国土交通省に「中国残留邦人一世と同居する二世世帯の住宅保障についての要望書」を提出

 中国残留邦人一世と同居する二世世帯の住宅保障についての要望書を、11月7日、国土交通省に提出しました。
 1994年に中国残留邦人支援法ができ、中国残留邦人の帰国については国の責務となり、中国残留邦人とその親族が帰国した後の住宅については保障されるようになりました。 しかし、中国残留邦人一世が死亡した後、都営住宅に同居していた同伴家族含め二世世帯が退去を迫られるケースが相次いでいます。
 中国残留邦人二世は帰国後、就労や日本語学習の支援がなかったため、いまだ生活に必要な日本語にさえ苦労している方たちもいます。中国東北地方の貧しい農村で育ち学校にも通えなかった二世や高齢で帰国した二世にとっては、日本語の習得は容易ではありません。また就労も困難です。また、住居費はもちろんのこと、「中国から来た人」として拒否されることも多く住宅探しも困難を極めています。さらに地域住民との関係づくりも困難で退去を求められるとあらたな困難が待ち受けており精神的にも重大な支障をきたします。
 1994年の中国残留邦人支援法の第9条には、「国及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等及びその親族等の居住の安定を図るため、公営住宅等の供給の促進のために必要な施策を講ずる」こと、「地方公共団体は、公営住宅の供給を行う場合には、永住帰国した中国残留邦人等及びその親族等の居住の安定が図られるよう特別の配慮をする」と、中国残留邦人の二世三世の居住の安定の権利が謳われています。
 また、条約と同じ効力を持つ日中で交わした口上書(93年12月15日)にも、同居する二世家族について、「日本におけるその法律上の正当な権利を保護する」「日本での生活、就業、学習等の面における便宜を図る。」として保障しています。「住居」は生活の基盤であり、一世が死亡したらその権利はなくなるはずがありません。
このように法的には保障されている中国残留邦人やその家族の権利が、現実には保障されていません。
 都営住宅では名義人の配偶者以外、例外として同居していた60歳未満の病弱者、障害者、承継使用を認めています。いずれもあらたなハンディキャップがあって保護が必要、住宅探しが困難であるなどの事情がある人々です。国の責任により長期間放置され1994年の法律によりようやく国の責任によって帰国できるようになった二世の方々も、日本での生活が困難を極めているのはすでに述べたとおりで、都営住宅承継使用の例外の方々に比し、その困難性と保護の必要性は勝るとも劣らない状況です。
 上記の理由から、法的にも根拠のある(60歳未満の)中国残留邦人二世にも承継使用を認めるよう要望しました。

,

尼崎、コスモスの会のHPが、本日立ち上がりました。

素敵なHPです。

様々な問題が解決されない状況のなか、活動を発展させていらっしゃることに敬意を表します。

みんなで励みにさせていただきます。

去年の9月、尼崎市の改正中国残留邦人支援法施行5周年事業で石井小夜子元理事長が講演しましたが、その講演録も掲載していただいています。レジュメは初公開です。

その講演の後、二世の方たちとの交流会で、いろいろお話を伺いましたが、二世の方たちが元気に活動されているのが印象に残っています。

今後も、交流をさせていただければありがたいです。

多くの方に、HPを紹介します。

憲法学習会

「中国残留邦人問題」から学ぶ〜憲法学習会 
2013年度国立市国分寺市地域生活支援事業 

2014年2月9日(土)、金沢大学の石川多加子准教授をお迎えして開催しました。前日の大雪が残るなか、多くの方が足を運んでくださいました。

自民党が2012年4月に「日本国憲法改正草案」を決定し、最近は集団的自衛権の行使や国家安全保障会議など、憲法「改正」に関係する動きが新聞紙上に出ています。
日本国憲法はそもそも私たちの暮しの中でどういう役割を果たしているのか、そして自民党日本国憲法改正草案が提起している内容はどういうものかを知り、その違いを自分たちで考え判断する根拠を持ちたいと開催しました。

