上月雨音 「SHI-NO アリスの子守唄」 (富士見ミステリー文庫)

志乃の通う小学校で噂される怪談「惨殺アリス」。少女の見る悪夢。不審者騒ぎ。過去の殺人事件…。
あとがきの作者の言葉を借りれば「ミステリ度数がちょいと高め」なシリーズ2作目。
ミステリ慣れしている読み手ならば、不審者騒ぎが解明した段階で事件の真相に到達可能。
今回のはそう捻ったプロットではないんだけど、登場人物の名前だとかさり気ない情報の出し方、読み手の注意のそらし方、等々、
うまいなーと思わせるところも多々あって、前作を読んで抱いた「田代裕彦とともに富士ミスの”ミステリー”分を担う作家に…」という期待に応えてくれそうな2作目だったのが非常に嬉しい。
 事件の真相を見抜き、物語を終わらせる志乃ちゃんの役割は間違いなくミステリにおける”名探偵”のそれ。
富士ミスにおける、しずるさん、ヴィクトリカ、平井骸惚と連なる名探偵の系譜にまた一人、支倉志乃が加わったことに乾杯。
 ちっちゃくて可愛くて無表情で深淵なる魂の女の子。そんな志乃ちゃんを心配し溺愛し見守る”僕”。
ラストまで読んで”純愛系ミステリー”という冠に偽り無しと確信したリッパーさんなのでした。
あとは”僕”と志乃ちゃんにデートでもさせてみせるとか、ミステリ分をあまり重視しない読み手のハートまでも鷲掴みっ、なエピソードがあればいいんじゃなかろうか。
L.O.V.E寄せ、L.O.V.E寄せー。


感想:
「SHI-NO 黒き魂の少女」