とにかく考えた、事・方法論を書くことにした。

最近は雑記ばかり。サーフィンと読んだ本に関して考えた事などを書いていきます。

3系統目 百合のジャンルが持つ特異性特質性について

1系統 純文学作品に通ずる人間性のテーマ描写表現
2系統 恋愛漫画に通ずる、恋愛、同性愛、性的興奮、昂ぶりの描写表現
3系統 百合のジャンルが持つ特異性特質性。ジャンル好きの人に向けた描写表現



百合作品を、その面白さや読者の求めている事、技術体系等で大別するとこの3点になると思う。今回は3系統目の百合だから好きではなく、百合というジャンルが持つ特異性特質性ゆえに好きというジャンル好きについて分析し、どういう点がジャンル好きさせるのか、読者を惹きつけるか考えてみる。




◆ジャンル好きとはなにか。

例えば、タイムトラベルや宇宙の話は好き。でも、物理や宇宙には興味がない。そういう人のことをジャンル好きとここでは表現している。つまり、SFの科学的なところや物理が好きなのではなく、見た事もない世界観や人物がいる、広大さを感じる、失敗を帳消しにして成功した未来を目指す。そういったSFの本質そのものではなく、2次的な特徴性質に惹かれている人のことである。無自覚、有自覚かはさておき、そういう人はファンタジーの中でも同様の性質があれば好きだろうし、歴史スペクタクルも同様に好きかもしれない。





◆ジャンル好きが求めているであろう、百合の2次的特長性質。

では、百合というジャンルの女性同士の関係性という本質ではなく、百合というジャンルの二次的な性質的特徴とは何があるだろうか。




・反社会性、反体制的。ロック。
断っておくが、私は別に百合に価値判断を持ち込んではいない。ただ、一般的、王道、普通、大衆の考え等から逸脱し、周囲との対立・摩擦が描かれることが往々にある。そういった反社会性、反体制的な面に共感・惹かれている人もいるだろう。




・背徳性、秘密の関係、イケナイ関係
背徳的な行いに興奮を覚える人がいる。同様に、秘密の関係、イケナイとわかっているからこそ興奮する性質の人がいる。女性同士、人妻百合、周囲(他の友人)には内緒など。




・排他性、特別な二人
あなただけいればいい。私にとっての貴女だけでいて欲しい。そういった恋愛価値観があるように、周囲から逸脱し、特別・特殊な二人に陥って排他性で退廃的な関係性に興味関心を惹かれる人は居るだろう。




・マイナー趣味を好きな自分が好き
上とも関連するが、他人とは違う・変わっている自分が好き。格好いい。そういうファッション的な興味関心で惹かれている人も居るだろう。




・ハードルの高い、困難な恋愛とその成就
恋愛漫画を好きな人の延長で惹かれる人もいるだろう。女性同士という本人同士の問題、周囲の理解という周囲との軋轢、将来・未来への不安を常に抱えてるなど、通常の恋愛以上にハードルが高いので、その困難さ過酷さに通常の恋愛より興奮期待するものがあるのだろう。





・同性愛への共感作用
同性愛の人、同性愛を意識している人、そういうどこか自分と重なる恋愛要素を求めている人には、参考、共感関心を買う場合があるだろう。





女性不信、著しい自己評価の低下、自己欺瞞
女性同士の世界、女性同士ゆえの美しさを視たいのではなく、女性不信からくる女性の理想化神格化を期待する心理。あるいは、自己(男)の性的魅力への劣等感からくる男女の恋愛からの逃避、そして逃避を正当化するために百合を肯定し、自己の防衛機制・合理化として使う心理。視ることで満足するという自己欺瞞の心理。それらの副産物としての百合好き。







◆おわりに

百合の本質を磨き上げ、より良い作品を作ろうとするのが本筋だろう。ただし、無自覚有自覚かはさておき、こういった二次的な心理期待で、百合をただのジャンルとして好きな人は居るだろうため、こういった点を意識して読者に興味関心を持たれるポイントを増やすのはありかもしれない。



特に、背徳性の追及、恋愛の困難化のあたりは、漫画として展開のメリハリ、浮き沈みができ、その先を読みたくなる期待効果が高いと思われる。また、自作品にプラスαしやすい要素、性質でもあるし、取り入れて損はないかもしれない。