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2011-10-03 なぜこの文科省のレポートをマスメディアは大きくとりあげないのか

[]なぜこの文科省のレポートをマスメディアは大きくとりあげないのか? 12:33


 文部科学省は29日、航空機を使って測定した放射性セシウムの蓄積量についての汚染マップを公表しました。

 このモニタリングレポートにある「土壌表層への放射性セシウムの沈着状況を示したマップ」は、政府による公式の汚染状況資料であり、大変重要な情報なので前回当ブログで検証いたしました。

■[原発]福島県の面積に匹敵する放射能「汚染地域」を抱えた日本〜文部科学省モニタリングレポート検証

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20111001

 そうしたところ、当ブログのコメント欄やトラックバック、提携しているBLOGOSのコメント欄やツイッター等で少なからずのご意見や反論をいただきました。

 批判的ご意見としては、「いたずらに数値だけを取り上げて不安心理を煽ってどうなる?」、「国土の広い国のチェルノブイリ事故を狭い人口密度の高い日本で基準にするのは現実的でない」、中には「セシウム137とセシウム134の合計値の分布図でもって、セシウム137だけの分布のチェルノブイリと比較するのは、科学的に誤り」という専門的ご指摘もいただきました。

 私は今回の文科省のレポートをじっくり検証した結果、この高濃度の放射能「汚染地域」の広さに驚愕し、警鐘を鳴らす意味で記事にしたわけですが、舌足らずな箇所もあり、改めて今回公開された文部科学省の汚染マップについて取り上げたいと思います。

 ・・・

 「汚染地域」という言葉は、チェルノブイリ事故の場合、セシウム137の地表汚染密度が1平方km当り1キュリー以上のところをさして用いられています。

 1平方km当り1キュリーとは、1平方m当りにすると1マイクロキュリー、これはすなわち3万7000ベクレルに相当します。

 チェルノブイリ事故の場合、セシウム137の地表汚染密度が37kベクレル/平方m以上が「汚染地域」と定義されているわけです。

 私がこの数字にこだわるのは、今回の福島第一原発事故の放射能汚染の今後の影響を推測する上で、少ないですが科学的・医学的統計数値を比較可能な資料があるのが、チェルノブイリ事故唯一であるからです。

 ここにベラルーシ国立甲状腺ガンセンターのユーリ・E・デミチク,エフゲニー・P・デミチク両医師のレポートがあります。

ベラルーシにおけるチェルノブイリ原発事故後の

小児甲状腺ガンの現状

http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Sgny-J.html

 ベラルーシ共和国における小児甲状腺ガンの発生頻度について,事故前は小児10万人あたり年間0.1件と,世界のそれとほぼ類似の値を示していたにもかかわらず、90年1.2件,92年2.8件,94年3.5件,95年4.0件,96年3.8件とほぼ40倍に明らかに上昇していることが判明しています。

 特にチェルノブイリ原発に隣接している高汚染州であるゴメリ州に限定してみると,90年3.6件,91年11.3件,95年13.4件,96年12.0件と,91年以降は世界的平均の100倍以上にも達しています。

ベラルーシ共和国における小児甲状腺ガンの発生頻度についてみると,事故前は小児10万人あたり年間0.1件と,世界のそれとほぼ類似の値を示していた.しかし,90年1.2件,92年2.8件,94年3.5件,95年4.0件,96年3.8件と明らかに上昇していることが判明した.そこで,これらの年度別発生頻度を,高汚染州であるゴメリ州に限定してみると,90年3.6件,91年11.3件,95年13.4件,96年12.0件と,91年以降は世界的平均の100倍以上にも達している.またブレスト州でも,96年は7.3件であった.これは極めて異常な事態と言わざるを得ない.一方,非常に軽度の汚染州であるビテプスク州では93年以降0件のままである.

