お隣の魔法使い2 レジンキャストミルク3 4

ほんわかふわふわ、地に足のついてないあなたへ。これを読むと、何気ない一日が少し嬉しくなるような、「お隣の魔法使い」はそんな作品です。

ある日突然、少女メアリーのお隣に引っ越してきたのは、少々変わった青年トウックトウィック。(どこがどう変わっているのかは、読んでみてのお楽しみ)彼が引っ越してきてから、メアリーの毎日に楽しみが一つ増えます。普段彼女が何気なく見過ごしている四季の移ろいをツクツクさん(メアリーはこう呼ぶ)は手を変え品を変え、様々な方法で我々を楽しませてくれます。

春夏秋冬を描いた連作短編なんですが、今回も劇的な展開は何も起こらず、誰も傷つかず、ゆったりとした毎日を過ごしています。
例えば、春の話を読んでみると、友人から送られた缶詰を開けるだけの話なんです。しかも、ただの缶詰じゃなく、アルプスの空気が入ったものだったり、雲の絵が描かれた缶詰には部屋一杯の綿が詰め込まれたものだったり。遊び心の詰まった缶詰に、メアリー嬢ならずとも心躍ることでしょう。

他の季節もこれに劣らず、うきうきわくわくすること間違いなし!

陽だまりでぽかぽかと日向ぼっこしているような、気持ちいい気分にさせてくれる、そんな作品
です。

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そして、上の「お隣〜」とは正反対のダークネス満開作品「レジンキャストミルク」3,4は上下巻構成。主要キャラの一人。ツン属性の舞鶴蜜にスポットが当たります。毎回、読む度にへこみ気味になってしまうんですが、今回はヒロイン木島硝子の友人直川君子こと、きみちゃんのDVが主軸になります。

やっぱりしょんぼり。別に作品が悪いわけじゃなくて、むしろ作品世界があまりにも救いようのないことに落ち込んじゃうんですね。どう考えても「みんなはっぴー」みたいなラストは期待できないわけでして。自分は、上記のような日常のさりげない変化を扱った作品が好みなんですが、たまにはこんなのも読みたくなることがたまにあります。

でも、いいですよ。設定に振り回されるのではなく、ウマく使っているのが分かるので、最初はちょっととっつきにくいかもしれないけれど、一度入り込んだら癖になる面白さ。

クライマックスの戦闘シーンでは晶と硝子の息の良さに「おお」となること請け合い。日本語⇔英語の吹き替えの妙にいつもにやりとしちゃいます。

ネットで作品の評価を読んでたら「電撃の黒い太陽」と書かれていた。「黒部ダムか!」と思わず突っ込んでしまった。でも、「黒い〜」だと、黒服になるからこの突っ込みもちょっとちがうかも。

でもいい二つ名です。是非、帯のキャッチコピーに使ってほしいものです。