石川さんのお話から、日本国憲法の三大原則「主権在民」「平和主義」「基本的人権の尊重」は互いに関連しあい、日本国憲法全体を通して貫かれていて、私たちの人権、自由、生命を守ることを一番大事なこととして保障しているのだいうことを改めて大切なこととして感じました。

自民党日本国憲法改正草案と日本国憲法の条文を読み合わせ、自民党が何をどう変えようとしているのか、具体的なお話を聞きました。

本来、政権に就く人や公務員など、公権力を持つ人が、その権力によって国民の自由や生命や財産を奪うことのないように憲法遵守義務が課せられているのに、自民党日本国憲法改正草案では、憲法を遵守しなければならないのは国民だとあり、立憲主義の原則を覆すものです。

日本国憲法は三大原則を基本にし、人権は何よりも尊重されますが、憲法改正草案では人権よりも公益や公の秩序、つまり国益を優先するとあります。また、これまで歴史の中で先人たちが努力し積み重ねて獲得した人権という価値を、最高法規の97条で削除していることにも驚きました。

自民党はいろいろな手法を駆使して、憲法「改正」のみならず、実質的憲法「改正」をしようとしているようです。

「中国残留邦人」は戦前、戦中、情報が操作され、言論の自由も奪われる中、国策によりソ連国境沿いの危険な地域などに開拓団として送られ盾のように配置されました。1945年に戦争が終わったことも知らされず、何十年も放置され、中国で暮らさざるを得ませんでした。

私たちの会は、二度と中国残留邦人を生み出すような社会にしないために活動してきています。そのためにはきちんと事実を知り、自分で考え、判断することがとても大切なことです。

何も言えなくなる時代がくるまえに、今、私たち誰にでもできること、憲法の内容をもう一回学習しよう。そしてみんなで議論し、そして何が大切なのかを自分で判断していくこと。それが私たちの平和的生存権を行使する事だと講師の石川さんは話されました。

記録ができましたら、会報「明天」に掲載いたします。

『中国残留邦人』−私たちは歴史の中に生きている−」(一橋大学「満州の記憶」研究会主催)

11月3日一橋大学学園祭特別企画で学生団体「満州の記憶」研究会主催の「『中国残留邦人』−私たちは歴史の中に生きている−」が行われ、「中国残留邦人」の西田瑠美子さん、石井小夜子前理事長が話をしました。
最初に、西田さんが自身が「満洲」にわたることになった経緯や「満洲」での体験、そして帰国したくても帰れなかった辛い経験など、研究会の方たちの分かりやすい質問に応えながら話しました。
多くの帰国者一世が高齢化され、当事者の方から話を聞くというのは本当に貴重な機会になってきました。西田さんのお話からも、国が送り出しながら人々を切捨ててきたことに対する怒りが伝わってきました。
そして石井前理事長からは、西田さんのお話の歴史的な背景、国の政策の問題が語られました。
会場に大勢集まってくださった方たちにも、この問題が私たちに語りかけていることが伝わったのではないかと思います。
若い世代の研究会の方々がこのような会を催されたこと、そして準備の段階から、ていねいにすすめてくださったことに心から感謝いたします。

尼崎市で石井前理事長が講演しました

9月28日(土)、尼崎市の改正中国残留邦人支援法施行5周年、「中国残留日本人への理解を深める集い」で、石井小夜子前理事長が講演しました。
まず、元「中国残留婦人」の奥山イク子さんが自らの体験を話されました。国によって翻弄されたご自身の体験、そして二度と「中国残留邦人」を生み出さないように、決して戦争を起こさないように、そして最後に憲法9条を「改正」してはいけないと力強く言われたことが心に残りました。
続いて、グループ「天の風」の歌と楽器演奏を楽しみました。馬頭琴に合わせてお2人の歌モンゴル族の歌唱法のホーミーでの歌を聴きました。
その後、石井前理事長が「中国残留婦人問題と女性の人権」というテーマで話しました。
集いの終了後、支援策が実施されて支援相談員や通訳として活躍している二世の方たちとの交流の場を作ってくださいました。「残留孤児」の性別により、二世の国籍が左右されるという、いまだに男女差別が残っている実態が不当だという意見等が出されました。また、中国籍二世の在留期間更新時に在留期間を短くされるケースが出てきていることを報告し、今後注視していくことを確認しました。

