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木ノ内博道の[里親家庭支援のつれづれ日記]

2017-02-20

「我が国における里親制度のこれから」について

21:49

昨日、SOS子どもの村のフォーラムで「我が国における里親制度のこれから」について話をしたと書いたら、どんな内容なのか知らせてほしい、というメールをいただいた。レジュメを元に文章にしてみた。



皆さん、こんにちは。ご紹介をいただきました官民協議会の副会長をしている木ノ内です。

今日は、「我が国における里親推進のこれから」というテーマで、短い時間ではありますが、お話をさせていただきます。主に昨年5月に成立した改正児童福祉法とその前後に持たれた専門委員会と検討会のお話になります。

本題に入る前に、簡単に自己紹介と官民協議会の紹介をさせていただきます。

私は里親登録をして23年になります。子どもの養育とともに里親会の活動などに関わってきました。近年はNPO里親支援の活動をしています。

そうしたなか、全国里親会の役員を経験しまして、平成18年くらいから国の審議会委員など、児童福祉法改正にも関わってきました。今回の児童福祉法改正では国会参考人として呼ばれ、改正の必要性について訴えてきました。

そして、「子どもの家庭養育推進官民協議会」は昨年4月に発足しました。どのような会員で構成しているのか、資料を皆さんにお配りをしていますのでご覧ください。

会長は三重県鈴木英敬知事。官を代表して鈴木知事、民を代表して私が副会長になっています。日本財団さんに事務局を担っていただいています。

協議会の理念としては、これも皆さんにお配りした『里親だより』巻頭エッセイに鈴木知事が書いていますので紹介します。2行目から「本協議会は、自治体と民間団体が連携して、子どもの最善の利益の実現のため、家庭分離の予防や養子縁組里親委託の推進などに取り組む全国初の団体で、自治体は20団体(県11、市9)、民間団体は全国里親会など13団体、計33団体が参加しています」とあります。

活動としてはまだ始まったばかりですので、実績は少ないです。昨年4月4日、養子の日ですが、設立総会と講演会を開きました。8月に研修会。また秋には日本財団主催のソーシャルイノベーションフォーラムに分科会を持たせてもらいました。それから、大臣への緊急提言を行いました。これは、現在進められている「新たな社会的養育のあり方に関する検討会」にも提出しました。皆さんのお手元にも配布させていただきましたのでお読みいただければと思います。

先ほど、4月に設立したとお話しましたが、この時点では改正児童福祉法はまだ成立して

いませんでした。しかし法案はオープンになっていましたので、その趣旨に沿った理念と活動内容となっています。後で詳しくお話しますが、団体名も「子どもの家庭養育推進」であり「家庭養護」ではありません。先ほどご紹介したように、理念にも、里親家庭だけでなくもっと広い活動を行うとしています。

続いて、児童福祉法改正点、ポイントを説明したいと思います。第1条で「子どもの権利条約の精神にのっとり」とあり、初めて、国連子どもの権利条約を国内法に反映しています。批准して20数年が経ちますから、遅いといえばそれまでですが、昭和22年児童福祉法が施行されて以来の、70年ぶりの大きな改正といえます。

また改正法の3条では、国や自治体は家庭養育を支援する役割があると、きちんとうたっています。そして、家庭で養育が困難な場合はそれに代わる家庭で養育すること、特に

「継続的」な環境でそれがなされなければならない、としています。

代替的な養育は里親養子縁組で行うこととされて、必要があれば「家庭的」な養育をすることができる、としています。3条についていえば、法文としては、里親制度や養子縁組は出てきませんが家庭養育が重要であるということです。

それから、施設で養育することについては書かれていません。施設養育の場合でも小規模の、「家庭的」な環境での養育でなければならない、としています。

現在、保護を必要とする子どもの8割以上を占める施設養護を改めて、家庭養育を推進していく。それには、国民運動ともいえる活動が必要になります。

こうした改正児童福祉法の流れを官民で担って行こうというのが官民協議会の目的です。

ところで、改正児童福祉法のポイントでもあるのですが、従来の社会的養護の範囲を超え

て、子どもたちの環境整備を図ろうとしているのが今回の法改正の特徴でもあります。

改正児童福祉法の背景となった考え方は「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」でしたが、ここでは、社会的養護だけでなく、子ども家庭福祉全体を対象にしています。

