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考えなきゃいけない人の 「飯島謹一 U.R.I レポート」 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012-02-12 想像力を持って備えること

 以下は、個人の見解です。

 人は経験していないことはうまく想像できません。しかし、経験しても、他者に対する想いを働かせることが無いものには経験を生かすこともできないのです。

 英語の勉強ということで毎日送られてくるメルマガの文章を紹介します。地震に関するニュースが英語教材にも登場するくらいの状況ということです。

Big Quake likely to Strike Tokyo by 2016

There is a 70% probability that a magnitude seven-plus earthquake will hit the Japanese capital Tokyo in next four years,according to the Tokyo University's Earthquake Research Institute.

 東京大学地震研究所の発表以来、地震対策や訓練のニュースが目に付くようになったのは気のせいでしょうか。東海・東南海・南海3連動地震に備えるため、太平洋岸のJR3社が、ラジオの携行などの津波対策を充実させつつあることや、自治体との連携を強めるなどの対策を進めているニュースや、南海トラフを想定震源域とする巨大地震津波対策を独自に見直す自治体があいつぐ中、財政難を理由に見直しに着手しない自治体など取り組みの差についての報道もありました。

 さすがに、切迫したかの発表があった東京都では、各自治体による災害対策が、よりきめ細かく進められつつあるようです。

 たとえば、品川区では防災行政無線を自動的に受信することができるラジオの普及のため、代金の一部を区が負担する取り組みを始めます。

 防災行政無線は、一般にはパンザマストというポールの先端に設置された拡声器から流されてくるのですが、ビルが建て込んでいる23区内では、屋内はもとより屋外でも明瞭に聞き取れないことが多く、苦情が区役所に寄せられています。これがラジオで受信できるとなれば、利便性も高いといえます。停電時には手回し式発電機能で充電できることになっています。品川区では2012年度予算案に関連費用として2、720万円を組んでいます。

 さらには、飲料の自動販売機に液晶ディスプレイとスピーカーをセットして、緊急地震速報などの災害情報をリアルタイムに配信するサービスを開発下というニュースもあります。http://japan.internet.com/busnews/20120210/5.html

 飲料用の自動販売機が情報配信用のデジタルサイネージとして利用可能なことに着目、あわせて、特定の地域や時間に最適な情報を配信することができる点もメリットにあげています。なお、表示端末などのハード部分は韓国のヒュンダイITが開発したものです。自動販売機に並々ならない関心を持っている人もいるのではないかと思いますが、情報ステーション的な利用はこれまでにも考えられてきたところです。

 一方で、2012年度予算案ではちょっと気になる経費を組んでいる自治体もありました。それは、避難所に指定している学校の防災井戸が枯渇していることに対応して掘削工事を行うためというものです。

 防災井戸の枯渇などということがあるんですか、というのが率直な感想ですが、4校だけとされた枯渇、他に防災井戸が設置されている公共施設があるとすれば、そこは大丈夫でしょうか。

 その自治体の区役所の敷地には、ある企業の周年記念で、その企業が井戸の掘削では世界でも指折りの技術を持っている企業であったことから寄付した防災用の井戸があります。まあ、これは大丈夫とは思いますがね。

 防災対策には、事前、最中、事後の3つがあるとはよく言われますが、被害を減らしていく減災対策には、事前の対策が有効です。それは案外ちょっとしたことだったりするのですが、支援策を考えるときのヒントが集められている本があります。そこそこ防災マン奮闘記です。

 有効な減災対策を考えなきゃいけない人、提案したい人には一読を勧めます。

大規模地震対策特別措置法は見直しが必要か 大規模地震対策特別措置法は見直しが必要かを含むブックマーク

 大きな課題について考えてみたいと思います。

 3月11日の前々日、3月9日にマグニチュード7・3の地震が発生します。これについて、気象庁は「想定されている宮城県沖地震とは違う」と発表していましたが、東日本大震災後に「3月9日の地震は前震と考えられる」としました。震災翌日、国の地震調査委員会委員長の阿部勝征東京大学名誉教授は記者会見で「四つの想定域が連動するとは想定できなかった。地震研究の限界です」と述べました。そのことが影響しているかどうかはわかりませんが、最近になって国は東海地震の想定域を拡大して、ほぼ東海・東南海・南海地震の3連動地震を想定した発言が多くなってきています。

 しかし、想定震源域の拡大には、大震度法の見直しが必要という意見があります。詳細は三連動地震迫る〜東海・東南海・南海に譲りますが、前兆現象としての先行滑りが検出できなければ地震予知情報地震警戒宣言も発令されないまま地震発生も考えられるとすると、予知が前提の災害対策が考えられている大震法は一度検討してみる必要があると思います。

