独立国家

近:僕思うのは、インターネットみたいな国家への多重所属があって、わんわんワールドが僕の国家だみたいな。
東:営業を忘れませんね(笑)。わんわんワールドを説明した方が良いと思いますよ。
令子:わんわんワールドは、はてなブック用に若手開発者が開発した新しいツールであり、わんわんワールドは、googleマップにユーザーがログインすることによって、自分の好きな場所に自分の好きな姿をして行って、他の犬と会話をすることのできるいわゆるIM(インスタントメッセージ)とチャットを混ぜた機能があるはずです。(拍手)
東:Googleにログインするの?
鈴木:ログインははてなですよ。
東:そうだよね。
近:国家への多重所属というのはないんですか?
東:国家への多重所属はヨーロッパにおいて実現していますよ。ポルトガルとフランスの二重国籍とか。
近:もちろんそうですけど物理的にどこにいるかっていうのが、法の制約を受けるんでないでしょうか?一カ国だけの。
東:そうでしょうね。
近:じゃなくて。本当に一日の中で混ざってるみたいな。
鈴木:それはだから、構成的社会契約と僕が言ってる奴だけどね。
東:それが理想だというのは僕も分かる。僕もそれには同意します。ただ、人類の多くはそんな面倒臭いことに加担しないと思いますね。
近:そうですかねぇ。最近、なんかリアルになり始めてる気がするんですけど。ポイントとかも税金とかから関係ない世界で、動いてるじゃないですか。
鈴木:ポイントなんてはてなに集中してるじゃないですか。はてな以外のところで仕事してないでしょう。
近:僕は良いとして。「アマゾンアフリエイターって何国民なんだろうなぁ?」って思うんですよ。
鈴木:それは経済システムの中だけの話でさぁ。
令子:でも今世界をまたにかけて、活躍しているネットの人ってあまり居ないじゃないの?やっぱり自分の国を中心に。
東:やっぱり、あれですかねぇ。ヴァージン諸島とかにペーパーカンパニーとか作って、世界をまたに掛けたいとか?
近:ある意味理想ですよね。
東:良い感じの発言になってきましたね。近藤さんが捕まったときにはたぶんここら辺のpodcastが引用されるますね。「ペーパーカンパニーの構想は2006年からあった」とか。(笑)
令子:でも2002年ぐらいから、独立国家ってどうやったら作れるのやろう?っていつも言ってた。
近:日本国から逃れるにはどうしたら良いんやろ?というのは結構興味ありますよ。つまり、僕はそれを選択したわけではないんで。
東:選択をすべきだという理念が先に立ってるっていう話ですよね。
近:そんなことないですよ。でも、自由はあるべきだってことです。
東:なるほど。でも、そんだったら別に地球に生まれている必要もないじゃない?
近:そうそう。もちろんそう。
東:その手のタイプの自由ってのは無意味ですよね。
近:なんでですか?
東:意味がないでしょう。地球人に生まれなくても良いって。
近:そんなことないでしょう。太平洋に島を浮かべたら何とか成って行くかもしれないじゃないですか。
東:実現可能か可能じゃないかで言えば可能ですよ。そういうのは表れるかもしれませんね。つまり、21世紀に、太平洋の島をある財団か何かが買い取って、そこで実質的な治外法権みたいなのを作って。
近:浮かべても良いんですよ。浮かべて、物凄い風力発電とかして、電気を売る。完全に独立した経済国家を作る。それで貿易によって食べて行くみたいな。やれなくはないじゃないですか。そういうのはどうですかねぇ。自由じゃないんですか?
