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2015-08-12 「日本には実験なしで核兵器開発できる能力がある」(中国メディア)

[]「日本には実験なしで核兵器開発できる能力がある」(中国メディア)は本当か? 16:12



 中国メディアの環球網は8日、日本は核実験なしで核兵器を作る技術力があり、短期間で中国以上の核兵器大国になる能力があるとの考えを示し、警戒を呼び掛ける論説を掲載いたしました。

日本には「実験なし」で核兵器開発できる能力がある!=中国メディア

http://news.searchina.net/id/1584694?page=1

 中国城市安全研究所副所長の楊承軍教授による署名原稿です。

 論説のポイントはこうです。

 ・日本には世界最大のヘリカル型核融合実験装置があるなど、核融合技術で世界一流。

 ・核爆発実験をしなくても高性能のスーパーコンピューターによるシミュレーションで核兵器を作る能力がある

 ・日本はミサイル搭載用の核弾頭を開発する能力もあり、極めて短期間のうちに、「世界第3位の核兵器保有国」になれる

 (※2014年時点で、世界で核兵器を最も多く保有する国はロシアで総数8000発、第2位は米国で7315発とされる。第3位以下はフランス(300発)、中国(250発)、英国(225発)の順なので、この主張は日本は300発以上の中国を越える核兵器の保有が短期間で可能という意味合いを持つ)

 ・日本が核兵器を保有した場合、西太平洋地区、とくにわが国の安全に対する重大な脅威となる

 従って、日本の核兵器についての動向に「強い関心を持ち続けねばならない。絶対に警戒を緩めてはならない」との主張で論説は結ばれています。

 さて、たいへん興味深い楊承軍教授による署名原稿でありますが、これ、本当なのでしょうか。

 さて究極の攻撃兵器「核弾頭」を保有するには、これはもう「自衛権」におさまるはずもなく、憲法9条がある限り不可能でありますことは自明ですから、憲法改正をしなければなりません。

 国是としてきた非核三原則も吹っ飛びますし、同盟国特にアメリカがそれを許すのか大きく疑問符が付きますし、唯一の被爆国である日本の国民感情からしても、日本が核兵器保有を可能とするのは、技術的以前に大きな大きなハードルがありますので、現状では実現性ゼロと言っていいでしょう。

 ですが、これらの諸問題をすべて解決したと仮定(可能性は限りなくゼロでしょうが)して、思考実験的に「日本には実験なしで核兵器開発できる能力がある!」のか、考えてみたいと思います。

 なお、当ブログは工学系の人間ではありますがあくまで素人の論考でありますから、以降の文章で技術的誤りとかあればご指摘いただければ幸いですが、あくまで読み物として、愛をもってお読みくださいませ。

 ・・・

 論説のポイントを押さえていきましょう。

日本には世界最大のヘリカル型核融合実験装置があるなど、核融合技術で世界一流。

 これは事実です。

 核融合の研究で日本が世界の先端を走って居る事は有名な話であります。

 実は、アメリカは長い間、この研究は水爆の研究と同じなので日本は中止すべきだと凄い圧力を掛けて来ました。

 しかし、弱腰の日本政府には珍しく毅然とした態度で突っぱねて来たんですね。

 「これは、日本の未来だけでは無く人類の未来の為に必要な無限のエネルギーを開発可能な平和利用目的の開発だから、アメリカが文句を言う筋合いでは無い!」、まあ本当はもう少し軟弱な言い方(苦笑)でしたが、そう言って毅然として継続し、莫大な予算を投入して来たんです。

 核融合は、世界最先端の爆縮技術が無いと実現不可能な超高度技術です。

 その為に、日本政府は昭和30年代から研究を継続しております。

 こうした技術の積み重ねと実験データが有りますので、日本の核融合技術は世界が認める最先端技術であります。

 で、次。

 ・核爆発実験をしなくても高性能のスーパーコンピューターによるシミュレーションで核兵器を作る能力がある

 これも半分は本当です。

 すでにアメリカはスパコンでシミュレートする技術が確立していますから、実際の核実験は行っていません。

 日本の技術力をもってすれば、高性能のスーパーコンピューターによるシミュレーションで核兵器を作る能力はあります。

 ただし正確にスパコンでシミュレートするためには、たくさんの実データ(原爆実験を何度も行い豊富な実験データを蓄積する)がどうしても必要ですが、核実験をしたことがない日本にはこの蓄積がありません。

 従って、ずばりアメリカが有する核実験データの情報提供を日本にしてくれるのか、ここがポイントになると思われます。

 なので他国依存が少し関わりますので「半分は本当」としておきます。

 さて、次。

 ・日本はミサイル搭載用の核弾頭を開発する能力もあり、極めて短期間のうちに、「世界第3位の核兵器保有国」になれる

 これは核弾頭を運ぶミサイルと核弾頭そのものと分けて考えます。

 「世界第3位の核兵器保有国」になるためには、300発の核弾頭ミサイルが製造できなければなりません。

 で、300発の弾道ミサイルの量産ですが、日本はできます。

 2年前、日本独自技術の固体燃料ロケット「イプシロン」の打ち上げに成功しています。

2013-08-28■[科学]韓国には言わせておけばいい、飛べ、日本のイプシロン!〜潜在的な意味で日本の安全保障上のカードにもなり得るすばらしい技術

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20130828

 このイプシロンではロケット自らが人工知能により不具合の有無をチェック可能です、これは簡単に言えばロケット内のチェックすべき総数数万の各パーツをLAN(ローカルエリアネットワーク)化して掌握し人工知能により正確な自己判断を行うという、ロケット技術としては世界初の最先端の試みであります。

 そして、打ち上げ費用30億(目標値)という驚異的な費用圧縮と、ロケットに人工知能搭載という最新の日本のIT技術を結集した日本独自の固体ロケット技術なのです。

 さて、イプシロンは日本の主力ロケット「H2A」などの液体燃料大型ロケットではなく、固体燃料を用いた中型ロケットであります。

 ここがキモです。

 固体燃料を用いる技術であることから、弾道ミサイルに即軍事転用可能である、すなわちイプシロン打ち上げ成功は大陸間弾道ミサイルICBM)への転用も可能な技術を日本が確保した事を意味します。

