青少年健全育成条例 コミケは?

東京都は、同人誌の販売会は対象外と回答集で宣言しています。
以上を以て、コミケに対する規制は行われないで終了なんです。


読んだことがない人は、きちんと目を通して理解するべきです。
東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集


それでも、いつそれが変わるか不安であると言いがかりレベルの妄想でウダウダいってる人が案外いるのでびっくりします。
こんな戯言は、この条例について知らずにどれだけ勝手に喚いているのだとしか思えないわけですが。


これを理解してください。


東京都での不健全図書の審査


1. 都職員が、本屋やコンビニの一般の棚から購入してくる 120-140 冊だそうです。
2. その中から諮問候補を都側で選ぶ
3. 諮問候補図書類に関する打ち合わせ会(自主規制団体)からの意見聴取
4. 東京都青少年健全育成審議会での審査


このプロセスを経て、都知事により不健全図書に指定がされるわけです。
指定されたものは、販売店に通知され、未成年者への販売が禁止されます。
しかし、審議会の開催は月1回でしかありません。
さて、このプロセスでコミケを規制しようとした場合、どうやれば可能なのでしょうか。
買いにいくはいいとして、審査会が開かれる時には、終わってます。
書店で売られるわけでもないので、通知しても意味がありません。


ということで、この通常の流れでは、指定を行う意味がないわけです。


次に一応実現可能な方法があるので、説明します。
緊急指定というものが存在しています。
これは、上のとは流れが変わって


1. 都職員が一般向けに売られているものを購入してくる
2. 健全育成審議会の小委員会にはかり、不健全図書の指定を受ける
3. 指定されたことが告示される。販売店への連絡がいく
4. 次回の審議会で、不健全図書指定が行われたことが報告される


ということで、東京都の場合の緊急指定は、健全育成審議会の小委員会で決定される形になります。
さて、この健全育成審議会の小委員会ですが、東京都青少年健全育成審議会運営要領にてその運営方法が決まっています。


ちょっと東京都青少年健全育成審議会運営要領そのものを発見することができなかったのですが、内容は同じなので、以下のものを参照してください。


http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_575_menu.html#581


上記より、運営資料  審議会運営に関する資料を確認することで内容を見ることができます。
一応以下に引用を。


5 健全育成審議会の小委員会について
「条例」第24条の2
(1) 会長は、審議会の定めるところにより、不健全な図書類等の指定に関する事項に
ついて必要があると認めるときは、知事の諮問に応じて当該事項を調査し、審議す
るための小委員会を審議会に置くものとする。
(2) 小委員会は、会長(会長代理を含む。以下同じ)及び会長が審議会の委員のうち
から第20条第1項各号に掲げる区分ごとに指名する委員5人をもって組織する。
(3) 小委員会に委員長を置き、会長をもって充てる。
(4) 小委員会は、委員長が召集する。
(5) 委員長は、小委員会を代表し、会務を掌理する。
(6) 審議会は、その定めるところにより、小委員会の議決をもって審議会の議決とす
ることができる。
(7) 審議会の定足数及び表決数の規定は、小委員会に準用する。
「運営要領」7
(1) 条例第24条の2に規定する小委員会は、次のいずれかに該当する場合に設置す
る。
ア 審議会開催直後の時期に相当に販売、頒布、閲覧又は観覧をされている図書類等に
ついて、迅速に不健全な図書類等を指定する必要があると認められる場合
イ 定期刊行物等で販売期間が比較的短期であるため、審議会に諮問をするいとまがな
いと認められる図書類が相当に販売又は貸出しに供されている状況にある場合
(2) 委員の指名
小委員会の委員は、審議会の委員のうちから条例第20条第1項各号に掲げる区
分ごとに、原則として順番に指名する。
(3) 議決等
ア 小委員会の議決は、審議会の議決とする。
イ 小委員会は、当該審議事項について、審議会で審議すべきである旨の決定を行うこ
とができる。
ウ 前項の決定があったときは、会長は、速やかに知事にその旨を報告する。
(4) 報告
会長は、小委員会の決議について、直近の時期に開催される審議会に報告し、そ
の確認を受けなければならない。