ここに示した幾つかの臨床科学的データは,ベラルーシ共和国で急増する小児甲状腺ガンが,チェルノブイリ原発事故による放射能汚染によって誘発された可能性を強く示唆している2.なかでも,事故によって大量に放出された,ヨウ素131(半減期8日)などの放射性ヨウ素による甲状腺の被曝が最大の要因であろう.甲状腺では,ヨウ素を原料として甲状腺ホルモンの合成が行われるため,体内に摂取された放射性ヨウ素のほとんどすべては甲状腺に集まる.甲状腺に取り込まれた放射性ヨウ素による,局所的で集中的な事故当時の内部被曝の結果が,現在甲状腺ガンとなって現われていると考えるのが最も論理的である3,4.事故後に生まれ,ヨウ素被曝を受けていない子供たちに甲状腺ガンがほとんど認められていないことも,強力にこのことを裏付けている.しかし,発ガンのメカニズムに関する直接的な証明は現時点では極めて困難であり,またガン発生と被曝量との関連性についても今なお明確な結論が得られておらず,今後も詳細な基礎的検討が継続されるべきであろう.

 重要なことは、事故後4年を経るまで小児甲状腺ガン急増という事象は発現していないこと、事故後に生まれた子供たちに甲状腺ガンがほとんど認められていないこと、この2点です。

 また、ベラルーシ遺伝疾患研究所の以下の報告レポートは、流産胎児の形成障害と新生児の先天性障害が、汚染地域において事故後50%以上増加したことが示されています。

チェルノブイリ原発事故によるベラルーシでの遺伝的影響

http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/saigai/Lazjuk-J.html

 特に「表2 ベラルーシの国家モニタリングにおける先天性障害頻度(1982〜1995)」では、セシウム137汚染地域を、「15 Ci/km2以上」(17地区)と「1 Ci/km2以上(54地区)」にグループ分けして無脳症など先天性障害頻度をまとめているのですが、

先ほども説明しましたが1キュリー/平方キロは37000ベクレル/平方mに相当しますので、「15Ci/km2以上」は「555kベクレル/平方m」であり、「1 Ci/km2以上」は「37000ベクレル/平方m以上」に相当します。

 この表によれば、先天性障害頻度は事故後、「1 Ci/km2以上(54地区)」で81%、「1 Ci/km2以上」で51%の増加を見ているわけです。

 このレポートでは「そうした増加の原因はまだ断定されていない.しかしながら,胎児障害の頻度と,放射能汚染レベルや平均被曝量との間に認められる相関性,ならびに新たな突然変異が寄与する先天性障害の増加といったことは,先天性障害頻度の経年変化において,放射線被曝が何らかの影響を与えていることを示している」と、極めて科学的な姿勢でまとめています。

 これらベラルーシなどの医療関係者によるレポートは、チェルノブイリ事故由来の放射能被爆による「汚染地域」における小児甲状腺ガンの増加、そして流産胎児の形成障害と新生児の先天性障害の増加を示しており、医学的原因の断定はできていませんが、統計的には明らかに優位な相関性を示しているわけです。

 私が今回の文科省の発表情報で「37000(37K)ベクレル/平方m」というチェルノブイリの「汚染地域」基準にこだわるのは、上述のような科学・医療レポートにおいてそれが基準に統計がなされており、基準を等しくとれば日本においても今後の施策の目安になると思うからです。

 さて前回は、セシウム134とセシウム137の合計値を扱いましたが、今回はチェルノブイリと同一基準をとりセシウム137だけの分布図を扱います。

 セシウム137の沈着量は文科省レポートより以下のとおり。

(参考4)

文部科学省による埼玉県及び千葉県の航空機モニタリングの測定結果

について(文部科学省がこれまでに測定してきた範囲及び埼玉県

及び千葉県内の地表面へのセシウム137の沈着量)

f:id:kibashiri:20111003120808j:image:w640

http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1910/2011/09/1910_092917_1.pdf

