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2012-02-29 かわいそうなエルピーダメモリ

[]スマートフォン時代に追いつけなかったかわいそうなエルピーダメモリ 14:00



 エルピーダメモリは27日夕、会社更生法の適用を東京地裁に申請したと、発表いたしました。

 負債総額は前年度末(昨年3月末)時点で4480億円、製造業の企業としては、過去最大の経営破綻となり、今後はスポンサー企業を探して再建の道を探ることになります。

 エルピーダメモリの破綻は「日の丸半導体」の終焉などとメディアで騒がれており、ネットでもそもそもコモディティ化したDRAM市場には日本に勝機など無かったといった批判があがっています。

 まあ結果論として各論があって当然でしょうが、私のクライアント会社のクライアントがエルピーダメモリと取引していた関連で少し情報を持っていますのでそのあたりを開示しながら少しばかり角度の違った分析をしておきたいです。

 メディアなどでは今回の破綻の直接の要因は、超円高とDRAM市場価格のこの一年での暴落(一年前の1/3)、タイ洪水などの悪条件が重なったため、業績が急激に悪化したのだとの説明が主流ですが、それはそれとして本質ではないと私は考えています。

 まずPCの主記憶用のDRAM市場価格は確かにPC売上急減に伴い前年同月比で1/3にまで急落しましたが、一方のIPhoneやアンドロイド機などスマートフォン用の高性能DRAMは十分収益を上げられる価格を維持していますが、エルピーダメモリの生産ラインは一年前もそして今も過半数が旧来のPC用DRAM生産ラインのままでスマートフォンの爆発的な需要を吸収できていなかったのが一番致命的な要因であります。

 現にDRAM市場シェアトップの韓国サムスンは、主要な製造ラインをスマートフォン用の高性能DRAMに次々に設備投資して置き換え、この一年でも45%超とシェアを拡大しつつ、DRAM事業においても10%を超える収益を上げています。

 かつて日本企業がシェア8割を超えていた80年代には、大型汎用機用のDRAMが中心であり、その製造ラインではアナログ的な日本の匠の技術と厳しすぎるともいえるその製品品質管理において、世界に日本企業の敵はいませんでした。

 やがて90年代に入りパソコン普及期になると、パソコン用DRAMが中心になり韓国や台湾の企業が台頭してきます。

 この時代になると大量生産のために、製造工程のデジタル化(IT化)が計られ、DRAM製造工程において、アナログ的な日本の匠の技術は必要なくなり、どこの国でも製造できる技術となり一気にコモディティ化が進むのです。

 日本は先行優位の中で、DRAM市場の、対象ハードが大型汎用機からパソコン(高品質管理が必要ないそれよりも価格優位の市場)へと劇的変換する動きに、大きく対応が遅れたのです。

 また先行する日本企業が主導した製造工程のデジタル化(IT化)は匠の技術を不要とし、どこの国でも投資すればDRAMが生産できるというDRAM市場のコモディティ化を促し、結果として皮肉なことに日本企業のシェアダウンをもたらしたわけです。

 そして今日、DRAM市場の対象ハードが、PCからスマートフォンへと新たな劇的変換の時期を迎えて、残念ながらエルピーダメモリは完全に、対応の遅れをとってしまったのです。

 ここ数年財政難のエルピーダメモリが設備投資しづらかった面はあるでしょうが、それは言い訳になりません。

 2年前、当時の最新のipadの中身の部品は半分近くがすでに韓国製で占められていました。

 当時の当ブログでその事実をレポートしています。

2010-04-09 最新iPadの中身は半分メードインコリア

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20100409

■iPadの16GBモデル、製造原価パーツ供給国別内訳表

価格
韓国122.55ドル48.9
台湾51.00ドル20.3
米国14.75ドル5.9
ドイツ2.10ドル0.8
その他(不明)60.20ドル24.0
合計250.6ドル100.0