構成は、このそれぞれから1名ずつということになります。


一 業界に関係を有する者 三人以内
二 青少年の保護者 三人以内
三 学識経験を有する者 八人以内
四 関係行政機関の職員 三人以内
五 東京都の職員 三人以内


今のメンバーは、以下 URL より委員名簿で確認してください。


http://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_kenzensin.html


で、ここで不健全図書としたとしても、実際にそれを有効にするには、審議会を経たときと同じく、告示が必要になります。
告示の手続きを取ると、最低でも翌日までまたないとダメなのではないかと思います。


なにやら、退職する団塊世代の警察官の受け入れ先として、青少年治安監視委員制度というのが出来るとかいうデマまで出ていますが、そういう人が巡回して、現場で不健全図書に指定するなんてことは出来ません。
よくもまあ、こういうデマを考えつくなと思いますがw


というか、そういうアホな制度を作るなら反対しますよ。
問題となるような全年齢対象の本を出版業界が出さないようにするのが大事なんですから。

まあ、この緊急指定については、実際に行われた例について、私は見つけられていません。
どなたか、実際に行われたものについての情報をお持ちでしたら教えていただけると幸いです。


と、ちょっと調べたくらいでは、適用されたものがないくらいに、本当に緊急の場合にだけ行われる措置だと考えていいと思います。
同人の販売会を潰すことを目的に使うには、デメリットが大きいと考えます。普通の感覚なら使われることはないでしょうね。というか、即売会だと、指定したところで通知できるのかどうかという。


それから、指定した後に審議会に連絡するわけですが、それ相応の理由がない限り審議会が紛糾し、また、メンバーが世間に訴えることになるでしょうから。


こういう事を考えると、同人即売会を取り締まる事自体が、難しい形で条例が制定されていることに気付くはずだと思います。


それから、コミケをやめさせるなら、ビッグサイトの大株主であることを利用して貸し出さないという方法を取るほうがよほど現実的なのです。
でも、また夏コミは、ビッグサイトで開催されるわけです。


対象外のものだと宣言されていることについて、ありえない前提から始まる過大な妄想をもって、必要以上の心配をするのはやめましょう。


かつてあった、幕張でのコミックシティの中止事件について。


反対派の方が、時折指摘する幕張でのコミックシティの中止の事件ですが、あれは東京ではありえません。東京と長野以外の道府県であれば起きる可能性はありますが。


東京の場合、上に書いたとおり、審査会を通すか、まあ、まずないでしょうが緊急指定を受けない限り不健全図書にはならないわけです。
つまり、全部新刊で行われる販売会であれば、緊急指定をされるという異常事態が起きない限り、不健全図書は存在しないことになります。
まあ、新刊でなくても、店頭委託販売をして不健全図書にしていされたものがない限りは、未成年に売ってはいけないと都が指定する本がでることはないわけです。


しかし、他の道府県の場合、包括指定というのがあり、一定以上性的な描写がされたページがあれば、その時点で有害図書となります。新刊だろうがなんだろうが、条例にかかるわけです。
このため、18禁がしっかりされていない場合、警察が有害図書があれば取り締まるということが可能になるという図式です。


ビッグサイト以外の他の県に移ればということを言っている方は、逆に危険なところで開くべきだと主張していることになります。
包括指定がある道府県では、幕張と同じことが起きる可能性があることを理解してください。


実際には、これをやる場合というのは、そもそも相当に世間の風当たりが強くなっているはずですし、そういう雰囲気というのは敏感に感じ取れると思いますけれどね。


それから、拡大解釈がされるのだというのが当事者の声として残っていますが、実際どの条文をどういう風に拡大解釈するのか全く情報がないので、それをそのまま鵜呑みにするのはと思います。
それから、1994年以降、どんな本が実際に規制されたのかを見れば、拡大解釈がされていないということしか出てこないと思うのですが、こういう事実を無視して拡大解釈されるかもしれない!とだけ叫ぶのは被害妄想だと思います。


1つ言えることは、改正された条例が施行された後でも、東京が一番規制が緩いのです。


条例の運用的な意味として、ビッグサイトで開けている間は、大丈夫だと思います。


ただ、開催したあとに不健全図書を未成年に売ったことで摘発されるよりも、ビッグサイトを追い出される可能性の方が、遥かに高いことを指摘しておきます。 それについては、これを参照してください。


http://togetter.com/li/72539