 特に、拡大された想定震源域への観測網の設置がなければ、想定震源域の拡大は生かされてこないでしょう。

 さらに警戒宣言が発令された時の社会的対応、帰宅困難者への対応などこのままでは混乱が避けられないのではないでしょうか。

 今のところ観測網の充実としては、今年になってから海上保安庁が、東海・東南海・南海地震が想定される太平洋南海トラフ付近の海底地殻変動の観測強化のため8カ所の観測機器の設置へと測量船を出発させたというニュースだけです。

 「想定外」という言葉を聞くことがないような取り組みを、国の関係機関、関係責任者には強く求めたいです。

次回は震災対策の2として、情報の問題、BCPの問題について考えてみたいと思います。

今回のメニュー

どんな支援策が有効な支援策なのか、考えるヒントに。防災士の方にもお勧めです。

大震法について考えることが必要だと痛感させてくれた本です。

いまひとつ、三連動地震を考えるならば、踏まえておかなければならない問題がこれでしょう。いたずらに煽る類の本ではありません。

2012-02-05 地域主権への挑戦

 以下、個人の見解です。

野田V.S橋下か 野田V.S橋下かを含むブックマーク

 イギリスの経済専門誌「エコノミスト」2012年1月28日号に「Generational warfare Two rival political visions emerge for reviving Japan.Will they clash?」http://www.economist.com/node/21543544と題して、ふたりの日本の政治家が取り上げられました。ひとりは野田佳彦総理大臣、もうひとりは、そう、予想通り橋下徹大阪市長です。ふたりの政治家はBOLDという言葉で紹介されていますが、辞書で引くとこの言葉には、「大胆」という意味だけでなく「図太い」というややネガティブな意味もあります。(日本語訳はこちらで。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34430

 消費税増税に政治生命をかける野田総理は勇敢というよりは向こう見ずというニュアンスで語られているように読めますし、一方の橋下市長は、大胆よりは図太いというニュアンスが感じられます。

 今日の野田政権の迷走をみていると、むしろドンキホーテのようにも思えてきます。テレビでの国会中継を見ていて「学芸会のようだ」と感想を漏らした人もいました。行く末に多くの国民は不安を感じています。この子どもじみた空気がどこからくるのか理解に苦しんでいたところ、松下政経塾憂論という本を見つけました。



 昭和女子大学客員教授にして、松下政経塾「中退」という東海由紀子さんと、参議院議員で松下幸之助氏の側近江口克彦氏の両氏が語りまとめてた本です。おそらく、多くの国民が現在の国政に感じる「ある種の底の浅さ」の遠因のひとつが見えてくるのではないかと思います。政経塾出身の政治家についての、いわば身内からの人物評も面白く読め、なるほどというところもあります。「政経塾出身の政治家には、「言いっぱなしで責任を取らない」、「口先番長」といった評価がついてまわります。」、「さらに、民主党という政党の体質が、政経塾出身者のこのようなスタイルを許しているようにも見えます。」などの記述がみられる「政経塾「言いっぱなし」の根本原因」、「政経塾と民主党による無責任の相乗効果」などには、納得した思いになるかもしれません。しかし、「単なる「松下政経塾批判本」ではないということは付記しておきたい。」とする江口氏の言葉は、氏が松下幸之助氏に寄せる思いを語った部分と合わせ、なんといっても、松下政経塾出身者が日本の総理であり、多くの政治家を輩出している現実はきちんと押さえておくことが大事でしょう。

 さて、片や一方の橋下氏です。今や、議員ではなく、首長という政治家にますます注目と期待が集まっています。「エコノミスト」誌は、日本の政治を先鋭化させる橋下氏の存在を日本にとってプラスになると記事を結んでいます。

 2月には、東京、愛知、大阪の3大都市圏の話し合いが予定されています。これまでは、東京都と大阪府の「2都物語」かと思っていたものが、ここにきて、名古屋市あるいは愛知県を加えて、「3都物語」になりそうですが、このあたりについては、役者の顔ぶれとその関係から、「どうかな」というのが私の感想です。