 静止衛星は地上3万6千キロの静止軌道に打ち上げますが、約1トンの衛星を地上3万6千キロに打ち上げるという技術は弾道ミサイルの技術をはるかにしのぎます。 

 そして費用圧縮にも成功したイプシロンは量産可能です。

 で、肝心の核弾頭であります。

 ようは核爆弾の小型化ですが、まったく問題なく現在の日本の技術でそれを実現可能です。

 ただここでも核実験ができないことを考えるとアメリカの情報提供がほしいところではありますね。

 最後のポイント。

 ・日本が核兵器を保有した場合、西太平洋地区、とくにわが国の安全に対する重大な脅威となる

 まあそうなるでしょうね。

 核弾道ミサイルを300発保有する技術も原料も、日本には十分にありますから。

 ・・・

 まとめます。

 国民が核を持つ意思をしめし、憲法が改定され、同盟国の同意を得て、特にアメリカが技術的に協力してくれる、というおそらく有り得ないだろう仮定で考えてまいりましたが、「日本には「実験なし」で核兵器開発できる能力がある!」という中国発の論説ですが、ある程度当っていると当ブログは考えましたが、はたしてどうでしょうか?

 いずれにしても日本の有する技術力をもってすれば、核爆弾を持つという国民の総意・意思が固まれば、それは早期に実現可能であろうと思われます。

 さてエントリーして思いついたのですが、安全保障上のカードとして、また現憲法に抵触しない範囲で何か可能なことはないのかという意味でこんなのはいかがでしょうか。

 製造技術を確立してプルトニウム抜きの核爆弾を300発ほど保有する。

 そしてイプシロンを改良して弾道ミサイルも同数量産しておく。

 プルトニウムが入っていませんから、爆発もしないし兵器ではないことになります。

 で、日本を怒らしたら、いつでも瞬時にプルトニウムを挿入できるぞ、という脅しになります。

 「日本がその気になれば核ミサイルはすぐに保有できる」、この事実だけでも安全保障上の有効なカードとなると思います。

 読者の皆さんはどうお考えでしょうか。



(木走まさみず)

五郎五郎 2015/08/12 19:30 私もしろうとですが、
>核融合は、世界最先端の爆縮技術が無いと実現不可能な超高度技術です。

この文章、すごく変です。
核兵器には原爆と、原爆を引き金として核融合反応を起こさせる水爆があります。
プルトニウム型原爆の場合、中空の球状にしたプルトニウムの周囲に通常火薬を詰めて爆発させ、球を押しつぶすことで超臨界に持ち込み原爆の爆発に至ります。この火薬で球を押しつぶすことを爆縮と呼びます。ただし、核融合の分野で別の意味で爆縮という言葉が使われているのかもしれませんが、私には知識がありません。通常の意味であれば、爆縮は困難な技術ではありますが、通常火薬の爆発ですから北朝鮮でさえ成功したのではないでしょうか。

>日本には世界最大のヘリカル型核融合実験装置があるなど、核融合技術で世界一流
それは事実でしょうが、実験装置と核兵器との直接の関係はありません。水爆の設計には多少役立つかもしれませんが。

>で、300発の弾道ミサイルの量産ですが、日本はできます。

日本が大量に保有するプルトニウムは原子炉級と呼ばれるもので、プルトニウム240という不純物の濃度が高すぎて、原爆の製造には使えません。高速増殖炉から取り出したプルトニウムは兵器級と呼ばれ、不純物が少ないので原爆の製造に使用できると見られていますが、保有量はせいぜい多くて10発分程度のようです。IAEA の監視下にありますので、プルトニウムを自由に使用できないと思われます。兵器級プルトニウムを製造するには黒鉛炉または高速増殖炉が必要です。

> 「日本がその気になれば核ミサイルはすぐに保有できる」、この事実だけでも安全保障上の有効なカードとなると思います。

このご意見には賛成ですが、残念ながら、300発保有は無理ではないかと思います。

核兵器についての詳細情報はこちらを御覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/stopchina/e/17dd690576e34c7547d03a0dd0eaa344

私は通常の核兵器ではなく、純粋水爆の研究を極秘裏に開始すべきと考えています。プルトニウムは不要ですので、IAEA にイチャモンをつけられません。
http://blog.goo.ne.jp/stopchina/e/cfadefa17a3b3d6d293b391283bd4771

核保有賛成核保有賛成 2016/06/07 05:58 私も同じ意見です。
米露のように核だけを抜いていつでも核を挿入できるようにし、名目上では核兵器をもっていないようにしたら非核三原則にも反せず、核抑止力を発揮できるのではないかと思っております。

ミセスミセス 2016/06/21 00:36 とてもわかりやすく説明有難うございます。
謎が解けました。日本には核はいりません。中国が日本に対して脅威を感じているのは、先の大戦があるからですね。日本は核兵器を持ちたい人が増えています。

ミセスミセス 2016/06/21 00:36 とてもわかりやすく説明有難うございます。
謎が解けました。日本には核はいりません。中国が日本に対して脅威を感じているのは、先の大戦があるからですね。日本は核兵器を持ちたい人が増えています。

りょりょ 2016/09/22 00:24 ずいぶん古いですが
五郎さんがおかしいという
「核融合は、世界最先端の爆縮技術が無いと実現不可能な超高度技術です」
の爆縮は、WW2時代の爆縮レンズの話ではなく、レーザー核融合の話ではないでしょうか。
レーザー核融合は、レーザーにより燃料を強電離させ超高温(10^4eV程度→1億度程度)のプラズマ膨張により爆縮を行い、核融合を開始させる手法です。
一方その後の話にでてくる「世界最大のヘリカル型核融合実験装置」というのは強力な磁場により低密度なプラズマを封じ込め、核融合を行う方法です。磁場核融合などと言われるものです。
どちらもまだまだ研究中の分野です。
水爆に関する実験ということは、間違いありませんが核融合の爆縮とヘリカル型核融合の実験は、異なるアプローチによる核融合技術です。
話がそれましたが非常に、理にかなった文章となります。
ただ、正しくは、「核融合は世界最先端のレーザー核融合技術と磁場核融合技術」を必要とするだと思います。