 前回も説明しましたがこの分布図は大変貴重な情報ではありますが、凡例の色使いがよろしくありません

f:id:kibashiri:20111003121045j:image

 チェルノブイリの「汚染地域」基準である37Kが下から3層目のレイヤーにありかつくすんだ青緑色と目立たない色となっているのです。

 この図を元に30k以上の「汚染地域」と推測される地域をオレンジに、それ以下を白で画像処理してみました。

f:id:kibashiri:20111003121551j:image:w640

 前回はセシウム134とセシウム137の合計値で画像処理をしましたが、今回はチェルノブイリ基準にこだわりセシウム137のみで作成しました。

 本来なら30Kではなく37kですのでこの図は「汚染地域」というよりは正確には「汚染地域の可能性が高い地域」であります。

 面積が減ったとはいえやはり福島県の面積にほぼ並ぶこれだけの地域が放射能「汚染地域」の疑いがあるわけです。

 セシウム137は半減期が30年です。

 つまりその崩壊は非常に遅く30年で半分になるペースなのです。

 その間、土ホコリの吸引などで住民は長期にわたり内部被爆し続けることになります。

 この長期にわたる低レベル内部被爆の影響は、チェルノブイリ事故の場合でも、数年後から統計的優位な増加値が現出し始めます。

 低レベル内部被爆と発病の関係はわかっていないことだらけなのですが、数少ないチェルノブイリの医療関係者の報告では、決して無視できない相関性を持っています。

 ことの重大性から、なぜこの文科省のレポートをマスメディアが大きくとりあげないのか、私には理解できません。



(木走まさみず)

谷口谷口 2011/10/03 12:55 今の日本で、最も重大な問題であり国家の将来と子孫の未来のために国民の知恵を結集して解決せねばならない問題。
なのに、マスコミはほとんど無視。
月曜日発売の週刊誌は島田紳助の記事ばかり。
今朝のワイドショーは落語家の結婚披露宴のニュースを30分もやっていた。
この国の不思議。

セシウムさんセシウムさん 2011/10/03 17:30 チェルノブイリの「ごく一部の報告」なんかと比較しなくても、広範な調査を元にしたIAEAの資料で面線源からの預託実行線量が算出できますよ。ちなみに、37kBq/m2は50年間の預託実行線量が4.81mSvになります。当然、再浮遊からの吸入による内部被曝も含んで。

政府は基本的に、IAEAやICRPなど国際的な科学機関での合意に従っていて、マスコミはそれをタレ流してるだけに過ぎませんが、政府の方針を否定するなら元となるIAEAやICRPの手順を調べて、それが科学的に間違っていることを指摘しないと意味がないんじゃないでしょうか。

そのために、チェルノブイリの「数少ない」報告を援用するのは納得できますが、あなたが知り得た報告だけで多くの学者が合意している基準を覆せると考える合理的な根拠はないように思いますが。