 英誌の記事を離れて、予告したように、「大阪都構想」を中心にした「維新」についての考察に入りたいと思います。

 橋下大阪市長率いる「大阪維新の会」の改革プランには、「大阪都構想」とふたつの基本条例制定があります。

 そのひとつの「大阪都構想」ですが、政党間の思惑もあり、実現を目指した法改正、特別法の制定への流れが加速しそうです。そこで、そもそもの地方自治について、「二重行政」や「二元行政」の解消、地域主権の課題など、大阪にとどまらない、今ここにある自分たちの問題として、改革への論点整理をしておくことが有益です。

「大阪都」は現行の地方自治法でも原則可能? 「大阪都」は現行の地方自治法でも原則可能?を含むブックマーク

 「大阪都構想」について、表面的な話題に終始しているように思えてなりません。そもそも、「大阪都構想」を実現しようとするときに、どのような法的、制度的障害があるのか、はっきりさせる必要があります。(選挙の結果で、このことについての大阪府民、大阪市民の民意は示されています。)

 「大阪都構想」にはふたつの柱があります。ひとつは、広域行政を現在の大阪府の領域で一元化するということです。ふたつめは、住民に身近なサービスは「ニアーイズベター」ということで、基礎的自治体に担わせるというものです。東京型二層制度を目指しているといえます。ただし、基礎的自治体には、東京特別区を超える中核市並みの権限を与えた「特別自治区」とする構想になっています。

 しかし、だったら都と特別区による都区制度ではなくても一般市の設置でもよさそうですが、橋下氏があくまでも特別区にこだわるのは、特別区に特有の財政調整制度を重要視しているからと思われます。

 橋下氏にとって「大阪都構想」はどうしても、もうひとつの都区制度でなければならないのです。

 そこで、地方自治法の規定です。現行の「都区制度」について、地方自治法はどのように規定しているのか。特別区についての地方自治法の規定は、第281条第1項に「都の区は、これを特別区という。」とあります。281条は六まで、都と特別区の役割分担、特別区の廃置分合又は境界変更についての規定があり、橋下氏がこだわる特別区財政調整交付金の定めは第282条にあります。

 さて、281条第1項の規定ですが、これは「都」以外の広域地方公共団体の領域には特別区を置くことは出来ないという規定です。

 しかし、東京都以外の広域地方公共団体でも、「都」になれば、そこに特別区を置くことが可能になるということでもあります。

 それでは、現行の地方自治法では「都」を東京都以外に複数設けることが可能なのでしょうか。

 こういうことは案の定、学説には肯定的、否定的のふたつがあります。

 まず、地方公共団体の名称についての規定を確かめると、地方自治法第3条には、「地方公共団体の名称は、従来の名称による。」とあります。これは、東京都にあっては引き続き東京都という名称を使用します、ということです。あわせて、現在の首都機能を維持するということもあるとされます。

 そのうえで、「都」の名称については限定的な規定、つまり東京都に限るという規定がないのだから、その他の広域地方公共団体が「都」の名称を使用することは可能というのが肯定的立場の見解です。

 否定的な立場からは、東京都制の歴史的沿革から、「都」は、首都機能を有する地域をその領域の一部とする広域地方公共団体を示す一般的な法令用語という見解にたっています。したがって首都機能を有しない広域地方公共団体にあっては、「都」の名称は使用できないとされます。

「(首)都」はひとつの意味と「維新」の東京への波及効果 「(首)都」はひとつの意味と「維新」の東京への波及効果を含むブックマーク

 否定的な見解の視点に立つとき、石原東京都知事の「都はひとつ」という発言が、首都機能に着目した発言であったことがわかります。(かつて、1943年から1947年までの東京都の首長、官選の親任官であり閣議にも出席することが出来た東京都長官に対する著名な保守政治家の特別な想いについて、ご子息のこれまた著名な政治家から側聞したことを思い出しました。)

 しかし、「都」の名称については、法律条文上は東京都のみを対象にしていない一般制度として規定されていることも否定できない、と私は解釈しています。

 ここを敢えて、法改正という国政の舞台に持ち込んで、国のあり方の抜本的変革の問題としている橋下市長の戦略・戦術に舌を巻きます。

 それはともあれ、どちらの説によるにしても、(首都機能の議論は整理される問題ですが)地方自治法第3条第2項には「都道府県の名称を変更しようとするときには、法律でこれを定める。」としています。また、「大阪都構想」は大阪市以外の領域も含んでいるので、同法第6条第1項の「都道府県の廃置分合又は境界変更をしようとするときは、法律でこれを定める。」としていることから、新たに特別法を制定する必要はあります。

 そして、地域限定の特別法となれば、住民投票が必要になるとも考えられます。

 さらに、私として注目してところは、大阪都における「特別自治区」に現行の東京23特別区以上の権限を与える構想となっていることです。実現すれば、波及効果は東京都にも及ぶと考えるのが自然です。

