「冷たい校舎の時は止まる(下)」 辻村深月 (講談社ノベルス)

消えていく者。帰っていく者。時の止まった校舎に最後まで残される者。
学園祭のあの日、一体何があったのだろう。そして、明かされる”ホスト”の正体は……。
第31回メフィスト賞受賞作、3分冊の完結編。

http://d.hatena.ne.jp/kirisakineko/20040624 (上巻)

http://d.hatena.ne.jp/kirisakineko/20040729 (中巻)

ミステリ的なオチがあるのかないのか。
あってもなくても評価はあまり変わらないだろうなと、中巻を読み終わった時点では思っていて、それはいい意味で裏切られました。
自殺した者については一番候補だと考えていた人でビンゴだったものの、その他の仕掛けの部分には解決編まで気付かずじまい。
いくつか引っ掛かってはいたんだけどなーと納得、感心いたしましたよ。
伏線の張り方、情報の出し方、世界設定のルール説明をもう少し緻密にやっていれば、異世界本格ミステリとしても評価できる作品になったかも。
そのへんちょっと惜しい。でも、あまり構成に気を使いすぎるよりも、これくらいの方が作者さんの持ち味的にはバランスが良いのかもしれず。
第十九章にはいってから、これ蛇足なんじゃないかと思いながら読んでいたのだけど、
最後の部分で、ああ…彼のその選択を伝えるために必要なエピローグなのか、過去話もそうなのか、と納得。
破綻することなくきれいにまとまった終わり方をしてくれたし、良い作品だったと思います。
こういう新人作家さんが出てくるんだから、メフィスト賞もまだまだ捨てたもんじゃない。

「陰からマモル!2 椿の初でいとへの道」 阿智太郎 (MF文庫J)

おとなりを守り続けて400年。幼なじみの紺若ゆうなをこっそりと守り続ける忍者・陰守マモルの日々を描く
お気楽のーてんき忍者コメディ第2弾。

連作形式で4話収録。以下、各話ごとに一言感想。

 第一話「なんてったってアイドル」…ゆうなさんアイドルのオーディションに参加するの巻。
うーむ、ポケポケぶりもそこまでいくと凄まじいものが…。愛里とマモルの会話の一部に一瞬硬直化したりしなかったり。
まさか、そういう展開もありうるのか?

 第二話「ハレンチ忍者を追え!」…マモル暗躍するの巻。忍者といえば竹筒を使っての水隠れ。とくれば当然…。くっ、何故そこな場面をイラストにしないんだ。

 第三話「椿の初でいとへの道」…タイトル通りの内容。わーい、ラブコメだー。うむうむ、なかなか良い感じではないですか。ぶる丸くん(忍者犬)がかわいい。

 第四話「少年忍者マモル!!」…幼い頃のマモルを描いた番外編。本書中もっとも忍者ものらしいお話。