自民党の言論テロへの組織的協力

全教協顧問が関わった事件に関連し、本島市長への右翼による言論テロを容易にさせるために自由民主党が圧力をかけて警察の警備を解除させたという疑惑について、国会議事録を引用しておきます。

118衆大蔵委11号平成02年05月24日
衆議院大蔵委員会
 平成二年五月二十四日(木曜日)
出席委員 正森成二君
出席国務大臣 大蔵大臣橋本龍太郎
出席政府委員 警察庁警備局公安第二課長渡邉泉郎君

○正森委員 警察庁お見えになっておると思いますが、警察庁にも伺っておきたいと思います。
 御承知のように、昭和天皇の戦争責任に絡みまして、長崎市の本島市長が一昨年の十二月七日に天皇に戦争責任があると思うという発言をしたことに対しまして、右翼の正気塾のメンバーがこれを襲撃するということがありました。その点について、私は二つの点を伺いたいと思います。
 同市長については、この直後から右翼のいろいろな動きが見られまして、一月の五日ころには右翼団体の構成員が刃渡り十六センチのナイフを携帯して同市長に面会を迫って、銃刀法違反、建造物侵入の現行犯で逮捕されるとか、いろいろ事件がありました。また、梶山茂という大石共立病院の病院長が実弾入りの脅迫状を送りつけて、昨年の七月逮捕されるという事案もありました。あるいは九月には、長崎市長公舎にタクシーで乗りつけて、魚の腹わたや骨の入ったビニール袋を投げ込むという嫌がらせ等々数々続いていたにもかかわらず、警察が警備を二十四時間態勢であったのを直前に解除した、右翼のテロを非常にやりやすくしたということがあります。これはその後警察庁は、同市長の方から警備の解除を申し入れられたというように言っておりますけれども、実際上は、これはたしか去年の九月と十一月ですか、自民党及び自民党系保守議員から、警備は税金のむだ遣いである、市の職員をこういうぐあいに使うことについていろいろ世論の批判があるということで、解除を求める非常に強い質問をされたことを受けて警備を解除したというように言われておりますが、その辺のいきさつと、それをどう反省しているかについて、まず警察庁から伺いたいと思います。
○渡邉説明員 ただいま御質問の本島市長に対する警戒の状況でございますけれども、御指摘のように本島市長に対する右翼の抗議行動は昭和六十三年十二月以降活発に行われたところでございますが、平成元年二月の大喪の礼終了後、これらの抗議活動は次第に鎮静化いたしまして、同年八月十九日以降、街頭宣伝車による抗議活動はなくなっております。また、同年の十月二十日以降、市役所に対する抗議文の手交等もなくなったところでございます。こうした中で、同年の十二月一日に本島市長から長崎県警察に対しまして、身辺警戒を解除してほしい旨の強い要請があったために、警察で十分検討いたしまして、右翼情勢等も検討の上、警戒態勢を縮小したものでございます。自民党の質問とは全く関係なしに、警察の判断で警戒態勢を解除したものでございます。

○正森委員 警察の判断を非常に強く強調されましたが、結果的にはああいう事件が起こったのですね。しかも、その犯人は既に去年の十一月ごろピストルを入手して、そして試射も行っていたのにそれもつかめない、また右翼が長崎に入っていたのにそれもつかめないというようなことで、あなたたちの警備態勢が非常に不備であったということについての反省や遺憾の念は一言も言われませんでした。
 また、市長からの強い要請があったと言いますが、報道や我々が確かめたところによりますと、市議会等々でそういう質問があったので身辺警護を一名にしてもらえないかという、初めは縮小の要請だったのですね。そうしたら逆にあなた方の方から、警備するとすれば複数以上が要るので一名では非常に困難であるというようなことを言うて、結局解除してしまったのではないですか。それに警備当局としては、警備対象者が解除してくれとか解除してくれるなとかということに限らず、やはり客観的な情勢によって警護すべきであって、例えば今国賓が来日されておりますけれども、仮に向こうの方から国民に迷惑をかけてはいけないから無用な警備を慎んでくれと言われても、それで警備を解除して事故があれば、これは警察の責任だということは明々白々であります。ですから、そういう点では警察の反省が足りないと思いますが、時間の関係で、大蔵大臣に国務大臣として一言だけ伺いたいと思います。
 我々が知りましたところでは、十二月七日にその発言がありましたときに、すぐ九日には長崎市区選出の自民党保守系県会議員五人が発言取り消しの要請文を本島市長に提出しております。十日には自民党長崎県連は党紀委員会を開いて、発言を撤回せねば市長を県連顧問から解任するという決定を行い、本島市長は十三日に県連顧問辞任届を出しております。さらに自民党県連は、本島市長に非協力の姿勢を自民党として表明した。高田勇知事に対して、本島市長が在職中は市政に協力しないでもらいたいとまで申し入れるということを伺っております。
 このうち、私どもはどれも適切でないと思いますが、自民党としてはそういう意見には同意できないというので自民党としてのみいろいろ言われた場合には、まだ他党についてどうこう言おうとは思いませんが、知事に対してまで公選で選出された長崎市長に対して協力するなということを言ってくるなどというのは、これはもってのほかの行為ではないですか。しかも、自民党及び自民党系議員が税金のむだ遣いだといって警備をやめるように圧力を加えるということで、言論に対するこういう抑圧が行われました。こういう点について、政治家としてやはりそういう行動には節度が当然必要ではないかと思いますが、いかがですか。

○橋本国務大臣 ちょうど今御指摘になりましたような事実、私はそれを承知しておるわけではありませんので、事実に基づいて物を申し上げることはできません。ただ、先ほど警察庁から御答弁がありましたように、その身辺警護、委員は警察庁の答弁をまた押し返された形で自民党の要請に
よりと戻されましたけれども、警察庁は明確にそれとは全くかかわりなく、警察当局としての判断においてその警備を解除したという御発言がありましたことをまず繰り返させていただきます。
 その上で、私は、どういう行動が行われたのか詳細には存じません。しかし、個人が御自分の信念を口にされることはその方の自由であると同時に、政党もまた政党としてのルールの中において一定の枠組みを持って行動しておることは、委員も政党の党員としてよく御承知のとおりであります。その上において私が申し上げたいことは、いずれにもせよ、賛成であれ反対であれ、その発言に対して暴力をもって報いるということは許されるべきことではない。この一点だけはお互いの見解として確認すべきことであろう、そのように思います。

テロ当事者になっているという疑惑を払拭できない自民党には、テロ問題を語る資格がありません。
ちなみに、政府委員として自民党弁護答弁をした渡邉泉郎は警察大学校長になっています。

橋本龍太郎
http://www2.odn.ne.jp/%7Ecap47570/hasimoto/top.html