その後会場をかえて、兵庫のいくつかの市や大阪で役割を担っている二世や地域の支援者の方々も来てくださり、楽しい交流会を催してくださいました。おひとりおひとりが帰国者問題への向き合い方やご自身の意見をしっかりと話され、関西の元気をいっぱいもらって帰ってきました。
これを機に、また関西の方々と交流ができればと思います。
尼崎のみなさまに感謝、感謝。

震災のあと、改憲のまえ 「不安」の正体をかんがえる講演会(三鷹市地域生活支援学習会)

2013年6月9日 三鷹市公会堂さんさん館で震災のあと、改憲のまえ 「不安」の正体をかんがえる講演会を開催し、弁護士で反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児さんにお話しいただきました。
「経済最優先」の政策が進められるなか、貧困、震災・原発被害の渦中にある人の声が顧みられていない。違憲とされた選挙制度が改善されず、憲法96条改憲が持ち上がる。貧困問題に向き合い、社会構造の問題、基本的人権の問題として訴え続ける宇都宮さんにお話を伺い、感じる違和感や不安の正体を探りました。(会報 みんてん31号PDFはHPにあります。ご覧ください。)

講演会 人々はなぜ「満洲」へ渡ったか(国立市・国分寺市地域生活支援事業) 

この講演会は、「中国帰国者の会」が委託を受けている国立市国分寺市の2012年度地域生活支援事業として行います。市民の方たちに広く帰国者問題を知っていただき、共に考える機会にできればと思います。
2007年に「中国残留邦人新支援法」ができましたが、その実態は年金と生活保護に準拠した給付金制度で、戦後補償とはかけ離れたものでした。その上、支援の対象は基本的には一世のみで、配偶者や二世三世にとっては、日本語学習の機会も少なく、就労支援もほとんどありません。差別や無理解の中、苦しい生活をしている人がまだ多い状態で、帰国者の現状は厳しいものです。
わたしたちは、この現状を変えていくための活動をする一方で、「中国残留邦人問題」を二度と起こさないために学習を続けてきています。
今回は金沢大学の小林信介先生お招きしました。
・・・・・・・・・・・・
■中国帰国者問題から学ぶ
「人々はなぜ「満洲」へ渡ったのか」
〜めまぐるしく変わる社会情勢の中で騙されない、流されないために〜

戦前戦中、大陸侵略の地「満洲」へ多くの人が送り出されました。送出されたのは、「貧しかったから」など、経済的な理由がよくあげられますが、それだけが理由だったのでしょうか。
当時の政策や社会的背景をお話しいただきます。そして、現在を見極める力を得たいと思います。

講師:小林信介先生 (金沢大学大学院 人間社会環境研究科)
日時:2013年2月3日(日) 午後1時30分〜4時00分
(開場:午後1時15分)
ところ:国分寺市いずみホール 会議室  (参加費無料)

・・・・・・・・・・・・
現在、私たちの周りにも原発問題をはじめ、私たちが自分たちで考え、決断しなければいけない問題がたくさんあります。
原発問題からは国策推進のために私たちが騙されていたこと、そしてそれは帰国者問題となんら大きな変わりがない事に、いまさら気がついたりもしています。同時に騙された自分たちにも責任があることを痛感しています。

国に騙されないようにするには、事実を知る努力をし、自分で考え、判断することだと会の学習会の中で話し合っています。それは、私たち自身が、国策を推進する位置に立たされてしまう危険性をいつも持ち合わせていると思うからです。同じ過ちをおかさないよう、小林先生のお話を伺い、中国帰国者問題から「今」を読み解く目を鍛えていきたいと思います。

どうぞご参加ください。