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2018-02-20 米鉄鋼関税最低53%のターゲットになった「同盟国」韓国の自業自得

[]米鉄鋼関税最低53%のターゲットになった「同盟国」韓国の自業自得 18:01



 トランプ米政権は16日、鉄鋼とアルミニウムの輸入増が安全保障上の脅威になっているとして輸入制限案の具体的な検討に入った模様です。

 最大の標的は中国ですが、商務省の案は3案あり、日本を含めたすべての国が対象になっています。

 安保を理由に異例の輸入制限に踏み切れば他国に対抗措置の口実を与えます、秩序なき「貿易戦争」に発展し、世界貿易は大混乱しかねません。

米商務省の3案は次の通り。

(1)すべての国に最低24%の追加関税をかける

(2)ブラジルや中国、韓国など特定の12カ国に最低53%の関税をかけ、他の国には2017年実績と同じ輸入割当枠を設ける

(3)すべての国に17年実績の63%に相当する輸入割当枠を設ける

 第一案と第三案は「すべての国」を対象としており、文字通り「貿易戦争」になり世界貿易は大混乱必至となり、規模からも実現性は疑問視されています。

 米メディアも実現性から特定の12カ国に最低53%の関税をかける第二案が検討されていると報道しています。

 米ブルームバーグ紙は「国家安全保障のかなり拡大した解釈」であり「報復」を招きかねないと警鐘を鳴らしています。

 BMOキャピタル・マーケッツのアナリスト、 デービッド・ガリアーノ氏は「鉄鋼・アルミの貿易戦争始まる」と題するリポートで、トランプ大統領に示された鉄鋼に関する選択肢は、いずれも予想以上に重大かつ広範な影響を及ぼすと分析。ピーターソン国際経済研究所の通商専門家ゲーリー・ハフバウアー氏は「これは国家安全保障のかなり拡大した解釈であり、一つは報復、二つ目は他の諸国が競い合うある種のパスポートの呼び水になる」と指摘した。

 報復関税に加えて、中国などが米国をWTOに提訴する可能性があり、紛争処理プロセスに何年もの時間を要することもあり得る。

 その上で、ロス商務長官は、「トランプ大統領が特定の目標により的を絞ったアプローチを選択する可能性を示唆」、すなわち第二案の可能性を言及いたします。

 ロス商務長官は今週の超党派の議員らとの会合で、トランプ大統領が特定の目標により的を絞ったアプローチを選択する可能性を示唆しており、鉄鋼については中国とロシア、インド、韓国を含む12カ国からの輸入に最低53%の関税を適用する案を採用することも考えられる。この場合、日本やドイツ、カナダといった米国の同盟国は対象から外れることになる。

 記事は「この場合、日本やドイツ、カナダといった米国の同盟国は対象から外れることになる」と強調しています。

(関係記事)

米が鉄鋼・アルミ輸入制限を検討−中国は報復留保、貿易戦争リスクも

2018年2月18日 9:31 JST

原題:Trump Must Weigh Retaliation Risk in Deciding Tariffs on Steel(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-02-18/P4APXT6S972801

 第二案の米非同盟国12ヶ国を商務省公式ページより原文で押さえておきましょう。

Recommendations of the Steel Report:

Secretary Ross has recommended to the President that he consider the following alternative remedies to address the problem of steel imports:

1.A global tariff of at least 24% on all steel imports from all countries, or

2.A tariff of at least 53% on all steel imports from 12 countries (Brazil, China, Costa Rica, Egypt, India, Malaysia, Republic of Korea, Russia, South Africa, Thailand, Turkey and Vietnam) with a quota by product on steel imports from all other countries equal to 100% of their 2017 exports to the United States, or

3.A quota on all steel products from all countries equal to 63% of each country’s 2017 exports to the United States.

Each of these remedies is intended to increase domestic steel production from its present 73% of capacity to approximately an 80% operating rate, the minimum rate needed for the long-term viability of the industry. Each remedy applies measures to all countries and all steel products to prevent circumvention.

