ユリアンナ・アヴデーエワ ピアノ・リサイタル

5年に一度開催される、ショパン国際ピアノ・コンクール。
この秋優勝したのは、マルタ・アルゲリッチ以来、
実に45年ぶりとなる女性ピアニスト、
ユリアンナ・アヴデーエワだ。
アヴデーエワは、モスクワ生まれの25歳。
彼女は「クリスティアン・ツィメルマン最優秀ソナタ演奏特別賞」も
受賞した。
ショパン・コンクールで優勝したばかりのロシアのピアニストの演奏を、
すぐに東京で聴くことができるとは、なんと幸運なことだろう!
東京オペラシティ コンサートホールのステージに、
細身の黒いパンツ・スーツで現れたアヴデーエワ
プログラムやチラシの顔写真では分かりようもないが、
スラリとした長い脚が印象的だ。
長い髪、きりりとした目元・・・。
ステージ姿が美しく、
人々にクラシック音楽に親しむチャンスを、
今後たくさん作ってくれそうだ。
演奏は端正で、どのように表現するか、
よく研究しているように伺われる。
オール・ショパン・プログラムで、
アンコール3曲含め、マズルカ夜想曲
ポロネーズスケルツォ、幻想曲、ワルツ、
ピアノ・ソナタ(第2番「葬送」)を披露した。
夜想曲変ニ長調op.27-2での、真珠の粒を転がすような、
ピアニシモの美しさが心に残った。
ピアノ・ソナタ「葬送」や、幻想ポロネーズでは、
表現の彫りが深く、様々な感情を多彩に表出させていた。
女性らしく、エレガントな雰囲気をまとっているが、
実はかなりのテクニックの持ち主で、
何気なく、指を猛スピードで走らせる。
音の流れがとても自然で、粒が揃っているので、
技術的な素晴らしさよりも、美しさが表面に出るのだ。
先月28日に女王アルゲリッチを聴きた後、わずか10日ほどで、
今回の新星アヴデーエワを聴く。
何と幸せなことだろう。
そして、ショパン・コンクールというものの
存在の大きさを、改めて感じた。

 ♪ ♪ ♪
Yulianna Avdeeva won the first prize at Chopin Competition in this Autumn.
She came to Japan and held a recital of all Chopin program.
Her nocturnes was graceful like pearls.