いろいろ調子に乗って説明してみましたが、ちょっと間違ってるかもしれません。
なんせ当方、宇宙機とプラズマ環境の研究分野の学部生ですので核融合は範囲外なので、、プラズマの学習の際に学んだ知識ですし、
ただ、宇宙機よりの研究に携わる者としては、宇宙技術に対してはほかにもいろいろな部分評価してほしいなぁっと思いました。

大日如来大日如来 2017/05/31 07:22 いじめられっ子が空手黒帯目指す思考だと思うのですが…
今はテロ主流で保有国は足元を掬われ攝ません。
小型爆弾で自爆テロをスタジアムや通勤時間の山手線などでやられたら被害は核弾頭より少なくとも甚大なる惨事には変わりません。
力には力とは所詮、臆病から端を発しているのでは無いのでしょうか?

清美寺西To。.

2015-06-11 ■細胞の老化:原因は遺伝子の「メチル化」記事の解説を試みる

[]■細胞の老化:原因は遺伝子の「メチル化」記事の解説を試みる〜読み物として楽しんでほしい(間違ってても大目に見てほしい) 15:46



 さて今回は時事を少し離れて久しぶりに科学的話題を取り上げてみたいと思います。

 9日付けの毎日新聞の科学記事から。

■細胞の老化:原因は遺伝子の「メチル化」 筑波大など発表

毎日新聞 2015年06月09日 12時30分

 細胞の中で酸素からエネルギーを生産するミトコンドリアは、細胞の核のDNA(デオキシリボ核酸)の変化によって機能が落ちるとの研究成果を、筑波大などのチームが英電子版科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表した。ミトコンドリアの機能低下は老化が進む一因と考えられており、今回の発見は「細胞の若返り」の研究に役立つ可能性があるという。

 ミトコンドリアの機能低下はこれまで、加齢によってミトコンドリア自体のDNAが突然変異を起こすことが原因とみられていた。しかし、チームが胎児?12歳、80?97歳の2グループから提供を受けた体細胞を分析すると、ミトコンドリアDNAの突然変異に年齢による差はなかった。

 一方、高齢グループの細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作ると、エネルギーを作る機能が回復した。iPS細胞では、細胞核の時計を胎児のような状態に巻き戻す「初期化」が起きている。初期化してもミトコンドリアDNAの突然変異は消えないため、機能低下は細胞核の遺伝子が「メチル化」と呼ばれる変化をしたのが原因だと結論付けた。

 さらに、機能低下した細胞にアミノ酸の一種「グリシン」を加えると、機能が一部回復することも確認された。チームの林純一・同大特命教授(細胞生物学)は「グリシンを摂取すれば老化を遅らせることが期待できるが、がん細胞を増やすとの報告もあり、慎重に研究を進めたい」と話す。【去石信一】

http://mainichi.jp/select/news/20150609k0000e040217000c.html

 さて、理系とはいえ工学系の当ブログでは、細胞の老化の原因は遺伝子の「メチル化」とのこの記事の内容がさっぱりわかりません(苦笑)でした。

 当ブログは、普段メディアリテラシーなどと偉そうなことを言いつつマスメディア批評を売りにしている場末のブログなのですが、この種の専門外の科学記事は大の苦手でありまして、このような場合には深い海の底の貝のように静かに沈黙を守るのが常であります。

 しかし今回のこの記事は難解極まりないですな・・・

 おそらくこの記事の内容を理解できないのは私だけではありますまい。

 そこで今回はこの記事の素人にもわかる解説を試みます。

 難しい専門用語は徹底的にはぶきます、あと解説するこちらも生化学のド素人でありますから、内容に誤りやあいまいさがあったとしても(おそらくあるでしょう、ふつうに考えて)、当ブログは一切の責任を負いかねますこと、了解のうえ、エントリーを楽しいでくださいませ、そこのところよろしくお願いいたします。

 読み物としてお楽しみください。

 なお登場する図は、すべて当ブログオリジナル作成(ここもあってるかあやしい(苦笑))版です。

 ・・・

 さてDNA(デオキシリボ核酸)がさっぱりわからないと話が進みません。

 あの鎖のように数珠つなぎになっているDNAは、実は「記憶素子」と「ベース板」と「接着剤」でできているわけです。

 まず「記憶素子」ですが、塩基と言いまして、DNAではアデニン(A)とグアニン(G)とシトシン(C)とチミン(T)の四種類使われているわけです。

 ちなみにアデニンはこんな感じ。

f:id:kibashiri:20150611142205p:image

 で、このアデニンなど四種類の「記憶素子」を1個だけ乗せる「ベース版」がデオキシリボースってやつです。

f:id:kibashiri:20150611142638p:image

 例えばアデニンをデオキシリボースに乗せるのは、下の図の青いとこのHとOHが取れてくっつきます。

f:id:kibashiri:20150611142743p:image

 こんな感じ。

f:id:kibashiri:20150611142946p:image:w640

「記憶素子」すなわち塩基を1個だけ乗せた「ベース版」のことをデオシキヌクレオシドっていいます。

f:id:kibashiri:20150611143055p:image

 さてこれがDNAを構成する基本パーツでありますね。

 で、このパーツを数珠つなぎするのに使う「接着剤」がリン酸です。

f:id:kibashiri:20150611143144p:image

 まず「接着剤」リン酸をさっきのデオシキヌクレオシドにくっつけます、くっつけ方はさっきと同じ要領です、下の図の青いとこのHとOHが取れてくっつきます。

f:id:kibashiri:20150611143256p:image

 デオシキヌクレオシドに「接着剤」リン酸がついたのをデオシキヌクレオチドと言います、ああややこしい(苦笑)。

f:id:kibashiri:20150611143425p:image

 さあ「記憶素子」を乗せた「ベース版」に「接着剤」もつきました。

 いよいよ「ベース版」同士をくっ付けて数珠つなぎを完成させます。

 千里の道も一歩からであります。まずは二つをくっ付けましょう。

 「接着剤」リン酸を使ってふたつの「ベース版」をくっ付けます、くっつけ方はさっきと同じ要領です、下の図の青いとこのHとOHが取れてくっつきます。

f:id:kibashiri:20150611143551p:image

 これでできあがり、この結合、ホスホジエステル結合っていうそうです。

f:id:kibashiri:20150611143704p:image

 さあゴールは近いです、「ベース板」に「記憶素子」である塩基と、「接着剤」であるリン酸がくっついているデオシキヌクレオチドですが、リン酸も省略しちゃえばこんな感じ。

