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2012-11-20 世界的特異点である日本列島に原発を立地する科学的合理性はない

[]「原発ゼロと衆院選 現実見ぬ選択では国滅ぶ」(産経社説)に反論する〜世界的特異点である日本列島に原発を立地する経済的合理性も科学的合理性もない 15:06



●「原発ゼロと衆院選 現実見ぬ選択では国滅ぶ」(産経社説)

 20日付け産経社説はいくつかの政党が掲げる原発ゼロ政策を「現実見ぬ選択では国滅ぶ」と批判しています。

原発ゼロと衆院選 現実見ぬ選択では国滅ぶ

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121120/elc12112003240038-n1.htm

 社説は「一時のムードに流された脱原発は、ただちに国力低下につながる危険な選択」だとし、「電力料金も現在の2倍以上にはね上が」り、「それに伴う産業空洞化」が起こることを危惧しています。

 だが、エネルギー小国の日本が原発を完全に手放してしまうのは現実的でない。一時のムードに流された脱原発は、ただちに国力低下につながる危険な選択であることを改めて訴えたい。

 政府・民主党は、革新的エネルギー・環境戦略として「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指すことを決定した。原発の新増設は認めず、運転から原則40年での廃炉を徹底するという。

 しかし、原発に代わる太陽光などの再生可能エネルギーを整備する道筋は描けていない。政府試算では再生エネ投資で50兆円、省エネ投資は100兆円が必要となる。発電コストが高い再生エネの普及によって、電力料金も現在の2倍以上にはね上がる。

 電力の安定供給や代替エネルギーの確保、電力料金の値上げ、それに伴う産業空洞化にどう対応するのか。各政党は脱原発をうたうならば、選挙公約などでこのような疑問に、はっきりと答えなければならない。

 さらに社説は、「住民の生命にも危険が及ぶ」、「企業の海外進出が加速して雇用が失われ、国内総生産(GDP)も落ち込」む、「「原発ゼロ」が徹底されれば原子力技術者は日本で育たなくなり、廃炉作業に影響が出るのも必至」と指摘します。

 原発の再稼働が進まない現在の日本では、足元の電力供給すら綱渡り状態だ。泊原発の運転が再開できない北海道の住民・企業に対し、政府は今冬、厳しい寒さの中で7%以上の節電を求める。住民の生命にも危険が及ぶ。

 安定的な電力供給ができずに節電ばかり恒常化すれば、企業の海外進出が加速して雇用が失われ、国内総生産(GDP)も落ち込んでしまう。「原発ゼロ」が徹底されれば原子力技術者は日本で育たなくなり、廃炉作業に影響が出るのも必至だろう。

うむ、私は脱原発政策を支持している者の一人ですが、別に「現実見ぬ」わけでも「一時のムードに流された」わけでもなく、極めて冷静にできうる限り科学的合理性を重視してこの問題を考えています。

 今回はこの「原発ゼロと衆院選 現実見ぬ選択では国滅ぶ」(産経社説)に対し、冷静に科学的に現実を直視しつつ反論を試みます。



●完全に崩れた「原発安全神話

 3.11以前、私は多くのこの国の人たちと同様、政府の唱える「原発安全神話」を根拠なく信じていました。

 関西電力のサイトでは今でも原発のいわゆる「5重の壁」の説明が掲載されています。

f:id:kibashiri:20120415144837g:image

ウランが核分裂すると放射性物質がつくられます。そのため原子力発電所では、放射性物質を閉じ込めるため5重の壁でおおい、万が一の異常の際にも放射性物質を閉じ込められるように、安全確保に備えています。

http://www1.kepco.co.jp/bestmix/contents/16.html

 設けられた障壁が、内側から「燃料ペレット」、「燃料被覆管」、「原子炉圧力容器」、「原子炉格納容器」、「原子炉建屋」の5つであるためこの名が定着したわけですが、原発の「安全神話」の中核でもあったこの「5重の壁」は福島原発事故でことごとく破られてしまいました。

 昨年3月11日の大地震で、まず送電線の鉄塔が倒れるなど大きな被害を受け、十数メートルに達した大津波で非常用電源も働かなくなり、全交流電源を失ってしまいます。

 原子炉の冷却ができずに炉心が溶融、いわゆるメルトダウンが起き、第一と第二の壁である「燃料ペレット」と「燃料被覆管」は完全に溶けて、第三の壁である「原子炉圧力容器」の底にたまります。

 第三と第四の壁であった、「原子炉圧力容器」、「原子炉格納容器」にも穴やひびが入り冷却水が放射性物質とともに駄々漏れする事態となります。

 その過程で発生した大量の水素が爆発して第五の壁である「原子炉建屋」も大きく破壊されました。

 原発のいわゆる「5重の壁」が瞬く間といっていいでしょう、あっけなくすべて破られ大量の放射性物質が撒き散らされたわけです。

 メルトダウンした燃料がどこにどのぐらいどのような状態で分散したのか、事故から1年半余りたっても原子炉内部の様子は満足にわからず、放射性物質に汚染された冷却水が漏れ出す事故もたびたび起きています。

