アップルとFacebookの繁栄、そして「オープン」が廃れた理由

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 しかし、注目を集めているテクノロジー業界の2つの企業は、1つ大きな共通点を持っている。どちらも、テクノロジーの世界で古くから継承されているオープンエコシステムを拒絶し、囲い込みアプローチを取ったということだ。これまで、囲い込みアプローチは大きな収益を上げる可能性があるが、大衆を魅了することはなく、大きくは育たないというのが一般的な見解だった。AppleFacebookはどちらも、この一般的な見解に真っ向から挑み、強引に押し切った。彼らは単純に、より大きく、より塀の高い囲いを作ったのだ。

 製品は多くの異なる環境で動作する必要があるため、不可避的に最小公倍数に合わせられることになる。これは多くの場合、最先端技術やイノベーションを素早く広範に実装するチャンスを失うことを意味している。1社が全体のプロセスをコントロールする独自の環境では、その企業は標準について意見の一致を待つ必要がなく、より素早く一方的に動くことができる。これは、発展の速い業界では競争上の優位になり得る。
 オープンシステムはまた、「ワイルド・ワイルド・ウエスト」効果を引き起こす場合がある。設計上、オープンエコシステムでは、コミュニティが製品の洗練化や拡大の助けになるよう、ほぼ必ず、創造的なプロセスへの参加障壁が低くなっている。ところがこのことが、悪意のある攻撃者やその他の愚者に、ユーザー体験を損ねる機会を与えてしまう。

 もちろん、Facebookがインターネット最大のサイトに台頭し、投資家からより多くの資金を集めるに従い、元々の目的からは逸れてきている。今ではFacebookは、ユーザーに情報のほとんどを公開して欲しいと考えているが(同社がそれを収益化しやすいように)、その一方でデータはFacebookのサーバに閉じ込めており、ユーザーがそれをエクスポートすることは許していない。これは、わたしがFacebookはいずれ崩壊する運命にあると考えている大きな理由の1つだ。ユーザーは、ゲームの最中にルールを変えられることを嫌うものであり、これがFacebook顧客満足度が米国税庁よりも低い理由の1つとなっている。とにかく、Facebookの劇的な台頭の理由は、部分的にはオープンウェブの問題に対する反動であることは否定できない。