37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

+『ザ・ウォーク』を見ました

+ 少し前に『ザ・ウォーク』を見た。ツインタワーにワイヤーを張り、その上を歩いた伝説の綱渡り芸人フィリップ・プティを描いた映画。プティはフランス人なのだけれど、アメリカでゼメキスがつくったことや、ラストシーンの映像で「ツインタワーの神格化」…

+ヴァレンタイン前後

+可能性 可能性。ソフトクリーム食べたいわって、行きずりのだれかにねだること。(穂村弘『手紙魔まみ、夏のお引っ越し』) 行きずりの人にねだったわけではないけれど、冷たく甘い可能性は濃厚なチョコレートとピスタチオの味だった。 +DEMEL バレンタイ…

+オールタイムベストの本

+ 一生のうちにオールタイムベスト本30冊を選ぶというのをやっていて、ひさしぶりに更新。アラン・ムーア(原作)・エディ・キャンベル(作画)『フロム・ヘル』をいれる。読んでからしばらくたっているし、『ウォッチメン』とどちらにしようか、自分の中で…

+お知らせふたつ

+ おひさしぶりです。まずはお知らせです。 + 森開社「L'ÉVOCATION」の後続同人誌「Anthologica vol2 マルセル・シュオッブ特輯」に寄稿しています。国書刊行会のシュオッブ全集とあわせて是非お読みいただければ嬉しい内容です。フランスのマルセル・シュ…

+夜の終わりに

+ 眠れないまま夜明け。この時期はいつもこんなふうだから、動けるくらいの元気があるのなら忙しくしている方がいい。余計なことなど考えられないくらいに、本を読んで映画を見て音楽を聴きお話をする、お茶を愉しみお酒を呑んでこうして文字を綴ることをや…

+悪夢の後

+ 大事なひとたちがしんでしまう夢を見る。なにもできなかった、なすすべもなくみていることしか。自分が殺される夢のほうがはるかによかった。夢なのに もう目が覚めているのに。夢の中の体験でできた、心の穴があまりにも大きく広がってしまって、自分が…

+『ジュリアとバズーカ』

+ 「これは彼女の注射器だ。わたしのバズーカ、彼女はいつもこう呼んでいたよ」(中略) 彼女は笑っている。危険にさらされたとき、ジュリアはいつでも笑うのだ。注射器がある限り、何も怖くはない。怖いと思ったときのことはほとんど忘れてしまった。とき…

+ビューティフル・ドリーマー

+ 佐保姫降臨、春です。 + ああ、そうか。わたし、ビューティフル・ドリーマーになりたかったんだ。いつも誰かの名前を呼びながら世界から飛び降りつづけ、醒めつづけながらして、より深く美しい夢を見つづけていたいのだった。今日の夢は美しかったですか…

+*謹賀新年*2014*+

+ あけましておめでとうございます。つたない日記ですが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。巫女の血が流れているのならば、本年も心からの感謝を込めて、ここを訪れて下さった皆様にあらんかぎりの新年の言祝ぎを。今年は去年よりもよき1年でありま…

+忘 却

+ 忘れる憶えておくどちらも大事。そして、憶えておくといったことそれ自体をいつか私は忘れてしまうかもしれない、ということを心のいちばん深いところに何よりも強く強く記憶しておく。 週明けにつづいて昨日今日もその作業をしていた。

+断 片

+ 言葉にもならない夢の断片を見続けるのだけれど、こちら側に目覚めてからもまだ溶けずに残って居る欠片があるみたいでふわふわ過ごす。アルコールだってこんなふうには効かないものなのに。

+物 語

+ 太陽を背に、端然と立つ人を尋め行きました。青白い氷原でその人は火照りを帯びているようでした。 「熱があるの。少しね」 微笑むその人が氷に刻んだ文をたくさん読みました。小さな熱に溶けた言葉は滴となって黎明の波を奏でます。 「この下にはね。氷…

+金木犀の咲く夜に

+ 金木犀の香りがしてくると、ようやく十月になったのだと思います。真っ先に思い出すのは、住んでいた家の庭にあった、何十本もの金木犀がいっせいに黄金色の花を咲かせてまぶしかったこと。寝室、台所、食堂にバスルームと、家中が、花々の香りで充たされ…

+ある日、街角で

+ ある日、街角でお会いした方。世界にちっともこびていない、クールなたたずまいと視線が素敵でした。

+夏のおわりに

時は飛ぶように過ぎゆき、飽くことなく四季は巡る。今は夏。美しさにしなやかさと強さがそなわる季節。夏の終わりはいつも突然。だから鮮やか。熱気を孕んだ日々は短くて儚くて、白昼夢のようです。よき時間をお過ごしください。 + むかし、誰かに書いた手…

