「東京都青少年健全育成条例の改正反対に関する陳情」の審議(3)

東京都議会文教委員会速記録第七号 平成十六年三月十九日(金曜日)
http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/bunkyo/d3030102.htm

〇東委員長 速記をストップしてください。
   〔速記中止〕
〇東委員長 速記を再開してください。
〇福士委員 それでは、私から何点か質問をさせていただきます。
 先ほど、不健全な図書類の指定について、規則に定める基準というのはご質問がありましたので、その前段にありますもう一つの優良図書類の指定について、新たに規則で基準を定めるようになりましたけれども、これについてもちょっと確認の意味で伺っておきたいと思います。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 優良図書の指定につきましての規則での基準の定めの内容についてのお尋ねでございます。
 優良図書類等の推奨の基準、これにつきましても、先ほど申しました不健全図書の基準と同様に、従来、知事決定ということで、行政内部の認定基準において定めていたわけでございます。これは先ほど申しましたものと同様なんですが、透明性を高めまして、都民に対する説明責任を果たす、都民にわかりやすくこの内容を理解していただくという観点から、今回、東京都規則で定めるということで、条例改正をお願いしている次第でございます。
 なお、内容につきましては、これも一部の文言整理はございますが、基本的に今までの内容、青少年の社会に対する良識と倫理観を育てるもの等々と同様の基準を設定するつもりでおります。
 なお、平成十四年度には十三本の優良映画を推奨したことをあわせてご報告させていただきます。
 以上でございます。
〇福士委員 不健全の方も、質の問題からいえば、だれがどういうふうに、著しく卑わいなところというふうに判断するかという問題もありますし、結構こういうものを条例でやるのも難しいのかなと。先ほど来、規則でだんだん変わっていくんじゃないかというお話もありましたけど、やはりそのあたりも心配する部分はあるかなというふうに思います。
 もう一つ、私はもう単純に伺っていきますが、不健全図書類の指定でいわれている犯罪の誘発とはどのような根拠によるものか、お示しください。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 犯罪の誘発という概念の内容についてのお尋ねでございます。
 これは具体的に申し上げますと、著しく犯罪を誘発するものとは、刑罰法規に触れる行為を賛美し、またはこれらの行為の実行を進め、または唆すような表現をしたもの、これが一つでございます。及び、刑罰法規に触れる行為の手段を模倣できるように詳細に、または具体的に描写または表現したものとしております。
 以上でございます。
〇福士委員 どんどん伺っていきます。
 じゃ、第九条の四にある東京都青少年健全育成協力員というのはどのように定めるんでしょうか。また、どのような仕事内容となるのか。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 東京都青少年健全育成協力員についてのお尋ねでございます。
 この協力員につきましては、青少年にとって有害な環境を改善したいとする意欲を持ち、地域で健全育成活動に既に携わっていただいている都民を、この健全育成協力員に委嘱する予定で現在作業を進めております。
 その活動内容は、地域の書店やコンビニエンスストア等における不健全図書類の包装と区分陳列の状況を調査し、都に報告していただくことを予定いたしております。
 以上でございます。
〇福士委員 確認させていただきますけど、この協力員は置くことができるということですから、都内全域に全部一斉に決めますよとか、そういうことはないですよね。
 それから、もう一つ、今ご答弁いただきましたように、都に報告するだけというふうに理解してよろしいですよね。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 健全育成協力員についてお尋ねでございますが、まだ具体的なスキームというのは現在検討している最中でございまして、各区市町村にどの程度置くとか、について具体的な詳細な内容はまだ私ども決めておりません。まだ具体的には詰まっておりません。
 それから、仕事内容につきましては、基本的には都に報告していただくということで、いわゆる権力的な、そういう通常の行政が行うことに関与していただくということは想定いたしておりません。