東:それは自由です大変。ただ簡単に言うとね。それは作ることは出来ます。人間ていうのはそこまでレベルが高くないわけですよ。近藤さんにしてもそうだし、鈴木健さんにしてもそうだけど、すごい意欲が高い人なんですよね。人間ていうのはたいてい適当で、なんとなーく、ここで生まれたから、なんとなーく周りで友達を作って、なんとなーく死んで行くんですよね。どうのこうの言いながら僕はこれは人類の生物学的条件だと思うわけですよ。
近:そうですね。僕も同意しますそこは。
東:podcastとかで録られているから、あんまりこんなところで言いたくないのですが、人類は99%ぐらい救いがたく馬鹿なんですよ。
(一同、爆笑)
東:その条件を認めない限り社会設計は出来ないわけですよね。意欲のある人間、それぞれの地理的条件も全て引き払って、家族関係とかからも完全に自由になることができる。自由になり方もいろいろあって、他の国に行ったとしても家族との関係を絶やさないということもあれば、別に完全に切り取るということもあるかもしれないけれども、いずれにしても、それは大変にエネルギーの要ることですよね。自分が理想のある社会設計をするという人間が集まれば、それは1万人や10万人ぐらいは集まるだろうから、21世紀のある段階においてそういうタイプのエリート国家ができる可能性はあると思いますよ。ただそれは、人類全体を救うことにはならないでしょう。国民国家という19世紀に発明された概念が素晴らしかったのは、人類全体を救おうと思っていたからなんですよ。すごい貧しい奴も、すごい能力が低い人も、すごい能力が高くて富裕層の人も、全部一緒くたにして国民なんだって事を言ったわけですよね。それはフランス革命の「平等」って理念なんですよ。自由・平等・博愛ってあったでしょう?博愛と自由は誰でも達成できるわけ。むしろIT的な物は自由と博愛だけが突出していると言っても良い。平等ってのは何かって事ですよね。
近:99%の人のことを。
東:そう。僕、平等って概念のラジカルさはすごいことだと思うわけ。だってさぁ、「人類皆平等」って言うんだよ。それおかしいじゃん?普通に考えたら(笑)。でも、平等って概念を作ったんですよ、人類は。僕はこれについて考えますけどね。
近:東さん、難しいこと色々本に書いてますけど、それ読んでなさそうな人のことよく考えてますよね。
東:そうですね。難しいことを書くということの意味はそこにしかないんじゃないでしょうか。

サイボーグ

鈴木:あれはどうですか?サイボーグの話。
近:東さんに聞きますが、サイボーグについてはどういう見方をしてますか?
東:ちょっと待ってよ(笑)。なんなのそれ。
鈴木:この前の飲み会でサイボーグで一時間とうとうと語ったじゃないですか。
東:サイボーグはどうなんだろう?
近:僕ね。鈴木さんの「純粋ロボットよりサイボーグが行くんじゃないか」ってのは、あれから相当影響受けていて。
令子:ことあるごとにしゃべってる。
近:で。で。しかも、よく考えると「Google」と「はてな」なんですよ。
鈴木:機械でやっちゃうか、人間共有か。
東:そうなんだ(笑)。まったくその通りだ。で。
近:それで、結構そうだなぁと思って。
東:衝撃だなぁ。
鈴木:ちょっと間違えてるんだけどね。Googleもどっちかと言うと、サイボーグ側なんですよ。ハイパーメディアの中ではね。AIの世界とハイパーメディアの世界があって、AIとIA。傾向の違いはあるけど。
近:Googleって、人間の存在みたいなのを排除しようとしてません?
鈴木:そんなことはない。書いたコンテンツ自体人間が書いたものだから。
近:そうですけど、それを書いた物自体どうこうしようっていうときは。
自動化っていうの?
鈴木:自動化の徹底度というのははてなに比べたら、Googleの方が高いと思う。近藤さん、それについてはどう思います?そこに人間を入れていこうと?
近:そうですね。
鈴木:どちらかって言うと、ソーシャルメディア
近:この間、梅田さんと話したのは。いま言語が大陸のようになってるじゃないですかネット社会で。
鈴木:そうだね。英語と日本語と分離しちゃってるっていう。
近:物理的な場所関係ないんですけど、言葉ってのがいま、一つの行動圏を決めているような気がしていて、それを越える物に、たぶんその言語の壁を越えるみたいな方法が、何によって実現されるのかっていうのにすごい興味があるんですけど。
鈴木:それは基本的には身体性の話になるんだろうね。
東:僕はそれは僕は難しいと思いますねぇ。(沈黙&いきなり話し出して驚く周囲。不思議な笑い)いやねぇ、あのねぇ。インターネットとかが出現することによって。様々な言語圏というのが一気にリンクし出現するわけですよね。で。例えば僕だったら、英語とかフランス語とかのブログが読める。読む可能性は出来た。かといって読むかというと読まないわけ。何故かっていうと、つまり、日本でもそうだけど「2ちゃんねる」を外国人が読めるかっていうと読めないわけじゃない。外国人の日本語研究者っていうのはさぁ、日本について、何か知ろうと思ったら、昔だったら朝日新聞NHKを押さえておけば何とかなったわけね。けど、いまだったら2ちゃんねるを押さえとかなきゃいけない。でもそれは、障壁がめちゃめちゃ高いわけじゃない?
