ブログトップ 記事一覧 ログイン 無料ブログ開設

没個性テーマパーク このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

   

   

2012-04-20-Fri

『SPEC〜天〜』を観たので、SPECに対する俺の雑感を吐き出す

f:id:kikinight:20120420023034j:image:w600

SPEC』はTBSで2010年頃に放映されていた素晴らしきかな悲しきドラマでございます。俺がこのドラマを観たのはつい最近なんだけど、そもそもの前シリーズである『ケイゾク』を欠かさずに観ていたガキの頃からこの世界観のファンなのであります。『ケイゾク』観てた人いるかな? いないかな。あれは1999年に放送されていたものだから、今から既に13年前だよ。って考えたら、若輩者の私なんて、そのまま二分割にされて13歳ですよ? ガキもガキの13歳です。

 それが昨今になって、堤幸彦監督と西荻弓絵コンビで新たに『SPEC』なんて作られたじゃないですか、『ケイゾク2』を心待ちにしていた者にとっては、本当に嬉しくて嬉しくて死にそうだ。これは誇張じゃなくて、それだけ待ち焦がれていたということだ。だって、人生13歳で26歳まで待ったってことは、俺は泣くほど長い長い時間をジッと待っていたわけだ。そこにTBSの意図がどういう風にあったかは知らない。中谷美紀渡部篤郎のあれこれがどーのこうのなんて知る由もない。とにかく、今回は戸田恵梨香加瀬亮がいてくれたお陰で、ケイゾクの世界観を踏襲した続編を拝むことが出来たんだ。それだけで万々歳ってやつじゃないのか?

 素晴らしいよね。

 さて、私は 先日の二連休を利用して、Gyao!にてドラマ全10話とスペシャルドラマである『SPEC〜翔〜』を観ました。お金も払って連続視聴時間10時間。わざわざ違法ダウンロードサイトでなんて観る気にはならない。そうして、本日になってやっと『SPEC〜天〜』を観た。

 そうしたら当たり前の如くで、色々と書きたいことも生まれます。あ、大丈夫ですよ。ネタバレはしません。

 SPECというドラマは大義として、人類の進化形態であるスペックホルダーと戦うドラマであります。スペックホルダーをご存じで無い方のために、スペックホルダーがどういう存在かをWikipediaから引用しました。

SPECを持つ人間の総称。「SPEC HOLDER」の名称は公安によるもの。SPEC HOLDERで構成された集団・組織も存在しているが、組織の数やそれぞれの目的は不明。複数の組織があり、組織同士の抗争も起こっている。世界を影から動かそうとする目的が見え隠れするものの、集団自体は一枚岩ではなく組織に従わない能力者や組織に属さない能力者もいる。

SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜 - Wikipedia

 スペックホルダーってのは、身も蓋もない言い方をすれば『超能力者』ってことです。ユリ・ゲラーって昔いましたけど、あれとは違って正真正銘の超能力を持った不思議な人間、進化した人間をスペックホルダーと呼びます。

 この『SPEC』というドラマは超能力者を国家権力である警察の一組織である警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係がやっつけるという話であると書いて間違いはありません。

SPEC』の主人公である当麻紗綾と瀬文焚流がスペックホルダーの面々と対決していくわけですが、ドラマシリーズではオムニバス形式的に、各々のストーリーで超越した身体能力者や、念動力(サイコキネシス)が使える相手や、未来予知が出来る人間……などと対峙するのが主でした。公安部公安第五課の連中は基本的に常人で、そうした相手と知恵比べなしに力比べなしに、ガチンコで対決していくストーリーだった。スペシャルドラマの『SPEC〜翔〜』も非常に良く出来たドラマで、スペックホルダーとの血で血を洗う毒々しいドラマとして完成されていた。視聴率はそこまで良くなく、10%前後。これは、スペシャルドラマとして大きく失敗してしまった視聴率といっても過言はない。だが、しかし驚くべきことに、『SPEC〜天〜』は映画作品として大きなヒットを記録し、ロングランも約束されているのではないか? といわれるほどなのです。

 これは個人的な見解に他ならないのですが、最近のテレビ業界の視聴率ってのはてんで役に立たないのではないか? と思うのでありました。

 なにせ、元々、連続ドラマとして放映されていた『SPEC』自体が視聴率はそれほどよく無かったにも関わらず、『SPEC』のDVDは売れに売れてTBSの販売したDVDの記録としては記録的な販売本数となったようです。これは間違いなくテレビと視聴者の在り方が変わった瞬間であって、「ドラマをリアルタイムで観るのではなく、録画したものを気の向いた時間に観る」というスタイルが確立したのではないか? と個人的には思うわけです。