 以上でございます。
〇福士委員 次に、十三条の二にある指定刃物の販売等の制限による効果って、どんなことを考えていらっしゃるのか、教えてください。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 刃物についてのお尋ねでございます。刃物が使用される犯罪、これは刃物の持っている性格から、結果が非常に重大であり、軽視することはできないということはご理解いただけると思います。そういう観点から、青少年が安易に不必要で危険な刃物を持つことがないよう、青少年の興味を引き、携帯しやすく、かつ日常生活において所持する必要のない刃物を指定しまして、青少年への当該指定刃物の販売を規制するものでございます。この条例で規定することによりまして、青少年に販売を規制するという直接的な効果を上げますとともに、販売業者や社会一般の皆さん方の注意を喚起し、規範意識の向上を図る宣言的効果もあわせて持ち得るものと考えております。
 以上でございます。
〇福士委員 お上にいわれなければ、自分たちが、業界の中で考えることができないというのも問題かなというふうに思いますが、同じく十五条の古物売買の未成年への制限は、書籍の万引きによる対策と、前に、何か請願でしたか陳情でしたか、出ておりましたけれども、そういう対策というふうに仄聞しておりますけど、そういう理解でよろしいんでしょうか。
 また、青少年が万引きなど非合法に得た書籍を売る方法ですけど、大人の人に預けて売ってもらうとか、幾らでも抜け道はあるのかなというふうに思うんですけれども、そうした場合の対策というのは、これでどうなるんでしょうか。
〇高島都民協働部長 古物売買についてのお尋ねでございます。
 青少年からの古物買い受けの制限、これは、青少年が安易に多額の金銭を入手することが可能になり、健全な金銭感覚を失い、ひいては非行に走るという悪循環を防止するということが一つ。それから、二つ目としましては、今お話がございました、換金目的で書籍等を万引きする誘引をなくすことが目的でございます。
 なお、抜け道があるのではないかというお尋ねでございますが、これについては、万引きは本来犯罪でございますので、青少年のこういう問題についての認識を高めるための普及啓発を行っていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
〇福士委員 今まで、ほかの方の質問も伺ってきておりますので、私は、条例というたがをはめて、それで何とかなるとは思えないというのが基本的な考え方です。例えば殺人の場合、刑罰があるから殺人が起きないかというと、そんなことはないわけですね。(「いや、ありますよ」と呼ぶ者あり)いや、そんなことないですよ。関係なしに起きる場合は起きる。(「抑止力だってある」と呼ぶ者あり)抑止力じゃなくて、起きた後の対策としてそれはあるだけですよ。
 ちょっと話が飛んで恐縮ですけど、前に私、福岡県の柳川市というところに行ったことがあります。そこは川の町です。で、ここは日常の水の使い方が非常に上手なんですが、川そのものはさくも何にもないんですね。道からストーンと落ちていて、結構深いところもあったりするんですよ。そこに行ったときに、ところどころに、川におりていって、川の水にさわれるような階段がついているんですけど、小さい子どもも含めて事故はないですかって聞きましたら、小さい子も危ないことを知っているし、水の遊び方も知っているので、事故はほとんど起きないというようなご返事がありました。
 何をいいたいかといいますと、生きていく中……(「たまたまだよ」と呼ぶ者あり)いや、たまたまじゃないんですよ。海のそばでもそうですけど、どんなに嵐の海に遊びに行っても、そこの中に巻き込まれないというのは、私も海のそばで育ったので、体験的にわかるんです。生きていく中で、いろんな危険とか、犯罪とか、おぞましいことにはたくさん出会う可能性というのはありますよね。そのときに、飲み込まれるか、自分で自分を律することができるかというのが、私は大事なことではないかなと思うんですね。
 どれほど不健全な図書を青少年に買わせないようにしても、ごみ置き場から拾ってきたりなんかすることはいっぱいあるわけで、私の息子も小学校のときに何か拾ってきて、うちでこそこそ見ているので、私は、これはきれいとか、これは嫌だねとかいいながら一緒に見た記憶があります。が、その後、余りそんなことをしなくなりました。