基準が色々で解りにくいですが基準が色々で解りにくいですが 2011/10/03 22:51 ウクライナ、ロシア、ベラルーシの3国は15Ci/km2以上の住民を避難させましたね。今の基準で555kBq/m2です。ソ連時代の30km圏の避難民13万人とその後の15Ci/km2以上の避難民27万人で合計40万人を非難させました。
3国合計で5以上15Ci/km2未満の地域は約70万人、1以上5Ci/km2未満の地域は約500万人が住んでいるそうです。5Ci/km2は185kBq/m2になり、1Ci/km2は37kBq/m2になりますが、区切りが文部省とは違うので大体の比較しかできませんね。
避難対象外の地域の危険性がどの程度なのかという問題ですが、1以上5Ci/km2未満の地域に当たるゴメリでは奇形児の発生率が事故の前後で4倍、5以上15Ci/km2未満の地域のベトカでは10倍になっています。この危険性をどう判断するかは人それぞれとして、日本の法律ではどうか。
元々日本の法律には屋外が放射能に汚染される前提の法律が無いので暫定値で運用されているわけですが、屋内なら法律があります。例えば医療法施行規則によれば、第三十条の二十(取扱者の遵守事項)において
二  放射性同位元素によつて汚染された物で、その表面の放射性同位元素の密度が第三十条の二十六第六項に定める表面密度限度を超えているものは、みだりに診療用放射性同位元素使用室、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室、廃棄施設又は放射線治療病室から持ち出さないこと。
三  放射性同位元素によつて汚染された物で、その表面の放射性同位元素の密度が第三十条の二十六第六項に定める表面密度限度の十分の一を超えているものは、みだりに管理区域からもち出さないこと。
となっており、その限度は、
第三十条の二十六(濃度限度等)の中の6で、「第三十条の十八第一項第五号並びに第三十条の二十第一項第二号及び第三号に規定する表面密度限度は、別表第五の左欄に掲げる区分に応じてそれぞれ同表の右欄に掲げる密度とする。」となり、別表第五で「アルファ線を放出しない放射性同位元素 40ベクレル/cm2」となっているわけです。
また単位が違うので換算すると、400kBq/m2ですから、文部省の図の緑と水色の一部までの範囲の土は特に限定された施設からも持ち出せないレベルで、その十分の一の40kBq/m2、つまり問題の青緑色の一部までを含む地域の土は病院の管理区域、つまりX線撮影室、放射線治療室などから持ち出せないレベルだという事になります。
この場合は137限定ではなく全ての放射性物質を含んだ数字なので前回の地図の地域の方が範囲になりますね。
医療法で危険だと禁じた基準を、一般国民が常時触れて安全だと主張するのも人それぞれですが、それなら医療法を見直した方が良いかも知れませんね。
ついでに文科省が管理する「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」の基準も同じ40kBq/m2の十分の一ですが、文科省は自分の所の法律と比べてあの地図に何の疑問も沸かないのでしょうか。

UU 2011/10/03 22:51 非常に興味深いのは、チェルノブイリの汚染区域で事故後に生まれた子供達に甲状腺がんが見られない、すなわち、汚染された土壌で暮らしても子供達に甲状腺がんを引き起こさない、という点です。このデータは逆に安全性を示唆すると思われます。事故直後の外部及び内部被曝で小児甲状腺がんの増加がすべて説明できるとなると、やはり事故直後の対応のまずさが悔やまれます。すでに被爆してしまった人には申し訳ないのですが、甲状腺検診を徹底していくしかないでしょう。事故直後に疎開などして被曝を避け得た子供達は、今後この汚染区域で暮らしても大丈夫(少なくとも甲状腺については)と思われます。

ふぅ・・・ふぅ・・・ 2011/10/03 23:23 >Uさん
言わせて貰いますが、事故後に生まれた子供というのは「既に放射性物質汚染区域外へ避難してから」産まれたと書いてください。
今尚チェルノブイリ15km圏内は基本的に立ち入り禁止ですし、30km圏内は子供を近づけさせてはならないこととなっています。
放射性物質に汚染されてる場所で生活しても安全ととれるような書き方は無責任すぎます。

更に言えば、チェルノブイリ原発周辺は石棺化によって放射性物質の漏出を止めて尚、立ち入り禁止となっているのです。
福島は上記のデータを見てもわかるとおり、今もなお放射性物質を漏らしているのですよ。
しかも政府は意図的にかセシウムのみを取り上げていますが、原発爆発で飛び出た放射性物質はヨウ素同位体、セシウム同位体、そして
ストロンチウム、極微量とはいえプルトニウム(3号炉はプルサーマル原子炉)も検出されています。
しかも放射性物質に汚染された水がいまだに処理されずに敷地内に残っており、蒸発による蒸散もあったでしょう。

