MMOの経済はレア本位制

FF11アカバン祭り。いやはや、すごいですねぇ。俺は、昔、突然運営会社が夜逃げして終了という、かなり稀有な体験をしましたがwwwwww
あれ以来、まともにMMOにハマれなくなりましたよっと

その関連で、MMORPGの経済についての議論がいくつかあった。
ベーシックインカムでネットゲームを変える - プログラマーの脳みそ
ゲーム内通貨は仮想通貨じゃないのかjk - 消毒しましょ!
http://d.hatena.ne.jp/godnee/20090124/1232813979
なぜMMORPGの設計で経済を考えるのか - プログラマーの脳みそ

どれもに共通するのだけど、「通貨」の話が微妙にずれていないか?いや、俺は別に経済学が専門でもなんでもないのだが、通貨に関するいくつかの話をそれぞれに混同しているような気がする。
大きく分けて、二つあると思う。

  • 価値の尺度、交換財としての「貨幣」(ミクロ)
  • 流通の総体としての「通貨」(マクロ)

であり、根っこのところで、管理通貨制度を前提としているため、話がおかしくなっているのだと思う。


価値の尺度と交換財としての役割を果たせるならば、「貨幣」の候補である。そのため、「貨幣」は別にゲーム上に提供されている通貨である必要はない。そして、みんながその価値としての尺度として認められれば、「貨幣」になることができる。
MMORPGでは、サービススタート時には、ゲーム内の通貨の価値が高いのだが(みんな貧乏だから)時間が経つにつれて、稼げる通貨量は増えるし、全体の通貨量が増加することによって、ゲーム内の通貨の価値は基本的に下落する。
しかも、薬草を買うとか武器を買うとかそのくらいしか使い道がいないので、俺のやっていたMMOではごみ同然の扱いになっていて、誰も拾わなかったww。
ゲーム性のためにどんどん稼げるという代物だったため、ゲーム内通貨をいくら持っていようとも、価値の希少性がなく、いくら集めたとしても、お金持ちになれた気がしない。誰だって稼げるからだ。ゲーム内通貨をもとに他人を支配することなんてできない。なんでもできる魔法の道具ではない。

そんなわけで、ゲーム内通貨は、「通貨」としての機能はしない。価値の裏付けが弱すぎる。むしろ、価値が高いのはレアと呼ばれる希少なアイテムである。しかし、汎用性が低い、たとえば特定の職業だけに意味のあるレアは交換財としては不便である。そのため、需要があり、汎用性が高く、そこそこ量があるレアが貨幣の役割を次第に演じるようになってくる。金本位制度ならぬ、レア本位制度である。金本位制度も、たとえ紙切れであろうとも、金と交換できるという前提があって価値が発生した。これと同じことが起きている。

昔やっていた、ガディウスでは、宝石が通貨の役割を果たしていた。ドラゴンラジャでは、アイテム強化用のレアが通貨の役割を果たしていた。ほかのゲームでも同様のことは発生している。RMTでゲーム内通貨の取引はそれほどメジャーではなく、レアアイテムの取引の方が盛んだ。そして、レアとレアとの交換レートという話が必ず出てくる。FF11のスレでも、レアアイテムがリアルマネーに変わるのであり、ゲーム内通貨にはほとんど興味は払わない。ゲーム内通貨を使ったレアとの交換は時間とともにインフレーションが進み、ジンバブエ状態になる。

レア本位制度だとして、その中での経済政策は、レアの出現量の操作によって行うことができる。管理通貨制度のようにゲーム内通貨の総量を調整することではない。また、レアは一つではないので、その時の需給バランスから、レア同士の取引において、レートが発生する。昔の金本位制と銀本位制が併存したように。

このように考えると、ゲーム内通貨がいくら膨張しようとも、レアの流通量が適正である限り、MMORPG上の経済はそれほど狂っていないのではないのか?と思える。

二十一世紀の資本主義論

二十一世紀の資本主義論

元ネタはこれ。読みやすくて面白い。
MMOの中での価値発生のメカニズムは結構面白いと思う。また、金本位制度の欠点である、金の供給量不足の問題はMMOでは関係ない。
書きながら気づいたけど、レアに価値があるのではなく、レアを使う行為に価値が発生しているのだよなぁ。面倒だから書き直さない。
ちゃんとした経済学部の人に総ツッコミを喰らいそうだなぁ・・・

ベーシックインカム

この意味でMMOの中でのベーシックインカムとは、ゲーム内通貨のことではなく、レアの方が望ましい。ベーシックインカム論の言っていることは、ボットが前提としているMMO世界とほぼ同じになるであろう。
はじめに述べた夜逃げしたMMOはドラゴンラジャといって、ボットが許容されていた*1不思議なMMOだった。これが意外と楽しかった。なんで楽しかったというと、大学に行っている間、寝ている間とかに、お金が増えて、レアが手に入ったのだよね。
すなわち、ゲームをしていない時の時間による利得が発生しているということだ。MMOの困ったところは、ゲームの画面にかじりついていないと、成長しないということであり、ゲームをしていない時間による損失というものを考えなければならないということになってしまう*2。そのため、廃人の勝利という構図になってしまう。
一方、ゲームをしないことによる利得があるということになると、廃人にならなくてもそこそこやれるということになる。これは結構ハッピーなことではないのか?
ボットがうざいというのは、ユーザに不当な利益を得ているというイメージと、自分がゲームしている画面に乱入していくるからである。なので、制度(仕様)として確立し、見えないところでボット的な働きをしてしまえばいい。
まぁ、この問題は、長期にやっているユーザが新規参入者とくらべて強くなりすぎるということだろう。とはいえ、月単位の課金でやれるなら、それほど悪くはないと思うけどなぁ。形式的には、課金分を分割でアイテムで返却しているということになるのだろうな。
ケイタイとかで、成長している様子を確認できるとなお良し。
選択肢が増えるというメリットを示すよりも、ゲームに対する生活時間の浸食度合いが小さくても大丈夫とかそっち方面を強調した方がいいと思う。



4,5年前、MMOをやった記憶で書いている。今とは全然違うかもしれない。ゲーム内通貨に対する意味合いは結構変わっているはず。俺のやっていたゲームは巨額のゲーム内通貨で買えるレアが存在しなかったゲームだった。投資競争はあったけど、あれは参入を諦めれば関係ない話だしなぁ。

*1:実際はマウスのマクロだったけどね

*2:どんだけ廃人の発想なんだよ・・