 一時期、泥棒しようという本の話がやっぱり出ていまして、ピッキングをするやり方なんかもずっと教えたりするという話も出ていたことがありますけれども、例えば、あれをなくしたらという話じゃなくて、それを読んだことがいけないんじゃなくて、それを読んで、実際に泥棒に入られないようにどう対策するかということを考えるのか、あるいは、それを見たから、実際に泥棒しようかというふうに実行に移す行為につなげるかどうかが問題なんだろうというふうに思われるんですね。
 確かな自己判断がきちんとされていけば、何を読むかどうかじゃなくて、それを読んだときにどうなるか。例えば、親でも家族でもそうですけど、飲んだくれの親がいたら、必ずしも子どもが飲んだくれになるわけじゃなくて、そういう子もいるけれども、そうじゃなくて、反面教師でしっかり育つ子もいるわけですから、そっちの方をきちんとどれだけできるかということが重要になってくるのじゃないかなというふうに私は思っています。(「理想論はね」と呼ぶ者あり)いや、理想論じゃなくて、今の教育問題も、もとが違うんですよね。
 もちろん、個人的なことも含めていろいろあるから、一律にどうにかできるというふうには思えないんですけれども、私、きのうも申し上げましたけど、どんなことが起きているのか解析しないで、ただただいっていくというのは問題じゃないかなというふうに思っています。
 今回、深夜外出のデータというのも出されていますけど、これ、データの数字は変えないけれども、データの読みかえをしていらっしゃる方が、私の方にも、多分ほかの方にも送ってこられたんじゃないかと思いますが、資料を送ってこられてまして、三回以上深夜の徘回をしているという子、それから、深夜の徘回はゼロという子の数字の置きかえをしていらっしゃるんです。そうしますと、三回以上深夜の徘回をしている子を全部ひっくるめてやって、ひったくりを絶対しないと思うのは八〇・三%。それから、してしまうかもしれないというのが一九・七%。長くなりますから、ちょっと間を飛ばしますけど、深夜の徘回がゼロの子は、ひったくりを絶対しないと思うというのは九四・一%。そして、してしまうかもしれないというのが五・九%。これで見ると、数字からいうと、やっぱり徘回をしないゼロの子の方が、ひったくりをしない方が多いのねというふうに感じるんですが、絶対数で見ますと、徘回三回以上の子でひったくりをしてしまうかもしれないのが六十九人で、徘回ゼロでひったくりをしてしまうかもしれないのが二百二十人と、絶対数値になると今度は大きくなっちゃったりしているんですよね。
 そういうこともありますし、それから、これ、ちょっと古い資料なんですが、メディアと少年凶悪化ということで、東大助教授の広田照幸さんが朝日新聞の夕刊の文化欄に書いていらして、これは青少年条例とは関係ないことでお書きになっているんですが、そこのデータだけ見ますと、ちょっと古いので、恐縮なんですが、九八年までしか出てないんですけれども、六〇年代が一番、十万人当たりの殺人、未遂も含んで殺人の検挙者が多いんですね。それを見ますと、二十から二十四歳だと、十万人当たり十人をちょっと超えるぐらい。それから、十八、十九になると、七人ちょっと。十六、十七歳になると、三・五人弱ぐらいですかね。それから、十四、十五だと、一人にならない、〇・七とか八とか、そういう感じです。
 ところが、九八年にはずっと下がってきているんですね。二十から二十四歳がずっと下がっておりまして、十四、十五とか、十六、十七がそれをちょっと超えているもんですから、多くなった多くなったといういい方をしていますが、数字で見ると、二十から二十四歳は、一・二か三ぐらいですよ、グラフなのでよく読み取れないですが。そこを超えて十四、十五、十六、十七が一・五六ぐらいですかね。一・六人ぐらい。だから、超えたといっても、〇・幾つぐらいの差の中で多いとか少ないとかいっていて、十万人対十人になっているわけじゃないんですね。こういう数字の読み方というのはすごく大事なんじゃないかというふうに私は思います。
 これ、専門部会で出された、先ほどの深夜徘回以外に、街頭犯罪検挙人員に占める少年の割合、これも出ております。これを見ますと、ひったくりが六八%とか、オートバイの盗難が、九五%が少年の占める割合になっていますから、ああ、やっぱり多いのねなんていうふうな感じはするんですけど、現実に考えたときに、自転車を盗んだり、自動販売機を荒らしたり、あるいはオートバイを盗むというのは、大人の人はやらないんじゃないかというふうに私は思うんですよ。二十過ぎで、三十、四十になった人たちがこういうことするかなという感じなんですね。そうすると、ある年代の中で少年の年代を出していくと、こういう数字になるのかなと。