The tariffs and quotas would be in addition to any duties already in place. The report recommends that a process be put in place to allow the Secretary to grant requests from U.S. companies to exclude specific products if the U.S. lacks sufficient domestic capacity or for national security considerations. Any exclusions granted could result in changed tariffs or quotas for the remaining products to maintain the overall effect.

https://www.commerce.gov/news/press-releases/2018/02/secretary-ross-releases-steel-and-aluminum-232-reports-coordination

 (Brazil, China, Costa Rica, Egypt, India, Malaysia, Republic of Korea, Russia, South Africa, Thailand, Turkey and Vietnam)すなわち、ブラジル、中国、コスタリカ、エジプト、インド、マレーシア、韓国、ロシア、南アフリカ、タイ、トルコ、ベトナムの12ヵ国であります。

 ここに商務省レポート"Steel Imports Report: United States"(合衆国鉄鋼輸入報告2017)が確認いただけます。

f:id:kibashiri:20180220171439p:image

https://www.trade.gov/steel/countries/pdfs/imports-us.pdf

 この報告や下記日経記事より米鉄鋼輸入国のシェアを棒グラフ(パーセント)にしてみました。

f:id:kibashiri:20180220161826p:image

※赤枠が制裁対象国

※以下の情報ソースより当ブログ作図

Steel Imports Report: United States

https://www.trade.gov/steel/countries/pdfs/imports-us.pdf

米「貿易戦争」辞さず 鉄・アルミ輸入制限案

安保理由に 標的の中国「根拠ない」

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO27059200X10C18A2EA2000/

 ご確認いただけますように、輸入一位のカナダを筆頭に、ドイツや日本や台湾といった「米国の同盟国は対象から外れ」(米ブルームバーグ記事)ていることが見て取れます。

 明らかに意図的に制裁対象国を選択しており、米同盟国を外していることが理解できます。

 ・・・

 ・・・

 さて、アメリカの「同盟国」(のはずの)韓国が騒然としております。

 朝鮮日報は社説で「韓国だけを標的にする米鉄鋼関税、理由は何か」と訴えます。

【社説】韓国だけを標的にする米鉄鋼関税、理由は何か

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/02/19/2018021900978.html

 なぜ「同じ同盟国なのに…米国の制裁を回避する日本」、日本は大丈夫なのか、不公平ではないかと記事があがります。

韓国と同じ同盟国なのに…米国の制裁を回避する日本

対米赤字3倍の日本は無事

韓国の通商外交はどうなっているのか

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/02/19/2018021900977_2.html

 「同盟国で韓国だけ標的にする米鉄鋼制裁」と嘆きます。

同盟国で韓国だけ標的にする米鉄鋼制裁

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/02/19/2018021900976_2.html

 一日間をあけ、韓国・文大統領は「堂々、かつ決然と対応すべき」と対米強行路線の指示を打ち出します。

米国の対韓通商圧迫、文大統領は強硬対応を指示

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/02/20/2018022001275.html

 しかし今度はこの「対米強硬姿勢」に、「米通商圧迫に中国と共同歩調? 韓国政府の対米強硬姿勢に懸念の声」があがります。

米通商圧迫に中国と共同歩調? 韓国政府の対米強硬姿勢に懸念の声

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/02/20/2018022001286.html

 ・・・

 ・・・

 いやはやなんとも、であります。

 そもそもは米商務省の第二案の特定12ヵ国の選択基準が韓国にとって「罪作り」なのではあります。

 商務省はこの12ヵ国の選択基準を明かしていません、グラフで検証したとおり輸入規模であるわけではありません。

 米紙報道のとおり、カナダやドイツや日本や台湾といった伝統的なアメリカの同盟国が除外されたと見て間違いないでしょう、もちろんアメリカはそれも明言していませんが。

 まとめれば、トランプ政権のこの鉄鋼関税案ですが、4月までに案が公表されることになっております。

 それまではお隣の国韓国のこの騒動、収まりそうもありません。

 罪作りなことであります。

 実はアメリカは韓国を同盟国と呼ばなくなって1年になるという話もあります。

(参考記事)

