾向としてロサンゼルスやサンフランシスコなどの大都市を有する西部諸州はかつての高所得地域から全米平均に近づきつつあるようです、スティーブ氏によれば、これは、この地域に所得水準の低いヒスパニック系の移民が多く流入しているためのようです。

 さてこの標準偏差14.01のアメリカの一人当たり所得分布ですが、スティーブ氏によればかつて大恐慌時代には40.0以上の高い値だったものが1980年代ぐらいまでに15.0前後に収斂し最近でもそのあたりの数値で落ち着いているようです。

 さて偏差値で並べた上記表を視覚的にわかりやすく偏差値5区切りで分布を明示化したのが以下の表です。

【表3:1人当たり所得偏差値分布(アメリカ:2006年)】

偏差値州名
84-80 
79-75CT
74-70NJ
69-65MA MD
64-60NY
59-55WY VA NH DE CO MN CA
54-50IL AK RI WA NV PA HI
49-45FL WI KS NE TX SD VT OR MI
44-40OH IA IN MO ND NC ME OK TN GA AZ AL
39-35LA MT ID NM KY SC UT
34-30WV AR MS


●日本国の「1人当たり県民所得」を徹底検証する

 さて、日本においては前々回利用した【1人当たり県民所得】を再度利用いたしましょう。

【表4:1人当たり県民所得】(単位:千円)

都道府県平成8年度平成16年度増減率
01北海道2,7942,535 -9.27%
02青森県2,4762,152-13.09%
03岩手県2,5722,363 -8.13%
04宮城県2,8122,530-10.03%
05秋田県2,4912,297 -7.79%
06山形県2,6042,411 -7.41%
07福島県2,8972,712 -6.39%
08茨城県3,1482,929 -6.96%
09栃木県3,3143,062 -7.60%
10群馬県3,0342,828 -6.79%
11埼玉県3,3242,956-11.07%
12千葉県3,1162,976 -4.49%
13東京都4,2824,559 +6.47%
14神奈川3,5763,174-11.24%
15新潟県2,8982,688 -7.25%
16富山県3,3163,027 -8.72%
17石川県2,9792,790 -6.34%
18福井県2,9302,832 -3.34%
19山梨県2,8962,548-12.01%
20長野県2,9802,733 -8.29%
21岐阜県2,9992,701 -9.94%
22静岡県3,3573,247 -3.28%
23愛知県3,7233,440 -7.60%
24三重県3,0152,988 -0.90%
25滋賀県3,5293,235 -8.33%
26京都府3,0342,849 -6.10%
27大阪府3,5343,039-14.01%
28兵庫県3,3012,651-19.69%
29奈良県2,9682,599-12.43%
30和歌山2,6012,525 -2.92%
31鳥取県2,6212,371 -9.54%
32島根県2,5492,425 -4.86%
33岡山県2,8442,578 -9.35%
34広島県3,1842,943 -7.57%
35山口県2,8992,817 -2.83%
36徳島県2,7842,808 +0.86%
37香川県2,8442,630 -7.52%
38愛媛県2,6372,309-12.44%
39高知県2,4372,171-10,92%
40福岡県2,7922,570 -7.95%
41佐賀県2,5972,453 -5.54%
42長崎県2,3802,190 -7.98%
43熊本県2,4602,366 -3.82%
44大分県2,6902,653 -1.38%
45宮崎県2,4152,340 -3.11%
46鹿児島2,2762,207 -3.03%
47沖縄県2,0501,987 -3.07%
*全県計3,1882,978 -6.59%
*ブロック別
01北海道・東北2,7462,508 -8.67%
02関東3,5563,427 -3.63%
03中部3,3743,171 -6.02%
04近畿3,3212,868-13.64%
05中国2,9352,730 -6.98%
06四国2,6782,460 -8.14%
07九州2,5292,391 -5.46%
*政令指定都市
01札幌市3,0252,700-10.74%
02仙台市3,3002,935-11.06%
03千葉市3,4723,348 -3.57%
04横浜市3,5793,110-13.10%
05川崎市3,6433,281 -9.94%
06名古屋3,9403,241-17.74%
07京都市3,1482,911 -7.53%
08大阪市4,1063,311-19.36%
09神戸市3,1362,773-11.58%
10北九州3,0482,510-17.65%
11福岡市3,3383,109 -6.86%
*都市計3,5103,052-13.05%