 ですから、この読み方もそうですし、データがきちんと正直にどれだけ出されるか、正直に解析されるかということが大事なわけで、それをつかまないで、ただ感情論で、だから条例が必要とか。それから、今、マスコミの方、ここにもいらっしゃいますけど、マスコミの方は非常にショッキングな話で、いろんな事件をテレビも新聞も同じに何回も何回も取り上げたりしますよね。そうすると、すごくその事件が多くなったように、私たちも錯覚をしてしまいます。だけど、数字で見れば、本当にそうなのかどうかわからない。
 こういうことを審議されるときには、きちんとした数字を挙げて、本当に少年犯罪がふえているかどうかということをきちんと審議をするもととして出していただきたい。そうじゃなければ、多くなったという気分だけでこういう条例をおつくりになるのはいかがなものかなというふうに私は思っております。
 以上です。
〇山下委員 私からは、我が党の代表質問においてもそうですし、せんだっての予算特別委員会においても初鹿議員から質問のあった、自動販売機の規制と刃物の規制について伺っていこうと思っております。
 青少年が健全に育つ環境をつくることは大人の責任であり、そのために大人や事業者に対して一定の規制を課す必要性は十分に私も理解しているつもりであります。
 そこで、まず確認のために伺おうと思ったんですが、先ほどご答弁もありましたので、自動販売機の義務づけの必要性という点については、三百四十カ所、都内にはそういうアダルトビデオ等の自動販売機があるが、そのうち約一割が年齢識別装置が未設置であり、また夜間になると、約六〇%がその装置も稼働していないということがあるということですので、これもよくわかりました。
 しかし、大きな意味で考えますと、青少年を守らなければならないのは、何も不健全図書あるいはビデオといったものだけではないようにも思っております。法律で禁止されているお酒、たばこの自動販売機については、そういった動きはあるそうですが、一部でテスト導入はされているみたいなのですが、現在はそういうものは設置していないわけですよね。こういったこと自体、私はバランスを欠いていると思うんですが、ご見解を伺います。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 自動販売機の規制に関連しまして、いわゆる酒、たばこの自動販売機などとのバランスが欠けるんじゃないかというお尋ねだろうと思います。
 酒、たばこにつきましては、現在、自主規制により深夜の自動販売機では購入できないとされております。これは切ってしまいますので、大人の方も含めて購入できないということになっているわけです。ただ、昼間は購入可能でございます。そういう意味では、これについて、先般の竹花副知事の私的諮問機関としてつくりました少年を犯罪に巻き込まないための方策を提言する会におきましても提言されておりましたけれども、青少年が購入できない措置をとる必要があるということを感じております。
 いずれにしましても、酒、たばこにつきましては、法律で販売の許認可、いわゆる国の許認可になっておりますので、そういうことも勘案する必要があるんじゃなかろうかというふうに思っております。
 以上でございます。
〇山下委員 今のご答弁、まさしくおっしゃるとおりだと思いますね。青少年が購入できない措置をとる必要があると感じているということなんですが、まさしく青少年を守るということであれば、お酒、たばこからも青少年を守るように国に働きかけていただきますように、私からは要望させていただこう、そんなふうに思っています。
 次に、自動販売機のお話に戻りますが、先ほど高島部長のご答弁の中で、年齢を識別する方法として、一つは、免許証を年齢識別装置に入れるという方法がある、もう一つは、遠隔操作できるビデオカメラによって、帰りなさいと注意を促したり、それによって判断されるといったようなご答弁があったんですが、私、この後者について大変危惧を抱いております。年齢識別方法として、遠隔操作できるビデオカメラによる方法というのは認められているのか、お伺いいたします。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 石川委員にはちょっとおわび申し上げなきゃいけないんですが、先ほど私の方から、年齢識別の方法としまして、二つありますというお話を申し上げました。一つは、いわゆる免許証を入れて年齢識別装置として機能させるもの、もう一つは、カメラで見ていて遠距離で監視するものということで、この二つは、実は自主規制の方法として今まで講じられていたわけでございます。