米国から「同盟国」と呼ばれなくなった韓国:日経ビジネスオンライン

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/032100099/

 ・・・

 中国に擦り寄り勝手に国家主権に関わる約束をさせられ、北朝鮮に擦り寄り勝手に重要人物を呼び寄せ資金を供出、この状況に及んでも、米国や日本の忠告には決して従わない。


 これではアメリカから「同盟国」扱いを受けなくなっても、残念ながら自業自得なのかも知れません。

 米鉄鋼関税最低53%のターゲットになってしまた「同盟国」韓国なのでありました。

 ふう。



(木走まさみず)

ああああああ 2018/03/25 12:33 同盟国の韓国は免除になって、同盟国の日本は免除になりませんでしたね。ふう。

2017-09-16 中国政府中枢ブレインの過激論文に驚く

[]「中国政府はアメリカと『金正恩政権崩壊後』について協議を始めるべき」〜中国政府中枢ブレインの過激論文に驚く 18:01



 これは驚きました。

 中国の著名な国際政治学者がインターネット上で、「北朝鮮の崩壊に備え、中国は米国や韓国と緊急対応策の調整を始めるべきだ」とセンセーショナルな提言をしました。

 英語の論文はこちらで現在も閲覧できます。

Time to prepare for the worst in North Korea

f:id:kibashiri:20170916154423p:image

http://www.eastasiaforum.org/2017/09/11/time-to-prepare-for-the-worst-in-north-korea/

 論文のタイトルは"Time to prepare for the worst in North Korea"(「北朝鮮の最悪の事態に備えるとき」)とあります。

 この論文、大きな話題を呼ぶことは必至です。

 この論文が在野の論客によるものではなく、権威ある中国政府筋からの発言だからです。

 論文をあげたのは賈慶国・北京大学国際関係学院院長であります、賈氏は中国の国政助言機関、全国政治協商会議(政協)の常務委員も務めている、中国政府中枢のブレインであります。

 言論の自由などない中国でありますが、中国政府側の政治学者が「北朝鮮崩壊」を前提とした論文を発表したこと自体、これはセンセーショナルな事象だと申してもいいでしょう。

 国際的に政治的インパクトを狙った中国政府公認のアドバルーンの可能性もあります。

 早速日本のメディアも速報しています。

【朝日新聞速報記事】

「北朝鮮崩壊後に向け協議を」中国識者が異例の提言

http://www.asahi.com/articles/ASK9H3GYWK9HUTFK00K.html?iref=comtop_8_01

【産経新聞速報記事】

「北朝鮮の崩壊に備えよ」 中国で有事対応説いた論文が注目

http://www.sankei.com/world/news/170915/wor1709150115-n1.html

 今回はこの賈慶国氏の論文"Time to prepare for the worst in North Korea"を取り上げたいと思います。

 論文は極めて厳しい現状認識から始まります。

When war becomes a real possibility, China must be prepared. And, with this in mind, China must be more willing to consider talks with concerned countries on contingency plans.

戦争が現実味を帯びているとき、中国は備えなければならない。そして、これを念頭に置いて、中国は緊急時対応計画について、関係諸国との協議を検討する強い意思を持たなければならない。

 もはや中国は関係諸国、すなわち米国・韓国等と協議を開始すべきだとしています。

 そして金正恩政権崩壊を念頭に、中国政府がこだわる5つのイシュー(問題点)を列挙します。

 (以下、文中太字は木走が付けています。)

the first issue that Beijing may wish to talk about is who would control North Korea’s nuclear weapons arsenal.

最初のイシューは、(金正恩政権崩壊後に)北朝鮮の核兵器を誰が制御するのかということだ。

 核兵器が「政治的混乱の中で北朝鮮軍の手に落ちるのは危険すぎる」とし、アメリカか中国のいずれかの国の管理を示唆しています。

The second issue Beijing might wish to talk about is how to deal with the expected refugee problem.

2番目のイシューは、(金正恩政権崩壊後に)難民問題にどのように対処するのかだ。

 「中国北東部への大量の難民流入を食い止めるため」中国は国境地帯に難民収容所を設ける可能性を示唆しています。

The third issue Beijing may wish to talk about is who is to restore domestic order in North Korea in the event of a crisis.

