「聖書をメガネに 桐生悠々の名を初めて聞いたあの時」の,小さくない恵みの波紋  森弥栄子姉の第27話 使徒言行録2:1−4

「聖書をメガネに 桐生悠々の名を初めて聞いたあの時」の,小さくない恵みの波紋  森弥栄子姉の第27話 使徒言行録2:1−4

第二十七話 ペンテコステⅠ(使徒言行録 第二章一〜四)

旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、突然、激しい風が吹いてくるような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ〝霊〟が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。

神さまからの不思議な贈り物と、教会のお誕生日というお話をいたしましょう。
皆さんもお誕生日にプレゼントをいただくことがあると思います。じつは教会にもお誕生日があって、力にあふれた素晴らしい贈り物を神さまからいただいているのです。いったいそれは何ですかって。それをお話する前に、四月の復活祭のことをちょっと思い出してください。

人びとの罪のために、もちろん、わたしたちのためにも、十字架におつきになったイエスさまが三日目によみがえられた日曜日が復活祭の日でした。百合の花をいただきましたね。お花は咲きましたでしょうか。あの復活祭の頃お話ししたことで、イエスさまが弟子たちにお約束したことがありました。覚えているでしょうか。「見よ、わたしのお父さまが約束されたものを、あなたがたに贈る。だから、上から力を授けられるまでは、あなたがたは、都にとどまっていなさい」と、復活されたイエスさまがおっしゃいましたね。それで、ペテロさんたち、弟子たちは、言われたとおりに、都のエルサレムにとどまっていました。イエスさまがよみがえられた復活祭の日から数えますと、もう五十日が経っていました。聖書には「五旬節の日が来て」と、書いてあります。

昔、イエスさまの国では、五旬節の日は、実った麦の刈り入れをするお祭りの日でした。その日、ペテロさん、ヨハネさん、ヤコブさん、その他大勢の弟子たちと、イエスさまのお母さまのマリアさまも一緒に、ある家の二階に集まっていました。そこで、みんなは心を合わせて、ひたすら神さまにお祈りをしていました。イエスさまのことを思ってお祈りをしていたかもしれません。
するとそのとき、突然激しい風が吹いてきたような音が、天から響いてきました。また、舌のようなものが、炎のように分かれて、みんなの上にとまったと聖書は言います。不思議な言いあらわし方ですね。わたしたち現代っ子には、この激しい風の音とか炎と言い表されているものを、分かるのは難しいかもしれません。昔の人の表現だからです。
けれども、よおく、聖書を読んでみますと、このとき、お祈りを一生懸命していたイエスさまのお弟子たちの心の奥深くには、今までにない変化が起きていたようです。人びとの心の奥に、復活されたイエスさまの霊が満ちあふれてきたのです。イエス・キリストさまの霊に満たされていく様子が、どんなに激しくて、深かったかということが、風の音や炎の激しさで、わたしたちにも伝わってくるようですね。

エスさまがお約束された贈り物とは、「聖霊」だったのです。イエスさまのお姿に、もう、現実にはお目にかかれなくても、弟子たちは、今もイエスさまと共にいることを、けっして忘れないようにイエスさまの力強い聖霊をいただいたのです。そして、主・イエス・キリストというお方こそ、わたしたちを、神さまの前に正しい人間として導いてくださる、本当の救い主だと、弟子たちは信じることができたのです。それから聖霊のお導きによって、弟子たちは、復活されたイエス・キリストさまの出来事を世界に知らせる証人となって、教会を建てていきました。

子供讃美歌で歌うように、どんなに苦しいことや辛いことがあっても、弟子たちは教会を世界のあちこちに造っていきました。ですから、この五旬節の日は、初めて教会が生まれた日、つまり、教会のお誕生日なのです。
ところで、わたしたちも聖霊をいただけないかしらと、ひそかに思いますでしょう。実は、お手紙を書くのが上手なパウロさんがこのように言っています。「聖霊によらなければ、誰も『イエスは主である』と言うことはできない」と。

わたしたちは、日曜日に教会へ来てお祈りをいたしますが、「イエスさまは、わたしの主、つまり神さまです」と、心から思えるならば、わたしたちにも天の父なる神さまがイエスさまを通して、聖霊の力をもって働いてくださるのだと、パウロさんはおっしゃっているのです。これで、父なる神さまから、イエスさまを通して贈られた聖霊の贈り物のことと、教会が生まれた日のことがお分かりになったでしょう。
来週の日曜日、六月七日は教会が生まれた日を記念する聖霊降臨の日だと言います。わたしたちも、心から感謝と喜びを神さまに捧げましょう。

父なる神さま。
いつも深い恵みをもって教会へと通わせてくださいますことを、心から感謝いたします。どうか、わたしたちにも聖霊を贈ってください。そして、み心にそうようにわたしたちに呼びかけてください。アーメン。
一九八七・五・三一