+ダーガーのどこにもない王国のこと

巨神兵の日記を書いていて、ダーガーのことを思い出したので、ダーガーのことを。そういえば、「エンジェルウォーズ」という映画が公開されたとき、トレイラーやスチールを見ては、ダーガーのヴィヴィアン・ガールズがなぜかあたまに思い浮かんでいた。結局…

+夏の宵に

+ 電車で、浜松町を通ったらちょうど花火があがる頃合い。ホームからも綺麗に見えたのだけど、光と音に吸い込まれるように電車を降りて改札を出て、外まで見に行きました。夜空を見上げて眺めているだけではなく、大気の震えなども含めて、全身で花火を感じ…

+巨神兵と一緒に見る終末の夢、東京2012

――特撮博物館に行ってまいりました、2012年の夏の日のこと。+ 世界なんていますぐ滅びればいい。そう願いつづける貴女が消えずにわたしのなかにいることは知っているよ。明日にでもあの巨神兵がここにくればいいのにと、存在することすべてを、世界を憎悪し…

+花火を見ながら、あの一瞬のことを

――隅田の夜空に打ちあがる花火を見にいきました。雨天のため、中途の中止は史上初とも聞きました。それでも心の琴線に触れるには充分な時間、花火を堪能してまいりました。 + 暗い夜空にたった一瞬、鮮やかに咲く焔の花。ひとまたたきするあいだだけ、網膜…

+幽霊になってみた、初夏の夜

+ ある夜、街を歩いていて見つけたビルの一角は、どこか戦後の闇市を髣髴とさせるたたずまい。商店がたちならぶコンクリート造りの一階の細い路地に紛れ込んでみると、もうシャッターが閉まっているところばかり。1回、2回、3回目の角を曲がったら、まっく…

+5月の薔薇を想いだす夜に

冥い森のなかをのぼりきったところで、視界が開ける。不意に顕れる、色とりどりに咲き乱れる薔薇の海。まるで秘密の花園のようです。そんなひっそりと謎めいた立地のお庭を堪能してきた5月の或る日。+ ある週末、TLで教えていただいた生田緑地のばら苑へい…

+たとえば、『今夜も夢見るように眠りたい』

+ 夢とか 眠りについて書いていたら、むかし見た映画を突然また見たくなった。或る日曜日、微睡みながら見た『夢みるように眠りたい』(林海象監督、映像探偵社、1986)。こういう映画をスクリーンで、オールナイトで見たい。眠れない夜になんとなく流した…

+すこしのあいだ

+ ひとのかたちでいたくなくなったので、 しばらくのあいだ、ひとではないかたちで過ごしてみる。ひとではないのだからその時間だけは、思考を止めてもいい。 そういう時間をつくるための武装。マジックアイテム。あるいはお守り。許されるための免罪符。 …

+……夢のくせに。夜に見たものの話。

+ こんな夢をみました。 ベッドで寝ていたら、中年くらいの中肉中背の、 作業着みたいなオーバーオールを来た男性が、そばに2人たっていて、手に持っている電動チェーンソーで、嬉々としてパジャマを着たままのわたしの四肢を切断しはじめました。あまりに…

+ねむるまえの、ちいさなものがたり

+ ひとつだけ、お願いを聞いてくれるのなら。彼の前に座りこんで、張りつめた表情の少女が消えそうな声でいう。おはよう、という言葉をわたしのセカイから消しさって。彼はだまって少女の髪をなでる。何を考えているかはわからない。彼には顔がないのだから…

+今年も

+ 4月のおわりから5月のおわりにかけては、いつも静かに過ごしたい季節。しばらく目を閉じることさえできれば、日々は眠りの上を過ぎ去っていくはず。この痛みは、いつかきっと煌く魂の宝石になる。たとえ今は苦しくても、そう信じたい。そんなちいさな嘘を…

+桜の季節に

+ 1月に2月、そしてようやく3月になったらすこし落ち着けるからいろいろとりかかろうと思っていたら、3月の後半はおそろしいくらいにあわただしくて。戻りそうだった曜日感覚がまた希薄になってしまったり、思ったより疲れがあまりとれていなかったり。完全…

+雪の日を、憶えておきたい

+ 雪。嬉しかった。思考が綺麗になっていく。

+リチャード・コールダー/増田まもる訳『デッドガールズ』

+ 「僕は……」ふいに喉と口がカラカラになった。「僕はデッドガールが好きだよ」 お葬式でのこらえきれないクスクス笑いのように、タイターニアの顔に微笑のさざ波がひろがった。 「いいえ」彼女はわびしげに笑った。「わたしたちドールはなにも信じない。な…

+2011年の11月の

+ ずっといきたかったところへいってきました。いつかとおもっていたところ。両腕いっぱいに真っ白な花束抱えてまっすぐ歩く。これは死者のため? それとも生者のための? ちがう、きっと双方のために、この花々はあらしめられているはず、どちらかではなく…