また、改正後に設置されて、現在も検討が続いている「新たな社会的養育のあり方に関する検討会」でも、社会的養護と言わずに「社会的養育」としています。

子どもたちの家族再統合や、子どもの自立、あるいは虐待の防止、妊娠した女性の支援など、社会的養護の問題だけにとらわれず、もっと広く問題をとらえ直していこうとしています。虐待死亡事例の半数がゼロ歳児であることを考えれば、妊娠期の女性の支援は子どもの権利の擁護でもあるわけです。

官民の取り組みとしましたが、官については、都道府県政令指定都市の役割、市区町村の役割は違ってきます。それぞれの首長さんで担い方は違ってくるでしょう。

改正児童福祉法が社会的養護だけにとどまらず、社会的養育全体を対象にするということは、それぞれ担当する自治体が協力し合っていかなくてはなりません。私どもの協議会も都道府県市町村首長さんの協力、協働が必要になってくると思います。

最近、千葉市が、社会的養護の子どもたちの自立に関して、高校以上に進学する際に月5万円の給付型奨学金を提供すると発表しました。官民協議会の会員がそれぞれ影響しあって、家庭養育への関心を高めてほしいと思っています。

次に、改正児童福祉法のベースとなった「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」についてお話します。昨年初めに報告書を取りまとめました。

一昨年の9月に立ち上がったこの専門委員会には厚生労働省の塩崎大臣も来られて、理念の部分から見直してほしい、と言われました。改めて読んでみたら「子ども愛護しなければならない」というような書き方です。ある委員から、愛護と言うのは今どき動物にしか使わない、と発言があったのが印象的でした。子ども愛護の対象ではなく、一人の人間として、権利の主体者であると報告書にはうたいました。

ネット上で入手できますので、ぜひこの報告書をお読みください。

報告書を読むと、報告書には書かれているが、今回の改正には取り上げられていないものが少なくないのに気づかれると思います。

法文に「子どもの権利条約」がうたわれましたが、では権利侵害があった時にどうするかなどは地方自治体福祉審議会に任せるというような漠然とした書き方になっています。

子どもの権利侵害に本気で、厳しく立ち向かっていく姿勢は感じられないかと思います。

また、乳幼児は原則家庭養育で、というのもかなり強調されて報告書には書かれていますが、法文ではスルーしています。

国連が、子どもの権利条約を採択して20年目に作られた「子ども代替的養護に関するガイドライン」では、「少なくとも3歳までは家庭養護が望ましい」とされています。日本ではいまだに乳児院で3000人の赤ちゃんが生活をしています。経済は発展しましたが、子ども福祉は置き去りにされている、と言ってよいと思います。

次に、「新たな社会的養育のあり方に関する検討会」についてお話します。

改正児童福祉法が成立してから、どのように具体的に取り組むのか、また専門委員会報告書に書かれていて法律に取り上げられていない、いわば積み残しをどうしていくか、これらについて先ほどから話している「新たな社会的養育のあり方に関する検討会」が設置されました。

年度末までに報告書が出ると思われるのですが、未だに熱心な討議が行われています。

そこで検討されている問題のうち、社会的養護、とりわけ家庭養護、家庭養育に関する部分を見ていきたいと思います。特別養子縁組を社会的養護にどのように組み込んでいくか、第3条で「家庭に代わる家庭で継続的に養育されるべきである」とされていますが、「継続的に」とは養子縁組のことか、パーマネンシーとは何か、議論になっています。

里親については、類型の問題、呼称の問題が議論になっています。類型では一時保護や乳児、高齢児童などに特化した里親、呼称については里親の親という文字は時代的にそぐわなくなってきているのではないか、ということです。

それから、支援のあり方。里親養子縁組家庭をどう支援していくのか。議論としては、支援の枠を超えて、里親制度の業務そのものを一括して民間に出していけないか、この辺も法律に盛り込まれたもののあいまいですので、現在検討されています。

イギリスなどのフォスタリングエージェンシーの考え方です。里親開拓から研修、マッチング、支援、再統合や自立支援まで含めた包括的なあり方が議論されています。里親支援などと甘い言葉でなく、業務として児童相談所から外部化していく、と言うわけです。

里親支援が言われている割には、里親家庭にその実感がない、ということもあります。支援の役割やあり方の見直しも進んでいます。施設に里親支援専門相談員が置かれていますが、里親支援事業者に置くべきではないか、などが議論されています。