※台湾には日系企業含みます。

 エルピーダメモリの破綻は、確かに低価格でコモディティ化した市場ではもはや日本の製造業は競争力を失いつつあることを示しているのでしょう。

 ただ、中長期的戦略の欠落が破綻に拍車を掛けただろう事実は見逃してはいけないと思います。

 スマートフォン時代に追いつけなかったかわいそうなエルピーダメモリなのであります。

 ビジネスにおいて、人も企業も「かわいそう」と評価されたらおしまいです。



(木走まさみず)

aaaaaa 2012/02/29 18:53 無限に湧いてくる公的資金注入で今年も乗り切るのかなとおもいきやいきなり倒産で驚きました。増資も間近で行ったにもかかわらず倒産なので裏で何かあるのかなと勘ぐりたくなります。記事を読む限り技術的にはトップクラスなのでその技術が生かせるような経営が出来なかったんでしょうね。

tooru2010tooru2010 2012/02/29 19:27 「BLOGOS」の方でもコメントをさせていただきましたが、こちらでもコメントができるようでしたので、せっかくですので、ほぼ同じ内容ですが(誤字その他多少書き換えてありますが)、以下に、コメントをすることを失礼させて頂きます。


>そして今日、DRAM市場の対象ハードが、PCからスマートフォンへと新たな劇的変換の時期を迎えて、残念ながらエルピーダメモリは完全に、対応の遅れをとってしまったのです。そして今日、DRAM市場の対象ハードが、PCからスマートフォンへと新たな劇的変換の時期を迎えて、残念ながらエルピーダメモリは完全に、対応の遅れをとってしまったのです。

エルピーダメモリは、もう4,5年以上前から、というか会社設立の結構早い時期から携帯用の低消費電力の「高付加価値」のDRAMをターゲットに商品開発を目指していたのではないでしょうか?(実際にどのようなシェアになっているのかについては、ちょっと調べてみましたが残念ながら見つかりませんでしたが)

PC用について力を入れ始めたのはここ数年のことで、大量生産による量産効果と商品カテゴリーを豊富にしてカスタマーの利便性を図ることよる売り上げ増を目指してのPC用注力だったのでは?

また、ipadに使われていないことについては、価格とのトレードオフですから、ipadに使われていないからといって携帯機器用の商品開発をエルピーダが軽視をしていたということには単純にならないようにも(なぜ、ipadでサムソン製などが使われているかの理由がはっきりしないと)

いずれれせよ、携帯機器用のDRAMについて言えば、むしろ、エルピーダは、携帯機器用の「高付加価値」DRAMをコスト軽視で開発を進め一方コストに拘るPC用のメモリの大量生産を軽視してきたために、(サムスンなどが進めてきた)コスト重視の生産体制、技術が携帯機器用のメモリに反映できずに、商品の機能、性能によってではなくコスト競争によって、今回のような事態になった可能性も考えられますが。


補足:
下記事。2005年の随分古い記事ですが、エルピーダは携帯用のDRAMには十分過ぎるくらい力を入れていたことが伺えると思われます。

日本の半導体、家電メーカーがこの間遅れをとったことについての私の感想は、この間、「高付加価値」商品なる現実から乖離した理想論ばかりを追い求め目先のコモディティ商品を軽視したために、そこから生まれるはずの低コスト技術、あるいは商品企画、営業マネージメントが磨かれずに、結局、理想論だけを空回りさせて足腰を弱めて行ったのではということです。

「高付加価値」商品を追及することも重要ですが、それと同時に、コモディティ商品による大量生産でコストの低減(技術)、営業基盤の充実を図っていかなければ、結局、よほどの「高付加価値」商品でなければ生き残ることはでいない、、、というか、「低コスト」自体が様々な技術力、経営能力に支えられた「高付加価値」と認識しなければならないとうことです。

http://www.ssis.or.jp/ssis/pdf/ENCORE38.pdf
(5ページ)
>日本のエルピーダメモリは水面下の戦いで、携帯電話用DRAMのシェアの60〜70%を握ったという。

kibashirikibashiri 2012/03/01 09:49 aaa様

>無限に湧いてくる公的資金注入で今年も乗り切るのかなとおもいきやいきなり倒産で驚きました。増資も間近で行ったにもかかわらず倒産なので裏で何かあるのかなと勘ぐりたくなります。記事を読む限り技術的にはトップクラスなのでその技術が生かせるような経営が出来なかったんでしょうね。