 実は、今般、この条例に当たっての義務づけに当たりましては、今、山下委員からご指摘もありました、そういう年齢識別の方法として徹底させるのであれば、そういう遠隔監視はいかがなものかというようなお話もございます。そういうことも含めまして、まだ確定しているわけではございませんが、今後規則で定める内容につきましては、またお時間をいただきたいと思うんですけれども、今までの自主規制ではその二つの方法を認めておりましたけれども、より徹底するという観点から、その方法についてより厳しくやっていくということも検討していかなくちゃいけないんだろうと思っております。
 石川委員には、私、先ほどちょっと不正確なことを申し上げまして、この場をかりておわび申し上げたいと思います。
 それから、おわびついでといったら申しわけないんですが、もう一点だけ訂正させていただきたいと思います。
 先ほど曽根委員の方からお話がございました、一月九日の青少年問題協議会の議事録のホームページ掲載でございますが、一月九日の分を載せているというふうに私お答えしたんですが、これは申しわけございません、私の全く事実誤認でございます。これは起草委員会でございまして、いわゆる作業部会に当たるものでございまして、これについては、ほかの会もそうなんですが、ホームページには掲載しておりません。ただ、いわゆる専門部会、それから、曽根委員にもおいでいただいています総会、これについてはすべてホームページで公開しておりまして、先ほど私、不正確なことを申し上げまして、心からおわび申し上げ、また訂正させていただきます。
 いずれにしましても、私の不注意で、お二人の委員にご迷惑をかけたことを、この場をかりて深くおわび申し上げて、訂正させていただきます。
〇山下委員 何も私は部長を責めているわけじゃございませんけれども、私が危惧しているのは、実際問題、そういった遠隔操作ができるビデオカメラを設置しているところというのは、そんなに多くはないのでしょうが、そういう状況の中で、私が夜中にビデオを買いに行きます。ビデオカメラはちゃんと私の顔も認識していますし、当然識別するわけですから、私の免許証をそこに入れて、本なりビデオなりを買うわけです。そうすると、何時何分に、だれが何を何冊、あるいは何個ビデオを買ったかというようなことがデータとして、業者には、ビデオカメラには残るわけですよね。で、その機械自体には記憶装置がないということですが、そういった情報の扱い方、プライバシーの保護という観点についてはどのようにお考えなのか。
 昨今、いわゆる大量の個人データが流出したり、あるいは、かけてもいない相手への電話、風俗的なサービス的なところから請求書が来たり、そういう時代の中で、本当にこういうものは−−もちろん、私個人としては年齢識別装置は必要だと思いますが、それをやることによって、今まではビデオだけで済んでいて、だれがだれだかわからなかった。それを、ちゃんとルールを守る人に対しての保護というのはどのようにお考えなのか、お聞かせいただければ幸いです。ここが私が一番危惧しているところです。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 規制に当たりましての個人のプライバシーの確保ということだろうと思います。
 まず、技術的なことでご説明しますと、先ほど申しました運転免許証を入れて年齢識別する装置がございます。何社かで、この年齢識別機を出されておりますが、いずれも、現在出されている社のものの年齢識別機の機能からいいますと、運転免許証の生年月日の部分だけを読み取るそうでございます。生年月日を読み取り、機械的に年齢を計算して、十八歳未満の青少年でないことが判明した場合は購入することができるというものでございます。したがって、あくまで年齢識別機が読み取りますのは生年月日だけでございまして、生年月日以外の住所や個人名は読み取ることがない仕組みになっているそうでございます。
 それから、読み取った生年月日のデータが残るかということですが、これについてもデータを記憶する装置はございません。ログは残りませんので、個人が特定されたり、記録が残ることは、現在の数社で出しております年齢識別機においてはないということでございます。
 もう一つ、いわゆる遠隔操作での監視カメラ、これは、最近の治安対策でつけております街角の防犯カメラと同じような問題があるんだろうと思います。防犯カメラにつきましては、治安対策本部の方で今いろいろルールづくりとか、そういうことをやっていると聞いております。