3番目のイシューは、(金正恩政権崩壊後に)戦後の北朝鮮の国内秩序を誰が回復するのかだ。

 これは意外と難問で中国は米軍が38度ラインを越境することは認めないとしています。

The fourth issue Beijing may wish to discuss is the post-crisis political arrangements of the Korean peninsula.

4番目のイシューは、(金正恩政権崩壊後に)新たな政権を国際社会がどう立ち上げるかだ。

 論文は北朝鮮と韓国による統一政府樹立の可能性を示しています。

Finally, Beijing may also wish to talk about the removal of the Terminal High Altitude Area Defense (THAAD) system from the peninsula when Pyongyang’s nuclear program is gone.

最後(のイシュー)は、(金正恩政権崩壊後に)平壌の核計画が廃止されたときに、半島からをターミナル高高度防衛(THAAD)システムの撤去するかだ。

 これは中国が強く撤去を求めており、おそらく「ワシントンとソウルは受け入れるだろう」と指摘しています。

 ・・・

 これらの文章は全て"Beijing may also wish to talk about"(「北京は〜について話し合いたいのかも知れない」)で始まっています。

 文章の形式としては筆者の推測で記述されているのですが、今検証したとおり、それぞれのイシュー(問題点)が極めて具体的であることに驚かされます。

 現段階でこの論文が発表されたことの影響を断定的に語ることはできません。

 単に一人の中国人学者による北朝鮮に対するブラフ・脅かしのようなものであり、中国政府の意思や政策を示すものではなく、北朝鮮の崩壊を望まない中国政府の方針とは乖離しているのかもしれません。

 だがしかし、国政助言機関、全国政治協商会議(政協)の常務委員も務めている、中国政府中枢ブレインの学者が、中国政府の意向を無視して暴走気味な論文を勝手にネットに公開することは、中国の体制から申して「政治生命」を失う危険が伴います。

 だとすれば少なくとも中国政府から論文公開「黙認」のシグナルは受けていた可能性が高いと思われます。

 ならばこの論文の内容は中国政府がひそかに検討していた可能性も、完全に否定することはできないと思われます。

 いずれにせよ、

 「中国政府はアメリカと『金正恩政権崩壊後』について協議を始めるべき」

 このような過激な論文が中国側からネットで公開されたのは驚きであります。

 もしかすると、中国政府の大きな方針転換の「予兆」なのかもしれません。

 ・・・

 ・・・

 この緊迫した状況において、日本国内では「日本がアメリカの戦争に巻き込まれる」などと、のどかでおかしな論説がいまだ飛び交っているのは、非常に残念なことです。

田原総一朗

2017年09月14日 20:02

トランプ大統領のやり方で、北朝鮮との戦争は避けられるか?

http://blogos.com/article/246255/

 失礼して当該部分を抜粋ご紹介。

へたをすると、日本も巻き込まれる大戦争が起きる危険性がある、と僕は危惧している。今の状況を見るかぎり、その可能性を否定することは、とても残念なことに、けっしてできないのだ。

 この局面、日本は当に当事者であります。

 日米同盟を基軸に、上記中国論文が強く示唆しているように、必要ならば中国とも協議をするべきです。

 もちろん戦争回避の協議が大前提です。

 そのうえで、あらゆる将来に備えることも必要なのです。

 少なくとも我々も当事者として覚悟も持つ必要があると考えます。



(木走まさみず)

2017-08-12 日本の旗色を鮮明にした小野寺五典防衛相発言

[]日本の旗色を鮮明にした小野寺五典防衛相発言 15:26



 さて、小野寺五典防衛相は10日の衆院安全保障委員会で、北朝鮮が米領グアムを狙って弾道ミサイルを撃った場合、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に認定し、自衛隊のイージス艦が迎撃することは法的に可能だとの認識を示しました。

 「武力行使の新3要件に合致すれば対応できる」と述べたのです。

 小野寺氏は、自衛隊は「たて」つまり守りに徹し、米軍が「ほこ」打撃力を行使する日米同盟の役割分担があり、「双方の役割があって日本の抑止力が高まる。米側の抑止力・打撃力が(攻撃を受けて)欠如することは、日本の存立の危機に当たる可能性がないとはいえない」と説明しています。

