木走日記

場末の時事評論

おそらく世界で一番失礼な退職願〜実録『タコ職願』

 今日は一昨日に続き与太話(でも実話です(クスクス))です、笑って読み流して下さいまし。

 N村に失礼なので書くのを止めようと思っていましたが、どうしても一人で仕事していると笑いが止まらないので、本人の了解を得ましたのでエントリーしちゃいます。



●「このタコが」とN村に捨てぜりふを吐いて会社を出てしまったI君

 先日同業の社長N村と居酒屋で酒を飲んだときの与太話です。

 N村は激しく落ち込んでいて、でるのはタメイキばかり、聞けば、技術者I君が親しい同僚とともに失踪してしまったとのことでした。

 あるプロジェクトの開発が佳境のとき、些細なことでN村がI君を「馬鹿野郎!」と叱責、傷ついたI君は「このタコが」とN村に捨てぜりふを吐いて会社を出てしまったのだそうです。

 「このタコが」ですか(苦笑)

 まあ技術者が、会社に断り無くいなくなっちゃうのも、そんなに珍しいことじゃない悲しいIT業界でありますので、そのこと自体は驚きはしませんでしたが、N村の落ち込み方がなにやら気の毒で励ます言葉も見あたらないほどの落ち込み様なのでした。

N村「ハア・・・」

 でるのはタメイキばかりなので、一緒に飲んでいてもこちらも気分が暗くなってしまうのでした。

木走「どうした、元気出さなきゃ。君がI君に期待していたのは知っているが、なあに、技術者はI君だけじゃないし、君のところには他にも優秀な技術者がたくさんいるだろう」

 はげます私にしかしN村から出るのはタメイキばかりなのでした。

N村「ハア・・・」

 なんだかなあと困っているとN村、ビールのジョッキをぐっと空けると、おもむろに私を見つめこう宣うのでした。

N村「なあキバちゃん、俺ってそんなにタコに似ているか?」

 ブッ(←ビールを吹いてしまった木走

 何を思い詰めて聞いてくるかと思ったら、そっちかよ(爆

 いきなり「タコに似ているか?」ですよ、申し訳ないけど思わず笑っちゃいました。

木走「いやスマヌ、しかし突然何を言ってるんだい?」

 N村の話によれば、実は失踪したI君から先週、N村の携帯にメールが入ったのだそうです。

N村「たぶん、これはメールによるIの退職願だと思うんだ」

 たぶんってどういうことだ?(苦笑

 まあ読んで見てくれとN村はその場で私の携帯にI君のN村宛メールを転送してくれたのでした。

 私、読みました。

 ・・・(絶句

 こ、これは・・・

 ネタじゃないのか。

 しかし確かにI君のアドレスからのメールだし文末には本名が堂々と書かれています。

 もしこれが退職願だとするならば、私はかつてこれほどの退職願を読んだことはありません。

 いやおそらく世界で類例のない退職願なのではないのか・・・

 ・・・



●メールにてタコ職を願うご無礼をお許しください〜おそらく世界で一番失礼な退職願であります(苦笑

 メールタイトルはズバリ『タコ職願』(苦笑)であります。

 『タコ職願』

 N村社長様

 前タコ

 私儀、一身上の都合によりX月X日付けでこのタコ会社をタコ職いタコタコ、ここにお願いいタコます。

 いままでタコ社長様にタコさん怒られタコど、今となってはどれもいいタコ焼きです。
 小生、この経験を今後の人生のタコ焼きにしていっそうの精進を積む覚悟です。

 振り返れば、タコ社長様は頭がタコブツだったけど、実に愛に溢れた愛ダコでした。

 タコえば朝礼のあなタコのタコ訓示など、当時はもうタコさんと嫌悪したりしましタコ、今では懐かしいタコ焼きです、小生は一生忘れないことでしょう。

 メールにてタコ職を願うご無礼をお許しください。

 タコ社長様のごタコうを祈念しつつ、最後のご挨拶とさせていタコきます。

 タコタコ。

 平成XX年X月X日  ■■ ■■■(←ここ本名)

 (このタコ会社をタコ職いタコタコ、ここにお願いいタコます)って・・・

 (タコ社長様は頭がタコブツだったけど、実に愛に溢れた愛ダコでした)って・・・

 (タコ社長様のごタコうを祈念しつつ)って・・・

 最後の(タコタコ)は(草々)なのか(苦笑)

 しかしなあ。

 ・・・

木走「これは、本物なのかい」(←笑いを必死でこらえながら)

 私はついネタじゃないかと疑ってN村に聞きました。

N村「ハア・・・ 冗談みたいだろ。 まあ、笑ってくれよ、キバちゃん、この間抜けなタコ社長をさ、フフフ」

N村「ククク、ハハハハ」

 そうしたらN村自身が、大笑いを始めました。

 もうダメです、不肖・木走も、こらえきれずつられて本気で笑ってしまいました。

 腹が痛くなるほど。

 それから、二人で何度かI君のメールを読み直しては笑いました。

 ・・・

 しばらくの時が過ぎ、私は落ち着きを取り戻したN村に尋ねました。

木走「しかし、これは真面目な話、かなり失礼なメールではあるよな。君の落ち込んでいた理由もわかるよ。誹謗・中傷メールと解釈することもできるんじゃないのか?」

 しばらく考えた上で彼は静かに言いました。

N村「いやこの内容は実に正鵠を射ているものだ、経営者として不徳のいたすところだ。それに文章に愛が込められている、私はIを許そうと思う。このメールは戒めとして永久に私の携帯に残すとしよう」

 ・・・

 ふう。

 えらいぞN村、なんと大人の対応なのでしょう。

 この無礼を笑い飛ばす心広きタコ社長N村に光あれ!!(爆)

 ・・・

 しかし、N村よ、この退職願がどんなに「正鵠を射て」いようとも、これって「戒めとして永久に私の携帯に残す」ほどのもんじゃないのではないだろうか?

 少なくとも「文章に愛が込められて」なんかまったくいないぞ(爆

 おそらく世界で一番失礼な退職願であります(苦笑

 ・・・

 しかしなあ。

 『タコ職願』か・・・

 すげえなあ。

 ジャンジャン。



(木走まさみず)