「シャルダン展」鑑賞の覚書


東京駅に隣接した、三菱一号舘美術館へ
シャルダン展」を観に行く。
ジャン・シメオン・シャルダンの絵画を観るのは初めてだ。


瀟洒な洋館だった三菱一号館の室内に展示されている
シャルダンの油彩画は小品が多く、そのほとんどが静物画だった。


解説にもあったが、初期(静物画)→中期(人物画)→後期(静物画)
と変遷し、それぞれの時期に、いくつか注目すべき傑作を残している。
白い陶器のポットのある静物画(初期)と、
野いちごの山盛りの静物画(後期)は、年代が違うが共に
シャルダンの静かな雰囲気が伝わってくる。


額双は簡素ながらもやや華やかな造りで、
「大理石のような」白くつるっとした
(そして肉感が弱く彫像のような)人物画もまた、
いかにもフランスらしい。


シャルダンのデッサン力はそれほど高いものとはいえない。
筆の使い方も天才的なものは感じられなかった。
が、なにか「人間の穏やかな目なざし」によって
描かれたもののように思えた。
描写以上に、「印象」の表現が優れているのだろう。

セザンヌやルドンが影響を受けているだろう。
(ルドンの大きな花の絵が観れたのは役得、これは美しい)