 上記から都道府県データだけを抽出し、アメリカの州のときと同様に標準偏差を求めるために、全県平均を100とした相対値、平均からの差、差の2乗を列記します。

 まず平成8年のデータから。

【表5:1人当たり県民所得(平成8年)】(単位:千円)

都道府県平成8年度相対値平均からの差差の2乗
01北海道2,794 87.64-12.36 152.77
02青森県2,476 77.67-22.33 498.62
03岩手県2,572 80.68-19.32 373.26
04宮城県2,812 88.21-11.79 139.00
05秋田県2,491 78.14-21.86 477.86
06山形県2,604 81.68-18.32 335.62
07福島県2,897 90.87- 9.13 83.36
08茨城県3,148 98.74- 1.25 1.56
09栃木県3,314103.95+ 3.95 15.60
10群馬県3,034 95.17- 4.83 23.33
11埼玉県3,324104.27+ 4.27 18.23
12千葉県3,116 97.74- 2.26 5.11
13東京都4,282134.32+34.321177.86
14神奈川3,576112.17+12.17 148.11
15新潟県2,898 90.90- 9.10 82.81
16富山県3,316104.02+ 4.02 16.16
17石川県2,979 93.44- 6.56 43.03
18福井県2,930 91.91- 8.09 65.45
19山梨県2,896 90.84- 9.16 83.91
20長野県2,980 93.48- 6.52 42.51
21岐阜県2,999 94.07- 5.93 35.16
22静岡県3,357105.30+ 5.30 28.09
23愛知県3,723116.78+16.78 281.57
24三重県3,015 94.57- 5.43 29.48
25滋賀県3,529110.70+10.70 114.49
26京都府3,034 95.17- 4.83 23.33
27大阪府3,534110.85+10.85 117.72
28兵庫県3,301103.54+ 3.54 12.53
29奈良県2,968 93.10- 6.90 47.61
30和歌山2,601 81.59-18.41 338.93
31鳥取県2,621 82.21-17.79 316.48
32島根県2,549 79.96-20.04 401.60
33岡山県2,844 89.21-10.79 116.42
34広島県3,184 99.87- 0.13 0.02
35山口県2,899 90.93- 9.07 82.26
36徳島県2,784 87.33-12.67 160.53
37香川県2,844 89.21-10.79 116.42
38愛媛県2,637 82.72-17.28 298.60
39高知県2,437 76.44-23.56 555.07
40福岡県2,792 87.59-12.42 154.26
41佐賀県2,597 81.46-18.54 343.73
42長崎県2,380 74.65-25.35 642.62
43熊本県2,460 77.16-22.84 521.67
44大分県2,690 84.38-15.62 243.98
45宮崎県2,415 75.75-24.25 588.06
46鹿児島2,276 71.39-28.61 818.53
47沖縄県2,050 64.30-35.701274.49
*全県計3,188100.00 0.0011447.81

 さっそく標準偏差を求めてみましょう。

平方偏差(σの2乗)= 11447.81 / 47 = 243.57

標準偏差(σ)= √243.57 = ±15.61

 ここで意外な事実ですが、平成8年の時点で日本の所得のばらつきを示す標準偏差が15.61とアメリカ(2006年)14.01よりも高い、つまり格差が大きいという点です。

 続いて平成16年のデータから。

【表6:1人当たり県民所得(平成16年)】(単位:千円)