 こたびの原発事故は、「現代科学は万能ではない」、「人の作るシステムに絶対安全はない」、「事故は起こることを前提に対策を講じておく」、当たり前の多くのことを再認識させてくれた「神の啓示」ともいえます。



●現代科学で地震予知は不可能

 現代科学といえば、東京大学のロバート・ゲラー教授(地震学)は大震災発生を受けて、昨年4月14日、地震予知システムは現代科学では実現できないとする趣旨の論文を発表して話題になりました。

 教授は、「(地震の予知は)無益な努力だ。不可能なことを可能であると見せかける必要はない」とし、日本政府の防災計画についても触れ、3月11日に発生した東日本大地震が予測できなかったように、東海地震も予測できないとしています。

 またゲラー教授は論文で、東日本大震災で津波の被害を受けた東北地域では過去にも巨大津波が2度発生していたと指摘し、沿岸部の原子力発電所はそうした津波にも耐えうる構造に設計すべきだったと批判しています。

地震予知は「不可能」、国民は想定外の準備を=東大教授

2011年 04月 14日 11:03

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20609820110414

 従来の「想定外」の規模の地震と津波が発生した大震災以後、日本列島近傍で発生する可能性が指摘されている大地震、東南海地震、東京直下地震等について、従来の想定を大きく上回る規模の地震と津波が発生する可能性が改めて指摘され、想定被害の見直しが相次いでいます。

 残念ながら現代科学では次に日本列島のどこでいつどの規模の大地震が起こるのか、全く予知はできません。

 ただ東日本大震災がもたらした新しい科学的知見は、従来の想定よりも大きな規模の揺れが起こる可能性、大きな津波が押し寄せる可能性が科学的に認められ、「想定内」となったことです。

 そして日本の原発の多くが旧来の想定規模の対策しか施されていません。

 見直し作業が着手されていますが、その対策は内容的にも時間的にもまったく間に合っていないのが現状です。



●世界的特異点である日本列島に原発を立地する経済的合理性も科学的合理性はない

 日本列島は太平洋火山帯に位置するいうまでもなく世界有数の地震国であります。

f:id:kibashiri:20120221133730g:image

マグニチュード4.0以上、震源の深さ100km以下、理科年表2002国立天文台より

 この世界震源マップに世界の原子力発電立地マップを重ねます。

f:id:kibashiri:20121120130805j:image:w640

 科学的事実として、地震震源域に50基の原発を集中的に立地しているのは世界で日本だけです。

 昨年の大震災における福島第一原発事故を経て、地震国日本の発電施設として原発は「科学的合理性」を見出せなくなったと考えています。

 産経社説の脱原発理由はどれも「経済合理性」を根拠としています。

 そのような理論ではカタストロフィーには対応できません。

 私はもし日本列島に第二の福島原発事故と同規模以上の原発事故が発生したら今度こそ、日本経済は崩壊してしまうと危惧しています。

 そしてそのような事故が起こる可能性は、現代科学では誰も科学的に語ることはできません。

 産経の唱える「経済合理性」は実はこの日本列島では「合理的」とは言えないのではないでしょうか。

 地震国「日本」において原発稼動を短期的な「経済合理性」だけで語ることこそ「国滅ぶ」、亡国の理論に繋がる可能性があるのです。

 そもそも世界の特異点である日本列島に原発を立地する経済的合理性も科学的合理性もなかったのだと考えます。



(木走まさみず)

   2012/11/20 17:19 経済的合理性もないと断言されてますけど、原発停止して貿易赤字の連続ですよ。円高もつづいた上にこのままだと破綻しますからね。
あと安全保障上からもひつようですからね。核兵器の原料になりますから。つまり抑止力にもなってます。
それから、原発事故が酷い事になったのは菅直人の対応が全てなのは、災害当時をきちんと注視していれば理解できてるはずです。
電源車を東電の一台だけ、しかも自衛隊のヘリで送るのではなく混乱してる高速でおくりだしてますからねぇ。ついたのが深夜ですよ。原発非常事態の宣言を夕方に出しておいてです。
だいたい海水注入をさっさと菅直人の責任でやれば、スリーマイル島程度で済んだのでは?
もっというなら、新型に立て替えすら拒んで事故が起こりやすくしていた反原発の人たちも共犯ですけどね

あららあらら 2012/11/20 18:20 親原発のデメリットを表現されることで、
「○○新聞が批判しています」という権威に縛られていますね。「安全神話」という権威に縛られていた自分たちと同じ構図に見えます。自分たちが頼っていたもの(または害の無いものとして信じていたもの)に裏切られたから、感情的に反対の意見にすがって、心の不協和を満足させる行動を短絡的に選択しているように見えてしまいます。
心配だから、科学的に証明できないから、安心できないから、…。他の選択肢を懸命に考えることは重要なことであると思います。しかし、我を忘れて飛びつくことも、同じように「心配で、科学的に証明されておらず、安心できない」というものであると感じております。
親原発のメリットは甘受してきたが、デメリットは知らなかったというカマトトで、脱原発のメリットは不明確で安心感が主なもの、デメリットはあまり理解されていないという状況だと思います。
親原発のデメリットを知らなかったと言っている自分たちのカマトトぶりを反省し、脱原発のデメリットをしっかり理解することも、ふたたびカマトトぶらないでよいように、またそうなった時に絶望したりしないようにすることが文明的であると思います。
つまり、
「脱原発にはこんなデメリットがあります。*だから*脱原発しましょう!」というのはいかがでしょうか。