 大阪で特別区の権限を超える特別自治区が設置可能になったとき、東京23特別区はどう考えるでしょうか。もし地方自治法が改正されるというのであれば、それは、大阪にとどまるものではない、文字通り、維新回天の壮挙になるのではないでしょうか。

 なにしろ、23特別区は、実質的には基礎的自治体として「一般市」と同等の地位を保有しているとされていますが、法体系上は、普通地方公共団体ではなく、このことは、特別区の規定が、地方自治法第2編(普通地方公共団体)ではなく、第3編(特別地方公共団体)におかれていることからもうかがえますが、こうしたことにも目が向けられることになるでしょう。(そうならなければ、それはまたそれとして問題ですが。自治法改正の時期にもよるでしょう。選挙日程があるからです。)

 そして、首長から議員へとブーメランはもどってきます。国会や地方議会のあり方へと国民、地域住民の厳しい眼が注がれることになります。

地域主権改革一括法と議会 地域主権改革一括法と議会を含むブックマーク

 昨年の8月30日に公布されたいわゆる「第2次一括法」により、従来は法令(主として政省令)で定められていた地方公共団体の事務処理の基準が、条例又は条例の委任を受けた規則で定めるように関係する法律が改正されました。これにより、各地方公共団体では、早ければ平成23年の第4回定例会、遅くとも平成25年の第1回定例会までに対応した条例案を提案しなければならなくなりました。

 平成24年第1回定例会で提案・上程される議会もでてくるのではないでしょうか。

 条例案を見て事務処理基準の決定か、と軽く考えてしまうとすれば、国政の迷走は笑えないでしょう。

 こんな参考図書を見つけました。地域主権改革一括法の解説


 今回の事務処理基準を、議会が条例で定めるということの重要性をかみしめることが大事です。国の基準に準拠した場合が多いかもしれませんが、自らが主体的に団体の意志を決定するという議会の役割、立法権行使の当事者であることの責任の自覚がないと、「西日本からの波及効果」を読み損なうおそれがあります。機関委任、団体委任の下での「条例で定めることが出来る」という規定と、今回の改正の下での「条例で定める」あるいは「条例で定めなければならない」という規定では、その立法行為の質が違っていることをふまえて望む必要があるのではないかと思います。

 政省令で決めていた基準を条例で定めるということは国の行政機関が決めていたことを地方の行政機関が決めるのではなく、地方議会が決定するということです。つまり、行政の決定ではなく「政治」決定だということです。参考図書はこうしたことにある種の示唆を与えています。

 議会の議決案件についての考え方も含め、一度、真正面から取り組んではどうでしょうか。ゆめゆめ「基準」、「手続」の決定という公権力中枢の行使を軽く見ることのないように祈っています。

 次回は災害対応の問題を取り上げたいと思います。

今回取り上げた書籍

2012-01-26 ISO50001エネルギーマネジメントシステム このエントリーを含むブックマーク

 この冬一番の冷え込みという日が続いてエアコンの温度も上がり気味ですし、電気の使用量も増加しているようです。年初に、節電の要請が区役所からメールできていました。

 原子力発電所が次々に定期点検のため、停止され、再稼働の目途が立たずに、日本全体で稼働している原発は5基になっています。

 このままでは、今夏の電力需要のピークは、果たして節電だけで乗り切れるのでしょうか。それに、電気エネルギーの問題は、量の問題だけでなく、費用負担の増加という事態にも直面しています。火力発電のための燃料コストの急増や再生可能エネルギーの買い取り費用が、電気料金に跳ね返ってくるからです。

 こうした中で、東京、世田谷区は、区内公共施設111カ所の電気購入先について、平成24年度から東京電力だけでなく、特定電気供給事業者を含めた競争入札にすると発表しました。このことで、環境負荷軽減事業者など区の掲げるポリシーに合致した事業者の入札参加や、現実に、東電の電気料金の値上げを抱き合わせると、年間1億1千万円程度の節約効果が見込めると報道されています。

 一方、国としても電力使用の抑制をねらって、新たな補助制度の導入を計画しています。

 新聞報道によれば、経済産業省は、夏場の電力使用を抑えるため、ビルの電力を効率的に管理するシステムを導入した企業に、最大で費用の2分の1を補助する制度を設けるとしています。これは、ビルディング・エネルギー・マネジメント・システム(BEMS)と呼ばれ、最大使用量を10〜15%抑える効果が期待できるとされています。2011年度の第3次補正予算からおよそ270億円の基金を設けて、補助するというものです。