f:id:kibashiri:20150611143827p:image

 で数珠つなぎのできあがりです。

f:id:kibashiri:20150611143917p:image

 はい、これがDNA(デオキシリボ核酸)の正体です。

 わかりやすいですね。

 ・・・

 さて「メチル化」であります。

 簡単に言えば、「メチル化」ってのは、なんかの拍子で、有機化合物の中の水素HがメチルCH3に置き換わっちゃうことなんです。

 ちょっとネットから引用。

 脊椎動物のDNAメチル化は、CpG サイト(シトシン-リン酸-グアニンサイト;シトシンがDNA配列のグアニンと隣り合う場所)に起こり、シトシンは5-メチルシトシンに転換される。

 うん、DNAは細胞分裂するときとかコピーされていくのですが、「記憶素子」である塩基で「メチル化」が起こるわけですね。

 そうするとメチル化もコピーされちゃうわけです。

 で、年寄りのDNAは子供に比較して当然「メチル化」が多いわけです。

 で上の記事で言ってるのは、そんな年寄りのDNAもiPS細胞使って「初期化」すれば、つまりたくさんついてた「メチル」を取ってあげると、なんと「エネルギーを作る機能が回復」しちゃったといってるわけです。

 一方、高齢グループの細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作ると、エネルギーを作る機能が回復した。iPS細胞では、細胞核の時計を胎児のような状態に巻き戻す「初期化」が起きている。初期化してもミトコンドリアDNAの突然変異は消えないため、機能低下は細胞核の遺伝子が「メチル化」と呼ばれる変化をしたのが原因だと結論付けた。

 ・・・

 どうでしょう、読者のみなさん。

 楽しんでいただけましたでしょうか。

 最後に参考にしたサイトなどリンク付けておきます。

 ふう。

(参考サイト)

■メチル化

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%81%E3%83%AB%E5%8C%96

■DNAメチル化

http://ja.wikipedia.org/wiki/DNA%E3%83%A1%E3%83%81%E3%83%AB%E5%8C%96

■デオキシリボ核酸

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%AA%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%9C%E6%A0%B8%E9%85%B8

■アデニン

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%87%E3%83%8B%E3%83%B3

■シトシン

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%B3

■重合体(じゅうごうたい)またはポリマー

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8D%E5%90%88%E4%BD%93

■デオキシリボース

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%AA%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%B9

■核酸の構造(※重要)

http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/nuclacid.htm

■リン酸

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3%E9%85%B8

■エピジェネティクス 

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%94%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8D%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B9



(木走まさみず)

2015-04-16 「ゼロリスクを求めては車は走れず航空機も飛べない」(産経)に反論

[]「ゼロリスクを求めては車は走れず航空機も飛べない」(産経新聞)にそっと反論してみる〜それはそうだが、私たちは人の作るシステムのその科学的限界性についてもう少し謙虚にあるべきではないのか? 15:02



 産経新聞がお怒りです。

 この二日連続で社説にて「高浜原発差し止め」の今回の司法判断を取り上げています。

(参考記事)

【15日付け社説】

高浜原発差し止め 「負の影響」計り知れない

http://www.sankei.com/column/news/150415/clm1504150002-n1.html

【16日付け社説】

高浜異議申し立て 迅速に決定を覆すべきだ

http://www.sankei.com/column/news/150416/clm1504160003-n1.html

 社説以外の記事でも、「企業を潰し 国を滅ぼす司法判断」、「司法の暴走」、「科学的考察せず」、「国策揺るがす?暴走司法?」、「この裁判官はヒーローじゃない」などと、社を挙げてのお怒り記事の乱れ打ちであります。

(参考記事)

企業を潰し 国を滅ぼす司法判断 川内原発は22日に仮処分判断

http://www.sankei.com/west/news/150415/wst1504150066-n1.html

再稼働阻む「司法の暴走」専門家批判 「人格権」盾に科学的考察せず

http://www.sankei.com/west/news/150414/wst1504140095-n1.html

「新規制基準まで否定…」高浜再稼働シナリオ狂い、関電の再々値上げも

http://www.sankei.com/west/news/150415/wst1504150009-n1.html

「地方の裁判官が断じていいのか」国策揺るがす?暴走司法?…「停止ドミノ」に警戒感

http://www.sankei.com/west/news/150416/wst1504160011-n1.html

この裁判官はヒーローじゃない(4月15日)

http://www.sankei.com/west/news/150415/wst1504150035-n1.html

 産経が特にお怒りなのは、「政府が『世界で最も厳しい』と強調する原子力規制委員会の審査を通り、年内の再稼働を目指していた」のに、「特異な内容で」「再稼働はできない」ことが決定しまったことです。

【16日付け社説】より抜粋。

 高浜原発は今年2月、政府が「世界で最も厳しい」と強調する原子力規制委員会の審査を通り、年内の再稼働を目指していた。

 判決が確定するまで法的効力を持たない本訴訟とは違い、仮処分の決定はただちに効力を持つ。このため、地裁での異議審や高裁の審理で決定が覆らなくては、再稼働はできない。

 異議審や高裁には、迅速で正常な審理を求めたい。同時に政府や関電はその間も、再稼働に向けた準備を進めてほしい。この決定は速やかに見直されるべきだ。それほど特異な内容である。