 御意。トップクラスの技術を生かす戦略を有しなかったということだと思います。

tooru2010様

>「BLOGOS」の方でもコメントをさせていただきましたが、こちらでもコメントができるようでしたので、せっかくですので、ほぼ同じ内容ですが(誤字その他多少書き換えてありますが)、以下に、コメントをすることを失礼させて頂きます。

 ありがとうございます。

>エルピーダメモリは、もう4,5年以上前から、というか会社設立の結構早い時期から携帯用の低消費電力の「高付加価値」のDRAMをターゲットに商品開発を目指していたのではないでしょうか?(実際にどのようなシェアになっているのかについては、ちょっと調べてみましたが残念ながら見つかりませんでしたが)

>PC用について力を入れ始めたのはここ数年のことで、大量生産による量産効果と商品カテゴリーを豊富にしてカスタマーの利便性を図ることよる売り上げ増を目指してのPC用注力だったのでは?

>また、ipadに使われていないことについては、価格とのトレードオフですから、ipadに使われていないからといって携帯機器用の商品開発をエルピーダが軽視をしていたということには単純にならないようにも(なぜ、ipadでサムソン製などが使われているかの理由がはっきりしないと)

>いずれれせよ、携帯機器用のDRAMについて言えば、むしろ、エルピーダは、携帯機器用の「高付加価値」DRAMをコスト軽視で開発を進め一方コストに拘るPC用のメモリの大量生産を軽視してきたために、(サムスンなどが進めてきた)コスト重視の生産体制、技術が携帯機器用のメモリに反映できずに、商品の機能、性能によってではなくコスト競争によって、今回のような事態になった可能性も考えられますが。

>日本のエルピーダメモリは水面下の戦いで、携帯電話用DRAMのシェアの60〜70%を握ったという。

 補足情報も含めて貴重な情報ありがとうございます。

 エルピーダメモリの有する技術力が当時からそして今でも世界トップクラスであることはそのとおりでありましょう。

 技術力を有しているのに世界シェアを落としていってしまう、これはガラパゴス携帯で起こったことと通底しているものを感じるのですが、結果として技術力を生かすビジネス戦略がなかったということではないでしょうか。

 残念なことです。



 貴重な、ご意見ありがとうございます。

sakimisakimi 2012/03/02 20:25 そりゃ、サムスンのように国から補助金漬け(でも赤字)と消耗戦してたら
財政状態持たないですよ

>技術力を有しているのに世界シェアを落としていってしまう、これはガラパゴス携帯で起こったことと通底しているものを感じるのですが、結果として技術力を生かすビジネス戦略がなかったということではないでしょうか。

安かろう悪かろうが酷いんですよ
サムスン製テレビに不良、米で集団訴訟に発展も、ってニュースが先月あったり

あと、この辺ですかね
iPad 2/iPhone 5で、部品サプライヤの日本から台湾メーカーへのシフト進む
http://news.mynavi.jp/news/2011/01/25/083/index.html
アップルが部品調達先を公表したが、日本企業が多数サプライヤーとして日の丸部品を納品。
http://naokix.iza.ne.jp/blog/entry/2582335/
ただ、サムスン製のチップはプロセスが太いので熱出して
それがバッテリーにも悪影響って問題もあります
で、こうなったり
http://ipod.item-get.com/2012/02/iphone_3gs_2.php

sector09sector09 2012/03/13 23:53 この記事が書かれてから2週間以上経って質問するのもアレですが、興味本位で質問させてください。

>今も過半数が旧来のPC用DRAM生産ラインのままで

例えば生産設備としてスマートフォン用とPC用で何が違ってくるもなのでしょうか?
(工場においてあるモノとして)

チップの設計(プロセス/回路/レイアウト)レベルでは大きく違うだろうってのは想像できますが。



今思えば、ギリシャ語で社名つけたのがよくなかったんだ。。。

2012-02-23 前代未聞の国会の「不作為」を許すな

[]前代未聞の国会の「不作為」を許すな〜立法府が憲法を守ることを放棄してどうする? 14:02

 国会が憲法違反を放置する。

 なんたる怠慢、なんたる無責任、なんたる不作為でしょう。

 日本国憲法第14条は「すべて国民は法の下に平等」であると高らかに唱えています。

第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 また同第41条では「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関」であると定めています。