 今年は、エネルギーをめぐる様々な動きが、加速すると思います。つくるつくるという言葉だけが先行していた、原発事故をうけての、「新エネルギー政策」、「新エネルギー計画」の策定をしなければなりません。

 実は、昨年の暮れ、「ISO50001」という国際規格の存在を知りました。国際基準では、品質のISO9001、環境のISO14001、労働安全衛生のOHSAS18001、食品安全衛生のISO22000などがよく知られたところです。最近では、情報セキュリティーのISO/IEC27001も注目されてきています。

 そこで、ISO50001ですが、2011年6月15日に発行されたエネルギーマネジメントシステムに関する国際規格です。エネルギーマネジメントシステム(EnMS)とは、組織がエネルギー効率やその使用量等を含むエネルギーパフォーマンスを継続的に改善するための仕組みのことをいいます。

 EnMSの確立は、限りある資源の制約や持続可能な開発、気候変動対策などの課題、環境や社会的要請に応えるためのものであるとともに、コストメリットも期待できるものだとされています。

 我が国の省エネ法とも整合性がはかられているようです。

 現在のエネルギー状況から勘案すると、マッチングもたかそうです。最近の経営分析でもよく使われるPDCAサイクルにあわせた設計が求められるところも時代にマッチしていそうです。

 EnMSに関する解説書は、現在多くはないようで、規格の普及も含めてこれからのものといえるでしょう。目にとまった入門書は、すぐわかるISO50001(エネルギーマネジメントシステム)ぐらいです。

 今年の電力受給の動向を考えると、世田谷区のような取り組みに限りませんが、地方公共団体の光熱水費をマネジメントする問題は、行政改革の側面だけでなく、エネルギーの利用全体の最適化を目指す経営の問題として古くて新しい検討課題になってきたといえます。

 そこで、次の資料をみて下さい。これは、ある東京特別区の22年度決算の資料の一部です。この区を仮にN区としておきます。

年度使用量電気料金
200523,246,348439,947
200622,321,613420,205
200722,095,699421,790
200821,724,396452,714
200921,053,846383,777
201021,186,920409,826

資料のタイトルは「主な施設の電気・水道料金の決算額及び使用量」となっていますが、そのうちの電気の部分を抜き書きしたものです。ここには示していませんが、実際の資料は、主な施設ごとのデータとなっています。

 N区では2007年の11月から環境マネジメントシステムの運用を開始しています。データにあるように、06年度に比べて07年度は使用量が大きく減少しています。使用量の減少は09年度まで4年間にわたって続きましたが、2010年度に増加に転じています。この主な要因は、何だったのでしょうか。料金については、増減の波があるのは、値上げなどの影響でしょうか。10年度に使用量が著しく増加している施設、微増の施設、微減の施設などがあり、エネルギーマネジメントシステムの活用余地があると感じました。

 ここでは詳細な分析は示しませんが、23特別区のどこでも同じような資料を作成し、同じような問題意識を持って、来年度の電気料金の上昇を抑制し、節電に取り組もうとしていると思います。あなたの住んでいる区も例外ではないでしょう。

 ここで、ひとつ気になることは、決算の資料としては、先に挙げたような光熱水費の一覧データが準備できるのですが、地方公共団体の予算審査に当たっては、同様の資料が、N区についてはこれまで準備されたことがありません。集計が困難なほどに細分化されているのか、支払方法によるのか、所管の問題なのか、いずれにしても不思議なことです。光熱水費はいかなる名目で積算されているのでしょうか。どこかに計上されていることは間違いないのですから、集計はやろうと思えば出来るのではないでしょうか。

 それよりも、予算積算時点では、今回の電気料金の値上げは織り込んで積算がされたのでしょうか。N区は、姉妹ブログのU.R.Iの財務分析班の23特別区財政力ランキングでも下位にランキングされているだけに心配ですが、最近の財政方の力量はどうでしょう。

 まあ、織り込み済みで積算していると思いますが。

今回の参考書はこれです

もう少し詳しくという人には

2012-01-03 2012年、今そこにある危機

 新しい年も、読者のみなさまのご活躍をお祈りし、併せて、ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。

 私事ながら、母校中央大学の箱根駅伝連続出場が途切れなかったこと、そして、最終走者のすべての力を振り絞る力走に感動して、正月3日間を締めくくり、明日の日本へつなぐ見えない襷を探し、渡していこうと、改めて思いました。

