こんな写真展もあったのか



残業はネバー・エンディング・ストーリーと化している
非常階段での作戦会議も空しく 深夜の人気の少なくなった夜道を歩いて帰宅
過労死が話題になるのも判るね


だからって週末に何もしないでいるのは勿体無い
人生は思いのほか短いものだ とは82歳まで生きた父の亡くなる寸前の言葉だ
出来る限り時間を作って徘徊をすることにしている


先先週 お台場で開催されているノマディック美術館へと出かけた
グレゴリー・コルベールなるカナダ人の写真展である
地下鉄の通路でポスターを見かけた瞬間 見なくっちゃと思った


東京に生まれ育ったくせに お台場は初めて行く
日頃 もっとマイナーな場所を求めて歩き回っているせいだ
更に驚いたのは この写真展の入場者が若者ばかりだった事だ
しかも カップル^^
なんだか場違いの気恥ずかしさが漂う


驚くのはまだまだ続く
この会場は なんと移動式美術館なのだ
152個の貨物用コンテナを利用したというそれは 全てが現地調達
建物自体は 坂茂(ばん しげる)という日本人建築家の作品で紙管を使用したものだ
地球に優しい建物 ってわけなのだ
建物内部は照明を落とした大回廊になっている


写真は セピアカラーとアンバー色で手漉きの和紙にプリントされている
どれも大作で 一切の合成もデジタル処理も無いし 映像を切り取った物でも無いという
俄かには信じ難いような作品だ


どんなかっていうと 例えばだ 像が足を折ってお座りしている
それに対座して 少年が本を読んでいる
写真とは一瞬を切り取るものだと思っていたが 此処には時さえ感じさせないものがある


解説も題名も一切無い
見る者が如何様にも想像を膨らませ 自由に感じる事が出来る仕掛けだ
だから この写真には 少年と象 でも ちゃんと聴けよ でも わっかるかなぁ〜でも
何でも勝手に題名をつける事が出来る
少年が声を出しているか 風の音だけなのか
きっと見る人一人一人の中に 違った物語が作られるはずだ


全てが 人間と動物という組み合わせなのだが この世界はなんだろう
生あるものは 皆同じ価値に置かれているのだ
静かで優しく仕掛けも宜しく 印象に残る写真展だった


会期は6月24日まで 
入場料が1900円というのは チト高かったなぁ〜
それに 凝った作りだったけれどポスターも高かったし
ポストカードが無かったのも残念だったけど
一見の価値あり