第41条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

 昨日、国権の最高機関であつて、この国の唯一の立法機関・立法府である国会において、空前絶後の前例無き立法府の「不作為」により、憲法違反状態と司法が認めた(1票の格差が最大2.30倍となった09年の衆院選について最高裁は違憲状態と判断しています)衆院区割りがそのまま放置されることが確実になりました。

衆院区割り、違法状態に 与野党協議、勧告期限守れず

http://www.asahi.com/politics/update/0222/TKY201202220209.html

 総務省によると、こうした違法状態は前例がありません。

 また、その状態で衆院選が実施されたことも過去にありません。

 しかし、無責任にも藤村修官房長官は違法状態での首相の解散権について「制限されることはない」と13日の記者会見で述べています。

 また、区割り勧告期限を過ぎることに罰則はないとの指摘もあります。

 しかし、政党エゴによる怠慢・無責任・不作為により、よりによって「国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関」である国会が、司法により憲法違反状態であると判断された状態を自ら放置することは、あってはなりません。

 法律を作成する立法府である国会が、「すべて国民は法の下に平等」とした憲法第14条に反する現状を自らのエゴで容認する。 

 国民の不利益より党利党略が優先されたということです。

 民主党だけではない、選挙制度の抜本改革との同時実施を中小政党の多くは求めていますが、目の前の格差是正を実現できないようではただの「政党エゴ」であり、「1人別枠」廃止と同時に区割り審の勧告期限を延長する法的な措置を講じ、見直し作業を早急に再開するようなぜ求めないのか。

 立法府が憲法を守ることを放棄して国を治めることなどできません。

 国民の不利益を放置するこの国会の「不作為」を許すわけにはいきません。



(木走まさみず) 

cccccc 2012/02/23 18:20 なにしろ民主党は綱領さえ決められない烏合の衆です。極左から極右まで、その上大量の朝鮮人や詐欺師まで雑多な連中が揃っていました。今は極右はいませんが極左と朝鮮人と詐欺師は健在です。何も決められないとしても別に驚くほどのことではありません。国民はそれを承・・・いや、マスコミはそれを承知で政権交代をあおったわけですから、マスコミの罪は重い。万死に値します。

まぁまぁ 2012/02/24 21:44 それでも次の総選挙で民主党は消えるのは確実ですけども

hiro_2006mach@yahoo.co.jphiro_2006mach@yahoo.co.jp 2012/02/24 22:35 一票の重みの件で、全国で一番軽いとされるのは野田総理の選挙区らしいですね。
有権者の奮起に期待します。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20120223

2012-02-22 M7超級の大地震が五ヶ月に1回発生する国に原発は稼動可能なのか?

[]M7超級の大地震が五ヶ月に1回発生する国に原発は稼動可能なのか? 11:27



 先月、マグニチュード(M)7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生するという試算を、東京大学地震研究所の研究チームがまとめました。

M7級首都直下地震、4年内70%…東大地震研

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120122-OYT1T00800.htm

 同研究所の平田直(なおし)教授らは、マグニチュードが1上がるごとに、地震の発生頻度が10分の1になるという地震学の経験則である「グーテンベルク=リヒターの法則」を活用し、今後起こりうるM7の発生確率を計算しました。

 大地震の発生メカニズムは我々のなじみのある正規分布には従いません。

 正規分布は自然界で起こる現象の多くがその分布に当てはまること,特に平均値に関する分布が当てはまることから,統計学では最も重要な分布となっています.

f:id:kibashiri:20120222093634g:image

 たとえば大学入試の学力分布は典型的な正規分布の例であり学力偏差値などでお馴染みであります。

 自然界で起こる現象の多くが正規分布に当てはまる中で、地震の発生はそれに従わないことが地震学者によって発見されています。

 米カリフォルニア工科大学の地震学者、ビーノ・グーテンベルクとチャールズ・リヒターが世界中の地震を調べた結果、マグニチュードが1大きくなると地震発生数は10分の1になり、2大きくなると100分の1に減る関係が発見されます。