懸念される3つのリスク 懸念される3つのリスクを含むブックマーク

 2012年が、平穏な年であってほしいと願うのですが、現実の動きを考えると、願い通りに進むことは、難しいのではないかと思います。

 政治・経済、社会の動向のうえで、今年は3つのリスクが考えられると思います。もちろん、これは、あくまでも、私個人の見解です。

 その1つは、グローバル経済の破綻リスクです。これは、欧州のソブリンクライシスだけでなく、中国、インドの動向もまた、危機の要因になりうることを視野に置いて、考えなければならないと思います。グローバル経済の状況を無視して、日本経済にダメージを与える政策を実施することがあれば、取り返しのつかない深手を負うことになります。

 それこそ日本国債の危機を招きかねません。「角を矯めて牛を殺す」の愚を犯しかねない政治の混乱があれば、リスクは一気に高くなると思われます。

 2つは、「パンデミック」の再襲来と、そのことによる社会生活を維持するためのインフラの機能低下、混乱による停滞の発生の恐れです。強毒性の鳥インフルエンザの人から人への感染のリスクが低くなったとはいえないのが現状でしょう。ワクチン製造と供給、警察、交通、物流などの機能維持・確保は万全とはいえないのが現状でしょう。 加えて、対応策や法制度の不備などから、自然災害への脆弱制が露呈し、被害を拡大するリスクが高まることが考えられます。東海地震の想定域の拡大は、これまでの大震法体制の見直しを不可欠にするものですが、果たして、政府当局にその明確な意識はあるのか疑問です。それこそが、「いまそこにある危機」だという意味で、第1のリスクと同じやりきれない現実があります。

 第3は、スマホの普及でネット社会が年代を超えて進展することもあって、サイバー空間における戦争に巻き込まれるリスクです。

 国家間の正面切った、物理的な戦争のリスクはともかく、インターネット社会が、リアルな生活と癒着することによって、サイバー空間での戦いは、他国の問題ではなく、いよいよ日本にとっても現実の問題になってくるでしょう。

 すでに、サイバー攻撃は、国会をはじめ、各省庁、政府機関、防衛産業などにおよび、機密情報への不正アクセス情報流出などの被害が伝えられていますが、実態の報道はほとんどなされていません。被害の程度も知れない、というところが、逆に怖いところです。サイバーテロが地方公共団体に向かうことは容易に想定できますが、地方自治体の安全・安心対策は、十分とはいえないのではないでしょうか。

 都道府県、区市町村のネットワークやサーバーへの不正アクセスは、ふつうの人々がサイバー戦争に巻き込まれることを意味します。文字通り日常生活の安全保障対策が必要になります。そして、一方では、スマートフォンの普及で、ネット社会スパイラル的進展は、決して止まらないでしょう。

 起こらぬことを願いつつも、想定外などと言わないためにも、底流に3つのリスクを置いて、観るべきものをみて、発信するべきことを発信する1年であろうと思います。

ワンピース」と橋下大阪市長の流儀 「ワンピース」と橋下大阪市長の流儀を含むブックマーク

 マンションの1階にコンビニが出来て、何にしても便利になりました。問題は、必要がなくても、寄ってしまう習慣性が、コンビニにはあるということや、新しい生活スタイルを作り出していること(たとえば、恵方巻きなど)でしょう。

 物流インフラと、生活ユーティリティーとしてのコンビニについては、3つのリスクとも絡めて、改めて取り上げたいと思いますが、今日は、下の写真に関連したことです。

f:id:kin-ichi:20120102235741j:image:right

 「ワンピース展」のポスターが、コンビニの壁に貼ってありました。新しい世代論のように思える「ワンピース世代の反乱、ガンダム世代の憂鬱」(鈴木貴博 朝日新聞出版)を読んでいて、昨年来、橋下大阪市長のことについて、ひょっとすると、彼は、政治の世界における「ワンピース」的手法を行使しているのかもしれないなどと考えていたので、目にとまったものです。

 「ワンピース」については、昨年、豊後高田市に行ったときに、マニアショップで、ふーんという出会いをしていたのですが、その後すっかり忘れていたもので、私は、「ガンダム世代」より前の「鉄腕アトム世代」ですが。

 この本の中にも、やっぱりというか、「日本が、貧困の再配分のサイクルに陥らないためには、〈中略)いずれかの段階で、官僚の人数を減らしていく必要がある。特に産業育成という意味では、自治体の肥大化を抑えることがポイントになる。この意味で、大阪府の橋下改革は、日本の未来の一つの試金石になる可能性がある。」という個所がありました。この本は世代論というよりは、メンタリティーを踏まえた改革志向の書物のように思えます。

