■

長谷敏司 「戦略拠点32098楽園」 （角川スニーカー文庫）

千年におよぶ星間戦争のさなか。
《拠点32098》への降下作戦でただ一人生き残ったヴァロワは、そこで暮らす敵兵と一人の少女に出逢う…。
第６回スニーカー大賞《金賞》受賞作。
　登場人物は三人のみ。
大地に無数の戦艦が墓標のように突き立っている──戦いを終えた兵士たちが眠る《楽園》で生きる少女マリアの秘密と星に降り立った二人の兵士の葛藤を描くSFヒューマンドラマ。
ムービースターに憧れ生身の身体を捨てたヴァロワ。生まれたときから脳以外のほぼ全てが機械化されているガダルバ。
敵同士であり立場も考え方も相容れない二人の兵士が自己を見つめ直し、戦争の意味を問い、宇宙に散る同胞たちの生命を想う。
そして、《楽園》の存在意義と無垢なる少女マリアに与えられた役割のこと…。
静謐でなんとも物悲しいお話でありました。
ヴァロワとガダルバはどこまで歩み寄ることが出来たのか。マリアと星への愛着は互いに感じていたのだろうけれど。

戦略拠点32098 楽園 (角川スニーカー文庫)