 このように、片方につれてもう片方が指数的に減る場合、「ベキ分布」に従っていると言いますが、この「グーテンベルク=リヒターの法則」は地震発生回数とマグニチュードとの間にもこのベキ分布が成り立つことを意味しています。

f:id:kibashiri:20120222093622g:image

 「ベキ分布」では上図のように「ロングテール」(長い尾)状の分布となり、地震であれば大地震ほど発生確率がどんどん小さくなっていくことになりますが、もちろんこれは大地震が発生しないことを意味してはいません。

 べき分布に従う現象は、株式市場の崩壊や大規模な自然災害のような極端にまれな頻度だと考えられる極値理論と強いつながりがあります。

 「正規分布とベキ分布」という話題は、経済物理学 の分野で話題になったことがあります、金融工学で用いられるブラック=ショールズ式は、正規分布を前提としたモデルに従っているが、現実の分布はべき分布なので、ブラック=ショールズ式はもともと当てにならない、というような話題です。

 初期の金融工学では、原資産の価格変化率の分布が対数正規分布に従い、裁定機会が存在しないなどの仮定の上で、オプションの理論価格を導くことができた(ブラック・ショールズ方程式)のですが、あくまで、数学的に扱いやすいから正規分布としていましたが、実際の価格変化率の分布はパレート分布(ベキ分布)に従うため、現実的なモデルとは言えないのです。

 このたびの東日本大震災の規模を東電は「想定外」との表現していますが、はたしてべき分布に従う大地震の発生確率に対して、科学的に真摯に対峙した表現といえるのでしょうか。

 ・・・

 それはさておき「グーテンベルク=リヒターの法則」に基き、M7級の大地震が4年内に70%の確率で首都直下で起こると算出した東大地震研の予測ですが、2000年1月以降日本列島近傍で発生したM7超級の大地震は29回あります。

 時系列に列挙します。

2000年1月28日 根室半島南東沖-M 7.0

2000年3月28日 硫黄島近海 - M 7.9

2000年8月6日 小笠原諸島西方沖 - M 7.2

2000年10月6日 鳥取県西部 - M 7.3

2001年12月18日 与那国島近海 - M 7.3

2003年5月26日 宮城県北部沖 - M 7.0

2003年9月26日 十勝沖 - M 8.0

十勝沖 - M 7.1

2004年9月5日 紀伊半島南東沖 - M 7.4

2004年11月29日 釧路沖 - M 7.1

2005年3月20日 福岡県西方沖 - M 7.0

2005年8月16日 宮城県沖 - M 7.2

2005年11月15日 三陸沖 - M 7.1

2008年5月8日 茨城県沖 - M 7.0

2008年6月14日 岩手・宮城内陸 - M 7.2

2008年9月11日 十勝沖 - M 7.1

2010年2月27日 沖縄本島近海 - M 7.2

2010年11月30日 小笠原諸島西方沖 - M 7.1

2010年12月22日 父島近海 - M 7.8

2011年3月9日 三陸沖 - M 7.3

2011年3月11日 東日本大震災 - M 9.0

    岩手県沖 - M 7.4

    茨城県沖 - M 7.4

    三陸沖 - M 7.5

2011年4月7日 宮城県沖 - M 7.1

2011年4月11日 福島県浜通り - M 7.0

2011年7月10日 三陸沖 - M 7.3

2011年11月8日 沖縄本島北西沖 - M 7.0

2012年1月1日 鳥島近海 - M 7.0

地震の年表 (日本)より

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E9%9C%87%E3%81%AE%E5%B9%B4%E8%A1%A8_(%E6%97%A5%E6%9C%AC)

 12年2ヶ月で29回ですから、2000年以降、平均して5ヶ月に1回日本列島近傍でM7超級の大地震が発生していることになります。

 10万以上の犠牲者を出した1923年(大正12年)の関東大震災がM7.9、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災がM 7.3ですからM7超級の大地震が都市部の直下に近く発生すると大変な被害をもたらすことになりますが、もちろん震源が離れていてあるいは十分深ければM7超級の大地震であっても被害はほとんど発生しませんケースも多々あります。