近:確かに。「キターーー(・∀・)ーーー!!」とか。
東:インターネットで何を起こしたかっていうと、一言でいうと方言とかすごい共同体同士の言い回しとかを表面に上げていくわけですよね。かつてだったならば、そういうことは全部活字にならないと。活字になったり、放送に載るっていうのはかなり標準化された情報で、その標準化の過程ってのが、日本とかドイツとかフランスとかアメリカとかっていう各国民国家ごとに行われていた。それが流通するってのがやっていたわけですよ。だから、国際的に成れるわけね。全部、本当にそこら辺の言葉が全部表面に出てきて、それで流通するっていった場合、インターナショナルっていうか、グローバルであることの障害・ハードルはむしろ高くなる。しかもこれはやっぱりいま言っている事の性格上、自動翻訳によってとかはどうしてもカバーできないはずなんですよね。
近:そこで逆に人力が介在することで、一人が翻訳してしまえば、他の何百人がそれを全部読めるみたいなんはどうですか?
東:だから、人力の造語的な、「キターーー(・∀・)ーーー!!」みたいなのをどうやって翻訳するかてのを、アメリカ人の日本語翻訳家みたいなのが検索エンジンみたいなのを使って翻訳し、それが結構ディレイ(遅れ)がなく、翻訳エンジンみたいなのにフィードバックされるような世界を上手く作れればできるでしょう。ただ、その時でも、たぶん、決定的な情報のズレは生じるわけですよ。
近:そうですけど。
東:そのズレが決定的になっちゃうんですよね。わかりますか?つまり、日本について最先端のことを知ってるっていうためには、日本人以上に日本のネットに詳しくなきゃいけないっていうような、ことが強いられている状態になっちゃってるんですよ。逆にいま。
近:でも。僕はあまり、その差を埋めることには興味がなくて。普通の人が行動圏を広げるみたいなことを。
東:それは出来ます。それは圧倒的に出来ます。
近:昔、isedで東さんが「物理的な壁を越えるインパクト」みたいなことを言ってたじゃないですか?大陸の間をコンコルドが何時間で飛ぶとか。そういうインパクトみたいなことを言っていたでしょう。僕はそれをまさに、言語の壁をどう越えるのかみたいなことがすごいそれに近い気がしはじめてるんですよ。
東:ただねぇ。つまり、あの…。
鈴木:ちょっとしゃべってて良い?(笑)
東:なにしゃべんの?たぶんユーザー減ったよ。「すっげー、うぜぇー」とか実況スレとか聞こえてきそうな感じ。俺だったら書くね。
鈴木:それは物理的移動可能性をいかに高めるかって事と関わってる気がする。
東:「鈴木健、話わかってねぇ」って2ちゃんのスレとか見えてきそうだよ。
鈴木:じゃあ、どうぞ。
東:いやいや、それはその通りで。僕が言いたいのは、物理的/バーチャル的ってことを言ってもしょうがなくて。問題はむしろ情報量の問題だと思うのですよ。つまり、かつてメディアというのはちっちゃい情報しか運んでないんですよ、他の国に対して。それが、日本の今ってのにそのまま世界中からアクセスすることができるようになったと。その結果何が問題になったかっていうと、人間の認知限界っていうのは能力の限界ですよね。つまりじゃあ、そのまま出されても困りますよってわけですよ。
近:いや、でも。それは全員が同じ物取捨選択しなくて良いって前提に立てば別に良いんじゃないですか?(イリーナ・エドワルドヴナ)スルツカヤって居たじゃないですか?
東:スルツカヤって誰?