 この決定は「ゼロリスクの証明を迫ったもの」であり、こんなことでは「ゼロリスクを求めては、車は走れず、航空機も飛べない」ではないか、とお怒りなのです。

 決定は、高浜原発に対する規制委の審査内容をことごとく否定し、新規制基準に対しては「適合していれば万が一にも深刻な災害は起きないといえる厳格さ」を求めた。いわば、ゼロリスクの証明を迫ったものだ。

 だがゼロリスクを求めては、車は走れず、航空機も飛べない。一方で決定は、再稼働を認めないことによる経済的リスクや地元への影響などには言及していない。

 これはこちらのコラム「この裁判官はヒーローじゃない(4月15日)」でも主張されています、「100%の安全性、ゼロリスクでなければいけないという」のは「非現実的」だろうが、とのたまっております。

 ▼福井地裁の樋口英明裁判長が関西電力高浜3、4号機の再稼働差し止めを命じる仮処分を決定した。理由は原子力規制委の新規制基準を否定した部分にある。「基準には、適合していれば万が一にも深刻な災害が起きないという厳格さが求められる」。100%の安全性、ゼロリスクでなければいけないというのだ。

 ▼非現実的ではないか。100%、あるいはゼロは科学的ではない。だからあらゆる危険性を想定し、安全対策に手を尽くす。そうした議論を無視し、エネルギー事情も考慮しなかった。申立人や一部のマスコミは「司法は生きていた」とヒーロー扱いだが、そうだろうか。

 うむ、「司法の暴走」にお怒りのあまり「報道の暴走」が止まらない(苦笑)産経新聞なのであります。

 ・・・

 さて、この司法の決定を受けて地裁前で「司法はやっぱり生きていた!!」などのプラカードを掲げてはしゃいでいた原発反対派もいたようですが、こと原発問題に関しては賛成派も反対派もともすると、科学的ではなく感情的な論が先行してしまうきらいがあります、某女性議員ではないですが「エモーショナルな感じで議論されることはまことに残念」なのであります。

 当ブログとしては少し冷静にこの件を考察してみたいのです。

 この件ですがBLOGOSのアンケートでも読者の意見は二分されているようです。

高浜原発の差し止めの仮処分。あなたの意見は?

■再稼働はやめるべき 2621票 54%

■再稼働は進めるべき 2067票 43%

■わからない 170票 3% 

http://blogos.com/enquete/26/detail/

※16日13:30現在

 さて産経新聞が指摘している通り、人間が作る機械やシステムなどの構造物に「リスクゼロ」を求めることは、不可能であり非科学的でありましょう、それこそ「ゼロリスクを求めては、車は走れず、航空機も飛べない」ことになります。

 では上記アンケートで「再稼働はやめるべき」と答えた人たちがすべて原発に「リスクゼロ」を求めているかといえば、それには違和感を感じます。

 少なくとも当ブログは「脱原発派」を自認していますが、原発に不可能なゼロリスクを求めてはおりません。

 どんなに安全性を高める努力をしても、原発だけでなく人が作ったシステムに「絶対安全」ということはありません、必ずある程度のリスクは残ります。

 いわゆる「残余のリスク」であります。

 「残余のリスク」ですが広義にはシステム一般に用いられますが、原発に絞った狭義の定義は国の「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」において「残余のリスク」は、こう定義されています。

『策定された地震動を上回る地震動の影響が施設に及ぶことにより、施設に重大な損傷事象が発生すること、施設から大量の放射性物質が放散される事象が発生すること、あるいは、それらの結果として周辺公衆に対して放射線被ばくによる災害を及ぼすことのリスク』

(参考資料)

耐震指針検討分科会における 「残余のリスク」 に関する資料集

http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/taisinbun/taisinbun038/ssiryo2.pdf

 この「残余のリスク」がゼロになることを求めることは科学的に不可能です。

 今回の決定において司法は「全国で20カ所にも満たない原発のうち四つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が2005年以後10年足らずの間に到来」していた事実を挙げ、「関西電力の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見いだせない」としています。

 基準地震動は原発に到来することが想定できる最大の地震動であり、基準地震動を適切に策定することは、原発の耐震安全性確保の基礎であり、基準地震動を超える地震はあってはならないはずである。

 しかし、全国で20カ所にも満たない原発のうち四つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が2005年以後10年足らずの間に到来している。本件原発の地震想定が基本的には上記四つの原発におけるのと同様、過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づいてなされ、活断層の評価方法にも大きな違いがないにもかかわらず関西電力の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見いだせない。

「新基準、合理性欠く」高浜原発差し止め仮処分決定要旨 より抜粋

http://digital.asahi.com/articles/ASH4G5DGYH4GPTIL02C.html

 これに対し、例えば原発推進派の論客である池田信夫氏は自身のブログにてこう反論しています。

 失礼して当該箇所を抜粋、ご紹介。

つまり基準地震動とは「あってはならない地震動」ではなく、それが起こっても十分な残余リスクに耐えられるように原発は設計されているのだ。事実、仮処分決定もいうようにこれまで「四つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が2005年以後10年足らずの間に到来している」が、それによって破壊された原発は1基もない。福島第一も、基準地震動をはるかに超える地震動に耐えて停止したのだ(事故の原因は津波)。

池田信夫ブログ

基準地震動は「あってはならない地震動」ではない より抜粋

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51935476.html#more

 「それが起こっても十分な残余リスクに耐えられるように原発は設計されている」との記述部分はあたかも残余リスクがゼロであるような誤解が生じうる表現で賛同しかねますが、「福島第一も、基準地震動をはるかに超える地震動に耐えて停止したのだ(事故の原因は津波)」との主張は、同意するものであります。

 確かに福島第一原発は地震には耐えた、しかしその後の津波により全交流電源喪失(station black out: SBO) という「想定外」の事態に陥り、本来の原子炉の冷却機能が働かず、原子炉冷却水損出事故 (loss of coolant accident: LOCA) となり、最悪の炉心損傷事故となったわけです。

