『Learning to Let Go』TERRIS ≪評価:4+≫

ラーニング・トゥ・レット・ゴー
2001年にデビューしたイギリスのバンド。出てきた当時は結構騒がれていたみたいだけど(『NME』の表紙になったし日本盤出てるし)それ以降、噂を聞かないと思ったら解散してました。しかしね、このバンドどうしてなかなかかっこいい。
そう思いながらもなかなか言語化することが難しいんですが、まずもってメロディが地味に良い。この「地味」というのがポイントで美メロでもPOPてなわけでもないけれど、妙に胸にじんわりと染み込んでくる味があって印象に残るメロディライン。曲のアレンジはというと、あまり各楽器の音を弄らずにオーソドックスな音で鳴らしてるんだけど、リズム隊がかなり前に出てきていて、そこにギターがいろんな形で絡んでくる。ギターがたまに面白いくらいで特に変なことはしてないけど、しっかりと印象に残る各楽器の顔が出てきていて、ここでも「地味」にバランスがいい。基本的にスローテンポ、ミドルテンポがほとんどでリズムが気持ちいい。実はリズムにかなり気を遣って作られてると思う。M-④、⑮なんか聴くと特に感じる。
で、このバンドの一番の特徴はやはりVoだと思うんだけど、この声がほんとにいい。嗄れ声だけど若者とわかる声質で、曲毎に込められた感情がすごくて胸を揺さ振られるものがある。忘れた頃に引っ張り出してきて聴くんだけど、その度にかっこいいと思う。はっきりいってお薦めですよ。あとね、ジャケがかなりいい。

『ある日、爆弾がおちてきて』古橋秀之 ≪評価:3≫

ある日、爆弾がおちてきて (電撃文庫)

浪人生の僕が屋上で煙草を吸っていると空から落ちてきたもの、それは昔の好きな人にそっくりな女の子だったが彼女、いや”それ”が言うには最新型の爆弾らしかった――「ある日、爆弾がおちてきて
ある日の授業中、ふと窓の外を見た俺は、同じように授業を受けている様子の女の子を発見する。どうやら俺と彼女にしかお互いは見えないようだった。彼女に会えるのは三時間目の数十秒間。そして――「三時間目のまどか」他、全七編のボーイミーツガールもの。

ふむ。なかなか良質の作品だと思う。割と評判がいいので買ってみたけど、どれもワンアイデアを上手く自分のものにしてる感じが。あとがき読んでなるほどと感じた。つってもSFは門外漢もいいとこなんで大した事は言えませんわ。基本的にはドタバタのほほんラブコメてな感じだけど、一編だけ毛色が違うのが「恋する死者の夜」。話としてはあまり面白くはなかったけれど、作中で描かれる世界設定とか情景は寒々しくて非常に好み。あと「三時間目のまどか」は乙一の『Calling You』を作者なりにアレンジした感じで、話としては一番上手くまとまってると思った。難を言えば、どれももう少し膨らませて方が叙情性とかが増していいんじゃないかと。