製材。原木からのメッセージ その1

一昨日、シナの原木が北海道の旭川の市場から会津に届いたと聞いて出掛けていきました。
今回はシナ9本の原木を見ながら細かな打合せをして製材に立ち会わせていただきます。
先週までの暖かい陽気とは打って変わって、雪まじりの寒さが厳しい一日でした。積まれている原木の大きさから北海道の荒野に雄々しく枝葉を広げ生きてきた姿が浮かびました。年輪を数えてみると、80年から100年強といったところでしょうか。「いろいろなことがありましたね。本当にお疲れさまでした。ここに来てくださってありがとうございました。」と言葉が出ました。

お世話になっている小椋木材さんは古くからのお付き合いの気心の知れた大切なパートナーです。国産のシナノキは年々手に入りにくくなってきていますので、連絡を取り合いながら、鞄に適した材を探してくださっています。
木の命を無駄にすることが無いよう、どのように製材していただくか、、、。阿吽の呼吸、感覚で切っていく大きさが決まりました。
小椋さんは以前は大量生産の製材を引き受けておられました。虫食いやシミなどの材を撥ねなければならないことに大変心を痛めて、木の命を想ってこれでよいのかと悩まれたそうです。撥ねていく木の中には、大変貴重な美しい杢目の材や山の中にぽつんと残った大木や、、、規定通りに製材して、必要がない部分は捨てていく、、、ということがつらかったそうです。
私たちの作る樹の鞄も、形になってしまうと中の彫り跡を見なければ、一見木製に見えないといわれることがあります。大きな木が生きてきて、鞄になっていく過程を残してお伝えしなければ、、、。その思いをそのような感性の社長さん、社員の方々と共有できることは本当に有り難く幸せなことです。
今日からしばらくの間、製材のお話しを綴ります。    亀井広子

大きな原木に囲まれた小椋木材さん。

寒い一日。薪ストーブがあったかくて、、、。

物腰優しいあたたかなお人柄の小椋社長さま。

シナの原木の前にて。