新エネルギー産業技術総合開発機構:「愛・地球博」に行かない人のために

 
巷では愛知窮迫、もとい「愛・地球博」とやらの国策イベント(2005年日本(ニッポン)国際博覧会」)の話題が賑っているらしいですが、地球環境やエネルギー問題の科学技術や政策情報については、「愛・地球博」に行かなくてもネドと呼ばれる機関=「新エネルギー・産業技術総合開発機構」のサイトに行けば様々な情報があります。
私のおすすめは、NEDO海外レポート。
 

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
http://www.nedo.go.jp/
NEDO海外レポート
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/index.html

 
「地球環境問題」という言葉は漠然としていて「いったいなんのことなの?」という感じですが、結局、化石燃料というエネルギーの需給バランスの崩壊による世界戦争の危機、CO2排出による自然災害の増大の危機など、現実に発生し得る問題にどう対処するかというところに行き着きます。
 

海外レポート931号
EIA 世界エネルギー予測2000
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/831/831.pdf

1. 世界のエネルギー需要増
世界のエネルギー消費量は、1997年から2020年までの23年間に、380 quadrillon Btuから608 quadrillion Btu へと60%の増加が予測される。本予測では、1999年に起きた石油市場の短期的動き、東南アジア経済のめざましい回復の開始、旧ソ連経済の予想を上回る早い経済復興が世界のエネルギー市場の中期予測に与えた影響等が考慮されている。
4. 急増が予測される途上国のエネルギー需要
今後のエネルギー需要の伸びの大部分は、発展途上国のエネルギー需要の伸びになるものと考えられる。特に、アジア、中・南米の途上国におけるエネルギー需要は、1997年から2020年の間に、2倍以上になるものと思われる。アジア及び中・南米とも、今後、年率3%以上のエネルギー需要増を続けて、世界全体のエネルギー需要増の半分以上を、或いは、途上国全体の83%を占めることになるだろう。

 
世界中どの国も豊かさに渇望しており、貧しい国ほどエネルギーの消費が増大する傾向にあります。
貧しい国の人を豊かな国の人たちが説得できないかぎり、世界全体のエネルギー危機と環境の崩壊は止まりません。
貧しい国の人たちにも幸福になる権利があり、自由があります。しかし、化石エネルギーの生産には限度があり、分配にも限度があります。
では、どうやって分配するのか。市場原理を世界化(グローバリズム)して、強い者が買い占め弱い者に高く売るという世界を作るアメリカ合衆帝国のビジョンは、先のイラク戦争とは関係がありますが、そういうことで良いのかという現実の問題があります。
という意味で、地球環境問題とイラク戦争(テロとの戦争)はリンクしているのであって、そのリンクについて情報提供や問題提起せず、途上国の民衆との対話の機会がほぼ皆無の「愛・地球博」とやらはいったい何なのかという疑問が私にはあります。
 
2005年の全世界ESIによると、環境持続可能性指数の国際ランクは、昨年よりも順位を上げたとはいえ日本は世界30位だそうです。
 

フィンランドが環境持続可能性のランク付けで世界第1位に(世界)
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/951/951-09.pdf

2005年の全世界ESI(環境持続可能性指数:Environmental Sustainability Index)の全データ
http://www.yale.edu/esi/
2005 Environmental Sustainability Index
Benchmarking National Environmental Stewardship
http://www.yale.edu/esi/ESI2005_Main_Report.pdf

 
2005年の全世界ESIの世界地図とランク一覧の画像をこちらに引用。
 

http://blogs.yahoo.co.jp/kitano_b/archive/2005/03/31

 
自然を犠牲にしても豊かになりたい。そういう貧しい国がアジア、中東、アフリカなど世界にはたくさんあります。そういう国に、豊かな国々がどういう態度を示すか。とても難しい問題です。
豊かな国だけが化石エネルギーを独占すれば、貧しい国はより貧しさを覚え、そこに紛争が発生します。
「テロは死という平等を実現する」ということを、私たちは9.11事件から学びました。豊かな国が貧しい国を経済力で支配すればするほど、世界は乾き、世界戦争の火種は燃え広がりやすくなるでしょう。
幸福を追求した結果として戦争の愚を犯すような事態を避けるためには、日本人を含めた豊かな国自身が化石燃料の再配分について熟慮し、エネルギー消費を抑制することを生活レベルで実践するしかありません。
省エネルギーの努力は、「森と仲良く」とか「地球市民として」といった抽象的な議論ではなく、一人一人が戦争によって殺し殺される危機を未然に防ぎ生き残るという具体的で切実な課題です。
豊かな国の民衆がそうではない民衆と戦争せずに生き残る方法。それが省エネルギーです。
 