事故後3ヶ月以上経ち、近寄るにも許可を取り、重装備にしないと近づけない区域を「暮らしても大丈夫」と思われるなら
まず、あなたから堂々と住んでください。そこでいくらでも泥にまみれ、水を飲み、作物を作ってそれを食べる。
それをして始めて説得力が生まれます。

chengguangchengguang 2011/10/03 23:58 前回の記事を書かれた理由が、『放射能汚染の今後の影響』を懸念されたことで、その具体的なものが、『小児甲状腺ガン』の発症であり、『先天性障害』の発現であると言うのであれば、無駄に不安を煽っている記事、としか言いようがありません。
記録によれば、チェルノブイリ原子炉爆発事故は、1986年4月26日午前1時24分に発生し、核分裂生成物質を飛散させた。翌27日午後2時から、爆発場所から3km離れたプリピャチ市の市民45000人の避難を開始し、同日午後5時に完了。市民は、配布されたヨウ化カリウムを摂取した。一方、10km圏内の住民の避難は、5月3日から、30km圏内の住民の避難は5月4日から始まり、5月6日に完了した。この間、圏内住民へのヨウ化カリウムの配布は無く、また、地域で生産した牛乳の消費禁止措置も採られなかった。その結果、圏内住民は、甲状腺に高レベルの放射線を被曝することとなった、そうです。
年齢が低いほど放射線の影響を強く受ける、とのことなので、飛散した放射性ヨウ素による上記出来事が、この地域に小児甲状腺癌を多発させた原因です。福島原発の場合、原子炉が爆発した譯ではないので、放出された放射性物質は、軽い物質のヨウ素(現時点で検出は難しい)、セシウムが主です。また、木走さんが主張したい、『セシウム』による甲状腺癌や先天性障害の発症を裏付けた有意な例は、まだないと思います。

けせらせらけせらせら 2011/10/04 01:23 チェルノブイリもそうなのだが、多くの場合原子力関係の事故等による放射性物質の健康被害というのは
ヨウ素同位体による甲状腺がんを除くと速くても1年以上過ぎてからかかります。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-02-03-10
広島、長崎の原爆による放射性物質の影響も1年以上過ぎてから増え始めます。多いのは白血病で、甲状腺ガンに関して言えば
放射性物質放散直後にヨウ素の投与がなされないままにヨウ素同位体を摂取してしまった場合であり、私が言いたいのは
『ヨウ素同位体による甲状腺がんのみの切り口だけを例にとって、後発放射線障害というリスクを覆い隠すような発言はやめていただきたい』ということです。

そもそも、政府や東電が頑なに情報発表を拒んでいたら栃木、群馬、千葉、そして今後も広がるであろう遠方他地域の汚染区域において
後発放射線障害が増えたとしたらその責任は「情報を伝えなかった、もしくはそれに同調してきた人達」にありますよ。
知らなければ知らずに放射性物質の混じった食物を食べさせられる、そんな不誠実な国家がありますか。

ま、木走さんの記事自体にある種の偏りがあるのは事実ですが、あなたがた自称『技術者』の偏りのほうがもっとひどいですよ。
安全な場所で他人(福島の当事者や汚染地圏の人達)のリスクを省みずに無責任な論調を垂れ流してるのですから。
彼らの前で堂々と自説を語れますか?絶対袋叩きにあいますよ。

UU 2011/10/04 01:47 ヨウ素の体内蓄積により生じる甲状腺がんの発生率をもって、主にセシウムによる土壌汚染のリスクを評価する事は、科学的整合性を欠いています。このような論理展開では、安全性を示唆する事になってしまうのです。土壌に残存するセシウムにどのようなリスクがあるのかを、チェルノブイリから学ぶ必要があります。小児甲状腺がん以外で、発がん率の増加をしめす決定的なデータが得られているのでしょうか?もしそのようなデータがあるならば、土壌の残存セシウムとの量的相関性はいかがなのでしょうか。このあたりの情報があれば、知りたいところです。