 そういう意味では、この監視カメラ、みずから本をその自動販売機に買いに来ているということで、肖像権を放棄しているというような見方もできるかもしれませんが、今、委員がご指摘になったように、そういう監視カメラがついているところに入られた方の個人データが自動的に記録に残り、それが何かに悪用されるというおそれもあると思いますので、そういうことについても、我々行政当局の方では十分留意して、そういう個人のプライバシーが担保できるようなことは絶えず気を使っていくべき話じゃなかろうかなというふうに思っております。
 以上でございます。
〇山下委員 ぜひ、その辺はお願いをしたいと思います。
 本音をいえば、もうちょっと伺いたいところがあるんですが、やめておきまして、次に刃物の規制について伺っていきます。
 刃物の規制についてでありますが、青少年が刃物を使用した凶悪犯罪の加害者になったり、被害者になったという報道を耳にするたびに、そういった方々の心中を察しますと、大変心を痛めるところであります。また、私自身も何とかしなければならないといったような気持ちにもなります。しかし、新しく規制をするということであれば、その効果や内容について十分な検討が必要と私は考えます。
 そこで、まず、刃物を指定する必要性について伺います。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 刃物の指定の必要性についてのお尋ねでございます。
 刃物が使用される犯罪、これに青少年を巻き込まないために、先ほど申しました日常生活において所持する必要のない刃物、こういうものを指定いたしまして、青少年に対する販売を規制することを通じ、青少年が犯罪に巻き込まれる、犯罪を犯す、そういうことのないように、青少年の健全育成の環境を守っていきたい、こういう趣旨で今回この制度を設けたものでございます。
 以上でございます。
〇山下委員 それでは、さらに伺います。他県の規制状況というのは、どのような刃物を指定しているのか、あわせて伺います。
〇高島都民協働部長 他県の規制状況についてのお尋ねでございます。
 平成十四年七月に行いました照会結果によれば、三十七府県で指定刃物に関する規定が条例で明文化されております。刃物の指定と青少年に対する販売規制がされているところでございます。
 以上でございます。
〇山下委員 他府県で規制がされている状況は、今のご説明でわかりました。刃物といっても、販売している店は多種多様でありまして、販売状況を把握することは大変困難であると私は考えております。実際問題としてどのように規制を徹底するのか、甚だ疑問なんですが、その点について伺います。
〇高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 販売状況の把握、徹底の仕方についてのお尋ねでございます。
 これにつきましては、計画的な立入調査を行うこと、それから業界との定期的な連絡会議を行うこと、こういうことを通しまして、販売状況の徹底した把握に努めてまいりたいというふうに考えております。また、これらの活動を通しまして、販売業者に対する条例の啓発、理解いただけるよう行ってまいりたいと思っております。
 それから、もう一回申しわけありません。ちょっと疲れてまいりまして、答弁漏れが先ほどございました。どのような刃物を指定しているかという内容につきまして、ちょっと漏れました。申しわけございません。
 他府県で最も多く指定されている刃物は、三十三府県においてバタフライナイフという形のものが指定されております。そのほかペンナイフのような、いわゆる仕込み型のナイフを指しているんですが、こういうナイフなども比較的多く指定されております。
 以上でございます。
〇山下委員 まさにご答弁の最後にありました、いわゆる販売業者に対する条例の啓発と意識づけをあわせて図っていかれるという、この点が重要であると私も考えています。
 先ほど来申し上げている刃物の件について、自動販売機の例だけではなくて、いろんなこの条例の中に含まれているものは、一〇〇%違反したものを把握できるわけではないと思います。この条例が示す、東京都が青少年を取り巻く環境を改善するんだという意思を一人でも多くの都民に理解していただいて、協力が得られるように最大限努力していただくことを強くお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
〇東委員長 いいですか。ほかにありませんか。−−それでは、ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇東委員長 異議なしと認め、予算、付託議案及び陳情に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十五分散会