木走日記

場末の時事評論

テロには金銭を一切与えるな、外交方針も変えるな〜日本が対イスラムで有するユニークな立場を正しく外交に活用すべき

 中東歴訪中の安倍首相に激震です。

 人質二人の写真はこちら。


http://i.imgur.com/Dd5NYeo.jpg

 ビデオメッセージのタイトル画像です。


http://i.imgur.com/OVRZe8N.jpg

 ユーチューブ上のビデオ動画はこちらで確認できます。(1分40秒)

مؤسسة الفرقان تقدم : رسالة الى حكومة وشعب اليابان
https://www.youtube.com/watch?v=agaF1CkZwR0&feature=youtu.be&t=31s

 72時間以内に身代金が払われなければ最悪の事態を招くとされています。

 さて時間はありません。

 当ブログとして現時点での考えを整理しておきたいと思います。

 日本国として今回の国際テロとどう対峙すべきなのか?

 いかなる国で発生するテロ行為においても、自国人の人命を守るべきは自国政府の責任であります。

 ただし、日本国は米英仏のように対テロ特科部隊を有しても要してもいないし、憲法上の制約もあり軍事作戦で対応することは不可能であり、そのことは国際テロ集団もはなから理解していると思われ、今回の「イスラム国」のテロ行為でも日本からの軍事的反撃の可能性はゼロであることは熟知しての行為であると思われます。

 従って日本政府としては、あらゆる外交チャネルを駆使して人質救出の手段を模索する以外に方法はありません。

 「イスラム国」のこれまでの行動を考えれば、身代金に応じなければ人質が殺害される可能性は大きいです、しかしながら2億ドルという巨額の身代金に応じることは絶対にあってはなりません。

 テロ集団におどせば金を出す国という印象を与えてはなりません。

 今後日本人をターゲットにしたテロ行為を助長させないためには、今回のテロ行為も含めてテロ集団に日本人をターゲットにしたテロ行為にはいかなる「戦利品」をも与えてはならないと考えます。

 「戦利品」とは、金銭だけではなく日本の外交姿勢への影響も含めます。

 このテロ行為によりそれを解決するために「イスラム国」に益が発生してはいけません。

 日本政府による対「イスラム国」対策支援がきっかけだとすれば、テロによりそれを取りやめるような行為は絶対にしてはいけない、それこそテロリストたちの思うつぼであります。

 ・金銭は与えない。

 ・外交方針は変えない。

 この2点が肝心です。

 ・・・

 さてそのうえでですが、日本はイスラム社会と今後どうつきあっていくべきか、しっかりとした議論はあってしかるべきでしょう。

 イスラム諸国の対日観は大きく2つに分かれています。

 ひとつは歴史的に親日国が多いことです。

 日本は非白人国家で唯一欧米白人国家にたてをついた誇り高き国である、日露戦争第二次世界大戦を肯定的に評価する人が多いのは、油めあてに白人国家に蹂躙されてきた歴史を持つイスラム諸国には非白人である自分たちの仲間としての「日本人」に共感を持っている人々が多いわけです。

 日本が白人諸国のようにイスラム諸国を蹂躙したことがないことも事実としてあげられます。

 また戦後、焼け野原から見事に経済復興し欧米先進国と肩を並べる技術水準を保持していることも好感を持って評価されています。

 今回の安倍外交が実現したように、イスラエルパレスチナを同時に訪れ双方からウエルカムの歓迎をされる国家首脳は先進国ではきわめて稀少なのであります。

 しかしながら矛盾するようですが戦後日本のポリシー無き対イスラム外交政策には、反感と軽蔑の混ざった失望感も渦巻いています。

 これといった意思を示さず、基本的に欧米追従の無難な外交に終始し、軍隊は出さないが経済支援だけ、経済的な関心しかないカネだけの外交、結果今回のテロの標的にもなるように、「イスラム国」を軍事攻撃している米英と同列に日本人も敵対対象と見なされてしまったわけです。

 日本は欧米諸国と価値観を同じにする民主主義国家であります。

 そのうえで日本はイスラム社会と今後どうつきあっていくべきか、日本は非白人国家であり、同時に非キリスト教国家であり、そして歴史的にイスラム国家を支配したことはない(第二次世界大戦中にインドネシアを占領した例外はありますが、結果的に戦後オランダからの植民地解放が実現して独立を勝ち取ったことから、現インドネシア人の対日観は極めて友好的です)ことは、しっかりと踏まえたうえで毅然とした外交方針を打ち立てていくべきです。

 具体的にはいかなるテロ行為にも屈しない妥協しない強い意志をまずしめすことが肝心です。

 テロ行為があっても、金銭は与えない、外交方針は微動だにしない、変えない。

 そのうえで経済協力や技術協力を通じて平和外交に徹することです。

 テロには屈しない非白人国家として、欧米諸国とは一線を期した(歴史的にも心情的にもです)イスラムの良き友人であることを毅然として外交で実践し続けるべきでしょう。

 欧米諸国と価値観は共有しつつ、日本が対イスラムで有するユニークな立場を正しく外交に活用すべきです。

 一部の論者が安倍積極外交がテロを招いたと批判していますが、本末転倒もいいところです。

 当ブログは今回の安倍中東諸国歴訪ならびに経済支援を断固支持します。



(木走まさみず)