和泉糸子さんからのメール

和泉糸子さんからのメール

手紙のやり取りと同様、メールのそれも私の生活と生涯にとって大きな位置を占めているのは確かです。
 しかしその大部分は、消え去っています。その中で、数重なる引っ越しにも関わらず、手元に残っている手紙があります。
 またパソコンのデータとして残っている者もあります。
和泉糸子さんとのメールのやり取りの場合、偶然のように見つけた以下のもの、今の時点で読みなおし、しみじみとした思いになっています。

「愛の業としての説教」の感想
  2010.2.20 和泉糸子

○どうしてこのような題をつけられたのか、はじめよくわかりませんでした。さっと読みましたので。
 でも、感想をということで、二度目に意識的に読みましたら、なるほどと分かりました。またサブタイトルの「存在の喜びをあなたに」というのも、水草修治牧師の文を読んで、宮村先生の中で、ずっと前から持っておられた思いが、発酵して結実されたものだろうと納得しました。

我孫子教会では使信という言葉を使っていますが、説教は愛の手紙である聖書を共に読み、語り、聴く共同作業ですので、礼拝の中に聖霊が働いて下さって愛の呼応がなければ、真の礼拝とはならないということを、表題で先ず確認し合おうとされているのだろうと気付かされたのです。

○元旦礼拝から続けて、エフェソの信徒への手紙を読んでいます。月に1回侃治牧師から受け継いで、エレミヤ書も続けていますが、それ以外は。竹森満佐一先生の「講解説教エペソ人への手紙」がオンデマンドで求められたのが、幸運でした。侃治牧師は教えを受けた東神大の先生の中で竹森先生ほどしっかりとした説教、しかも、語り方が上手な牧師はいなかったと、よく言っていました。加藤常昭先生は竹森先生の弟子だからというような言い方もしていました。

○竹森先生からのお手紙が「あとがきにかえて」の中にあるのをお読みしました。次の主日の準備を終えたところですが、2:14~18のところで、「礼拝においては、神との平和だけでなく、人との平和が必要である」「人との間に平和がなければよい礼拝をすることは難しい」と書かれていました。「愛の業としての説教」「愛の波紋」「広がり」という言葉に通じることとしてお聞きしました。

○「聖書は立体的に読まなければならない」と侃治牧師はよく言っていました。25ページの、いくつもの「きょう」は、まさに立体的な聖書の読み方であると思えました。
 ヘブライ人への手紙は聖研祈祷会で1年以上かかって、現在10章まできましたが、旧約聖書詩編や創世記、出エジプト記などを参照しながらさまざまな「きょう」と格闘していますので、出席者はむずかしいと言いながら、かなり立体的な読み方に慣れてきたのではないかと思います。
47ページに「この歴史的センス、これは説教者・宣教者にとり掛け替えのないものであり、地道な歩みを通して身につくのです」と書いておられることはそういうことかと思ったのです。
「ルツの神」、まことにその通りだと思います。

○57ページの「生活・生涯のただ中で聖書を読む」とりわけ「聖書で沖縄を読む課題・喜び」という言葉、また、49ページの「・・つつの神学」、53ページの「絶えず、しきりに」という言葉は、わたしには新鮮に映りました。
 長く宮村先生と接しておられる方には、「そうです」という言葉同様、先生の口癖としておなじみなのかもしれませんが。

○学生時代に書かれたものの中に、生涯を通して見つめ続けていかれたものの萌芽があることを興味深く読みました。聖霊論、三位一体論など。ヨハネによる福音書1 4章26節の「思い起こさせる」という言葉と、記憶を結び付けての考察などは、なかなか思いつかない面白い着眼点だなあと感心しました。
 そういう若い時の原点のようなものが、第二部に入れられているのは面白い構成だなあと思いました。
 内村鑑三、お好きだったのですね。侃治牧師は関根正雄先生でした。紛争がありましたけど、北森先生もやはり影響が大きかったのですね。北森先生のお宅でよく鍋などを御馳走になったようですが、息子さんが先生の味付けは砂糖を入れすぎて甘くて閉口したようなことを思い出に書かれていましたが、侃治さんのすき焼きの作り方など、まさに北森先生のまねでした。

○宮村先生は出会った方たちとよい関係を作って来られ、愛の波紋と広がりの中から実践も学問もつくりあげてこられた。著作集もその今までの経験の中からの、宮村節(ぶし)の、独特のものになるのではという予感のもてるような第一巻であるように感じました。

○第3部の内容は「恵みから恵みへ」でお読みしたものが多く含まれているように思えました。忍望君への手紙はいいですね。父から子への手紙は宝物です。

○感じましたことを率直に記させていただきましたが、読み足りずまた、勉強不足のものの感想として、お読みいただけましたら感謝です。
      2010.2.20 和泉糸子