 ドラマが放映される時間ってのは、大きく見ても21:00〜22:00ですよね。この時間帯ってのは、今の日本の現状としては多くの人が働いている時間です。非正規雇用の私だって、この時間帯は働いている時間です。だとしたら、自分が観たいドラマは録画をし、休日にこっそり観るというスタイルが確立される。いまの情勢では、リアルタイムでテレビを視聴するということに価値はなく、自分のライフスタイルに合った状況で楽しむというのが正しいカタチとして認知されてきたのである。

 だからこそ、いえるのは『SPEC』を観ている人は沢山いるが、それがリアルタイムではない! というのが、ここで結果論として導き出されるだろう。テレビのコンテンツを楽しむのにリアルタイムは既に過去で、視聴率というひとつの指標ですら過去のものになりつつあるということだ。それが顕著に表れたのが、この『SPEC』というドラマなのだから、テレビ業界はある意味では考えを改めなくてはならないのではないかと、俺は思うわけだ。

 そうしたわけで、大多数の人間が情勢を見守る『SPEC』というコンテンツは、それを視聴している人が多いにも関わらずそれが正しい指標として現れないという点では、とても希有なコンテンツなのではないだろうか。

 僕が『SPEC〜天〜』を観た時も、400人余りが収められる劇場の約7割は席が埋まっていた。公開して1週間以上経っていたにも関わらず、それだけの人間が劇場に集うというのは全国的に観れば沢山人々が観覧していたということに他ならないだろう。

 この『SPEC〜天〜』だが、巷の評判を観るに、それほど評価が高いとはいえない。堤幸彦監督の演出にもよるのだろうが、とにかく悪ふざけが多い映画版だった。しかし、俺が言いたいことはひとつで、堤幸彦監督といえば、良い意味で悪ふざけこそが真骨頂なのだと俺は思う。シリアスなシーンのはずなのに、外したような間抜けなギャグが所々に差し込まれる。それはシリアスをぶち壊してしまうくらいに滑稽なのだが、それはそれで堤幸彦監督の味であり、彼が目指した境地に他ならないのだ。これが肌に合わない人って、そりゃいくらでもいます。だって、シリアスが壊されたら、そのまま雰囲気が崩壊してしまうもの。しかし、その崩壊したシリアスと滑稽であるスラップスティックの世界を楽しめると、堤幸彦監督のスルメのような世界観が自ずと見えてくる。なにせ『SPEC』の世界を描くには滑稽は必要材料で、それがなくては『SPEC』ではなくなってしまうからだ。


 長々と書いてきたが『SPEC〜天〜』の感想を書いていこうと思う。

SPEC〜天〜』はよくも悪くも悪ふざけの産物だ。やっていることはテレビシリーズとテレビスペシャルの延長線上に他ならず、俺自身だって「これ、別にテレビスペシャルでいいんじゃない?」って思ったほどだ。それくらい、新鮮みのない映画化だった。しかし、この映画で語りたかったことは、堤幸彦監督としてはあくまでメッセージ性なんだと、俺は解釈した。良くも悪くも、起承転結の転にあたるこの作品、好意的に捉えるならば人間とスペックホルダーの対決に彩りを添えるひとつの回答であり、それ以上でもそれ以下でもない。瀬文が印象的な言葉を残している。「最も大切なのは想いだ。人間は想いがあるからこそ生きていける」これが、この“転”で語りたかった言葉なのではないかと思う。

 悪ふざけの中に真のメッセージ性を潜ませるってのは、俺は凄く有意義なことだと考えます。それを見付けるのには、集中してストーリーを追って行かなくてはならないし、それだけ世界観は作り込まれているってことだと思います。ただ、戸田恵梨香のブラックアイズは必要だったのか? 女優として、あの呪怨的な表情っているの? なんて思ったし、実際いらなかったと思うけど、それも堤幸彦監督の悪ふざけのひとつであるとするならば、まぁええかぁ、という気分になるのも不思議ですよね。だが『池袋ウエストゲートパーク』や『溺れる魚』『2LDK』までマニアックな作品群を踏まえても、堤幸彦監督の物語作り、演出ってのは一貫性があるので、それを観ずして『SPEC〜天〜』はクソや〜ってのは通らないと思うんですよね。

 沢山の違和感や、沢山の曖昧な点を残して『SPEC〜天〜』という映画は消化不良を残しながら終焉へと向かってしまいましたが、俺が個人的に考える『SPEC』感とは離れずに想定の範囲内で終わってくれました。良く言えば無茶苦茶、悪く言っても無茶苦茶ではありましたが、次回作として必ず存在するであろう『SPEC〜けつ〜』※この“けつ”は『訣』か『決』か『結』だと思うけど、それに繋がる作品としては、非常によく出来たものだとは思うわけですよ。

 だから次作は待ち遠しい。恐らく2014年に公開されるであろうという個人的な見解を残して、この項は閉じる。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kikinight/20120420/1334860397