近:今回フィギュアで銅メダルの。
東:押さえてませんねぇ。荒川が金メダルを取ったぐらいしか知りませんよ。
近:その銅メダルのスルツカヤってすごい病気を患っていて、実はすごい後ろにドラマがあって、しかもなんかドキュメンタリーを今日やってたんですよ。それを観たら一気に好きになって。「金メダル取って欲しかったなぁ」とかすごい本気で思ったの。で、スルツカヤブログとかあったら、どんなに応援していただろうと思うわけ。
鈴木:(スルツカヤブログの存在が)日本語でね。
令子:ジュリーは、あれやなぁ。対象への愛っていうのが強いんやろなぁ。
近:でも、大体それを決めるのは情報量なんですよ純粋に。
東:でもね。世界ってアルファベットだけの国じゃないじゃないですか。検索っていうのに、検索に何を打ち込むかっていうのも、そんなにニュートラルじゃないんですよ。世界中がアルファベットの文字を使ってれば良いんですけれども、例えば2ちゃん語って検索するのにも結構大変ですよね。普通に考えて。そういう障害が、これからどんどん起きてくるわけですよね。
令子:アラビア語とか。
東:アラビアまで行かなくても、ハングルとか中国語でも良いですよ。つまり、例えば、日本語で嫌韓という言葉がありますけど、嫌韓というのは普通の辞書にも載ってないし、ATOKでも翻訳されませんですよね。アメリカ人が、コリアバッシングが日本のネットで起きていると思う、しかも日本語が多少読めるアメリカ人だったとしましょう。そいつが「嫌韓」でGoogleで検索するかっていうと、検索しないわけですよ。嫌韓て言葉知らないんだから。そういう問題が起きるんですよ。これがなかなかクリアできない。
近:それを全部オープンにしたら良いんじゃないですか?
東:オープンにしたとしても、そのオープンな情報にどうやってアクセスするかっていうところの障壁は、なかなか崩れないだろうと。
近:それはでも、嫌韓が変換されないとかいう種々の問題てのは誰か一人が権力を握っているからダメなんじゃないですか?
東:それはないと思いますよ。だって、嫌韓って言葉が、そこのキーワードであるっていう情報をどうやって集めるかってところがあるでしょう?
近:そうか。確かにそうか。
東:障壁は中々消えないんですよ。
(中略)

メモ

http://d.hatena.ne.jp/jkondo/20060227
近藤淳也(以下・近):スタート!近藤です。東さんを招いての飲み会です。
東:こんにちはid:hazumaこと東浩紀です。皆様いかがお過ごしでしょうか?
近:これ公開しても良いんですか?
東:もちろんです。公開するしかないでしょ、だって。
近:ではまず、出演者の自己紹介から。近藤です。
鈴木:鈴木健です。
東:東浩紀で〜〜す。
近藤令子(以下・令子):令子で〜す。
東:さなえ良いの?
ほしお:ほしおで〜す。
東:ほしおさなえというのは僕の妻です。
ほしお:汐ちゃんです。
東:で、子供(汐音ちゃん)がいるんですね。で、どうするの?
近:主旨は…。
東:ていうか、この辺でユーザー結構減ってるんで、結構緊張度が必要だと思うんで。つまり、ユーザーを飽きさせない展開。
近:主旨としては僕は、東さんの語りのライブをもっと多くの人に聞いて欲しいというのが主旨ですよ。今日の、この録音機をいま仕掛けた。
東:でもそれはつまり基本的に何か質問されないと僕の語りは特に発動しないんで。
近:では、最近気になっている議題を何か、鈴木さんの方から。
鈴木:じゃあ、東さんにとって「情報社会論」(東さんが出す予定だったが改稿が進まず東さん自ら出版中止にした本のタイトル)とはどういう意味ですか?
近:(爆笑)
東:勘弁してください。一気にユーザーが減ってるよ。この瞬間。いまもうみんな一気に「ブチ」って切ってるよ。
令子:ええ、聞きたい聞きたい。ちょっと待って。情報社会論?
近:本は読んだんですか?
東:「ウェブ進化論」でしょ?読んでないのよ。ごめんなさい。
令子:ねぇ、情報社会論ってなんなんですか?
東:知らない、僕も。わかんない。分かるわけないじゃないそんなの。
近:(笑)一気にユーザー減ってますよ。
東:やばい。ユーザー減ったらヤバイ。どうしよう?というか、どうなんでしょうね。僕ね、こうゆう所に行くと笑いとか取ろうとするので。真面目に答えなきゃいかんのですね。おそらくこれは、さっき近藤さんから「よそよそしい」と言われたところなんじゃないかと思う。自分的には。
近:(笑)
東:どうしようかねぇ。導いてよ。鈴木健
近:東さんは、昔友達とか多かった方ですか?
東:友達少なかったねぇ。今でも少ないですねぇ。
近:僕もそのタイプですよ。
東:いやいやでも、近藤さん友達多かったでしょう?
