息が詰まる

 田舎での暮らしは息が詰まる。煌びやかな場所もないので、特に出かけたいという欲も起きず…毎日停滞気味です。
 色んなところに出れば出たで楽しいけど、だからどうなんだっていう。
 現実の私は社会に何も貢献していない専業主婦だから。
 夫の仕事は理系の研究職で、20年くらいずっと同じ分野の研究をしている。だからきっと自分のしたいことを仕事にできて、天職だし使命感もあるしきっとやりがいもあるんだろう。私は飽きっぽい女だからそういうのもなく。長らく色んなものから遠ざかり怠けた暮らしをしていたから、何かやろうとなるとけっこう根性が要る。
 若い頃は軽かったフットワークも年々重くなり、昔からの人見知りはそのまんま。やりたいことはやるんだけど今いち度胸もなくチキンで。
 というか、何を最もしたらいいか分かんないんだよな。
 第一は小説を書きたいんだけど、いい構想が浮かばない。小説は10歳の頃から書いてるんだけど、地道だし情熱が要る。10本書き出してもちゃんと終わりまで破綻なく書けるのはそのうちの1本だけ。それでも10本ほど書いてきた今までの自分は偉いと思う。自分の書いた小説を読み返すことから始めないといけないのかな。書くことは慣れだし、書かなければ語彙もどんどん失われていく。継続は何よりもの力なりってのは、何よりも継続することそのものが難しいからなんだな。
 あとはフランス語。去年3度目の正直でDELF B2を取る前けっこう勉強してた。ただ、語学って勉強すべきなんだけど勉強した時間がそのまま結果に反映しないなとその時思った。ある日ふと何かが分かる感触があって、紐がほどけるようにするする分かるようになる。昨日までちんぷんかんぷんだったことが急に。まぁそれにも継続することが不可欠なわけで、3日に1回でもフランス語に触れる機会を作らないとな…でも特に目標もなく、目標があってもそれを仕事に活かすとかがこの田舎でできるわけでなし、緊迫感がないんだよね。去年は留学中の雪辱と思って頑張っていただけであって。それに試験のために勉強すると、試験が終わると死んだみたいに勉強しなくなってしまう私の性質。
 つらつらと書きましたが、ここにいる意味を見いだせない、というのが本筋です。
 私は何のためにここに来たのか? この4月にも吹雪く雪国へ? 夫のために来たわけではないんです。そりゃ夫のことを愛してるので、彼と一緒に暮らすことが私の人生だと思ってここに来たのは事実ですが、私の人生を生きたいというのは私の意志なので、私は私のためにここにいるはずなのです。
 でも何をしたらいいのか分からない。知らない言葉、知らない文化。旅行で来たら楽しいかもしれない。でも私は大阪が恋しい。関西弁が恋しい。ごみごみ、きらきらした大阪の色んな街が恋しい。
 夫とは出会ってひと月でプロポース(のようなもの)をされて、そのひと月後には私はフランスへ。それから2年ほどずっと遠距離(フランス⇄大阪、フランス⇄弘前、大阪⇄弘前)で、でも結婚できたのは奇跡のようなことだと思います。
 仕事がしたいとかそういうわけでもなく。
 でもけっこうお金がきついから、それもストレスになってるのかも。独身時代のように散財できないという(たいして散財もしてないけど)。夫は手取り30万くらいで、住まいも官舎だから格安なのに、なかなかやりくりが難しいです。世の主婦たちはどうやってやりくりしているのか。やっぱダブルインカムがいいのかな。でも私、労働嫌いだし…。
 子どもは欲しいけど、子どもが第一の女になりたくない。子どもを生んで育てる凡庸な暮らしをしたくない。私は特別でいたい。特別って何なのか分からないし、めっちゃ子どもみたいだけど…子どもみたいな私が子どもを育てられるの? 自分が第一、自分の人生をまだまだ生きたいモラトリアム満喫中みたいな私に。
 煮ものが上手にできれば一人前。