それから、社会的養護当事者の自立支援も、児童の定義は18歳になっていますが、20歳までの措置延長、22歳年度末までの経済的な支援などがすでに来年度予算に組み込まれています。

昨年からスタートした「社会的養護の課題と将来像」の考え方である、平成41年の年度末までに施設、施設の小規模化、家庭養護をそれぞれ3分の1ずつにしようという取り組みも、もっと養育の質の観点から見直していこう、ということになっています。「里親委託ガイドライン」や「里親養育指針」についても見直そう、としています。

社会的養護の隣接の問題としては、親子分離や一時保護、家庭への再統合の問題も俎上に載っています。法律的な対応を必要とする問題がありますので、昨年10月から、児童相談所弁護士を配置するようになりました。また司法の関与についても現在議論されています。来年、法改正の準備をしているようです。

一時保護についても、一時保護所のあり方として、学習権の侵害などが問題になっており、里親家庭の活用が進んでいます。一日の手当てが2000円から4000円に引き上げられました。しかし、制度的に見ると一時保護のあり方はまだ課題を残しています。保護期間は幼稚園や通学ができないと言った問題があります。たとえば、緊急保護期間は24時間以内として、その後は保護生活期間とするなどが考えられるでしょう。

多岐にわたる見直しが始まったばかりで、今回は家庭養護に関する部分を中心にお話をしましたが、この分野だけでもまだ結論が出せないような段階です。

委員会厚生労働省に任せておくのではなくて、私たちが発言し、子どもたちの環境を改善していくことが必要だと思います。官民協議会も今年2年目を迎えて、ますます活発に、その内容を充実させていきます。ぜひよろしくお願いします。

2017-02-19

里親もチームの一員

23:58

今日は日本財団で、SOS子どもの村のフォーラムがあった。イギリスからスタッフを招いてフォスタリングチェンジを導入する。そのプレゼン的な内容。私も「我が国における里親制度のこれから」というテーマでスピーチをした。

イギリスからのスタッフの説明のなかで、「里親子ども福祉と発達に責任を有するチームの一員である」というくだりがあった。

日本はともすると里親には支援が必要だというような考えになる。支援をする人、される人。その違和感が分かった感じがした。里親もチームの一員と位置付けることで、仲間意識が生じる。支援をする人、される人では、仲間意識が生まれにくい。

2017-02-18

『青空のかけら』を読む

21:47

読書会課題図書を選んでいるときに、次点となったのが『青空のかけら』。まだ半分ほどしか読んでいないが、児童養護施設子どもが季節里親のもとにやってくる。

それで思い出したが、私も20年ほど前、季節里親をやったことがある。3日前くらいからそわそわしてくる。どんな子どもが来るのだろう、と。そこで、手紙というか日記をつけはじめた。来たら、こんなことを思いながら待っていたんだよ、と教えてあげよう、と。

きっと、やってくる子どもの方だってドキドキしているはずだ、と思いながら。そして来てから、そのノートを見せた。その子はそれに書き足していきながら、交換日記のようになった。そして3日後、帰るときにはお土産になった。

その子はどうしているだろうなあ。

2017-02-17

『世界を7で数えたら』を読む

23:29

2か月に1度、里親関連の読書会をやっている。4月の読書会課題図書が『世界を7で数えたら』。「7番目の月の7番目の日に、あたしのあたらしい両親は、自宅から257マイルの病院まで行って、生まれたばかりのあたしを引き取り、寒冷地帯に生息する木の名前をつけた。ウィローとはやなぎのこと。そして世界は変わった。7という数にこだわる変わり者の天才少女ウィローの悲しくも爽快な物語」と表紙裏に書いてある。

小説だから、踏み込んで解説するのはよくないが、養子のウィローは養親を亡くして一時保護の状態。里親を探すまでのお話。なかなかいいお話。というよりも、一時保護の子どもの不安が伝わってくるお話。

2017-02-16

社会的養護関連の映画週間なんてどうだろうか

19:43

ストレートに社会的養護関連の映画ではないが、社会的養護や里親制度が描かれている映画を観て話し合おう、なんてどうかな? 「思い出のマーニー」という映画でも、里親手当が出ていることで里親を信じられなくなったところが印象的だった。