 つまり、北朝鮮がグアムの「包囲射撃」を強行した場合、自衛隊は「存立危機事態」の設定が可能となり、集団的自衛権により迎撃可能であるとの判断であります。

 これは日本政府の従来の見解からは大きく踏み込んだ発言と申していいでしょう、すくなくとも過去において「存立危機事態」で米グアムへの敵国からのミサイル攻撃は一切議論には出ていませんでした。

 この発言はしかし国内外で波紋を広げています、そして大きく2つの問題を提起しております、法的問題、軍事技術的問題です。

 ひとつは法的問題です、そもそもグアム近海はぎりぎり公海であり北朝鮮が言葉どおりミサイルを発射したとしても、国際法上違法とは言えず、すなわち、米国が攻撃されて個別的自衛権を発動するという前提は今回成り立たないだろうという指摘です。

 すなわち、下記の朝日新聞記事も指摘していますが、このような状態で「存立危機事態」を設定するのは法の拡大解釈であるとの批判です。

(朝日新聞記事)

「存立危機」拡大解釈懸念も 小野寺防衛相、異例の言及

http://digital.asahi.com/articles/DA3S13082208.html?rm=150

 もうひとつは軍事技術的問題です。

 そもそも日本の現有する防衛力では、今回の北朝鮮のグアムへのミサイル4発発射攻撃を迎撃することは不可能に近い、という指摘です。

 これは正論です。

 万一のミサイルの日本落下に備え、中国・四国や九州地方に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を展開するのは必要な措置であります。

 しかしながら問題は、イージス艦の迎撃ミサイル(SM3)を含め自衛隊の現有装備では、グアムへ飛んでいく4発の弾道ミサイルを迎撃するのはほぼ不可能であることです。

 ・・・

 さて、上記のような指摘が朝日新聞や国内の一部評論で起きていますが、当ブログは、この小野寺五典防衛相の発言を肯定的に評価したいです。

 北朝鮮がグアムという具体的ターゲットを明確にしここまで過激にエスカレートしてアメリカを軍事挑発してしまった以上、この局面で日本は部外者として傍観することはもはや許されないことでしょう。

 アメリカの同盟国として、そして北朝鮮のミサイル攻撃のターゲット国として、「日本もグアムを守る」意思の表明、日本の旗色を鮮明にすること、このことの国際的政治的意味合いは大きいでしょう。

 現状でグアム防衛に関して日本にできる軍事的オプションは限られているかも知れませんが、国家の意思として、日本はアメリカとともに北朝鮮の横暴を許さないと、はっきり意思表示したわけです。

 国家の強い意志を表明するのに、国内向けの厳密な法的な前提条件が全て満たされていることを待つ必要はありません。

 行動する前に意思を表明した、この英断を評価します。

 このニュースは、アメリカのメディアでも、さっそくFOXニュースなどで大きく取り上げられています。

 "Japan ready to protect Guam, defense minister says"つまり、「日本はグアムを守る準備が出来ていると防衛大臣表明」と大きく報道されています。

Japan ready to protect Guam, defense minister says

f:id:kibashiri:20170812133922p:image

https://www.facebook.com/FoxNews/posts/10155796995576336

 このニュースはアメリカのネット上でも反響がすごく、主に共和党支持者から同盟国日本への感謝と支持のコメントが殺到しています。

 いくつかのコメントを日本語サイトよりご紹介。

■昔は敵同士だったけど、今では日本は最強の同盟国だ!

■日本は素晴らしい動きをしてくれてる。日本のみんな、アメリカは良い国だぞ。唯一の問題は大統領だけだ。

■と言うか、そもそも日本だけで北朝鮮を倒せるし。70年前にはあんな小さな国なのに中国を叩きのめしたんだから。

米国「日本が同盟国で良かった!」小野寺防衛大臣の発言にアメリカから感謝の声が殺到

http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-2413.html

 現時点で1万以上の「いいね」が付けられた最も評価されたコメントはこちらです。

f:id:kibashiri:20170812133941p:image:w640

Our allies are more supportive of us than the Democrats...

