超大陸(1)

超大陸―100億年の地球史

超大陸―100億年の地球史

昨年末に出た翻訳本である。ロンドン地質学会の職員、研究員でもあり、サイエンスライターでもあるTed Nield氏による。
2007年より今年の2009年までは、国際惑星地球年である。これは、国際地質学連合(IUGS)が提案し、ユネスコが認定して国連が設定した年だ。
一昨日の学術会議のIUGS対応分科会でも、今年の締めくくりの行事をどうするかが話題となった。
秋にイベントを企画することとなった。

さて、本書はロンドン地質学会(世界で一番古い、すでに200年経っている)が、その国際惑星地球年(本書の中では国際地球年となっているが、正確には惑星がつく)を記念して、職員に奨励して書くこととなったと記してある。

まずこの事への感想。
日本の地質学会も相当古く120年。会員も4500名、専門職員も数名いるが、とてもそのような体制にはない。
ロンドン地質学会は、さすがに古いだけあって、ロンドンのピカデリーに建物を持ち、職員に自由な研究をするような体制になっているという。
あのチャールズダーウインだって会員だった。
本書には、これまであまり耳にした事のない、地質学の歴史や、最新の地球史研究のホットな最前線が紹介してあるが、そのような科学の動向を学会で働く人がきちんとフォローしてこそ、働く意欲につながる。学会の発展につながる。日本でも是非、そのような体制に近づくようになりたいものだ。単なる学会実務の実行だけではなく、そのような余裕が科学を支える。

加えて、日本ではサイエンスライターというか、サイエンスジャーナリズムの極端な層の薄さを指摘しなければならない。
英語で書かれるものは市場が世界である。それに対して日本語は日本だけ、おまけに書店ではだいたい科学読み物は隅に置かれるだけである。
科学の普及は、国の存亡を決めるというのにである。

まず、そのようなこの本の出版に対する感想を記して中身に入る事にする。

(つづく)