 逆に平成16年に発生した新潟県中越大震災(M 6.8)のように、震源が浅く直下だとM7を超えなくとも最大震度 7を記録して68人の犠牲者を出してしまうこともあります。

 その意味でM7はあくまでも地震の規模的な目安に過ぎませんが、問題なのはべき分布に従い平均して5ヶ月に1回発生するその規模の大地震が、次にいつごろ、日本列島のどこで、そしてどの規模で発生するのか、まったく予測が立たないことです。

 ・・・

 地震の揺れの強さを示す単位として「震度」が使われますが、最近の地震計ではより科学的にガル( 記号:Gal)という単位を用いられることが多くなっています。

 1ガルは、1秒(s)に1センチメートル毎秒(cm/s)の加速度の大きさと定義されています。

 ちなみに地球表面における重力加速度(1G)はおよそ981ガルとなります。

 実はガルによる正確な地震の揺れの計測は最近はじまったばかりで歴史が浅く、過去の地震に対するデータの蓄積はほとんどありません。

 実は最近の地震の揺れの正確な計測でわかってきたことは、従来の想定よりも日本列島はガル単位で大きく揺れてしまっているという事実です。

 このたびの大震災でも福島第1原発ではその耐震基準を超えた加速度を計測し、津波到来前に配管施設等の損傷が発生しました。

福島第1原発:揺れの加速度、耐震基準超す

 東京電力は1日、東日本大震災で被災した福島第1、第2原発(計10基)の各号機別の揺れの観測結果を公表した。揺れの最大加速度は、第1原発の2号機で550ガル(ガルは加速度の単位)。耐震性の基準値(438ガル)をやや上回った。3号機も507ガル(基準値441ガル)、5号機も548ガル(同452ガル)といずれも東西方向の揺れで想定を超えていた。中央制御室の電源回復で初めて全号機の確認ができたという。【山田大輔】

http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/archive/news/2011/04/01/20110402k0000m040122000c.html

 これまでの既存の原発の耐震基準は福島原発と同様500ガル前後(見直しにより1000ガルまで高める原発もあります)ですが、先ほども指摘しましたが最近の計測機器の充実による正確なデータから実際には従来の想定を超える大きな揺れが発生していることがわかってきました。

 今回の大震災における計測最大値は宮城県栗原市で観測された2933ガルになります。

 実は世界最大の地震による加速度は近年、日本で数年おきに更新されてきており、平成16年の中越地震のとき川口町の地震計で当時世界最高の2,516ガルを記録され、現在の世界最大の地震による加速度は、岩手・宮城内陸地震(2008年6月14日)の際に岩手県一関市厳美町祭畤で観測した4022ガルであります。

 これはもちろん最近の日本の地震が揺れが強くなる傾向にあることを示しているのではなく、計測機器の充実によりガル計測が多地点で正確に行われるようになったために観測された最大加速度が更新されているに過ぎませんが、岩手県一関市厳美町祭畤で観測した4022ガルでありますが、この揺れの強さは従来の想定を超えたものでありました。

 

 4022ガルといえば重力加速度であらわせば4.1Gという、F1レースのコーナリングで発生する加速度に匹敵するものです。

 もし原子力発電所施設にこのような強大な加速度が加わるとしたらたとえ耐震強度を1000ガルに高めたとしても、被害は免れないでしょう。

 平均して5ヶ月に一度のペースでM7超級の大地震が発生している日本列島は、環太平洋火山帯に属する世界でも有数の地震国であります。

f:id:kibashiri:20120221133730g:image

マグニチュード4.0以上、震源の深さ100km以下、理科年表2002国立天文台より

 関西電力配下の原発がすべて止まり、原発再稼動か否かの議論が盛んですが、あくまで科学的な立場で最近のデータに基き各原発の予想されうる発生加速度とそれに対する耐震強度の見直し、ここをないがしろにしたせわしい対応はするべきではないと考えます。

 原発近傍直下でM7級地震が発生する、その最悪のシナリオに耐え得る既存原発は残念ながら一基もないことを、我々は直視するべきだと考えます。



(木走まさみず)

iireiiirei 2012/02/22 12:45  地震や火山噴火のような大規模な災害が多い日本で、原発の維持に国がこだわるのは、第一に原発利権の存在が大きいと思います。あるいは、純・国産の原爆製造に固執しているからだと思います。