都道府県平成16年度相対値平均からの差差の2乗
01北海道2,535 85.12-14.88 221.41
02青森県2,152 72.26-27.74 769.51
03岩手県2,363 79.35-20.65 426.42
04宮城県2,530 84.96-15.04 226.20
05秋田県2,297 77.13-22.88 523.49
06山形県2,411 80.96-19.04 362.52
07福島県2,712 91.07- 8.93 79.74
08茨城県2,929 98.35- 1.65 2.72
09栃木県3,062102.82+ 2.82 7.95
10群馬県2,828 94.96- 5.04 25.40
11埼玉県2,956 99.26- 0.74 0.55
12千葉県2,976 99.93- 0.07 0.00
13東京都4,559153.09+53.092818.55
14神奈川3,174106.58+ 6.58 43.30
15新潟県2,688 90.26- 9.74 94.87
16富山県3,027101.65+ 1.65 2.72
17石川県2,790 93.69- 6.31 39.82
18福井県2,832 95.10- 4.90 24.01
19山梨県2,548 85.56-14.44 208.51
20長野県2,733 91.77- 8.23 67.73
21岐阜県2,701 90.70- 9.30 86.49
22静岡県3,247109.03+ 9.03 81.54
23愛知県3,440115.51+15.51 240.56
24三重県2,988100.36+ 0.36 0.13
25滋賀県3,235108.63+ 8.63 74.48
26京都府2,849 95.67- 4.33 18.75
27大阪府3,039102.05+ 2.05 4.20
28兵庫県2,651 89.02-10.98 120.56
29奈良県2,599 87.27-12.73 162.05
30和歌山2,525 84.79-15.21 231.34
31鳥取県2,371 79.62-20.38 415.34
32島根県2,425 81.43-18.57 344.84
33岡山県2,578 86.57-13.43 180.36
34広島県2,943 98.82- 1.18 1.39
35山口県2,817 94.59- 5.41 29.27
36徳島県2,808 94.29- 5.71 32.60
37香川県2,630 88.31-11.69 136.66
38愛媛県2,309 77.54-22.46 504.45
39高知県2,171 72.90-27.10 734.41
40福岡県2,570 86.30-13.70 187.69
41佐賀県2,453 82.37-17.63 310.82
42長崎県2,190 73.54-26.46 700.13
43熊本県2,366 79.45-20.55 422.30
44大分県2,653 89.09-10.91 119.03
45宮崎県2,340 78.58-21.42 458.82
46鹿児島2,207 74.11-25.89 670.29
47沖縄県1,987 66.72-33.281107.56
*全県計2,978100.00 0.0013321.48

 標準偏差を求めます。

平方偏差(σの2乗)= 13321.48 / 47 = 283.44

標準偏差(σ)= √283.44 = ±16.84

 事実として、平成8年の15.61から平成16年の16.84と、日本の所得のばらつきを示す標準偏差が拡大傾向にあることがわかります。

 ・・・

 日本においてもアメリカと同様に視覚的にご理解いただきやすくしましょう、各県の偏差値を求めます。

 平成8年と平成16年の2つの値から各県のそれぞれの年の所得分布の偏差値を計算した結果を併記し、かつ平成16年の偏差値の高い順に並び替えた表を示します。

【表7:1人当たり県民所得偏差値ランキング(平成16年)】

都道府県平成8年度偏差値平成16年度偏差値
13東京都72.081.5
23愛知県60.759.2
22静岡県53.455.4
25滋賀県56.855.1
14神奈川57.853.9
09栃木県52.551.7
27大阪府57.051.2
16富山県52.651.0
12千葉県48.650.0
24三重県46.549.8
11埼玉県52.749.6
34広島県49.949.3
08茨城県49.249.0
26京都府46.947.4
18福井県44.847.1
10群馬県46.947.0
35山口県44.246.8
36徳島県41.946.6
17石川県45.846.3
20長野県45.845.1
07福島県44.244.7
21岐阜県46.244.5
15新潟県44.244.2
44大分県40.043.5
28兵庫県52.343.4
37香川県43.143.1
29奈良県45.642.4
33岡山県43.142.0
40福岡県42.141.9
19山梨県44.141.4
01北海道42.141.2
04宮城県42.441.1
30和歌山38.241.0
41佐賀県38.139.5
32島根県37.239.0
06山形県38.338.7
31鳥取県38.637.9
43熊本県35.437.8
03岩手県37.637.7
45宮崎県34.537.3
38愛媛県38.936.7
05秋田県36.036.4
46鹿児島31.734.6
42長崎県33.834.3
39高知県34.933.9
02青森県35.733.5
47沖縄県27.130.2