cccccc 2012/11/20 19:33 これまでに起きた原発の大事故3件のうち、スリーマイル島とチェルノブイリは地震とは無関係です。つまり、原発事故と地震との相関は今のところありません。
福島は津波への備え(ハード)が不十分でした。運転員も事故への対応の訓練(ソフト)が十分にされていたとは言えないようです。つまり、油断があったのです。
痛い目にあった今、備えがなされています。ハードもソフトも。
したがって、巨大地震に見舞われても、対処できると思います。

世の中には、完璧な安全というものは存在しません。何事にせよ、利便性と安全性のバランスの上で私たちの生活がなりたっていることを理解していただきたいと思います。

cccccc 2012/11/20 20:36 続きです。
地球温暖化の問題も忘れてはなりませんね。
CO2 が主犯なのかどうか、判然としない所はありますが、やはりCO2 削減は進めていくべきでしょう。原子力は有力な手段です。

太陽光とか風力とかに頼ればいい、という人がいるかも知れませんが、そういった自然エネルギーを25%も取り入れて10年後の脱原発をめざすドイツの電力事情が悲惨な状況にあることは注目すべきでしょう。
http://blog.goo.ne.jp/stopchina/e/f4a380e3b50ed25312febed443e946f7?fm=rss

か 2012/11/21 05:57 どれ程揺れても、外部からの電源の供給が全くなくとも、大都市圏のすぐ横に置いても安全な原発があります。
 さてそれはどんな原発でしょう。
 こたえ、それは原潜ですね。東京湾に10隻ほど並べておけば、地上型一基分くらいは発電できますよ。

ゆきだるまゆきだるま 2012/11/23 11:01  あれ? 福島第1の事故の原因って地震と特定されたんですか?
 仮に地震が原因だったなら、震源により近い女川原発や福島第2が無事だったのは何故?

 この疑問に答えてくれる人っていませんか?

 私は電源喪失による冷却不能が原因だとばかり思っていたので、電源喪失への対策があれば
(古い原子炉でなければ)大丈夫だと思っていました。
 なので、より安全な新型原発をどんどん作って古い原発に置き換えてほしいですね。

鴉鳥鴉鳥 2012/11/23 12:55 否定するだけなら誰でも出来ますよね。小学生だってできる。
中学生くらいになればちょっと小難しい理屈こねまわして付け足すくらいには頭が回るようになります。

批判は大切ではあると思いますが、否定だけではなく「じゃあ(当時)どうすべきだったのか」も入れないと、単なる投げっぱなしで何の意味も無いかと。


それと、「絶対安全」なんてものはこの世のどこにも存在しないのは当たり前すぎるほど当たり前です。
でも、それでも虚構であっても「絶対安全」を謳わなければならなかった理由も考えてみるべきでしょう。
きっと先に書いた「では(原発が駄目なら)どうすべきだったのか」が理解できると思います。

千葉壽美子千葉壽美子 2013/01/03 12:24 初めまして。最近ライブドアのメルマガを読み始めたものです。貴方の考え方はたいへん前向きだし、個人的にも好ましく感じますが、「原発」に関しては考え直していただきたいです。というのは、T.D.ラッキーという科学者が昨年6月、”Journal of American Physicians and Surgeons"というアメリカの医学雑誌に「電離放射線の生物学的効果 日本に贈る一視点」という論文を発表しました。その冒頭で博士は、「世界のメディアの大半は放射線はすべて有害であるとおもいこんでいる。もし、日本政府が2011年3月の地震と津波がもたらした福島原発事故への対応にあたってこうした思いこみに支配されるなら、すでに苦境にあえぐ日本経済が途方もない無用な失費に打ちのめされることになろう」とかいています(ラッキー博士の日本への贈り物「放射能を怖がるな!」茂木弘道氏著より)実際に、福島原発事故で水素爆発をおこした原発は日本の原発でも最も古いものでアメリカの原子炉をつかったもの、津波で電源装置が流されたための事故です。また、一番震源地に近い場所にあったにもかかわらず自動的に停止して殆ど被害もなく、安全地帯として住民の避難場所となった宮城県の女川原発に関しては、日本のマスコミは全く報道していません。日本は資源がなく、シーレーンが閉ざされたら(台湾が中国の支配下になるとシーレーンは閉ざされます)、石油が入ってこなくなるし、火力発電では今日、毎日燃料費だけで3億円かかっているそうですし・・最近アメリカより「日本の原発技術を取り入れたい」という内容の申し込みがあったと聞いております。もちろん、超大地震でも無事だった最新型日本製原発(女川原発)のこと。博士によると、福島原発事故で、住民を避難させる必要はなかったとのこと。被害はむしろ風評被害のほうだったようです。