 ここでしかし、問題視すべきは全交流電源喪失(station black out: SBO) という最悪の事態を、国も東電も「想定」していなかった事実です。

 日本では全交流電源喪失(SBO)は「想定外」と発表されました、しかし、アメリカ原子力規制委員会(NRC) は、30年前から全交流電源喪失(SBO)を起こりうるリスクとしてそのリスク分析を実施しており,これを規制対象としている事実があります。

 その後、NRCは全交流電源喪失(SBO)に伴うリスク分析報告書等を発表しています。

(参考資料)

福島原発震災における残余のリスク

〜リスク評価の妥当性とその帰結〜

http://tkabeblog.up.seesaa.net/image/JSSE1112.pdf

 しかしながら、 日本においては全交流電源喪失(SBO)の発生確率は、十分小さいので、規制的措置は実施せず、各事業者が自主的に対応するという事になっていたのです、努力目標というやつです。

 つまり「想定外」という表現は正確ではなく「そのリスクの存在は既知だが発生確率が十分小さいので対策を講じていなかった」ということです。

 ・・・

 1990年の原子力安全年報第3節では、「現実にシビアアクシデントが起こるとは工学的に考えられない」という記述があります、工学的にはあり得ない「原発は絶対に安全」という神話の時代でありました。

 しかし1999年のJCO事故をきっかけとして、2000年の原子力安全白書のはしがきで、「絶対安全はあり得ない」と明記されたのであります。

 日本では、この時点で、「残余のリスク」概念を導入した事により、工学的に可能ではない絶対安全・ゼロリスクから,本来であればここで決別したと考える事が可能であるはずなのに、福島原発震災において全交流電源喪失(SBO)が起こってしまったわけです。

 ・・・

 今回の決定に賛否両論、国民の意見は割れています。

 現実に原発にゼロリスクを求めることは不可能です。

 必ず「残余のリスク」は存在します。

 しかし全交流電源喪失(SBO)に無策であった福島第一事故の教訓は、想定されうる「残余のリスク」を軽視すべき科学的理由はない、ということです。

 現在の科学的知見・持てる技術力によって、できうる限り「残余のリスク」を少なくする、そのうえで想定されうる「残余のリスク」への対策に不断の努力をする、そのような努力が十分なされているのか、少なからずの国民がその点で疑問を有しているのは、実は福島第一事故で「想定外」な事態・全交流電源喪失(SBO)が起こったことに起因しているのだと考えます。

 福島第一事故の教訓は、何よりも私たちは、人の作るシステムの、その科学的限界性について、もう少し謙虚にあるべきなのだということなのだと思います。



(木走まさみず)

ちかちか 2015/04/17 00:48 「人の作るシステムの、その科学的限界性について、もう少し謙虚にあるべき」
には賛同いたします。
原発の是非についての議論は、ほとんどがリスク、安全性、コストについてであり、
なぜ、エネルギーと安全保障との関係についてTVとかの
メディアが取り上げないのかが不思議です。
水力以外の再生可能エネルギーを利用した発電は、
その発電量を計算できずあてにできません。
また、その品質もよくありません。
また、新たなダムの建設は現実的ではないので、原発を止めれば、
火力に頼ることになると思います。
このとき、石炭やガスを止められることを考えはしないのでしょうか。
また、原子力技術者の流出の問題についてはどうするのでしょうか。
廃炉するにしても、そのお金をどこから捻出するのでしょうか。
廃炉の研究を税金で続けろとでも言うのでしょうか?
それよりかは、今ある発電所を稼働させて、そのお金で、
既存の電力会社に研究してもらうほうが効率的です。
また、そのお金で新たな発電施設を作ってもらうこともできます。
もちろん、このままずっと原子力がいいとは思っていません。
けれども、多様なエネルギー源の確保は重要だと思います。

第2次世界大戦を反省したのか、日本では、当たり前のように良質な
電気を誰でも手に入れることができます。
これは戦後のインフラを整備した先人たちの努力の結果です。
テレビで発言力のある自称文化人の人たちは、
ほとんどの人が電気がなくても困らない人たちです。
そりゃ、あなたたちは原発があろうがなかろうが困らないでしょう、
と思ってしまいます。
良質な電気を安定して供給し続けることがどれだけすごいことか、
多くの日本人は忘れてしまっていると思います。

2014-12-19 組織防衛に走る理研の姿勢を強く批判する

[]組織防衛に走る理研の姿勢を強く批判する〜これでは科学の名を借りた前時代的な「公開裁判」だ! 15:05



 BLOGOSより。

STAP細胞

再現できず。小保方氏は退職

STAP細胞をめぐる検証について、理研は19日に再現ができないことから検証実験を中止すると発表した。小保方氏自身による実験でもSTAP細胞の作製が出来なかった。小保方氏はこれを受け理研を退職、野依良治所長も「これ以上心の負担が増すことを懸念し、本人の意志を尊重することとしました。前途ある若者なので、前向きに新しい人生を歩まれることを期待しています。」として承認したことを明らかにした。

(後略)

http://blogos.com/news/STAPcell/

 うむ、「STAP細胞をめぐる検証について、理研は19日に再現ができないことから検証実験を中止すると発表」、小保方氏はこれを受け理研を退職、理研の野依良治所長も「前途ある若者なので、前向きに新しい人生を歩まれることを期待しています。」として承認したそうです。