 各県における平成8年時の偏差値と9年後の偏差値を比べるとなかなか興味深いものがあります。

 ・・・

 さて、作業を続けましょう。

 アメリカのときと同様に偏差値で並べた上記表を視覚的にわかりやすく偏差値5区切りで分布を明示化したのが以下の表です。(平成16年の偏差値を採用しました)

【表8:1人当たり所得偏差値分布(日本:平成16(2004)年)】

偏差値県名
85-80東京
79-75 
74-70 
69-65 
64-60 
59-55愛知 静岡 滋賀
54-50神奈川 栃木 大阪 富山 千葉
49-45三重 埼玉 広島 茨城 京都 福井 群馬 山口 徳島 石川 長野
44-40福島 岐阜 新潟 大分 兵庫 香川 奈良 岡山 福岡 山梨 北海道 宮城 和歌山
39-35佐賀 島根 山形 鳥取 熊本 岩手 宮崎 愛媛 秋田
34-30鹿児島 長崎 高知 青森 沖縄

 ある意味でわかりやすい結果が出ました。



●結論:「一人当たり所得」日米偏差値比較

 最後に日米の検証結果を比較いたしましょう。

【アメリカ】

【表3:1人当たり所得偏差値分布(アメリカ:2006年)】

偏差値州名
84-80 
79-75CT
74-70NJ
69-65MA MD
64-60NY
59-55WY VA NH DE CO MN CA
54-50IL AK RI WA NV PA HI
49-45FL WI KS NE TX SD VT OR MI
44-40OH IA IN MO ND NC ME OK TN GA AZ AL
39-35LA MT ID NM KY SC UT
34-30WV AR MS

標準偏差:14.01

【日本】

【表8:1人当たり所得偏差値分布(日本:平成16(2004)年)】

偏差値県名
85-80東京
79-75 
74-70 
69-65 
64-60 
59-55愛知 静岡 滋賀
54-50神奈川 栃木 大阪 富山 千葉
49-45三重 埼玉 広島 茨城 京都 福井 群馬 山口 徳島 石川 長野
44-40福島 岐阜 新潟 大分 兵庫 香川 奈良 岡山 福岡 山梨 北海道 宮城 和歌山
39-35佐賀 島根 山形 鳥取 熊本 岩手 宮崎 愛媛 秋田
34-30鹿児島 長崎 高知 青森 沖縄

標準偏差:16.84


 母集団の違いや調査年度の違いもありますので、あくまで参考資料としての扱いになるとは思いますが、今回の検証の結果、次の傾向は強く推測できると思います。

 アメリカに比し、日本は東京一極集中という傾向が顕著に見られ、かつ、ここ9年でその東京一極集中的格差は「拡大」傾向にあり、おそらく相対としてアメリカよりも「地域(所得)格差」は「拡大」している可能性が高い。

 ・・・

 本エントリーが本件に関する読者のみなさまの考察の一助になれば幸いです。

 (いや、疲れました(苦笑))



(木走まさみず)



<関連テキスト>

■[社会]地域格差拡大否定論を統計的に批判検証してみる

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070813



<追伸>

 ブログデザインを表の見やすいスタイルに変更してみました。

kaioukaiou 2007/08/17 23:12 なんと見事な補助金行政分布・・・・・<地方の偏差値

ninjapoodleninjapoodle 2007/08/18 06:13 初めてコメントいたします。同業でカナダ在住のninjapoodleです。常々、木走様の発想と着眼点がユニーク且つ的確であることに敬意を持ってROMいたしておりました。