 しかし、どうも、橋下市長と「むぎわらの一味」はぴったり来ないというか、ストンと落ちないのですね。

 元佐賀市長の木下敏之氏の「橋下市長の周りに優秀なブレーンが集う理由」http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/33362によれば、ブレーンとして、安藤忠雄氏、上山信一氏、北川正恭氏、藤原和博氏、堺屋太一氏などがあげられていますが、改革者ではあっても、「むぎわらの一味」とは考えにくい顔ぶれです。

 橋下氏自身もそうですが、「大阪維新の会」も「むぎわらの一味」とは思えないですねえ。

 言い出しておいてなんですが、このような関心を持ってしまうのも、これまでとは良くも悪も、ちょっと違うなという実感があるからです。本気の改革、彼らの言葉でいえば「維新」に進ませる意気込みに風が吹いているのです。その風は逆説的ですが、守旧派が吹かせているとも言えるのではないでしょうか。ですから、ここにきて一気に賛否両論の出版物が氾濫してきたのでしょう。

 しかし、木下氏の文章でも紹介されている「行政の経営分析」は、これからの大阪市改革シナリオが明確であるということからも必読書。この本を読むと大阪市の改革はぽっと出てきたものではないということが分かります。

 シナリオが無いのは「大阪都構想」と道州制への道筋です。

 私が注目したのは、第2章第8節の「施設・ファシリティマネジメント」と、第3章の「経営分析の進め方」です。マッキンゼー流(?)の実務手法の紹介が、応用可能な気がするところです。

 橋下氏の手法については、「図説・心理戦で絶対負けない交渉術」が参考になります。

 市長就任後東京での各党のリーダーとの会見の様子をみると、この本を読んでいた人は少なかったのかなとも思えました。

 改革の概略を知ろうとするのであれば、

 毀誉褒貶の大きい人ですが、時の人には違いがありませんから、批判的な立場の側からも取り上げた参考資料、たとえば、「ハシズム」なども含め、バランスよく読んで、自分なりの判断をしておくにこしたことはないでしょう。

ところで、こんな本もあったんですね。これを読むと、東京で小沢氏に会った理由が見えてくる気がします。

 

 最後に、やはりこの資料をあげておきたいと思います。「ワンピース世代の反乱」ではないにしても、庶民的な支持を背景にどこへ進もうとしているのか、一度は考えを虚心にみておくことが必要でしょう。

今日のメニュー 今日のメニューを含むブックマーク

世代論も新しい切り口になってくるのだろうが、「仲間」と「自由」、タテ社会とヨコ社会の両方がムラ社会であるというのは、謙虚な認識だと思った。

概要が好きな人はこれかも、

バックデータについて知って、自分の自治体で応用してみることをお勧めします。

橋下氏自身についての自分の判断を持つために

これも参考資料ですね。

時間が無くてもこれくらいは当たっておきたいものです。

2011-12-19 東アジア情勢に風雲急の中、この国のかたちを問うということとは

 あえて、今日は、個人的意見と断って話をはじめたいと思います。

 本日から、東アジア情勢は、視界不良の積乱雲の中に飛び込んだセスナ機のように、予断を許さない操縦かんの操作と緊張を、この国のリーダーに求める時間が続くのではないかと思います。

 そして、この時期だからこそ、この国のかたちについて、見識を持った政治指導者が必要とされるのではないかと思います。

 今月、12日、そして16日と、大阪市の橋下徹新市長は、マスコミの取材について、「消費税総選挙とか言われているが、こんなのは対症療法。国のかたちを問う道州制選挙になる」、「道州制、首相公選制は国を挙げての大戦争になる。国会議員は「国のかたちをこうする」と決めて、次の衆院選では大戦争を繰り広げて欲しい」と語りました。

 国民の感じている閉塞感の大部分は、政治の機能不全、まさしく対処療法に堕している政権運営にうんざりしているというのが偽らざるところです。そんなところへの、急所をついた橋下氏の発言は、聞く人の心にすんなりと落ちたのではないでしょうか。

 さらには、嘉悦大学教授の、あの高橋洋一氏が、「消費税の税源移譲なくして地方分権なし、その社会保障目的税化は地方分権の大障害」との「高橋洋一の俗論を撃つ」http://diamond.jp/articles/-/15348で、話に割り込んできました。「橋下氏の話を、消費税ではなく道州制が選挙の争点になる、と単純に思った人は多いのではないだろうか。ところが、それは違う。今、野田政権が進めている「消費税の社会保障目的税化」は、道州制に反するということだ。」と、述べる高橋氏の議論は議論として、橋下氏のいうところについて、単純な受け止めでは、本筋を見誤るというのは大いにうなずけるところでしょう。