 今回の理研の発表および野依良治所長のコメントは、再現実験の失敗とともに、想定の範囲であり、驚くべきものではありませんでした。

 しかしながら工学系大学の教育現場に携わるものの一人として、一連の理研の姿勢は酷過ぎると思います、まったく釈然としないのです。

 今回はこのSTAP細胞問題について取り上げたいと思います。

 ・・・

 当ブログでは4月10日の段階で「小保方論文は”全否定”しなければならない」と主張しています。

2014-04-10 小保方論文は”全否定”しなければならない

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20140410

 このエントリーは、理系の学生レポートを日頃チェックしている私自身の経験から、小保方論文を”全否定”したもので、ネットで少なからずの注目をいただきました。

 エントリーより抜粋。

一言で言えば会見で小保方氏は論点のすり換えを行っている印象を受けました。

 問題になっているのはこの論文に剽窃や改ざんがあったのかどうかという点であり、STAP細胞が確かに作製されたのかどうか実験の成否ではありません。

 もちろん実験の成否はたいへん重要なポイントですが、小保方氏が問われているのは、実験の成否以前の、科学者としてのモラル・誠実さの欠落です。

 科学者としての基礎的倫理観が身に付いていないと断じざるを得ません。

 会見では不注意を謝罪したが、不正と認定されるような論文を発表すること自体、知的誠実さに欠けているのです。

 一般論で言えばここまで論文に不正があれば、実験そのものに「不正」がなかったとしても、科学的信ぴょう性はゼロです。 

 私は、日頃学生の剽窃行為やデータや画像の改ざんには厳しくペナルティを課しています、科学レポートを学生に指導する立場から、小保方氏の反論は認めるわけにはいきません、学術論文に対する甘すぎるその姿勢を認めれば、理研のみならず日本の科学論文全般の信用問題になりかねません。

 私は多くの学生の不正論文にこれまで厳しいペナルティを課してきました。

 私のペナルティにより単位を落としたり卒業できなかった学生もおります。

 STAP細胞が存在するかしないかはたいへん重要なテーマですが、小保方氏の論文に不正があった事実にとっては、二次的なことです。

 小保方論文は"全否定"しなければなりません。

 この問題の本質は論文に著しい不正(剽窃行為やデータや画像の改ざん)がなされたことであり、「ここまで論文に不正があれば、実験そのものに「不正」がなかったとしても、科学的信ぴょう性はゼロ」であると主張いたしました。

 その後、理研の姿勢は理解に苦しむものでした、研究不正が判明した小保方晴子ユニットリーダーら論文著者に対する懲戒処分の審査を開始しつつ追加調査は不要との立場から、一転、懲戒処分の審査を中断、なんとSTAP細胞の有無を確かめる検証実験に当事者である小保方氏が参加することを正式に発表したからです。

 6月30日付け読売新聞記事から。

小保方氏、STAP検証実験参加へ…理研発表

2014年06月30日 22時50分

 理化学研究所は30日、STAPスタップ細胞の2本の論文に関し、追加調査を始めたと発表した。

 4月までの調査で、画像データの捏造ねつぞうなど2件の研究不正が判明したが、その後も新たな疑問が相次ぎ、外部有識者による理研改革委員会は、追加調査を求めていた。理研は、追加調査は不要とする方針の転換に追い込まれた。

 追加調査で研究不正がさらに明らかになる可能性があることから、理研は小保方晴子ユニットリーダーら論文著者に対する懲戒処分の審査を中断した。

 一方、STAP細胞の有無を確かめる検証実験に、小保方氏が参加することも正式に発表した。期間は7月1日〜11月30日で、小保方氏の体調が許す範囲での参加になる。理研は4月から検証実験を始めたが、難航しており、小保方氏に参加を求めた。今夏に中間報告、来春に最終報告という予定は変更しない。

http://www.yomiuri.co.jp/science/20140630-OYT1T50143.ht

 当ブログは「「小保方氏STAP検証実験参加」理研の決定に強く反対する」と題したエントリーをいたしました、「これでは科学の名を借りた前時代的な「公開裁判」となってしまう」と、理研の無責任な姿勢を批判いたしました。

2014-07-01 これでは科学の名を借りた前時代的な「公開裁判」となってしまう

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20140701

 当ブログの主張は明快です、「そもそも不正論文に関わった主たる責任者たちがその管理責任が問われることなく追再実験を行うべきではない」の一点です。

 そもそも不正論文に関わった主たる責任者たちがその管理責任が問われることなく追再実験を行うべきではない、というのが当ブログの理研による検証実験に強く反対する理由のひとつです。

 ましてや小保方氏を参加させるのは絶対反対です。

 本来なら不正論文の当事者である小保方氏は免職されるべきです。

 科学者としてペナルティーが課せられるべき対象者です。

 これは「理研が組織防衛」を図っているのではないか、「理研はこの検証実験で小保方氏を参加させることで、STAP細胞再現の検証作業が失敗に終わった場合、小保方氏に責任を集中させること」を図っているのではないかと、疑念を投げました。

 この時点でそのような小保方氏を参加させる理研の決定には、強い疑念が浮上します。

 それは理研が組織防衛といいますか組織の保身を最優先に考えているのではないか、という疑念です。

 つまり、理研はこの検証実験で小保方氏を参加させることで、STAP細胞再現の検証作業が失敗に終わった場合、小保方氏に責任を集中させることを、画しているのではないのか、ということです。

 これでは「小保方氏参加の検証実験は、科学の名を借りた前時代的な「公開裁判」となってしま」うと警鐘を鳴らしました。

 ならばこの小保方氏参加の検証実験は、科学の名を借りた前時代的な「公開裁判」となってしまいます。

 小保方氏参加のSTAP細胞再現の検証作業が失敗に終わった場合、それが大きく報じられれば、小保方氏は否が応でも強く社会から責められることになるでしょう。

 彼女はスケープゴート(scapegoat)として社会から抹殺されかねません。

 これは人道上の大問題です。

 当ブログでは小保方氏を科学者として強く批判してきました。

 そして小保方氏の科学の世界で起した不正行為には、あくまでも科学の世界でペナルティーが課せられるべきであると主張してきました。

 しかし理研が企てている小保方氏参加の検証実験は、結果が否定された場合、科学者としてのみならず、小保方氏の市民としての社会的ポジションにも悪影響を与えかねない可能性があります、本来彼女に課さられるべきペナルティーを大きく越えた社会的罰が与えられかねない、これでは科学の名を借りた前時代的な「公開裁判」となってしまいます。

 当ブログは、小保方氏のSTAP検証実験参加という理研の決定に強く反対いたします。

 ・・・

 残念ながら当ブログの危惧は現実のものになってしまいました。

 この小保方さん参加の再現実験は、予想通り失敗に終わりましたが、科学的な意義は当初から全くなかったのにもかかわらず、理研の組織防衛上、彼女をスケープゴート(scapegoat)として利用したとしたならば、一連の理研の姿勢は酷過ぎると思います。