NEDO海外レポートNO.945, 2004. 12. 1
省エネルギー】「払った分だけ使う」電力消費・温室効果ガス削減計画(カナダ)
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/945/945-07.pdf

カナダ西部では初となる本プロジェクトは、電気料金の支払い方式を前払いとしアルバータ州で展開する。任意で参加するドラムヘラーとグランド・プレイリーの500世帯は、電気料金を「スマートカード」(電話のプリペイドカードに似ている)で前払いし、自宅の電気消費量を常時確認できるようになる。
・・・・・
カナダ国内で、電力消費量をメーターにより確認するというコンセプトは、Woodstock Hydro 社で考案された。同社はオンタリオ市南西部で任意に世帯を抽出し、スマートメーターを設置した。報告によれば、従来の請求書による支払方法と比較した場合、対象世帯の電気料金はおよそ15パーセント減となった。各世帯が頻繁に消費量を確認し、個別に省エネ対策を実行できたからである。

 
良い取り組みですね。
今の居間や台所に電力消費のデジタルメーターを取りつけて、
 

現在の電力消費量50kwh/残りの電力消費量150kwh
現在の電力消費140(予想消費日数はあと30日間です)

 
こんな具合に表示させ、お金を払った分だけ電力を使うシステムに変えて、節電すればするだけ払うお金が少なくなることを意識しながら電気を使い、こまめに節電を心がけるようにしましょうということらしいです。
地味な取り組みですが、こんなんで15%もエネルギーを削減できるとはすごいです。
 
NEDOの海外レポートは、政治関連情報も豊富です。
 

NEDO海外レポートNO.942, 2004. 10.20
【ニュースフラッシュ】942 号今週のWeb Headlinesから
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/942/942-17.pdf

3. 2004 年米国大統領候補の科学政策(2004/09/15)

  • ネイチャー紙はこの度、米国大統領候補ブッシュ氏及びケリー氏に対して大量破壊兵器製造技術の拡散など、科学関連15 項目に上る質問を送り、それぞれから回答を得た(interactive feature をクリックすると、質問と各々の回答が順に出ます)。

US Election 2004
http://www.nature.com/news/specials/uselection/index.html
参考:Presidential Candidates Speak Out on Science Policies
http://www.physicstoday.org/vol-57/iss-10/p28.html

 
ネイチャー紙のフラッシュは面白いです。最近、目つきの悪い政治家が日本に来て「とにかくとっとと肉買えよ」と捨て台詞を吐き捨てて帰ったそうですが*1日本と関係の深い狂牛病についての質問項目もありますね。
 

大統領候補への質問と回答 科学政策(フラッシュ)
http://www.nature.com/news/specials/uselection/qaelection.swf

14. Is mad cow disease, and its possible transmission to people, a significant potential public health threat in the United States? If so, what steps would you take to ensure its containment?

 
大統領選挙後に作られた米帝国の予算が興味深い。
 

NEDO海外レポート
【特集】政策 ブッシュ大統領の2006年度予算:概要
NEDO ワシントン事務所 松山貴代子
(1/3)
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/950/950-01.pdf
(2/3)
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/951/951-02.pdf
(3/3)
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/952/952-01.pdf

 
2006年度予算の概要をみるにつけ、アメリカ合衆帝国の自壊が加速してゆく、の感があります。
 
以下、参考まで愛・地球博関連リンク。というか雑談。
 

Googleニュース検索「愛・地球博」

2005 World Exposition
http://www.expo2005.or.jp/

よくある質問
http://www.expo2005.or.jp/jp/L0/L1/index.html
Q:お弁当の持ち込みはできるの?
http://www.expo2005.or.jp/jp/L0/L1/L1.3/L1.3.1/L1.3.1.3/index.html

 
弁当のこととかどうでもいいよ、そんなこと。
 

http://www.expo2005.or.jp/jp/E0/E2/index.html

 
糸井重里は博覧会が好きすぎる。
そういえば110億円の税金をつぎこんでもインパクトが無かったインパクがその後どうなったのか知りたくなって、久しぶりにインパクのウェブバビリオンを見ました。
 

インターネット博覧会
http://www.inpaku.go.jp/index.html

 
110億円の税金はすべて消えていました。…。
110億円でどんな博覧会を作っていたかは、下記で概要を見ることが出来ます。
 

ウェブアーカイブのキャッシュ
http://web.archive.org/web/20011201043042/http://www.inpaku.go.jp/index.html

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