このブログで示されている「甲状腺がんの増加」は、30km圏内の話ではなく、ベラルーシ共和国全体、あるいはゴメリ州の話です。他の方のコメントを見ると、ゴメリ州は、37k-185kBqの汚染区域に入り、強制避難は555kBq以上の区域に限定されたものと予想されます。よって、ゴメリ州は強制避難区域外で、かつ、37kBq以上の土壌汚染があったものと考えられます。ゴメリ州の住民が避難せずに暮らし続け、事故後に生まれた子供達に甲状腺がんが発生しなかったのならば、このレベルの土壌汚染は、小児甲状腺がんの原因にならないと考えて良いと思います(ヨウ素の半減期を考えれば、予測し得る事です)。土壌に残存するセシウムによる発がんについての医学的、疫学的情報なくして、福島の土壌汚染のリスクを論じる事は不可能です。

ゴメリの子供達の健康について、医学、統計学的にしっかりデザインされた研究が必要ですが、もしゴメリ州で事故後生まれた子供達に、甲状腺がんや血液がん(白血病やリンパ腫)の増加が見られないのであれば、大まかに見て200kBqくらいまでの土壌汚染(主にセシウム)は許容範囲内と考える事が可能と思われます。これを福島周辺の地図に当てはめると、汚染区域の範囲はずっと狭くなり、群馬や栃木の北部は、汚染区域から除外される事になります。37kBqの基準では、群馬や栃木の方々にとっては、風評被害となる可能性もあり、慎重な対応が望まれるのではないでしょうか。

みねたぬみねたぬ 2011/10/04 11:58 素朴な疑問。
千葉県柏市あたりのホットスポットって、東大柏キャンパスの研究用原子炉と無関係って認識でいいのでしょうかねぇ?
「地震の影響はなかった」とはされていますが、漏れがあったとか、実は普段から拡散してたとか、そういう可能性も疑ってしまいます。

みねたぬみねたぬ 2011/10/04 12:02 ↑範囲が常磐道・常磐線方向に伸びているだけに、自然現象というより往来で拡散したようなイメージが…。
素人考えですみません。

踏み絵の街踏み絵の街 2011/10/04 21:10 http://www.shinmai.co.jp/news/20111004/KT111003ATI090018000.html
ほい、安全論者及び似非技術者は責任もって疎開民の帰還を率先して行ってくださいね。

daisuke2809daisuke2809 2011/10/06 15:02 http://togetter.com/li/196954
↑の奴はリテラシーゼロだな

踏み絵の街踏み絵の街 2011/10/06 20:34 >daisuke2809さん
いやいや、医学者の見地で「正しいデータ」を出して医学者の総意として発言するのは良いのです。

しかし、安全論者及び似非技術者のコメのように「自分にとってのみ都合の良いデータ」を切り取って
それによって他者をこき下ろすやりかたは下劣であり、それ以前に福島の当事者の前で堂々と語れる事か?
ということです。

自分にとって見れば木走さんの求める対象はあくまで「マスコミ」であり、その材料としての小児甲状腺ガンを例に取るのは
時期尚早と思ってますが、それでも「誰かが語らない限り、本質的な悪としての原子力利権関係者は闇へ隠れる」という意味において
木走さんの記事も必要と思うのですよ。

吊られた男吊られた男 2011/10/08 22:28 この記事は都合のいいデータ解釈の例ですね。

チェルノブイリの甲状腺がんは放射性ヨウ素を取った牛の牛乳を飲んだことが最大の原因とされています。そのような牛乳を飲まなかった日本の子どもを同列に語ることはできない。その物質が身近に存在しても摂取量が少なければ影響は小さい。
このような情報を隠していることには何らかの悪意があるのか?


ベラルーシの先天性障害のレポートは3つのデータがある。どうして【1Ci以下】のデータを隠したのでしょうか?そんな不都合でしたか?
0〜1Ci以下でも先天性障害が50%も増えており、1Ci〜15Ciの51%と同等です。つまり、この2つを比較する限りセシウムの被ばくの影響はない。
このデータから見ると、セシウム以外の何らかの要因で先天性異常が50%増えているという仮説になりそう。
不都合な1Ci以下のデータを隠しましたね。