選挙カーの走行中は「連呼」以外が許されないだって? んなアホな

社民党の保坂議員がワケの分からない事を言い出した。
 
公選法、選挙カー走行中は「連呼」以外は許さず - 保坂展人のどこどこ日記

私たち政治家は、先輩から「選挙カーの走行中に連呼をしてはいけないことになっているから、名前を続けて言ってはいけない(これぞ連呼)。政策やキャッチフレーズの合間に名前を差し挟むように」と聞いてきた。私は自分の選挙を過去4回、また、参議院選挙や地方選挙も数限りなくやってきて、そう信じていた。しかし、これは公選法を逆さに読んでいた誤解、公選法が求めているのは「選挙カーの走行中に許されているのは連呼だけ」というシュールな規定だったのだ。


 
既にツッコミを入れている人がいたので紹介。
 
◆驚きの政治家,公職選挙法の内容は一切知らず
(id:Red-Comet:20090528#1243510499)

新URL 
https://pikaring.hatenablog.com/entry/20090528/1243510499

さらに恥の上塗りをしているのがこの部分。

つまり、公選法が「自動車以外の車両」を排除していることから、選挙カーを使って選挙をやるしかなく、しかも評判の悪い「連呼行為のみ走行中認める」というナンセンスな光景を生んでいる、といっても過言ではない。

過言です(笑) 本当に公選法読んだのだろうか。
 
公選法の規定による選挙運動用自動車の項目は,
 
選挙運動のために使用される自動車又は船舶及び拡声器は,公職の候補者1人について当該各号に定めるもののほかは,使用できない
 
となっており,参議比例区は2台でそれ以外は1台だよとなっている。つまり,何台も選挙運動用自動車を使うのはお金がかかるからダメだよ。その代わり1台までは国でレンタル料を出してあげるからね。という法律なのだ。このどこに”自動車以外の車両を排除している”部分があるんだろうか。激しく謎だ。
 
現に自転車で選挙運動してる人はいっぱいいる。自転車にスピーカーをつんで連呼することはできないけど(これはあってる)、自転車を止めて標旗を立てて「街頭演説」するなら問題なく連呼できるので、やる気になれば交差点で止まる度に連呼すればいいのだ。

この指摘の通り、何故、参議比例区以外は選挙カーが1台に押さえられてるかと言うと、まず金が掛かるという事。規制が無いと、金を持った党や候補者が選挙区で何台も選挙カーをブン廻して、ガンガン宣伝出来ちゃうからね。むしろこの法律は、公平性を保つ為、弱小政党である社民党の為に作られた様なもんであるのに、無知にも程がある。選挙をちょろっと手伝っただけの俺ですら知っているというのに。いや、実は条文そのものは俺も今初めて読んだんだけど(笑)、こんな曲解をしている人は選挙活動にそれなりに関わった事があるなら、いないと思うね。
 
選挙の際はどこの事務所も、この法律があるおかけで、1台しかない選挙カーで何時から何時までこの地域を廻る、この時間にあの駅で自転車で選挙区を一周した候補と合流し駅頭演説を始める、といった綿密なスケジュールに基づいて活動をしているはずだから(実はこの1台の他に、実質的な選挙カーを廻す抜け道もあるのだが、後ほど述べる)。なので、頭の悪さもさる事ながら、選挙人としても相当恥ずかしい発言ですコレは。
 
で、この保坂議員の発言のネタ元になっているのはココらしい。
 
選挙カーの 「連呼」 は 「迷信」 から生じているらしい - 知の関節技 -

さらに、以下の条文もある。(ちょっと上記とかぶるけどね)
 
連呼行為等の禁止
第201条の13 政党その他の政治活動を行う団体は、各選挙につき、その選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に限り、政治活動のため、次の各号に掲げる行為をすることができない。ただし、第1号の連呼行為については、この章の規定による政談演説会の会場及び街頭政談演説の場所においてする場合並びに午前8時から午後8時までの間に限り、この章の規定により政策の普及宣伝及び演説の告知のために使用される自動車の上においてする場合並びに第3号の文書図画の頒布については、この章の規定による政談演説会の会場においてする場合は、この限りでない。
 
1.連呼行為をすること。
 (以下 略)
 
この条文では、いわゆる選挙カーのことを、「政策の普及宣伝及び演説の告知のために使用される自動車」 と言っている。前述の第141条の3 の方では、同じことを 「選挙運動のために使用される自動車」 と言っているんだから、とにかくややこしい。
 
これらの条文から読み取ると、まず大前提として、「いわゆる選挙カーでは選挙運動をすることができない」 という、驚くべき事実がある。これは、(何度も繰り返すけれど) 選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない」 というものすごい条文によって規定されている。
 
そして結論としては、本来は選挙カーでの選挙運動はできないけれど、停車中の演説と、走行中の連呼をすることなら許されるということのようなのである。
 
回りくどい言い方なので、うっとうしいから、フツーの言い方にすれば、「選挙カーでは、停車中の演説と、走行中の連呼以外はしちゃいけない」 ということになる。ああ、馬鹿馬鹿しい。

この法律の馬鹿馬鹿しさには同意するものの、イコール「選挙カーは走行中の連呼以外は禁止」という意味ではない。この条文の「政策の普及宣伝及び演説の告知」限定というのは、候補者の選挙カーの事ではなく、候補者が所属する「政党その他の政治活動を行う団体」が所有する自動車の使い方に関して、その禁止事項と許される行為について述べているだけ。

こんな感じのご立派な、いわゆる“政党カー”の事だね。
 
つまり、この法律の意図としては「候補者一人に対して選挙運動が出来る選挙カーは一台だけだぞ? ……でも、その人が所属する政党が自主的に自党の政策を宣伝する“政治活動”(政談演説会・街頭政談演説の宣伝)としての形式ならOKかもね?」って話。もちろん、その演説会の弁士は候補者本人。でも、それは実際には開催されない場合がある。というか、候補者をアピールする為に各種演説会の宣伝という形で選挙運動の一旦を担っているに過ぎなかったりする。
 
なので、上の方で「実はこの1台の他に、実質的な選挙カーを廻す抜け道がある」と言ったのはこの事。形骸化もいいとこだね。金のある政党は、政治活動という名目で選挙運動が出来てしまう。
 
だから間違えちゃいけないのは、とりあえず、公職選挙法においては“選挙運動”と“政治活動”は区別されているという事。公職選挙法に、走行中の選挙カーが候補者の名前の連呼以外を禁止している記述などどこにも無い、という2点。
 
あ、後もう1点。道路を数十㎞で走る選挙カーでだらだら政策話したって、誰も聞かないよ、というか物理的に聞けねーよアホ。選挙活動政治活動の区別が付かない人物が12年もの間、国会議員をやっているのが不思議ですねーというオチ。