私たちの同盟国は民主党よりも頼りになる……。

 ・・・

 現実に北朝鮮が日本および同盟国米国に核ミサイルの標準を定めつつあり軍事的挑発を繰り返す限り、この局面で日本は傍観者たることは許されません。

 ここで日本が沈黙したところで、北朝鮮が日本を攻撃ターゲットからはずすはずもなく、外交的に日本が得るものは何もないでしょう。

 繰り返します。

 現状でグアム防衛に関して日本にできる軍事的オプションは限られているかも知れませんが、国家の意思として、日本はアメリカとともに北朝鮮の横暴を許さないと、はっきり意思表示をしたわけです。

 一方的な核を伴う軍事的挑発、北朝鮮の横暴を断じて許さないと日本の旗色を鮮明にしたのです。

 その点で小野寺防衛大臣の発言を高く評価します。



(木走まさみず)

あ 2017/08/13 12:19 この状況で黙ってじっとしていれば存在を忘れてもらえると思って何も意思表示しないとしたら
完全にクレイジーですからね。

2016-03-10 米大統領選で主要候補者たちに伝播している対日批判は一過性のものか

[]米大統領選で主要候補者たちに伝播している対日批判は一過性のものか 15:55



 さてと、アメリカ大統領選であります。

 10日付け産経新聞記事から。

トランプ氏の“日本たたき” 80年代の日米摩擦を彷彿 「旧時代をしのばせる」

 【ワシントン=加納宏幸】米大統領選の候補指名争いで8日、自動車産業の集積地、デトロイトを抱える中西部ミシガン州を制した共和党の不動産王、トランプ氏、民主党のサンダース上院議員は、いずれも米製造業の雇用を奪うとして自由貿易を強く批判している。こうした論法には、日米貿易摩擦が激しかった1980年代を彷彿(ほうふつ)させるとの指摘も出ている。

 トランプ氏はフロリダ州での勝利宣言で「日本からは数百万台の自動車が来るのに、米国はほとんど売っていない。(建機大手)コマツのトラクターにキャタピラーが痛めつけられているのも為替操作のせいだ」と日本をやり玉に挙げた。

 米国の日本専門家、トバイアス・ハリス、ジェフリー・ホーナン両氏は米誌ナショナル・インタレスト(電子版)でトランプ氏の論法を「日本から米国への累積直接投資は英国に次ぐ2位。日本の自動車メーカーは米国各地に工場を作り数千人の米国人労働者を雇用している」と批判した。

 また、米紙ニューヨーク・タイムズはトランプ氏の日本たたきが「旧時代をしのばせる」と指摘するとともに、識者の「トランプ氏は80年代を生きている」との見方を紹介した。

 サンダース氏もライバルのクリントン前国務長官が積極的だった北米自由貿易協定(NAFTA)や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を批判し、雇用を守ると強調。クリントン氏も一転してTPPに反対を表明し、最近は国内の工場をメキシコに移した企業を名指し批判している。

 ミシガン州予備選に関する米CNNテレビの出口調査によると、共和党では55%が貿易で雇用が奪われていると答え、そのうちトランプ氏への支持が45%でトップだった。民主党は58%が同様に答え、うち58%がサンダース氏支持だった。

 予備選・党員集会は今後、オハイオ、イリノイ両州など「ラストベルト」(さびた工業地帯)と呼ばれる米中西部から東部の製造業が衰退している地域での戦いが活発化するため、貿易をめぐる孤立主義的な議論が続くとみられる。

http://www.sankei.com/world/news/160309/wor1603090044-n1.html

 うーん、なんだろうこのトランプ氏の「日本からは数百万台の自動車が来るのに、米国はほとんど売っていない。(建機大手)コマツのトラクターにキャタピラーが痛めつけられているのも為替操作のせいだ」などという一連の日本批判でありますが、いつの時代の話だよと思うわけであります。

 アメリカにおけるコマツの重機は、米国内の工場で製造した米国製であります。

 円安の影響なんてあるはずはありません。

 まあ、トランプ氏の日本批判は何十年も前の過去の時代錯誤な、現代では根拠のない「ホラ話」に近いのですが、これが米国民、特に白人低所得者層に大受けしているわけですから、困ったものであります。

