「マージナル・ブルー 空曜日の神様」 水落晴美 (電撃文庫)

あるはずの無い31日。それは空曜日と呼ばれ、カレンダーに願いを書いておくと叶うと噂されていた。
真人は葵という少女と出会い、屈託のない彼女に惹かれ始めるが…。

今月の電撃文庫は買うものありませぬなーと思いながら本を眺めていて、
帯の”学園ミステリー”という文句にうっかり騙されたつもりで買って読んでみました。
わーん、やっぱり騙されたー。こ、これだから、電撃の”ミステリー”なんて信用できないんだ。
ちくしょうめ。お、覚えてやがれー。

わけ有り美少女と純情な主人公とのラブストーリー+ホラー・アクションな学園ものといったところ。
”空曜日”という設定や信じる者があちらの世界に囚われてしまうといったギミックはなかなか良い。
主人公とヒロインのラブストーリーも雰囲気良いし、作品に漂う空気やキャラが好みにあえば面白く読めるのかも。
ただ、わたしにはあまりピンとこなかったんで、この1冊だけで十分かなあという感じ。
続きはたぶん読まねっす。
*ちゃんがえらい目に合わされて血まみれになるあたりは、うおすげえと感心したんだけどねえ。

「丘の家のミッキー 1」 久美沙織 (コバルト文庫)

お嬢様学校に通っていた未来は引越しのため別の女子校に通うことになってしまう。
そこは前いた学校の雰囲気とは大違い。お嬢様っぽい未来を敬遠するクラスメイトたち。戸惑いながらも未来は…。
84年発行の少女小説の名作。

さすがに名作として謳われててわざわざ新装版で復刊された作品だけあるなあ。
語り口は軽やかで読みやすく、主人公の未来さんはかわゆくていい娘だし、
学校とか友情とか家族のことで思い悩んだり前向きに頑張ったりと、
少女小説的な青春の香りにつつまれてるとっても爽やかなお話でした。
リリカルで甘酸っぱーい。楽しーい。
”十代のうちに出会えると幸せな作品”なんて書いてあったけど、いやなに、もうすぐ30でもだいじょーぶでしたよ? たはは。

マリみて的な世界を外から見つめ直すというところがあって、その方向性の違いも興味深い。
その健全さとか、マリみての世界がいかに特別なものなのか相対化されるあたり、マリみて愛読者に特にオススメしてみたい作品かも。