ドラッカー『プロフェッショナルの条件』

知識と労働の関わりがどのように変わったかを述べ、生産性を高める方法として自己管理の重要性を説いている。時間を管理するうえで、記憶に頼らず記録によって客観的に振り返ることが重要だというのは身にしみる。科学や技能から知識を引き出して産業に応用することが新しい発想であると知って意外だった。(楽しく発明するための法律 - 反言子
先日も書いたが、組織とコミュニティを対比的に論じているのがおもしろい。とくに従来の日本的な企業がコミュニティとして社会的な調和を維持してきたことを評価している。潮流としては注目されていない点だが、組織では補いきれないコミュニティの絆を社会に実現できたらいいなあ。それが他国における解決のモデルにもなると述べていた。(組織とコミュニティ - 反言子
現実においてコンピュータやシステムの追う役割とは何かを考えた。「コンピュータが扱うことができるものは抽象である。抽象されたものが信頼できるのは、それが具体的な現実によって確認されたときだけである」(p.158)。
「情報型組織は、必ずしも先端的な情報技術を必要としない。必要なのは、「誰が、どのような情報を、いつ、どこで必要としているか」を問う意思である」(p.178)。システムの設計はビジネスの設計だ。だから人間の関わり合いに注目する。問題意識や意見をもつことは人間固有の能力だ。コンピュータの追求すべき能力は、定式化された問題を解決することだけだろうか。
なんとなく、情報技術に関する研究は、知識の表現に苦心している気がする。人間が問題をつくりコンピュータが問題を解く単純な図式を、もっと豊かにできる技術に可能性があるように感じる。