 報道によればトランプ氏の日本嫌いは筋金入りのようで、80年代に日本企業がニューヨークなどのビルやホテルを買いまくっていた頃からだそうであります。

 当時某日本企業からホテルを買い戻したとき、トランプ氏は日本メディアと単独インタビューに応じたのも、日本に対する見せしめの意味合いがあったのではと穿った推測もあるようです。

 基本的に彼の日本観は当時からぶれていないという事なのでしょう。

 こんな輩がアメリカ大統領の主要候補でありしかも現段階でぶっちぎりの支持をたもっているのですから、ある意味アメリカ国民の鬱屈した既存政治家への不満はそうとう根強いのでしょうね。

 まあ、アメリカ大統領選は当然ながら毎回内向きな議論になりがちで、衆愚的人気取りに陥りやすいものですが、今回のトランプ氏による日本を含めた外国批判は強烈なのであります。

 で、悩ましいのは一人がこのような対日批判を派手に展開すると、これが他候補に伝播してしまう点であります。

 上記記事でもクリントン氏が「一転してTPPに反対を表明」しだしましたが、日本に対しても「何年も通貨の価値を下げて輸出品を人為的に安くしてきた」と批判をしだしました。

 25日付け日経新聞記事から。

クリントン氏、「円安誘導」と日本批判

2016/2/25 0:01

 【ワシントン=共同】米大統領選で民主党の候補指名を目指すクリントン前国務長官は23日、米紙への寄稿で「日本は輸出を増やすために円安に誘導している」との認識を示し、大統領になれば対抗措置を取る方針を明らかにした。環太平洋経済連携協定(TPP)への反対もあらためて表明した。

 米東部メーン州の地方紙への寄稿で「中国や日本、他のアジアの国々は通貨の価値を低くし、商品の価格を人為的に安く抑えてきた」と指摘。不公正な行為で米国への輸入が増え、国内の労働者は職を失うなどの被害に遭うと説明した。

 「為替操作には断固たる措置を取る必要がある」とし、効果的な具体策として為替操作への報復関税の導入を挙げた。

 TPPについては、雇用を増やし、賃金を上昇させ、国内の安全確保につながるならば支持するが「こうした基準を満たしていないので反対だ」とも強調した。

 共和党の大統領候補指名を狙う実業家トランプ氏も日本の為替政策を「円安誘導」と批判している。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM24H7N_U6A220C1FF2000/

 非常に興味深いのは、トランプ氏にしろこのクリントン氏にしろ、同盟国日本を中国と同列に並べて批判を展開している点です。

 さて、大統領選で反日批判を展開するトランプ氏とクリントン氏でありますが、両者には日本のメディアではあまり報じられない興味深い共通点があります。

 トランプ氏は若い頃民主党党員であり、クリントン氏は逆に若い頃共和党党員であり、ともに後年になり(トランプ氏は2009年までは民主党員)政治的に転向している点であります。

 当ブログとしてはそこにこの二人の共通項を見出すのであります。

 トランプ氏にしろクリントン氏にしろ、おそらく掲げる政策に拘泥することなく、現実主義的に対処しうる柔軟性を有していると感じます、ポリシーが軟弱といいますか、いい表現をあえて使えば現実に即して対応する適応力に秀でていると思われます。

 特にトランプ氏はその政治的手法はまったく未知数ですが、長年企業経営者として「不動産王」の地位まで成功させた手腕は、教条的な固い頭では不可能なのであり、超がつく現実主義的経営手法をとってきたはずです。

 ですから、この二人は今でこそTPPにも反対を表明していますが、実際もし大統領に当選した暁には、TPP支持を打ち出す可能性は大きいと推測します。

 同様に対日批判も大統領選が終われば収束すると考えるのですが、少し甘い見通しでしょうか。

 大統領選で主要候補者たちに伝播している対日批判なのであります。

 一過性のものなのか、あるいは、今後の日米関係に影響を与えるのか、誰が勝利するのかも含めて、ここは成り行きを注視していきましょう。



(木走まさみず) 