ゆきだるまゆきだるま 2012/02/22 17:52  国が原発維持にこだわるのは、国産エネルギーの確保と、当面低コストの発電ができることでしょう。 
 もし原発を廃止するにしても、今ある原発は再稼働し、40年経過後に自動的に廃炉するのが現実的だと思います。(これで現状40年超の原発は止められるし)

 火力で賄うとしても、イランなど産油国の事情に振り回されるし、電気代は高騰するし、工場の海外移転が加速するだけでしょう。

 再生可能エネルギーについても、昨年3月以降1年間でどれだけ供給を増やせたのでしょうか。そして今年1年間でどれだけ増やせるのでしょうか。

 再生可能エネルギーは10年単位で増やしていくものと思います。であれば、原発も10年単位で減らしていくべきでは。

yamamoto8heiyamamoto8hei 2012/02/22 18:38 とはいえ、原発再稼働しない限り、日本は現在の生活レベルを維持できませんから、地震による配管損傷はあるものという前提で、フェイルセーフ対策を徹底的に講じるしかないでしょうね。その際、リスクの絶対防衛ラインをどこに置くかという事になるかと思います。だいぶ前になりますが、北大の永田教授がそれについて論じておられますので、参考までに以下引用します。

■原発の安全管理(永田)
http://blog.camuispaceworks.com/?eid=129

【これまでの安全管理は、何が有っても放射性物質を漏洩させない、という思想で設計されています。これを改めるべきではないかと思うのです。何が有っても燃料棒を損壊させない。そのためなら多少は放射線を漏洩させてもよい。このような思想で、安全管理を考え直すべきです。多少の放射線漏洩の可能性を受け入れることにより、原発の安全性を高めることが可能になります。最終的には、リスクの絶対防衛ラインをどこに設定するのかの問題です。これを社会が共有しないと、リスク管理は不可能です。「何が有っても放射性物質を漏洩させない」という戦略は非現実的だし、返ってリスクを増大させます。】

kahnkahn 2012/02/22 21:35 少なくとも、女川原発は正常に停止したわけだから、福島の例のみを以って反原発というのはあたらない。

女川原発程度の危機管理が通常のMAXでできるのであれば、原発廃止はナンセンスだし
女川原発の例が「幸運な偶然」であり、一般には福島第一程度の危機管理しかできないのであれば、原発廃止もやむなし

これくらいの比較検討ができなければ、結論を下せない。

job_joyjob_joy 2012/02/23 01:32 地震の揺れに関しては、地面での観測と建物の応答は異なります。
地盤上では確かに1000galを超える観測値が多くとれていますが、建物の応答は地盤と建物の相互作用により決まるので、地盤上で観測された数値そのものになるわけではありません。
また、通常は基盤と呼ばれる十分堅い地盤から表層の地盤に地震の揺れが伝達するときに地震の波は増幅されますが、原子力発電所ではその基盤となる岩盤上に建設されるのが一般的です。
局所的な最大加速度のみでの議論は少々乱暴かと思います。
なお、最近はgalをあまり使わない方向に変わってきていると思います(おそらく、SI単位化の関係で)。

ゆきだるまゆきだるま 2012/02/24 09:07  そもそも福島第一原発の事故の(直接の)原因は地震だったのか津波だったのか、
それがはっきりしていません。

 それに、福島第一原発は事故を起こしましたが、すぐそばの福島第二原発は第一と同様に地震も津波も受けながらも、きちんと冷温停止できています。

 単純に「原発コワイ」で終わらずに、原因をきちんと把握しないと判断を誤ると思います。

憑かれた大学隠棲憑かれた大学隠棲 2012/02/25 00:47 一応柏崎刈羽の1号機は2000ガル喰らっても、配管類に大きな損傷はなく冷温停止に。その後修理が終わって元気に動いていましたから、本質的には地震には極めて強い構造物なんだと思いますよ。ストレステストの1次評価では1000ガルから1500ガルで無傷って結果も出てますし