今回はその実行力に脱帽いたしました。

さて、お願いですが、時系列でデータをインプットして『ここ9年でその東京一極集中的格差は「拡大」傾向にあり、おそらく相対としてアメリカよりも「地域(所得)格差」は「拡大」している可能性が高い。』を検証していただけないでしょうか。得られた結果の推移と政策との対比、アメリカ、およびEU各国データとの比較など、興味深い考察ができると思います。

トリルトリル 2007/08/18 17:43 >東京一極集中

はい、この辺で震度8が東京に来たら、ニホンオワタ?

鮎川龍人鮎川龍人 2007/08/18 19:11 いや長い!重い!ケータイで見なくて良かった。

しかし勉強になります。

これ、働けるうちは東京で稼いで、老後は田舎でってことですかね?

効率的な人生設計としては。


トリルさま。
オワリデス。タブン。

R 2007/08/18 20:57 地方と東京の物価の違い等のデータからも検証してくれると助かるかも。
統計学いいですよね。 データのインプットがめんどくさくて、とても苦労が分かります。

chengguangchengguang 2007/08/19 01:57 本データーの利用には、三つの勘違いがあります。一つ目は、地域格差と所得格差とは同義ではないこと。二つ目は、当該データーが、一県の個人所得の平均を示すデーターではないこと。即ち、個人の所得格差を表してはいないこと。いま一つは、日米の比較が何の意味も持たないことです。最後について言えば、十代から七十代まで、年代毎の男性と女性の体重の偏差値を夫々算出し比較することに何の意味も持たないのと同じです。

当該分析データーから判ることは、第三次産業の多い地域と第二次産業の多い地域と第一次産業の多い地域とでは、地域格差が日米ともに存在するということです。

アメリカも日本も、中心より左にずれた分布状態となっている。つまり、ConnecticutやNew Jersey 、東京の地区所得が跳び抜けているということです。跳び抜けている理由は、産業構造とその数、労働人口に占める被雇用者数、企業利益など、地域特性が明らかになれば解ることだと思います。

そして、日米とも、付加価値の付き難い第一次産業が主体の地域は、伸び悩んでいるというところではないでしょうか。

杉山真大杉山真大 2007/08/19 02:17 ディープサウスにしても日本国内で所得が低い地域にしても、何のことは無い今や製造業の立地が進んで「ものづくり立国」論者が活況を呈していると強調している地域なんですよね。要は経済的に秀でた地域をヨリ発展させて、劣った地域はその繁栄に依存する・・・・・これ大昔から変わってませんな。

それにしても首都機能移転を叫ぶ声はあれど、東京に集中した経済的中枢を如何に分散させるかて議論が無いのは何々ですかね???

洗脳されし四十代洗脳されし四十代 2007/08/19 03:34 富裕層の5%が富の何十%をしめる個人格差が激しい米国とを
この投稿の視点だけで見比べても意味がないんじゃない?
そもそも、米国との比較が格差の事実の裏付けになる正当性があるわけじゃないし
数字のつまみ食いにならないようにしないと駄目でしょ

一人当たり県民所得一人当たり県民所得 2007/08/19 06:10  都道府県の所得水準を比較するときによく使われる「一人当たり県民所得」は、県民所得(分配)を県の総人口で割ったものです。したがって、一人当たり県民所得は、私たち個人の所得(給与)水準を表すものではなく、企業の利潤なども含む県民経済全体の水準を表しています。
 また、県民経済計算には、余暇時間や歴史・文化的資産などの評価は含まれていません。一方、物価や家賃の高騰、私たちにとって望ましくない環境破壊や治安の悪化などを防止する経費の増加などが県民所得を膨らませることもあります。
 県民経済計算は、県民経済を総合的に測ることができる有効な指標ですが、県民所得だけで豊かさが測れるわけではないことにご留意ください。
(http://www.pref.mie.jp/DATABOX/keizai/p_keimin/p_kenmin.htm)