 地方分権、地域主権という言葉について、ややもすると、区別なく使われているおそれが無しとしません。地方分権は中央集権に対する言葉ですし、現行の権力を前提にして、それを分け与えるというイメージがあります。地方分権一括法の制定などから、自公政権時代によくお目にかかった言葉のように思います。

 それに対して、地域主権とは、地域のことは地域が決め、地域で出来ることは地域ですべて行い、余るところを、補完制の原則で、「州」が、さらに「国」が決定し行うというものです。現内閣府に地域主権戦略会議が置かれていることからも、民主連立政権下でよくお目にかかるという気がします。

争点は、消費税か道州制か、という選択なのか 争点は、消費税か道州制か、という選択なのかを含むブックマーク

 そこで、選挙の争点になるのは、消費税か道州制かのどちらかなのかということですが、こういう問題の立て方にも、既成の政治の硬直化した思考があるように思います。

 税制と社会保障の見直しは、あくまでも現状の社会ありようを前提とした課題認識で、国のかたちを改めて問うというものではないといえます。税率と税源配分の問題という、いわば、政治技術的な次元でとらえる既成政治の発想に、「違うでしょ」という否定を投げつけ、本来の国政の争点を設定するべきだと、言っているのが、橋下氏の発言だということでしょう。

 さて、道州制については、松下幸之助氏が、「廃県置州」を提言したことを受けて、PHP総合研究所が、道州制についての独自の研究を行ってきましたし、同研究所前社長の江口克彦氏は自公政権下の「道州制ビジョン懇談会」の座長を務めてきたという経緯があります。

 政権交代によって、ビジョン懇談会の「道州制ビジョン」に関わる最終報告は見送られることになったのですが、この間の研究成果をとりまとめた「地域主権型道州制〜国民への報告書」が書籍になっています。地域主権型道州制の具体化に向けた課題、基本法、税財政制度、区割り案などについて論点の掘り下げと新たな問題提起をしています。本格的な研究にはうってつけのものです。

余談あり 余談ありを含むブックマーク

 ところで、松下幸之助氏といえば、「松下政経塾」で知られ、その卒業生には野田首相をはじめ、多くの民主党議員がいることは知られています。創設者の松下氏の「廃県置州」の提言を、これらの塾生達はどのように受け止めているのでしょうか。

 一方、維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事は、12日、大阪府と大阪市の広域行政の一元化を目指して設置する「府市統合本部」顧問として、元経済企画庁長官の堺屋太一氏を起用する方針を明らかにし、堺屋氏も受諾の方向ということが伝えられました。堺屋氏と言えば、日本の富と知恵を生かすには、道州制などの地方分権が必要というのがかねてからの持論の方でもあります。

 さらに加えて、大阪には、もともと維新とつながりの深い、緒方洪庵の「適塾」がありました。ここには、司馬遼太郎氏の小説花神」の主人公の大村益次郎をはじめ、福沢諭吉、橋本左内などが、塾生として学んでいたのです。

 大阪と維新には歴史的水脈が流れていることも、当事者がどう思っているかはともかく、知って、よく考える必要があるのではないでしょうか。

 司馬遼太郎氏に「洪庵のたいまつ」という文章があります。小学生向けの文章です。その中で司馬さんは、「かれの偉大さは、自分の火を、弟子たちの一人一人に移し続けたことである。弟子たちのたいまつの火は、後にそれぞれの分野であかあかとかがやいた。やがてはその火の群れが、日本の近代を照らす大きな明りになったのである。後生のわたしたちは、洪庵に感謝しなければならない」と述べています。今日、洪庵のたいまつはだれの手にあるのでしょうか。

 ここは、もう一度、道州制について学びなおしておく必要がありそうです。以下、参考資料を示します。

さっくりと見通しをつけるためには、このへんから手をつけるのが良いのではないかと考えます。なお、「報告書」は、一般市販はしていません。PHP総合研究所http://www.php.co.jp/manual/での申し込みになります。

道州制の背景と大意について、松下幸之助氏の見識をたずねるという、そのような角度からの知識も必要でしょう。

そして、冷静に考えるための参考に。


 消費税の問題については、税率や税源配分だけでなく、給付つきや逆の発想など、別の角度で改めて取り上げてみたいと思います。