2015-11-16 パリの連続テロ事件を「宗教戦争」と捉えてはならないと思う理由

[]パリの連続テロ事件を「宗教戦争」と捉えてはならないと思う理由 13:42



 さてISILによるパリの連続テロ事件であります。

 この事件を「新たな宗教戦争」とのような捉え方で解説しようとする視座の論説がネット上でも多く見受けられます。

 1000年の長きに渡るイスラムとユダヤ・キリスト間の宗教対立が、この21世紀にISILの台頭とともに新たな局面に至ったという見立てであります。

 そのようなイスラムの宗教の歴史を俯瞰して西洋文明との対峙として今回の事件を考察することは大事な視点であることを認めた上で、当ブログとしては少し視点を変えて、上から見下して俯瞰するのではなく視点を現場に下ろしてあるがままにこの事件について考察を試みます。

 具体的には、この宗教色色濃いテロ事件から「宗教色」を脱色して、ひとつの犯罪行為として近視眼的に捉えてみたいと考えます。

 つまり「新たな宗教戦争」のような俯瞰的鳥瞰的広い視座を一旦取り除き、宗教抜きでリアルに起こっていることを踏まえたいのです。

 まずISIL( Islamic State in Iraq and the Levant)・「イスラム国」は国家なのかという重要な点です。

 彼らを国家として見なせば、このテロ「事件」(本来単なる犯罪行為)は、「新たな宗教戦争」に崇高な歴史的意味合いをもつ「戦争」に格上げ・昇華されてしまいます。

 本当にそうなのでしょうか?

 ISILは「イスラム国」と自称していますが、単なるイスラム過激派組織・テロリスト集団・犯罪組織に過ぎません。

 彼らは「国」ではない、単なる犯罪者集団です。

 従ってこのテロをいかなる意味合いでも「戦争」と認めてはいけない、これは単なる「犯罪行為」です。

 このテロを「戦争」と認めれば、ましてや「新たな宗教戦争」のような大きな意味を認めれば、それは犯罪者集団の思うツボにはまる愚を犯してしまいます。

 この犯罪者集団を「国家」として認めては決してなりません。

 ・・・ 

 さらに、このテロ事件を宗教色を脱色して単なる「犯罪行為」として考えてみる必要性があるのは、「宗教戦争」「宗教対立」のような歴史的な視点、俯瞰した視座の持つ弱点でもあります、小異に拘らなすぎる点を補完する必要があるからです。

 今回のテロ事件が「イスラム対西洋諸国」的な「宗教戦争」のような大局観だけで見てしまうと、当然のことながら小さな重要なことを見落としがちになります。

 はたしてISILは全イスラム圏を代表しているのか、はたまた16億の全イスラム圏をISILのようなテロ集団と同一視して良いのかという点です。

 いうまでもなく答えはNOです。

 イラク・シリア間にまたがって活動するスンニ派のイスラム過激派組織であるISILの最大の攻撃目標は、同じイスラム教徒であるシーア派であります。

 ISILは異教徒も襲撃しますが彼らの主敵はシーア派です。

 彼らはイスラム同士間で殺戮を繰り返している異端過激集団であります。

 なぜなら彼らの主目的は西欧列強が線引きした現国境を無きものにしてスンニ派が支配する大イスラム帝国の復活にあるからです。

 世界16億の多くの善良なイスラム教徒はISILのような過激思想とはまったく無縁です。

 ・・・

 ISILによるパリの連続テロ事件であります。

 いろいろな考え方はあるのでしょうが、「新たな宗教戦争」のような捉え方をすること自体は否定はしませんですが、そこに固守することはテロ集団に利用されうる点で危険です。

 ISILは「国家」ではなくただの「犯罪集団」です。

 ましてや彼らは全イスラム圏を代表しているわけでは決してありません。

 ISILによるパリの連続テロ事件は「宗教戦争」と捉えてはならないと思うのであります。

 読者のみなさんはどう思われますか?



(木走まさみず)

sakimisakimi 2015/11/16 21:14 神社への放火は、日本の宗教へのテロだと思いますけどもね
前から思ってたんですが、何で寺が放火されてないの?
そっちの分析お願いします

れんじれんじ 2015/11/17 07:25 宗教戦争ではなく ただの暴力行為


いままで のみこめなかったものが呑み込めた。
納得!!