近:中高はいないですよ。本当に。
令子:取り巻きいっぱいいてはるんちゃう?
東:近藤さんはあれでしょう?チキンレースとかやって車を大破させた
近:(笑)友達の量と関係ない。
東:自分が負けたんだけどむかついたんで、降りてボコボコにしてやったとかいう。
近:(笑)してないですよ。僕の先輩があばら骨折ったぐらいですよ。
東:それマジでやばいですよ。いいねぇ、それ。「近藤淳也あばら骨折る」とかっていう。
鈴木:明日とかに警察が来る。
東:どんな奴なんだと。経営者として良いのかと。本当に。大丈夫かと、IT業界は。ヘッヘ。で?なんだっけ?友達は少なかった?少ないですね。

選挙権

東:最近でもそうだけど、自民党民主党もあんまり政策変わらないわけでしょう?いろんな政策のオプションがあるのに、それを全部パッケージ化して、こいつを選ぶかあいつを選ぶか二者択一にするわけですよね?あんなのまったく原始的なシステムで、ああゆうの僕ちょっと嫌いなんですよね。
近:政策ごとにみんなが選べるべきだと。
東:政策ごとに選挙権を分割すべきだと思います。
近:なるほど。全員で決めるみたいなのに近いですよね。
東:ん、いや、一人一票である必要もないと思いますよ僕は。最初に生まれた段階で、政策ごとに割り振った選挙権パッケージみたいなのを与えて、それを選挙権同士で売り買いするみたいな。
近:市場があるんですか。
東:それは、いわゆる経済的な関与をそこに入れないべきなんですけど。
近:権利は平等であるべきだみたいな。
東:僕はコンテンツ産業系の選挙権を持ってて、コンテンツ産業系選挙権は、北朝鮮系選挙権の0.3みたいな。そういうような市場を作るということですね。
鈴木:分かるけど。東さんの言ってる事は、さっき言っていたこととまったく逆のことを言っていて、つまりね、世界を複雑化させているわけよ。99%がそれに付いて行けないんじゃないの?ってよく東さんが僕に言うんだけど、これとこれを売り買いするってことは結構複雑になるわけだよね。間接的に見ててすごく簡単な制度で二大政党があって二択する。
東:市場ってシステムが素晴らしいのは、みんなが馬鹿でもなんとなく幸せになれるってのが、市場ってシステムの素晴らしさなの。
鈴木:アダム=スミス的な話でしょう。
東:物を売り買いする人ってのは自分が儲かることしか考えてないわけだ。例えばさぁ、原発問題だけに関心がある人がいるとするでしょう。別にイルカ問題でも良いんだけど。原発問題にだけ関心がある人ってのは、原発にしか興味がないわけですよ。社会全体を見渡す必要がないわけ。でも、原発には妙に興味があるから、原発関係に票を集めようとするわけだよね。自分の他の政策関係に持っていた権利を全部売り払って、原発関係のことを集めるわけだ。で、彼は大変なる極小的な利害で動いているんだけど、でもそういう人がいっぱいいれば、原発関係に関してはそれなりに政策が良くなったりすると思うのね。
鈴木:例えば自民党で言えば部会政治みたいなもんでしょう?
東:違うと思うけどねぇ。もっとマーケットに近いんだけど僕的には。みんなが馬鹿でもどうやって上手く回っていくシステムを考案するかってところがキモなんじゃないかと。
鈴木:政策自体を分けていくって事と、空間自体をいかにアドホックにして行くかってことだと思うんだよね。例えば川ってあるじゃん?複数の国家をまたいだ川ってあったときにさぁ、それって国家間の利権の問題になっちゃうわけ。でも、川って空間自体を見たときに、それがまったく関係なかったり、関係あったりする場合とか色々あるわけじゃん。川っていうイシューとかは空間的なものを持つわけだよね。そこは結構熱いかなと。
東:僕はアメリカ大統領選挙とかも本当はイラクの人とか参加出来るべきだと思うからね。でもそのためには、日本国民だから日本の選挙権を一票みたいな考え方を根本的にくつがえす必要があるんですよ。そういうようなことを考えた時にいきなり世界政府ってわけにも行かないので、選挙権一人一票という原則から考え直す必要があるであろう。政策ごとに選挙権を細かく分割できると。選挙権証本みたいなのをもらうわけですよ。毎年毎年。「お前の選挙権マネーは五千マネーだ」みたいな。