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がくの飛耳長目録 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-03-08 気候変動の謎ーチェンジングブルー

気候変動の謎ーチェンジングブルー

| 03:38 |

チェンジング・ブルー―気候変動の謎に迫る

チェンジング・ブルー―気候変動の謎に迫る

お約束の読書感想文

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 最近、地球温暖化を含めて、地球環境問題は、地球科学世界の最大の課題の1つだ。私の狭いテクトニクスという分野からみると、分野違いだが、避けて通る事はできない。テクトニクスの分野でも、地球環境との相互作用は、新しい切り口で研究がすすんでいる。そんなことから最新事情を勉強しようと本書を読んでみた。

著者に「読みたいからくれ!」とせがんだのであるが。

 この数十年の間に、古気候変動の実態を解明する研究が飛躍的にすすんできたことが見事に描き出されている。放射同位体を駆使した分析、その手法の開発と発展、そして地球各地の掘削。とくに、グリーンランド氷床と南極氷床の掘削などは圧巻だ。気候変動の全球的同期と地域変化を追いかける研究がフォローされている。そこに関わった研究者と、それをとりまく学界の雰囲気、人間模様が沿えて記されていることも、その研究の成果を理解する上で大変わかり易い。研究とは人間の所業なのであるから、その研究者の人間模様やそれをとりまく学界の動きを同時に理解することは、レビューをする時に欠かせない要素だ。そのようなことは、論文だけからは決して読み取ることは出来ないが、研究史を理解する上では不可欠だ。学生諸君には、このようなレビューがおすすめだ。

各章に「座右の銘」とおぼしき、著者の好きなことばの引用も、欧米サイエンスライターのようでいい。レビューをする著者のこころが伝わって来る。

古気候を理解するための大きなパラダイムシフトが20世紀後半に2回あったという。ミランコビッシサイクルに代表される天文学的外因の理解の定着と、数十年スケールの短いスケールで起こる激変の理解の定着だ。後者を支配する仮説として、わずかな塩濃度の変化が引き金となる北大西洋深層水の成立と停止が全地球へのエネルギー散逸に及ぼす影響を強調する。そして、いま、ちまたに流布する人間活動に起因する二酸化炭素の増加がもたらす漸進的温暖化や、海水面の漸進的上昇への影響という常識を超えて、閾値を超えた時に劇的な気候変化をもたらす非線形臨界現象に警鐘を鳴らしている。それは最近の短時間スケールの気候変動では見えていない激変だ。

10万年を超える古気候変動の最新の研究は、地球表層の大気海洋圏、生命圏そして人間圏の開放非平衡系の中での安定・不安定の振動としての気候変動という複雑系システムを描きだした。気候は、未来のある日突然、閾値を超えて大暴走するのかもしれない。

ということが、この本のメッセージか?

アジア太平洋域はどうなってるの?真鍋さん以外の日本の研究者はどうしてきたの?それは続編として書いて欲しい!!

聞きたい事が一杯湧き上がって来た。

高校生にも分かるように、基礎的なことまで遡り丁寧に記されているのもいい。

細分化された地球科学においても、「自分は関係ない」などと思わずにスーと読める。

多くの人が読まれることをおすすめしたい。

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