 一連の不正論文の問題は、彼女ひとりの責任であるはずがありません。

 当然ながら所長も含めた理研の管理責任は厳しく問われなければなりません。

 まったく釈然としません。



(木走まさみず)

2014-10-07 納得しがたい「実験結果の部分に盗用はない」という早稲田の判断

[]小保方博士論文:納得しがたい「実験結果の部分に盗用はない」という早稲田の判断 18:06



 7日付け朝日新聞電子版速報記事から。

早大、小保方氏の博士号を取り消し決定 1年の猶予つき

2014年10月7日16時17分

 早稲田大は7日、理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダー(31)に2011年に授与した博士号の取り消しを6日付で決定した、と発表した。ただし、約1年間の猶予期間を設け、論文の訂正や研究倫理教育を受ける機会をつくり、博士論文としてふさわしいものになったと判断した場合は、博士号を取り消すことなく維持する、としている。

 小保方氏の博士論文は文章の盗用などの疑義が指摘され、2月に同大が調査を開始。外部の専門家をまじえた調査委員会が7月に発表した報告書で、盗用など11カ所の不正行為を認定していた。調査委は「論文の信頼性や妥当性は著しく低く、審査体制に重大な欠陥がなければ、博士の学位が授与されることは到底考えられなかった」などとする一方で、実験結果の部分に盗用はないなどとして、同大の学位取り消し規定には該当しないと結論づけていた。

 博士論文は、マウスの骨髄や肺などの細胞から万能性をもつ幹細胞を見つけ出すという内容。「STAP細胞」の発想を得るきっかけになったとされる。

http://www.asahi.com/articles/ASGB66V27GB6ULBJ01K.html

 うむ、早稲田大学は小保方氏の博士号を取り消し決定に伴い、1年の猶予つきの決定をしました。

 7月の調査委の発表では、「小保方論文自体は科学的には博士論文としては全く認められないがそれは草稿であって本物ではなかった、本人に「故意の作為」はなく「過失」によるものだから学位取消には該当ぜず」、そのような論文に学位を与えてしまった大学側の指導過程にこそ責任がある、との結論でした。

 実にアクロバティックな非科学的な論理で当ブログは、「過失」による剽窃(ひょうせつ,Plagiarism)行為など有り得ないと批判しました。

2014-07-21■[科学]早稲田調査のアクロバティックな非科学的な論理〜「過失」による剽窃(ひょうせつ,Plagiarism)行為など有り得ない

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20140721

 当該エントリーより抜粋。

 長年、大学・大学院の理工系教育に関わるものの一員として、強く主張いたします。

 「過失」による剽窃(ひょうせつ,Plagiarism)行為など有り得ません。

 そして何箇所も剽窃や改竄箇所が指摘されている科学的には全く認められない「論文」を、「草稿と推認」と問題視すること自体を放棄した早大調査委の判断は、まったく非科学的であり極めて「政治的」意図を感じます。

 一歩譲って「草稿」段階だったとしてもあれだけ悪意ある剽窃や改竄箇所があった論文が「本物」になるまでに短期間に一気にすべて浄化されることなど、私の経験からいって絶対にありえません。

 科学論文における剽窃(ひょうせつ,Plagiarism)行為はすべて悪意ある不正行為です。 

 誤って剽窃(ひょうせつ,Plagiarism)を含む「草稿」を製本してしまったとしても、そのミスも含めてすべて悪意ある不正行為です。

 「過失」による剽窃(ひょうせつ,Plagiarism)行為など有り得ないのです。

 早稲田大学の最終結論を待ちたいと思います。

 そもそもこの調査委のアクロバティックな結論は「実験結果の部分に盗用はないなどとして、同大の学位取り消し規定には該当しないと結論づけていた」わけですが、今日の最終結論においても、「約1年間の猶予期間を設け、論文の訂正や研究倫理教育を受ける機会をつくり、博士論文としてふさわしいものになったと判断した場合は、博士号を取り消すことなく維持する」とはどのような配慮があるのかわかりませんが、全く納得がいきません。

 専門的なことに踏み込むのは避けたいのですが、一点だけ小保方論文が「過失」による剽窃(ひょうせつ,Plagiarism)行為などでは断じてなく、また「実験結果の部分に盗用はない」という早稲田の判断がいかにグレーなものか、一般読者のみなさんの判断を仰ぎたいです。

 ネットで小保方論文のPDFファイルが確認できます。

 で、小保方博士論文の Figure 10(p53)のEctoderm (Hepatocyte)の実験画像に注目してください。

f:id:kibashiri:20141007171724p:image:w640

http://stapcells.up.seesaa.net/image/Figures.pdf

 次にコスモ・バイオ株式会社のホームページに掲載されている幹細胞(マウス)の画像に注目してください。

f:id:kibashiri:20141007171834p:image:w640

http://www.primarycell.com/hanbai/kan_saibokit.html

 両者を比較した下図をご覧いただければ一目瞭然ですが、小保方博士論文の Figure 10(p53)のEctoderm (Hepatocyte)の実験画像(左)は、 コスモ・バイオ株式会社のホームページに掲載の画像(右)から無断盗用されたものです。

f:id:kibashiri:20141007171753p:image:w640

 解りやすい剽窃箇所の一例を具体的に示しましたが、もちろんこの写真だけでなく、剽窃箇所は文章も含めて早稲田大学が認めただけでも十数カ所に及んでいることが判明しています。

 学生論文の評価を長年している私の個人的経験から言わせていただければ、重要な実験画像すら複数箇所で無断盗用・コピペをしているなど、「1年間の猶予期間を設け、論文の訂正」が行えるような真っ当な論文とはとても判断し難いのです。

 私には、早稲田大学調査委の結論「実験結果の部分に盗用はない」という結論はまったく「科学的」でない「政治的」な結論であると思えてなりません、長年、大学・大学院の理工系教育に関わるものの一員として、納得し兼ねるのであります。



(木走まさみず)