みきおみきお 2007/08/19 09:19  すばらしいレポートです。その手法も統計学的に異論ありませんし、用いた指標も公開されている指標の中では最も適した指標を使われていると思います。

 コメント欄では「一人当たり県民所得」をもって、「一県の個人所得の平均を示すデーターではないこと」からこの結果を否定している人たちがいますが、ナンセンスですね。
 まず、ここで使われているSNA「System of National Accounts」すなわち「国民経済計算」ですが、このSNAは、一国の経済について体系的に記録する国際的な基準です。93SNAとは1993年に国連が加盟各国にその導入を勧告した国民経済計算体系の名称であり、日本も国民経済計算では平成12年からこの93SNAを使用した方式に移行しています。もちろんアメリカも採用しています。

United Nations System of National Accounts
http://en.wikipedia.org/wiki/United_Nations_System_of_National_Accounts_(UNSNA)

 つまり一人当たり所得の計算方式はアメリカも日本も国際的な基準で合わせていますからこの比較は実に有効なモノとみなせます。(物差しが同一であるということです)

 批判している人たちに言いたい。では、国際基準に乗っ取り、「一人当たり県民所得」以外のどの指標で比較すれば地域経済ならびに所得を比較するのに適しているのか。

 企業の利潤なども含む県民経済全体の水準を示しているこの指標がなぜ「一人当たり県民所得」とか「一人当たり州民所得」という「一人当たり所得」と表現されているのか、その理由をご存じですか?

 「一人当たり県民所得」が現しているのは、県民所得(分配)を県の総人口で割ったもので、個人の所得(給与)水準を表すものではもちろんなく、企業の利潤なども含む県民経済全体の水準を示しています。経済的にはこれで正しいのです。その自治体に税金を落とすものは、個人であれ法人であれ合算すべき、と言う考えが国際基準だからです。そしてなぜなら合算収入からその地域の行政サービスが実現しているからです。

 「一人当たり県民所得」でもって地域のゆたかさを示すわけではないというご指摘もありますが、それは当たり前です、そんなこといったらいかなる指標も「ゆたかさ」を数値化など絶対にできないはずです。

 もうひとつ、反論している人たちがだれも触れていないこのレポートが示す貴重な事実があります。それは平成8年から16年にかけて、日本経済が縮小傾向の中で東京だけが、所得で4,282千円から4,559千円と6.47%も突出してUPしている点、偏差値で72.0から81.5とUPしている点です。

 企業の利潤を含んでいたとしても、この「過去9年間に東京一極集中が急拡大している事実」は歴然です。 この異常値をこれを当たり前と見過ごす感性が私には理解できません。

 このレポート内容に統計的に反論したい人は、言葉ではなく統計で反論すべきです。
 数値には数値で反論していただきたい。(東京一極集中を数値で否定するのはそうとう大変な作業になると思いますよ、というかおそらく不可能でしょう)

GedolGedol 2007/08/19 12:30 ども。
お疲れ様。まぁ、元々小泉内閣で行われた経済改革ってこうするのが目的だったので結果は当然といえば当然ですけど。アメリカ式経済を採用する限り国際競争力と言う観点からは多分まだ集中が足りないと思うので、更にこの傾向は続きそうです。

大根侍大根侍 2007/08/19 16:18 実にいい経済リポートですね。
NYよりも所得水準が高い町があるなんて知りませんでした。
統計の専門家ではありせん。なんて、謙遜しながらこんなにまとめられると
専門化顔負けでしょう。
 さて、経済格差云々は専門家におまかせして、最低賃金の底上げは今後の利上げを見越すと正念場まで来ています。
このまま日本人を雇用するのか、それとも外国人労働者を入れるのか。
これは、日本国の先行きを左右する最も悩む問題です。
 そしてまた、先のgwの発覚も今後ありえると私は考えています。